#366
2006.7.30

函舘市電 路面電車感謝祭に新LRV車モデルを展示


7月22日に函舘市交通局駒場車庫にて恒例の2006年度路面電車感謝祭が行われた。内容は電車庫の開放であるが、営業車の展示、電車部品の販売、模型電車の走行その他の展示と市内路線では25日より花電車の運行もあった。

函館市中里氏の参加報告によると…「車両展示はもちろん充実していたのですが、なんといっても、今回最大の衝撃は函館LRVの配色デザインと形式が初公開され、サイズを小さくした子ども向け[自電車(トロッコのように手押し)]となって姿を現したことです。

形式は9600形(9601号)で、その配色はまるで岡山の[MOMO]のようでした。正面には[HAKODATE CITY TRAM]の文字も入っています。側面には [皆様の夢を乗せて 〜次世代型いよいよ登場〜 平成19年春デビュー] のアピールもあり、念願のLRVが上陸する期待感をいやが上にも高めてくれました」 とあります。

祭りで姿を現した自電車 形式は9601 (デザインはあくまでもイメージ)
カラーリングはたぶん正当
  (Photo:函館鉄道写真館 X−103氏撮影)

     関連ニュース :(06/3) 函館市 来期予算にLRV1編成の導入を計画
     関連サイト   :函館鉄道写真館 函舘市電(総合) 



#365
2006.7.24

広島市 被爆電車654号を広島市交通科学館にて展示


1942年に製造され、被爆後61年間も元気に走り続けた広島電鉄の被爆電車654号は先月遂に引退した。この貴重な車両を永久展示することが広島市と広島電鉄との間で纏まり、7月21日に広島市交通博物館への贈呈式が同館の広場にて行われた。
除幕は秋葉忠利広島市長、大田哲哉広島電鉄社長および地元安西(ヤスニシ)小学校の児童たちにより行われ、ここに永久的に展示されることになった。


展示形式は最後の走り姿そのままということで、内装や貼り紙・運賃箱等もそのまま展示する。

被爆電車4両のうち651号、652号はこのまま現役で運行。653号は廃車。

広島市交通科学館へは広電紙屋町乗換 アストラムライン県庁前より広域公園前行き長楽寺(交通科学館前)下車。所要時間は約24分。


除幕は安西小学童、秋葉市長(左)、大田社長(右)の引き綱によって行われた。
広島市交通科学館の広場にはサイクルロード・
カート広場等の施設や腕木信号機・庭園がある
654号は広場の東部に路盤と線路を敷設し
設置された。車内見学可能時間は指定されている

科学館2Fの世界の乗り物コレクションコーナー
入口正面は広電現役電車のHOゲージ模型がでん
自動車用エンジンのカットモデルコーナー 
ガソリンとディーゼルのエンジンがあり比較できる
広島市交通科学館の正面玄関
実は4階建ての科学館と裏の広場の階下は全部
アストラムラインの車庫になっている合理的設計
アストラムラインはゴムタイヤ式新交通である。
長楽寺駅は車庫への分岐駅になっており、上の
ようなコンクリート製分岐器の構造になっている

    関連ニュース:被爆電車654号引退 交通科学館に展示
    関連 ページ :広島電鉄 記念車両 原爆被爆電車651号 (当館データベース)
    参考 サイト :広島市交通科学館ホームページ

館主の思い入れ:

昭和20年8月6日広島市内で被爆した広島電鉄654号は、私も被爆者なので同情心があり、老齢化、廃車後の行く末を心配していました。このたび広島市交通科学館にて永久保存されることになり私も安堵しました。 2006年7月21日に広島電鉄から交通科学館への贈呈式があり、私も取材に行き一部始終を眺め、写真に収めました。窓枠等は木製なので雨による腐食が気になり、式後館長さんにこの点を質問しましたら、「今回は予算の関係で実施できなかったが来年度にて実施します」との心強いお答え。これで安心しました。




#364
2006.7.19

東京都 交通安全研「安全性向上と環境負荷低減」講演会



交通安全研究所平成18年度講演会

 公共交通システムの安全性向上と環境負荷低減への取り組み
         −鉄道技術分野からのアプローチ−
  


今年も交通研の講演会が開かれます。LRTの動向と評価シミュレータの講演があります。加えて「安全な鉄道」回復への技術アプローチは皆さん共通の大関心事でしょう。都合をつけてぜひご参加下さい。


日時:7月25日(火) 13:00〜16:45
 

■場 所:大手町サンケイプラザ 4F 東京都千代田区大手町1−7−2 
       ・東京メトロ:丸の内線・半蔵門線・千代田線・東西線・都営三田線
                「大手町駅」下車[A4][E1]出口直結
       ・JR「東京駅」下車[丸の内北口]より徒歩7分

■講演内容 
◎安全性向上、環境負荷低減問題と交通研の取り組み−交通システムの観点から−
                      交通システム研究領域長 松本 陽
●第1部 「安全な鉄道」への信頼回復を目指して (13:25〜14:40)
 ○脱線係数の常時モニタリング・システム  主任研究員 大野 寛之
 ○営業車両を利用した施設診断の可能性    〃     緒方 正剛
 ○鉄道におけるヒューマンエラー事故防止技術と運転状況記録装置
                              研究員   吉永 純

●第2部 「環境に優しい交通システム」構築へのアプローチ (15:00〜16:40)
 ○招待講演 「環境に優しい都市交通政策」 共立女子大学助教授 青木 英明
 ○LRTの最近の動向と評価シミュレータ      副領域長   水間 毅
 ○先進電動デマンドバスのプロジェクト      上席研究員  林田 守正

●主催者:独立行政法人 交通安全環境研究所   

■参加方法:入場無料
         整理の都合上、事前登録制となっていますので、下記より登録 願います

●事務局・連絡先:同上企画室/今田・宮崎氏
             (連絡先) E-mail: kikaku@ntsel.go.jp  
                     TEL 0422-41-3207
             主催者サイト: 交通安全環境研究所






#363
2006.7.16
7/21写真追加

富山ライトレール 開業後の乗客人員を調査・・→ 健闘


県職員の自主研究サークル富山県交通政策研究グループは、RACDA高岡会員の協力を得て、富山ライトレール開業後の乗車人員の調査を7/7に実施し結果の発表をした。

調査結果の要点は
  • 調査対象=全列車132本 全利用者=5780人
  • 輸送密度は3737人/km (旧富山港線時代=2200人)
    (参考:万葉線1,190人。富山地鉄路面電車4,360人。岡山電軌3,640人)
  • 低床車の効果でベビーカーの親子がストレス無く乗車できる
  • 評価:「健闘をしているが収支を黒字にするには難しい水準」
  • 同会の提案
    ・定時制確保のため富山駅北の電車優先信号の設置
    ・右折車両の軌道敷内停車禁止
    ・通勤時間帯の遅れの解消
    ・軌道部分の複線化
    ・主要道路から駅までの誘導看板の設置
    ・車内の着席スペースの確保
    ・沿線の魅力向上策として観光マップの作成
    ・観光地である岩瀬地区への案内看板の設置
    ・その他
(7/21追加) ポートラムの車内風景 低床とベビーカー親子の乗車風景
(Photo:富山交通政策研)

    関連ニュース:富山ライトレール 遂に開業式と営業運転開始を迎える
    関連サイト:富山県交通政策研究グループ



#362
2006.7.12

豊橋市 路面電車活用を含めたマスタープランを発表


豊橋市は04年3月に都市交通ビジョンなる計画を発表していたが、今回更に具体化した思想として自動車優先からの施策転換をした具体化を表明した。即ち自動車への依存率を01年度65%から10年後には3%下げ2%にする。その分路面電車の活用を計る。

路面電車については車両のバリアフリー化や駅・停留場のバリアフリー化、安全島の設置とともに、中心市街地を活性化させるため、まちの魅力を高める交通システムを整備するとして、LRVの導入を明記した。

今回は市内一律の施策ではなく、地域性を重視。さらに公共交通の利用促進、環境整備を掲げ、JR東海や名古屋鉄道、豊橋鉄道、各タクシー会社など交通事業者との連携・協働を打ち出したのも特色。


豊橋市役所:「豊橋市第4次基本構想」より


#361
2006.7.6

広島電鉄 グリーンムーバーmaxがローレル賞を受賞


広島電鉄が05年3月に1号編成の運用開始をし、本年3月には4号まで増備運用に入っている超低床電車5100形 グリーンムーバーmax は、昨年10月に05年度日本鉄道賞と good design 賞を受賞したことは既に紹介したが、この度鉄道友の会の2006年度ローレル賞にも輝いた。

受賞のポイントは、超低床LRV技術組合の成果を、近畿車輛・三菱重工・東洋電機の製造3社と広島電鉄との共同開発にて国産初の100%低床車として完成させたことにある。即ち日本の事情にフィットさせるよう、車内移動の不便を改善する通路巾の拡大、座席定員の増大、車内照明のアップ等の使い勝手向上が計られたことによるもの。

既にローレル賞を受賞した超低床車は1998年の熊本市電9700形、2000年広島電鉄5000形Green Mover 、2001年名鉄岐阜美濃町線モ800形、2003年岡山電軌9200形MOMOと鹿児島市電1000形ユートラム、長崎電軌3000形がある。

グリーンムーバーmax 広島市内中心部紙屋町にて 

館主の特選ポイント:
個人的評価であるが、ドイツ製のGreen Mover も結構よい製品にちがいないが、乗客の立場からみて今回すごく改善されたと思うのは、下図・・中間車E車の巾が広くなりたいへん通りやすくなったことと、おかげで座席が8席から14席へと増えたことである。 この新E車の設計工夫こそ特選に値すると思う。
06/7/1「広島電鉄における最近のLRT導入の取り組みについて」
講演者:広島電鉄株式会社 常務取締役電車カンパニープレジデント 中尾正俊氏
が当日講演にて紹介された資料より掲載

参 考 サ イ ト :鉄道友の会ホームページ
関連情報ページ:日本のLRV 画像・三面図・諸元 (当館データベース) 
    〃     :
グリーンムーバーmax情報
    〃    :講演録:広島電鉄から見たmaxへの進化
    〃    :  〃 :メーカーから見たmaxについて
 


#360
2006.7.1

川崎重工 LRV用新電池を実用化し SWIMOを開発


 近年路面電車・LRTの架線レスをめざす燃料電池を搭載したLRVの研究開発が各所で続けられている。このたび川崎重工では、次世代LRVの核となる車載用電池をニッケル・水素系(先日の福井大学はマンガン酸リチュウム)にて開発に成功し、実用化に目処を付けた。 この車載式新電池をギガセルと名付け、これを開発中の新LRV車SWIMOの座席下に取り付けるといううまい方法で搭載する。

 SWIMOとネーミングされた実験車は昔川崎重工が筑豊電鉄に納車した車体を譲り受けて改造し、3車体3台車の連接構成に改造して試験車とする模様。実験は8月に川崎重工兵庫工場にて走行試験を開始する。

SWIMO:Smoothな乗車、Smoothな非電化区間への直通運転をする(WIn)移動手段(MOver)」

川崎重工発表の次世代LRV「SWIMO」のイメージ図

     関連ニュース :(03/9) 鉄道総研 世界初バッテリー路面電車を開発
         〃     :(04/12)鉄道総合技研 燃料電池をLRTへの応用可能性は
         〃     : (06/6)福井大学 長寿命化した電池電車の走行実験成功 
     川崎重工サイト:超低床電池駆動路面電車「SWIMO」の開発について・・ 

路面電車の一つの宿命と考えられたことに、街の美観の観点から架線問題がある。解決例はセンターポールに置き換えて美観を維持する方法がとられているが、根本的には架線レス・車載電池の開発であろう。もしわが国で実用的電池式LRVが誕生したら、現在LRT線新設を検討中の都市では立派な採用対象になろう。美しい成果を期待したい。