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#273 | 04.12.25 | ||
富山ライトレール 年明け1月5日より工事開始予告 ・ |
富山ライトレール(株)のJR富山駅より富山港に至る路面電車線の建設工事がいよいよ始まる。12/17工事開始予告の看板が出され、街のホールでは同社による市民への新車デザインや路線計画のPR活動も始まったようである。 (情報および写真:北陸在住のK氏による) |
JR富山駅前北口から北に伸びる街路に出された立て看板 |
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JR富山北口通りオーバードホールに掲出された富山ライトレール社紹介パネル |
路線の情報:04/5/1「富山港線はライトレール社で発足」 |
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#272 | 04.12.25 | ||
熊本市 市長が動植物園線の延伸案中止を表明 ・ |
熊本市長は12/8、かねて建設計画を表明していた動物園線(健軍5丁目〜熊本市動植物園前まで)の熊本市電延伸案は、採算性(利用者年間120万にても年2000万円以上の赤字予想)と建設場所近くに健軍水源地がありが水道水への悪影響が懸念されることの2点から計画の断念を表明した。 (熊本/細井氏の情報による) (注)健軍からの残る計画は沼山津・自衛隊方面コースとなる 計画関連ページ: 04/1/14「動植物前園まで800m延伸案」 04/9/30「健軍より沼山津・自衛隊方面延伸案」 |
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#270 | 04.12.14 | ||
福井鉄道 リチュウム電池 路面電車を実験 ・ |
福井大学と電極メーカー大研化学および電池技術提供のエナックス3者が共同開発した新型の充電式リチュウム電池を使って路面電車の走行実験が行われた。場所は福井鉄道西武生駅の側線を利用したもので、試験電車(16トン)を使用し12/3に実施された。実験は構内150mの側線を3往復し、速度は20km/h程度。電池の重量は約200kg。 この実験の意義は高価なリチュウム電池材料をコバルト系の代わりに、安価で、安全で、軽量なマンガン系材料を開発し、置き換えて使用できたことにある。材料の粒子を小さくして小型で大きな出力を出せるように開発したもので、電池は1個170mm×160mm×4mmの単位のものを多数積層して組立てた。現物は下の写真のようにタテ70cm×ヨコ45cm×高さ50cm程度の容積で路面電車を動かすのと同程度の680V、150Aの出力だったという。 課題は電池製造設備の費用のようだが材料費は安いようなので、今後は生産の可能性を探ってゆくことになる。 |
実験に使用されたバッテリー (Photo:日刊県民福井新聞) |
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関連ニュース:鉄道総研 燃料電池をLRTへの応用可能性は 鉄道総研 世界初バッテリー路面電車を開発 |
先日は鉄道総合技研の燃料電池を使用したLRT応用電車の情報を紹介したばかり。すぐに新技術のリチュウム電池電車の話題である。コストや維持方法等難題は多いに違いないが、世の流れというか時代が環境、架線レスで容易な建設方法をLRVが求めているのだと言えよう。将来を期待したい。 |
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#269・ | 04.12.8 | ||
広島市 LRT新設・延伸案の検討委員会発足 ・ |
中国運輸局は広島市の発案を受け、勉強会という位置づけにて、路面電車についてネットワークやシステム、まちづくりの視点からの検討会を発足した。 検討会は中国運輸局、中国経済産業局、広島市、広島商工会議所、広島LRT研究会、広島消費者協会にて構成され、広島電鉄がオブザーバーとして参加する。委員長は藤原章正広島大学大学院教授。具体的対象は路面電車のLRT化を中心とした公共交通体系の検討。 第1回会合にて、広島市デルタ内に6路線を新設 2路線を延伸する8ルートの検討案が提示された。今後これらの案を絞り込み、さらに2度の検討会を経て05年3月には都市交通政策へ繋がるための報告書に纏める。 |
■鉄道駅と都心部との位置関係 (広島市の鉄軌道系の地形的特徴) 人口110万人を擁する中枢都市広島市であるが、地形的には太田川が河口にて6本の川に分岐してできた河口デルタ部に人口が集中している。周辺は山に囲まれ、南は海に約されている。都市人口の大半がこの5つの中島と周辺部を持つデルタ地域に集中しているのが現況。この特徴的地形条件から明治に建設された国鉄(JR)はデルタ周辺部を迂回するように建設され、その後、都心部からJR駅への交通手段として路面電車ネットが都心から放射状に形成された。 |
出典:検討委員会資料 |
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■広島電鉄全路線の平均運行時間の内訳 日本の路面電車表定速度が他の鉄軌道に比べ極端に遅いと言われ、これが路面電車路線廃止に繋がったことはよく知られている。今回広島電鉄より提示された資料によると、現在広島市での路面電車の表定速度は最高で(広島駅〜広島港)12.9km/h、最低は広島駅〜西広島間10.1km/hである。しかも後者の路線こそ広島電鉄の最重要区間である。 また同社の運行時間構成の実績をみると、実走行時間は54%にしか過ぎず、多くが信号待ち・乗降時間および諸車待ちに費やされている。このデータからLRVという高加速高減速なハードだけでは抜本解決には限界があることを証明している。今後都市交通機関としての改善には優先信号やアンダパスの採用およびチケットキャンセラの導入等によるソフト改善こそ表定速度抜本改善手段として有力であることを示していよう。 |
出典:広島電鉄(株)資料(H10.3.16) |
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■新規ルートの検討案 今回検討会に提出された8つの新規ルートは、これまでの検討経緯や路面電車の役割、地形などを踏まえて幅広に検討を進めるため提示されたものであり、今後、潜在乗客数、道路条件などから更に絞り込みを行うことになっている。 なお、バス等他の交通条件との整合は今回の検討の中に含んでいない。 今後の検討進行予定
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出典:検討委員会資料 |
館主の感想: 一市民、利用者として今回の路線案について感想・批評です。 まづ言えるのは、周辺が山と海に囲まれたデルタ地形という広島市の地理的条件から、延伸路線はデルタの島地形に合わせた路線になります。このことは通常都市は碁盤目道路ができる地形ですからバス・クルマが縦横に走れる条件ですが、他都市と異なり、広島市のこの地形制約からはブロック毎の中心線に沿った道路を使用することになり、路面電車には有利な地形であると言えましょう。 これら8路線案について私見ですが、各案をを比較し直感的に緊急性・費用対効果・実行容易性を順序付けてみました。ま、市民からの納得度とでもいうものです。・・・その結果は
率直に見てこの8路線については今の広島市の条件では順位はあるにしても経済的ないし政治的判断さえ満たされればどの案も実現可能です。然し21世紀全期間を通じての広島市軌道系の将来を考えれば、広島市の軌道系施設全体は西高東低です。この地図の右下に当たる東雲地区への計画も今回は採り上げられていません。またソフト改善が大事ですが、優先信号、アンダパスの評価と可能性についても検討を拡げて頂き、それら展望も併せて発表して頂きますよう。就きましては広島LRT研究会が1999年夏広島市に提案した下記の案についてもぜひこの際検討願います。 広島LRT研究会:「21世紀広島市軌道系交通改良提案」 |
今回の研究会には種々の有益な参考資料が提供されました。が、館主の目を特に引いたのは(財)運輸政策研究機構作成の下記の三つの資料です。この3点は広島市における検討のみならず他の都市にて路面電車・LRT問題を検討している団体・組織にも役立つと考え転載いたしました。 |
■走行環境改善策の取組み状況 |
出典:(財)運輸政策研究機構 「LRTの導入可能性・活用方法の検討に関する報告書」(H13.3) |
改善策として取り組みが多いのは「区画線の整備(57.9%)」、「軌道敷内への自動車乗り入れ禁止化(47.4%)」、「路面電車優先信号システムの導入(42.1%)」である。 「電車優先策」を実施している富山市、長崎市等では路面電車サービスの水準も高く、ラッシュ時の所要時間は自動車よりも速くなっている。 |
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■利用者サービス向上の取り組み状況 |
出典:(財)運輸政策研究機構 「LRTの導入可能性・活用方法の検討に関する報告書」(H13.3) |
方策として取り組みが多いのは、「案内施設の整備(63.2%)」、「電停の島状化・拡幅・安全柵の設置(52.6%)」、「電停へのスロープ設置(52.6%)」、「上屋の整備(52.6%)」、「運賃割引制度の充実(52.6%)」、「電車接近表示(52.6%)」である。 |
館主注:資料が若干古いなったのか? 広島市の場合「7-b 鉄道との結節確保(電停の確保)」は横川駅電停、広島港電停にて実施スミ。「7-d バス停と電停の一体化」は宮島線廿日市にて進行中。 |
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■外国でのLRT導入のレベル |
出典:(財)運輸政策研究機構 「LRTの導入可能性・活用方法の検討に関する報告書」(H13.3) |
日本国内的には国・自治体も事業者も出来るだけ頑張ってはいるが、公共交通への考え方と力、資金の投入の考え方が根本的に異なる。「これでよいのか日本の考え方・レベル!」と言いたいところ。 |
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#268 | 04.12.1 | ||
鉄道総合技研 燃料電池をLRTへの応用可能性は ・ |
近年は地球環境負荷と化石燃料枯渇時代を見据えて車等交通機関への燃料電池の利用が真剣に研究されている。鉄道総研でも車両積載型燃料電池車の研究をしているという情報があったが、このほど開発担当の同所山本氏より最近の研究とLRT応用可能性について情報を頂戴した。在来鉄道、LRT、機関車等についてフィージビリティスタディを行い、結論としてまず検討対象を都市近郊型ディーゼルカーの代替と決めた。その次は小出力でよいLRT新規路線へ。更には保守用車両、入替機関車への適用に開発対象を拡げるということであった。そういう経緯で、いずれ燃料電池LRTも目標になるのは確か。要点を紹介しておきたい。 |
個体高分子型燃料電池の構成 燃料電池車両走行デモ(2000年10月) |
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燃料電池電車構成例 燃料電池車両の目標諸元 |
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試験台試験装置概略構成図 |
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台車駆動試験状況 台車駆動試験結果例 |
燃料電池車両の開発とLRT |
(財)鉄道総合技術研究所 車両制御技術研究部(動力システム 主任研究員) 山本 貴光氏 (上記掲出資料とも)
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館主感想: いつもLRTを愛用している館主としては、路面電車が排気公害が無くクリーンで大量輸送でき、車に比べずっと都市環境に適した交通機関と認めています。ただ残念なのがあの架線! 都市には美観も大事。将来燃料電池LRTの建設が現実になった時こそ、真に美しいLRT路線をもった理想的都市が実現するでしょう。 技術的課題としては、低床であるため空調等電気装置の他に発電装置も屋根上に設置する必要があり、けっこう難題だと思います。ともかく21世紀LRTの挑戦テーマ・プロジェクトXですね。 |