#283
2005.2.21

池袋 豊島区がLRT新設3路線案公表と路面電車の会発足  


昨秋、東京都豊島区が池袋地区の活性化やバリヤフリー化めざし東口からLRTの新設を図る計画を発表したがあまり話題にならなかったのはどうしたことか。館主も区の計画内容を見て、目的、計画案、損益計算等が既になされ公表されているのを受け止め、自分の勉強を兼ねて紹介することにした。 また、このプラン立案に応じて地元商工業者による路面電車の会が発足したことも側面からの支援になろう。


■標題:池袋副都心再生プラン (中間のまとめ

■ねらい
  • 池袋地区は都心部、新宿地区、渋谷地区に比べ物販、乗降客数等の勢いが落ちている。この回復を図る。
  • 文化発信 ユニバーサルデザイン都市・池袋を目指す
  • 水平移動の負担の軽減手段としてLRTを導入する
■LRT案の概要
  • 池袋東地区は1kmの範囲内に主要設備が散在している。そのアクセス手段が必要。
  • バスに比べLRTは多数の輸送ができ、専用軌道のため定時性が期待できる。
  • LRTはそのデザイン・機能の先進性から街の魅力作りに役立つ。
  • LRTは歩行支援装置であり、交通弱者にも回遊を保証できるユニバーサルデザインである。
  • 当面は単独ルートで建設
  • その後荒川線の改良を行い、相互直通化を計る
  • ルート案は上記地図の3案で@サンシャインルートとA雑司ヶ谷ルートは将来荒川線との結合を配慮。 飯田橋ルートは独立の線であるが、需要がもっとも期待できる。
  • 運行間隔を6〜8分、所要時間を片道5〜6分として、概略建設費は38〜48億円。
■その他詳細
    想定需要、事業採算性、導入への課題等の詳細は
         「豊島区HP『池袋副都心再生プラン(中間プラン)』参照

■池袋の路面電車とまちづくりの会発足
    支援団体として東京商工会議所豊島支部が主催し
     区の活動に合わせて発足した
         参考サイト:豊島会議 路面電車とまちづくりの会

2/23追加記事 
●池袋の路面電車とまちづくりの会活動情報
 東京新聞の主催にて2/15に、「路面電車・LRT導入を中心とした池袋の活性化」についての意見交換会が行われた。

 出席者は高野之夫同区長、映画監督の実相寺昭雄氏、「池袋シネマ振興会」代表の永田稔氏、「池袋の路面電車とまちづくりの会」事務局次長の富沢弘治氏、作家で明治大学大学院教授の青山やすし氏などである。

 ほかの繁華街に押されがちな池袋のイメージアップが話し合われ、豊島区が池袋駅東口に導入を計画しているLRTについて「環境に優しい」や「人や車と共存できる」などと、導入に積極的な意見が相次いだ。


#282
2005.2.15

岐阜市 3線の存続を願い住民集会開催  


いまは岐阜では揖斐線、美濃町線の代替バス計画が進められているが、電車の利用者全数は到底バスでは吸収できない。その差額数は車に流れ、このことは岐阜市都心の空洞化が促進されると危惧する市民グループがある。この危惧を市民に訴え、進行している廃止計画に歯止めを掛け、3線のレール保存と便利で快適な再生を呼びかける集会がが開かれる。

  

  揖斐線、美濃町線、市内線のレール保存と
    便利で快適な再生を望む市民の集い


■第1部: レール保存に向けた決意と背景を語る、街なか集会

 日時2月20(日) あさ11時から12時まで
 
 
●会場:
岐阜市柳ヶ瀬 岐阜高島屋前「わくわく広場・ステージ」

 ●内容
  • このタイミングに、より多くの人たちにとって、自分の生活に関わる問題として捉え、レールの保存に向けた行動を、どのような位置づけで行うか、について壇上で発表し合います。
■第2部:シンポジウム「まだまだ活かせる、貴重な“にほん”のレール」
    〜地域に活きる鉄道の再生に欠かせない考え方と、その枠組みづくりへの提言
    〜“日本”全体でどう考えるか、と岐阜の“2本”のレールに引き寄せて

 ●日時:同日 ひる1時00分開始、3時00分すぎまで

 ●会場:岐阜市柳ヶ瀬地内 岐阜高島屋東「シネックス」地下・Aホール

 ●内容:
  • 感情的な存続運動のみが立ち上がるばかりで、客観的な情報を手に入れることもできないまま存廃を決されたり、商業的、興行的な価値への可能性評価が行われないまま、現状に圧されて役立たずの烙印を押されるのは,社会的にみて大いに損失です。
    既存の鉄道インフラが社会的にどのような価値があり、それをどのように守り育て、さらには現代的に更新して行くのか、という方法を全国に先駆けて、この岐阜から検討します。
■主催: 揖斐線・美濃町線・岐阜市内線の再生を望む市民会議
     
■この会合の広報: http://chal.dyndns.org/~mirai-design/6-public/050220/

■連絡先: 岐阜未来研究団 堀達哉
         電子メール miekenzo@air.linkclub.or.jp
         ホームページ http://www.mirai.ne.jp/~design/
         お問合せは    090.4406.6673


#280
2005.2.3

札幌市 市電の存続を正式に発表 札幌駅まで延伸検討  


札幌市電は02年度から赤字に転落し、04年度の営業赤字は4億円を超える見通しとなった。車両の老朽化も進み、存続のためには90億円が必要との試算もなされた。この現状を踏まえ札幌市では昨年2回の市民フォーラムを開いた結果は存続を求める声が大勢であった。更に事業者意見のヒヤリング結果は路線のループ化等の積極投資で効率化を計る意見も出た。これら意見を札幌市長が総合検討した結果、2/1に市電の存続を正式発表し、新年度一般会計予算案に活用方針検討調査費800万円を計上も表明した。市では市電を都市づくりの重要な基盤と位置づけ、JR札幌駅までの延伸も含め、新年度から検討に入る。初年度は、まちづくりの専門家や公募市民による活用方針の検討委員会の設置と、市民意見を聞くワークショップの開催、民間活力導入のあり方を検討する。   (北海道新聞より)

(札幌市の路面電車風景:「LRTでさっぽろがかわる−さっぽろLRT10km構想−」誌より

先日は札幌在住の交通研究家でまちづくりコーディネーター吉岡宏高氏の「さっぽろLRT10km構想」をご紹介したばかりなのに、時良く、市長から「延長を踏まえて正式存続」が表明されたのは本当に嬉しい。この度は氏もいろいろ提言されたのでは? 吉岡氏がこんど設置される検討委員会の委員に任命されると思うので市民のために存分のご活躍を祈りたい。
  
         参考文献:「さっぽろLRT10km構想」


#278
2005.1.23

福井鉄道 名鉄より岐阜市内線低床車2両を買い受け   


 福井鉄道と名古屋鉄道の間ではこの3月廃止が予定されている岐阜市美濃町線の低床車800形2両を福鉄福武線用に買い受けする方向で話が進んでいるようである。 
 福井鉄道は昨年6月下記図のような福井鉄道福武線とえちぜん鉄道三国芦原線との接続案を発表したが、福武線は福井市内では路面電車として運行するため低床車の運行へ切替希望が出ている。 このため同社は福武線の車両を2年間で順次低床車に切り替える改革案を建てた。福武線車両の入替とホームの高さ切り下げ事業費3億3000万円を予定している。岐阜(1/17、1/22県民福井新聞)

1/27続報
 17年度当初予算で福井鉄道に補助をすることに関し、知事査定を前に県民の意見募集を行った。 
 福井県のHP(総務部政策推進課)にて補助政策案が下記のように公表された。この予算内容によると購入は岐阜の800形ではないかも知れない。800形は豊橋へ行くという説もある。 (以上、Sさんの情報によります)

概要
福井鉄道が、現在24両ある車両のうち18両を小型軽量で床面の低い車両に更新するとともに、床面の低い車両に併せるためホームの切下げ工事を行うことに対し、国、県、沿線3市が助成します。
(1)更新計画
 ・平成17年度  8両購入
 ・平成18年度 10両購入
(2)補助対象経費
  車両購入費、車両改造費、ホーム切り下げ工事費
(3)補助率
   車両の購入、改造  国3/9 県・市5/9 
   ホーム切り下げ等  国1/5 県・市3/5
(4)予算額
   59,358千円 (福井鉄道への補助金)


館主感想:
福武線の低床電車切替は上記のように低床電車導入費用と乗降段差解消のためホームの改造工事の負担があるが、福井県と関係市は5/9までの資金負担をするようで、福井鉄道は名古屋鉄道系の会社でもあり、この実現は可能性が高くなったと思う。


 関連ニュース:福井鉄道 福武線とえちぜん鉄道 接続案検討 (04/6)


#277
2005.1.18

長崎電軌 超低床3002号 浦上車庫に搬入   


 長崎電気軌道(株)が昨年3月導入の超低床車3001号に引き続き、同形3002号を昨年来大阪府摂津市のアルナ車両(株)にて製造中であったが、昨年末〜本年1月にかけての試運転を終了した。1/14未明同工場をトレーラー搭載の方法にて出発。阪九フェリー→新門司港→太宰府陸送のコースを通り、1/17早朝長崎電気軌道(株)浦上車庫へ無事搬入された。

工場試運転の様子から浦上車庫到着まで多数の写真による情報が
長崎市崎戸さんの下記HPに掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

  詳細サイト:「長崎の路面電車」3002号リレー中継中!


#276
2005.1.17

長崎電軌 超低床車3000形Good Design賞受賞  


 長崎電気軌道(株)が04年3月より運行開始した国内製初の超低床車3000形 リトルダンサーUタイプ(アルナ車両製造(株)製造)が同年10月に2004年Good Design賞を受賞した。
 受賞理由は国産技術で初の100%超低床車を実現し、省エネ、静粛性、環境性等に優れていることを評価されたことによる。
   受賞関連サイト1:日本産業デザイン振興会Good Design Award
     〃   サイト2:長崎電気軌道株式会社
   受賞LRVの写真・3面図・諸元のページ:長崎電軌超低床式電車3000形

館主も受賞に気が付くのが遅かったけどお目出たいことです。
過去のLRVは軒並み何かの受賞をしていますので当館報道分を挙げてみますと
・・


#275 2005.1.9

米ミネアポリス市 LRT空港線延長部開業  


我が国の各都市でずいぶん熱心にLRT路線新設・開業に取り組んでいるが成果がまだもどかしいようです。それに引き替えヨーロッパでもアメリカでもどしどしLRT新線開業が進んでいるのは羨ましい限り。 本日は読者の狩野敦さんより、北米出張時経験されたミネアポリス市でLRT空港線が延長開業の情報を頂いたので掲載します。よそですけど景気の良いLRTお正月ニュースでした。(^_^)

都心から空港までは既に開業していたが、これを延長しMall of America駅までの
部分が04/12/4開業した。LRT線路は空港下の部分がアンダパスになっている。
路線名はずばり Hiawatha Light Rail Transit です。下は同社ロゴ。
狩野さんの同線乗車感想は:  (1/10乗車感想を一部追記しました)
 個人的感想としては,1ドル75セントの統一料金は安いと思いましたが,切符を持っているかどうかのチェックがなく,ただ乗りのし放題であるという印象を受けました。当局は,抜き打ち検査をして切符を持っていないと高額の罰金を取ると行っていますが。
 車社会にどっぷり浸かったアメリカ人にどのぐらいLRTが受け入れられるかはこれからの課題です。この路線の運営が黒字になるなどとは当局は思っていないようですが,あまりにも大きな赤字を出して廃止されないことを祈っています。

では狩野氏の写真を3点ご紹介  (1/10 写真の解説を追記しました)
 乗り心地は良く,カーブが少ないため専用軌道では80km/hぐらいは出ている感じです。
 大体10〜15分間隔で運行されています。駅間は2〜5分でした。駅には次の電車の出発時刻が電光掲示板で表示されていますが,5分程度の遅れは気にしないようです。運転はワンマンで,車内アナウンスは録音です。次駅アナウンスは,「駅名」+「right」または「left」だけでした。これに比べて日本のアナウンスは冗長だと感じました。
 運転手は日本のバスのようにマイクをつけていて,車内での様子を見て時々話していました。「ボタンを押さないとドアは開きませんよ〜」などように。
 
 冬季は気温が氷点下20度以下になることも多いのでドアは,中からも外からもタッチスイッチによる電動の手動開閉になっています。まだそのことを知らない人が多く,停車しているのにドアが開かないので戸惑っている人を見かけました。
 
 座席の座り心地は良いのですが,大きさや間隔が日本のものと大体同じです。アメリカ人成人の平均体重は90kgを超すという状況では,やや狭苦しいのではないかと感じました。混雑時には乗っていませんが,吊革の間隔は日本の倍ぐらいで,こちらは悠々としています。
 車内写真の向かって左側にあるのが自転車置き場(窓から支えが出ているところ)です。ここに自転車を立てかけて載せることができます。各車両2,3台分しかスペースがなく,2両連結なので1編成でせいぜい6台しか載せることができません。