#287
2005.3.31

広島電鉄 グリーンムーバーmax出発式と運行開始  


昨年12月搬入以来Green Mover maxは調整と運転習熟が継続されていたがこのほど終了。3/30午前11時より広島電鉄千田車庫において本日より営業運転開始をめざし出発式が行われた。広島県知事、広島市長、中国運輸局長、中国整備局長および製造会社の近畿車輛・三菱重工・東洋電機各社社長、広島電鉄社長によるテープカットが行われた。電車は来賓客を乗せて広電前から紙屋町までを貸切運行した後、市内線広島駅〜広島港間の1号線用として正式に運行を開始した。

来賓祝辞にて共通したキーワードは「国産初の100%超低床車、公共交通のバリヤフリー化、都市の環境に優しい公共交通・エコロジー」の三つだった。
特に運輸局長は国土交通省の姿勢を「LRT整備計画に対して、関係部局が連携して、LRT総合整備事業による補助の同時採択と総合的支援」として今年は統合され進化したことの強調があった。

            参考サイト:LRTの導入支援

maxのテープカットの様子 くす玉も待機している
 
「あれ! 見たことのない電車が走ってる!?」と市民もデビューに敏感
 
レセプション会場にて近畿車輛(株)車両事業本部の枡田保氏より多くの図例を使用して、maxの特長、広島を意識したデザインの工夫等について来賓に詳細な説明がされた。
氏はかって超低床LRV台車技術研究組合技術委員会委員長であって今回のmax開発の責任者であったから感慨ひとしおらしく熱が入ったものだった。

     関連ページ:日本型LRV台車開発について 

館主感想:
今回の発表会に出席してみて一番感じたことは、多数の著名な立場の来賓が見えて、皆さん国産LRT広島版への礼賛があったということである。その背景は、「日本の路面電車はヨーロッパに比べ、諸点で20年遅れている」、という説からの脱却。その第一歩を進むことが出来たという悦びではなかろうか? 特に目に見える形では独立懸架式の台車開発であろう。今までこの基幹技術の国産はなかった。これに応え、2001年に国土交通省の肝煎りで技術研究組合が発足し、8社合同にて巨費をかけて100%低床用台車の開発を行ったことに重心があるのではないか。その開発成果を現物で引き受けるのは広島電鉄がうってつけであろうし、この実用成果は日を経て21世紀日本各都市のLRTによる都心復活の原動力になるだろう。また低床車両の外国輸出にも可能性ができる。私にはこの
maxが各関係者それぞれより期待の熱いまなざし受けているように感じた。


#286
2005.3.26

広島市 LRT検討委がLRT4線新設案を発表  


広島市の路面電車網の充実を求めて、昨年来活動を続けていた中国運輸局、広島市、各種団体をメンバーとした路面電車のLRT化を中心とする公共交通体系検討委員会は22日最終会合を開き、ルート対象案9ルートを4ルートに絞って案を纏めた。

今回の案は今後の広島市LRT拡張案の基礎データとでもいうべきもので、今後は市が中心になり、より詳しい需要予測や、建設費、他の交通事業者との整合等々の検討過程を経て都市計画になるはずというもの。 いままで広島市全体のLRTネット新設については、公的な発案と実現に至る課題当について俯瞰的な検討資料が不足していた。この基礎資料は今後のLRT新設具体化に当たって必須データというべきもので意義が大きい。

今回の委員会活動はいわば中間纏めのようなもので、次の広島市全体の交通計画審議組織に引き続き作業をゆだねることになろう。


■新規ルート4案の算出について

広島市の新規LRT路線について評価の高いものは上図の4ルートに絞られた
@平和大通り西ルート   
A平和大通り東ルート 
B駅前大橋ルート    
C段原・宇品東ルート 

採択4案について根拠が推計されている
  • 各種基礎数値より利用者便益(時間短縮、費用節減)、環境等改善便益(交通事故減少、大気汚染・騒音・温暖化改善)に加えLRVによる快適性、都市景観向上等の利益を算出した

  • それぞれの概算事業費を算出と1日当たりの乗車人員推計
    1. 平和大通り西ルート  45億円 10,100人/日
    2. 平和大通り東ルート 122億円 18,100 〃(東西+駅前全通の乗車)
    3. 駅前大橋ルート     91億円  8,000 〃
    4. 段原・宇品東ルート   92億円 11,400 〃 

  • 建設期間5年 均等投資として費用便益分析を行った

  • 総便益/総費用=費用便益比は下記になった
    1. 平和通り西ルート  4.1
    2. 平和通り東ルート   −  (東西+駅前全通で1.5)
    3. 駅前大橋ルート   2.4
    4. 段原宇品東ルート  3.1
車線数など自動車交通調整や都市計画との整合という共通課題があるが、更にルート毎の特別課題として、平和大通り東ルートでは田中町立体交差地点を避けるための特別事業が必要となるし、駅前大橋ルートでは駅前広場の再編という課題があると説明された

館主の感想

  1. 今回の資料はまだまだ他に関連する項目や数値の精密化が必要のようで、順位や着手日程に至るまでにはたくさんの詳細化作業が必要なもののようである。しかしこれだけの基礎データが発表されたことは今後の広島市LRTネット計画発案にはたいへん役立つものと高く評価する。

  2. 前回12/4に委員会発足記事を下記にて紹介したが・・・・
      関連ページ:広島市 LRT新設・延伸案の検討委員会発足

    直感的な私の評価では認識を誤っていたものがあった。
    それは駅前大橋ルートである。このルートは広島市の玄関であるが、既にLRTが敷設されることを前提にした駅前大橋が先年建設されたばかりである。この常識から最優先着工を推定していたが、大橋から既設広電のりばスペースに入るには地形的に今のままでは難点があることを今回の資料から知った。

    難点を避けて路面電車エリアを確保するに下の図の現行広場の作り替えが本当に必要となるとなると、これは大事業となる。なにか大幅改造をしないですます工夫はないものだろうか?

       

  3. 疑問をもったことは
    Cの段原宇品東ルートが費用便益値が大きいとして採り上げられている。しかし、この路線は既に平行して比治山線+宇品線が通っており、この既成線は建設コスト0円であるから便益数値が大変高いはず。代替線を建設するならこの既成線の数値を引き算して便益数値を出さなければおかしいのではないかと思った。

  4. 提言したいこととして。
    今回案は平和大通りの観音町からNHK前までは平和大通り西ルートとして一つの案にしてある。
    確かに構造的には全く同一ではあり一体的に理解しやすいが、ルート途中には橋の架け替えが2本あり、橋の建替建設費を考慮すると財政的にはいちどには困難ではないか? また市の公式計画にはLRTを観音町から河原町、つまり上記地図の中間点の
    までが建設計画と定められている。この両面を考慮し、平和大通り西ルートの西の部分を西Aルート案とし、東部分を西Bルート案として分け、2段階にして建設するべくデータを個別に作り検討・計画化することが実際的ではなかろうか。


#285
2005.3.10

横浜市 市民団体がLRT3線の新設案を発表した  


横浜市の市民団体NPO法人横浜にLRTを走らせる会は03/10に結成以来LRTの新設活動を活発に続けている。会では昨年12/18に'04冬フォーラムを開催した。フォーラムでは地下鉄みなとみらい線開通以来東西方向の基盤は強化されたが、伊勢佐木町中心部や本牧等周辺地区は自家用車に押され不便地区に変わっている。この対応として、かって撤去された市電路線網に替わり近代的なLRT路線を新設し、都心活性化と南北方向の公共交通確保をはかるという考えで3線のLRT新路線敷設案を発表した。現在はまだ案の提示段階であるが、この案のリファイン案提出も呼びかけている。

 
昔の横浜市電ネット地図
かって横浜市にはこれだけの市電ネットがあった
 
LRTを走らせる会3ルート案地図
会より提示された3つの新LRT敷設経路案

同会ではホームページにて3つの案についての詳細図各路線ごと
@導入のねらいと効果
A既存鉄道線との接続による居住者・来街者の移動手段確保の考え
B運行計画案(経路、電停場所、総距離、駅間距離、所要時間、表定速度)
C概算事業費(建設費と運用経費)
D今後の課題
等を案出し公表をしている

 参考サイト :LRT導入ルート案〜横浜市街地等への導入提案〜
 関連ニュース:04/06「横浜市 走らせる会の6/13フォーラム報告」
   〃     :03/10「横浜市 横浜にLRTを走らせる会」設立準備進む


#284
2005.3.5
3/10追記

富山ライトレール 富山港線のLRT工事を着工  


富山ライトレイル社の市内軌道線部分1.1kmの工事がいよいよ本格的に着工になった。その先触れとして、2/25に市中心部の工事区間である八田橋近くの公園にて富山ライトレール社社長でもある富山市長の鎌入れ式が行われた。
 工事はまず八田橋の補強改修工事から始まる。現在のJR富山港線は06年2月に運行を中止し、ホームの改修工事をする。LRTによる新線の全走行開始は06年4月からになる予定。

追記:

 尚、富山市では北陸新幹線の富山市乗り入れに合わせ、下図のように神通川から富山駅東の富山港線カーブ部分までの区間を高架に作り替えをする。その高架化を利用し、富山駅北口の新富山港線と富山駅南口の地鉄市内軌道線とを接続し相互乗り入れすることも計画中である。(富山駅駅前広場等整備計画)

富山港線案の地図

関連ニュース:新車デザイン発表
  〃     :LRTは新潟トランシス社製に決定
  〃     :富山港線は富山ライトレール社で発足