#480
2008.5.3

中国天津市 LRT新線開通


中国情報局NEWSによると、天津市の海浜開発新区にLRT新線が開業した。建設開始は06年2月、完成は2007年3月。距離は約8km、建設費は1.9億元(約30億円)、車両の最高速度は70km/hであった。

(余談)日本ではLRT次世代型路面電車と呼んでいるが、中国では軽軌と呼ぶらしい。言い得て妙。よほど気が利いている。

天津市位置右の縦赤線は電車路線8kmの想定線です

天津市の浜海開発新区にてLRT開通セレモニー

同時にオリンピックで沸く北京市にも路面電車が走る情報がありましたが、これは繁華街街路800mを旧式の路面電車がのろのろ走る電池式電車でどうも大会の添え物らしく、LRT路線建設とは別物らしい。

然し最近の中国では各地の都市にてLRT新線建設が続々報じられているのは読者のご存じの通りです。中国だからこそ建設が粛々と計画通りできる国状の差があるのかも知れませんね。


#478 2008.4.24

大阪市 シンポジウム 「これからの地域公共交通は」 開催


主旨:
少子高齢化が進み、地球温暖化問題を始めとする環境問題への対応が喫緊の課題となっている現在、自動車に過度に依存した交通のあり方を見直す時が来ています。公共交通はすべての人にとって大切な「共有資産」です。日本では公共交通が経営難で次々と撤退されていく一方で、地域社会の合意を基にした財政的な支援協力によって公共交通の再生に成功したケースも増えています。今まさに公共交通を地域の共有財産として、新しい公的な支援政策によって維持発展させていく仕組みが求められています。一つの有力な方法として、道路特定財源の一つであるガソリン税の税収の一部を公共交通の財源に充てる制度が考えられます。

道路財源問題再編が政治の緊急課題となる中、市民の立場から、公共交通を主体とした「持続可能な交通システム」の実現と、それを支える財政の仕組みについて問題提起していく契機となるシンポジウムとしたいと考えています。

  

  「道路財源問題を考えるシンポジウム
 〜市民が提案! 持続可能な交通と財政改革〜」


シンポジウム概要
●日 時:2008年5月31日(土) 13:30〜16:30

●場 所:大阪市立弁天町市民学習センター 講堂
        大阪市港区弁天1-2-2-700(オーク2番街7階)


●プログラム:
 ■第1部基調講演ならびに地域の取り組み紹介
    基調報告「持続可能な都市と交通」 村松昭夫氏(弁護士、KOALA顧問)
 
    特別講演「21世紀の公共交通の課題と財政改革」
        正司健一氏(神戸大学大学院経営学研究科教授、KOALA顧問)
 
    報告 関西で活動する市民団体による各地域の取り組み報告

 ■第2部 ゲストパネラーと第一部の講師を交えてのパネルディスカッション
    ゲストパネラー
        逢沢一郎氏(衆議院議員、自由民主党、LRT議連会長)
        福山哲郎氏(参議院議員、民主党、LRT議連)
        岡将男氏(RACDA会長、全国路面電車ネットワーク運営委員長)

        ※なお、国会情勢その他の事情によって、講師・ゲストが変更される
          可能性があります。

●参加費:一般2,000円、学生1,000円

●定 員:100名 (下記に事前申込が必要)

●主 催:都市創生交通ネットワーク@関西(KOALA)

●申込先: 都市創生交通ネットワーク@関西(KOALA)事務局(京都市)

●参 考:都市創生交通ネットワーク@関西(KOALA)について
  • 都市創生交通ネットワーク@関西(KOALA、Kansai Co-Operation Alliance of LRT and Public Transport for Architecture of Cities)は、関西地区における交通まちづくりのキーステーション形成を目指して2007年に設立したNGO団体です。

  • 現在、約20名の会員で関西における様々な交通まちづくりに関する活動を行っています。会員は、交通学の研究者をはじめ、弁護士、学生、NGO職員、会社員など様々なメンバーから構成されます。
  • LRTなどの次世代交通システムの導入、マイカー規制をはじめとする自動車対策の検討、提言活動など
 関連ニュース:人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 (07/9)
 関 係 サイト : KOALA都市創成交通ネットワーク@関西 


#477
2008.4.18

堺市 LRT東西線の路線系統案 更に煮詰まる


先週堺市LRT東西線への意気込みを紹介したばかりなのに、矢次早であるが堺市は新線の更に具体的なルート案を16日に発表した。それによると
  • 南海高野線の堺東駅から南海堺駅を経て堺浜のシャープ新工場に至る6.9km,(南海堺〜新工場(堺浜)間は5.2km)。
  • 経路は南海高野線堺東駅をスタート、大小路を経て南海堺駅の下をくぐり抜け、地下鉄四つ橋線延長予定の府道を北上して途中道路を西進。阪神湾岸高速線高架下を使い北上し、大和川沿いに西進しサッカーナショナルトレーニングセンター(NTC)前を経由し南下、シャープ新工場(堺浜)に至る
  • LRT東西線と阪堺線堺市内との相互直通運転を大小路交差点で行う
  • 堺市駅〜堺浜間の所要時間は約30分(堺東駅〜堺駅:約10分、堺駅〜堺浜約20分)
  • 堺浜電停から先の延伸区間と南海本線の通り抜け路線は検討区間とする
  • 09年度初めの着工をめざす
  • 市の想定では、堺東駅〜堺駅間:利用客13,000人/日、事業費115億円。堺駅〜堺臨海部間:15,000人/日、事業費250億円
  • 南海堺東駅〜JR堺市駅区間は未検討
  • (注)NTCは2010年完成予定のサッカー練習施設


館主敬白:
堺市東西線の空気はかっての富山ライトレール起業時の空気を連想させ、実現の濃さを感じさせる。NTC電停案が今回のキモと思われるが、市民合意形成に適切な名案と思う。現地を見て気になっていた課題は、南海本線堺駅の下は適切なスペースが無く、その下を潜らせる方式が素人には思いつかなかった。それで「どういう計画になるのか?」と気にしていたが、今回も検討区間として残されてしまったのが残念。あっと言わせて欲しい。(^^;)


 関連ニュース:堺市LRT東西線経営主体・路線案が煮詰まった(7/14)
 関連サイト :堺市東西鉄軌道基本計画の骨子


#476
2008.4.11

堺市 LRT東西線への意気込みを覗見


館主敬白:
4/17堺市に出かけ、たまたま堺市市役所21階展望ロビーを訪れました。周囲四方をあれこれ見渡した後、ロビー内の情報コーナーに移りますと、壁面には現在堺市が力を入れている施策あれこれの中に、東西線LRT建設計画をうまく纏めて掲示しているのを見かけました。 「堺市はLRT建設に本気で取り組んでいるのだな」と思わせるものでしたのでご紹介します。

「導入するLRTは地下鉄やモノレールに比べ建設費やコストが安価で、環境負荷が小さく、バリヤフリーで誰もが乗り降りしやすい、景観に優れているといった特徴があります。特にまちのにぎわいの創出、都心地域の活性化への寄与という面から、東西鉄道軌道(LRT)の早期整備が必要であると考えております」           .  「堺駅から堺東駅区間につきましては、阪堺線との相互直通運転など市としての7つの基本的な考え方を示し、経営予定者に決定した南海電軌鉄道(株)と阪堺電軌軌道(株)より提案されました事業計画を基に協議を重ね、市民合意による基本計画を策定し、平成22年度の開業をめざしています」

堺東駅前広場整備イメージ(南海高野線) 大小路LRTイメージ

「また堺浜ではシャープ(株)及び関連企業の進出が決定し、今後、
サッカー・ナショナルトレーニングセンターや商業アミューズメント施設
などの開発整備が進められることから、通勤者だけでなく市内外から
多くの方が堺浜へ来訪することが予想されます。             

これらの交通需要の増加に対応していくとともに、堺浜の開発効果を
市域全体に誘引するためにも安全で快適な交通アクセスの拡充・強化
が必要であると考えており、堺駅から堺東駅区間と平行して堺浜から
堺駅区間についても早期実現に向けて鋭意取り組んでいきます。」  
(以上:プレートの解説文)

    関連ニュース:堺市 阪堺電軌 我孫子道〜浜寺間の公有民営化発表 (08/1/30)
    参考サイト : 堺市役所展望ロビー


#475
2008.4.7

東京都 荒川線 新型車両のデザイン決定


東京都交通局は、都電荒川線の老朽化した車両の更新を計画しており、平成21年春に新車2両を導入する予定。

この新車のデザインについて、本年1月に実施したデザイン投票を実施した。デザイン投票には全国から1,263票の投票があった。都はこの投票結果を参考に検討した結果下に示したデザインを決めた。


 丸みのあるスタイルで優しさと親しみやすさをイメージ
                 (Photo:東京都交通局)

都は車両デザイン決定に際し、デザイン原案3案を公表し、全国に投票を呼びかけて決定したとはユニークな方式でした。

    関連ニュース:都電荒川線のニュース


#474
2008.3.31

福井市 えちぜん鉄道・福井鉄道相互乗り入れ合意


福井市では、3月24日「第5回福井市都市交通戦略協議会」が開催され、えちぜん鉄道・福井鉄道の相互乗り入れによるLRT化の合意がなされた。

平成20年度からは、本合意に基づき、LRTの実現に向け、各種事業プログラムを検討する予定である。

福井LRTは、郊外電車が中心市街地に10分間隔の高頻度で直接アクセスする本格的トラム・トレイン・システムとなるはず。

その実現により、中心市街地の活性化やCO2削減による地球温暖化対策の推進が期待される。



関連ニュース:福井鉄道のえちぜん鉄道接続とJR乗り入れを推進
関連サイト: 福井市における協議内容


#473
2008.3.25

函舘市電 らっくる号運行1周年と記念事業


昨年3月20日函舘市電初のLRV車らっくる号9601が営業運転を開始してはや一周年を迎えた。函館市交通局では1周年記念事業として二つのイベントを開催した。
  1. 乗車証明書の発行
    3/20 らっくる号乗車者の先着200名に記念乗車証を呈贈
  2. らっくる号ギャラリー
    と銘打ち、3/20〜4/10の期間に,らっくる号をテーマにした写真、絵画、エッセーなどを,らっくる号車内の広告スペースに展示し運行

 市内を走行するらっくる号9601号 ギャラリー開催の車内吊り広告

絵画の当選者を掲示 小葉松 怜 さん 古野柳太郎氏から「優しさと温もりを運ぶらっくる号」
の題にて乗車体験記を寄せられた
                  (Photo:函館市 中里俊之さん)

     2007年3月27日の開業記念記事と車両仕様

関連ニュース:函舘市電 新LRVtらっくる号 営業運転開始
らっくる号3面図・仕様:日本の最新LRV画像・諸元 函館市交通局 9600形


#472
2008.3.19
3/25 追記

富山市 路面電車環状化計画を国交省認定
      および 市議会に予算案提出


国土交通省は2/28、富山市が計画中の市内電車の環状化計画に当たって、新設予定の大手町ルートの建設については市が軌道を建設保有し、富山地鉄が運行する、いわゆる「上下分離方式」の特例措置を認める「軌道運送高度化計画」を認定した。これは昨年10月に施行された「地域交通活性化法」の適用第1号で、LRTの上下分離方式では全国初の画期的なものである。

計画の概要は:
  • 市は丸の内〜西町間940mに上下分離方式で運営する軌道を新たに設ける
  • LRT新車を3両導入する
  • 区間に国際会議場前・大手モール南・グランドプラザ前(いずれも仮称)の3電停を新設する
  • 建設費は22.3億円 国庫補助は8.35億円 残る14億円は市の負担になるが、95%は地方交付税措置のある合併特例債を利用する
  • ルート案の策定と調査・設計は06年に予算化をして開始していた
  • 完成予定は09年度末。地中埋設物の移設工事に本年度内に着工する予定
  • 6年後の北陸新幹線開通に連動し富山駅再開発を実施する。今回の工期はこの開発に関連し、富山ライトレールと市内線連結事業を想定していることにポイントがある
富山市議会が3/3より開催されたが、森市長は「市民の暮らしに関わる分野の充実を図り、日本海側有数の中核都市として羽ばたくため全力投球をしたい」と述べた。その中核事業として09年度開業をめざす環状化事業および関連事業に13億3200万円の予算を市議会に提出した。

(3/25 追記)
環状化予算案は3/24の市議会にて賛成多数で採決された。


館主感想:
時はあたかも予算提出時期を迎え、全国多数の都市がLRT建設案の発表とか提案を一斉に迎えています。しかしその実現性はまだまだ不確かなものが多いようですが、さすがに富山市の計画だけは地に足が着いたもので、先年来報じられた大手町ルート案も確かなものになりました。これで今回も全国都市のLRT建設の先達としての憧憬をますます確かなものにしました。拍手。