#462
2008.1.30

堺市 阪堺電軌 我孫子道〜浜寺間の公有民営化発表


堺市は海岸地区に進出を決めたシャープ新工場地区への対応として昨年夏既にLRTによる新線大小路ルートと三宝ルートの建設を決めたが、LRT新線の効果を更に上げるため、このほど南北に交差する阪堺電軌阪堺線(大阪難波・恵美須町〜堺市浜寺公園14.1km)のうち我孫子道〜浜寺公園7.9kmを線路と車両の公費にて近代化し、公有民有化を採用して運用する方針を決めたとの市長発表があった。


関連細部について
  • 既定の南海高野線堺東駅〜シャープ新工場間のLRT東西線は一体化で建設したい
  • 阪堺電軌の軌道と電停を改築しLRVを阪堺線から新LRT線に乗り入れにするとLRVの運用効率がより向上する。
  • 堺市にとっては南北線と東西線の連結で市民の足ができることになり、市中心部の活性化になる
  • 堺市の交通核となる軌道路線は市の主唱にて、阪堺電軌路線のうち我孫子駅〜浜寺駅間の専用軌道(阪堺電軌所有)と市公道および電停を市の公費で近代化しLRVが乗り入れ可能の路線にする。
  • 阪堺線の改修費と車両費は約30億円。LRT新線の建設費・車両費は約100億円
  • 市は我孫子〜浜寺間の路線の改装とLRT新線の建設を負担し、運用は阪堺電軌と南海電鉄とで新会社を作り経営する公有民営化方式を採用する方針
  • 市は専用軌道と交通設備を市が所有することにより、固定資産税を免除し、市が無償で借り上げることも検討している
  • 市は南海堺東駅〜南海堺駅までの東西線開業を2010年度中を目標にしている
  • 堺駅〜堺浜までの三宝ルートは用地買収が残り、開業日は未定であるが、延伸も早期着工したいとしている
  • 課題は総額300億円にのぼる事業費の捻出方法
   関連サイト:堺市鉄軌道推進室・東西鉄軌道の実現に向けて
   参考ページ:堺市 LRT東西線案 経営主体・路線案が煮詰まった (07/7/14)

館主所見:
堺浜のシャープ新工場と隣接工場群の建設を悲願とし、熱心に推進していることがいろいろ報道されている。工場ができるとなれば通勤者の足の確保は一体の要件である。市の熱意を見る限り必ずLRT新線の建設は達成され日本で本格的LRT新線開業の快挙の日を見られるだろう。


#461
2008.1.23

横浜市 「横浜の公共交通活性化をめざす会」設立総会と
      フォーラム「横浜の公共交通を考える」
 開催


緊急にご連絡します:
このたび「NPO法人横浜にLRTを走らせる会横浜(担当:松川由実さん)」から連絡があり、下記の会合を開くとのことです。 時間が切迫していますので、もし出席可能の方はそれぞれダイレクトにご連絡を、一般の方はLRT関連の新たな動きとしてご承知下さい。

  

  @「横浜の公共交通活性化をめざす会」設立総会
  Aフォーラム「横浜の公共交通を考える」 開催


@「横浜の公共交通活性化をめざす会」設立総会

LRT推進協議会設立発起人会は、「横浜の公共交通活性化をめざす会」として設立総会を行います。
 関心のある横浜市民の方の参加をお待ちしております。

  ●日時:2008年1月26日(土)午前10時〜11時半
  ●会場:横浜市なか区民活動センター
  ●詳細:http://www.city.yokohama.jp/me/naka/renraku/ncac/

  昨年施行された「地域公共交通活性化及び再生に関する法律」では、市町村が主体となって「協議会」を設置し交通事業者や道路管理者、地域住民などと共に「地域公共交通総合連携計画」を作成し、それを基に軌道運送高度化事業(LRT)や道路運送高度化事業(BRTなど)などを推進することで、国から各種支援が得られる仕組みとなっています。

 そこで発起人会の名称を「横浜の公共交通活性化をめざす会」とし、その活動目的は横浜においてLRTをはじめとした新しい公共交通を実現させるために、行政・事業者・市民が対等の立場で参加できる、法律に基づく「協議会」の設置を市民、各種団体、企業および行政に対して働きかけ、そのための活動を行うこととします。


Aフォーラム「横浜の公共交通を考える」 開催

  ●日時:1月26日(土)午後1時〜4時
  ●会場:関東学院大学関内メディアセンター会議室
  ●詳細: http://univ.kanto-gakuin.ac.jp/modules/media7/index.php?id=7
  ●資料代:500円

《プログラム》
  1.基調講演   
    「LRT実現を支援する施策及び法律について」
         国土交通省街路課企画専門官  神田昌幸氏
    「これからの横浜市の交通政策について」
         横浜市都市整備局企画課課長 山田耕作氏

  2.パネルディスカッション

    関内を愛する会理事長      池田翼氏
    作家                 山崎洋子氏
    国土交通省街路企画専門官  神田昌幸氏
    横浜市都市整備局企画課課長 山田耕作氏
    コメンテーター 
    関東学院大学経済学部教授 安田八十五氏
 


#460
2008.1.18

東広島市 LRT新設構想を発表


広島市の東部30kmに所在する東広島市は、歴史的には「西条 酒の町」であるし、現在は広島大学をはじめ近畿大学、広島国際大学などが所在する学園都市として発展中で、いまも人口著増中の新興都市である。西条駅から広島大学キャンパスまではブールバールと名付けられた大通りが走っている

東広島商工会議所の本年新年互礼会にて会頭は西条駅〜広島大学間ブールバール4.2kmに軌道を引きLRTを走行させる構想を発表した。意図は差し当たりは市民・学生の交通利便性の向上だが、更に、9年後開催目標の宇宙科学博覧会をにらみ、地球環境問題や高齢化に対応した交通システムとしてのLRT構想にあるとの表明があった。


館主所見:
東広島市は市民活動の一環にて
酒蔵ゾーンも他のホームページで紹介したし、LRT構想については07年2月路面電車を考える会の例会にて近畿大学高井教授による東広島市に△型のLRT建設プランを紹介したばかりである。

LRT新設問題は、現況の道路に果たして路線が引けるかの技術問題がたいてい持ち上がる。が、東広島市のブールバードに限っては先年計画的に新設した道路で交通状況も建設は問題ないだろう。課題は費用の捻出と運営損益見通しの方にあるのではないだろうか。


#459
2008.1.11

札幌市 新技術LRT ハイ!トラム・SWIMOの耐寒走行試験


路面電車といえば架線と集電するパンタを備えた電車車体で構成されるのは常識であった。が、昨年は動力源について、長年の常識を破る新技術が奇しくも4案提示された。最初は4月に福井大学によるリチュウム電池LRV開発発表。6月にはJR北海道によるレールと道路の両モードで走れるデュアルモードビークル・DMVの発表。10月は鉄道技研によるリチウム電池で走行するハイブリッド車両Hi-Tramの開発発表と公開。追いかけるように11月には川崎重工によりニッケル水素電池LRTSWIMOが発表されるという性急さである。この勢いは近年の地球環境見直し活動と無関係ではあるまい。

これら新種のうちHi-TramとSWIMOの2車はいずれも昨秋から札幌市において耐寒試験を実施している。これは新動力車両が耐寒性能を備えていることが必須だからである。

寒冷地試験のためHi-Tramは11月に札幌市電車庫に搬入、SWIMOは12月に搬入され、いずれも今年3月まで実地試験される。

札幌市居住宮崎氏の情報によると、試験は平日に1週間交替で平日に行われている由。年末年始は小休止。年初より再会。「双方の試運転の走行ぶりを傍目で見た限りでは、なんら問題なく普通に走行しておりました。しかも試運転ながらも、沿線風景にもう溶け込んでいるようにも感じられました。」

「双方の電池車両ならではの試運転として、パンタグラフを畳んだ状態での走行がありました。
このあたり、このたびの電池車両の鉄道技術妙技のお披露目、、、というところです。
今までパンタグラフを畳んで走行するようなシーンは全国どこでも皆無だったので、架線付近をよく見ると、思わず「おーっ!」と思ってしまいそうです。」

SWIMOは札幌市電が購入の説もあり、新動力車採用・実動が今年の話題になるに違いない。

Hi-Tramの出庫風景 背後にはSWIMOが
     (Photo:札幌LRTの会より)
SWIMO試運転風景 (1/4 中央図書館前)
パンタグラフは畳んで走行している
(1/15写真入替)  (Photo:宮崎氏)


#458
2008.1.5

第9回路面電車サミット in 福井 開催は10/17〜19


前回の路面電車サミットは長崎市において12006年10/20〜22に長崎にて開催された。大会最終日に次回開催地は福井市にて開催引受の表明があった。このほど福井市の路面電車活動団体「ふくい路面電車とまちづくりの会(ROBAの会)」の情報によると、日程等の検討会にて次回開催の大要が下記のように決定された次第。
  • サッミット開催日時:平成20年10月17日(金)・18日(土)・19日(日)の3日間
  • サミット名称:第9回路面電車サミット2008福井大会
  • 主 催:全国路面電車サミット2008福井大会実行委員会
  • 実行委員会所在:〒910−0019
               福井県福井市春山1丁目7番8号 春山清水ビル3階
               FAX:0776−23−3125
               email : roba@mbh.nifty.com
  • (注記) テーマ、場所、ホームページ等はこれから上記実行委員会にて詰めていく
      参考ページ:第8回路面電車サミット2006 in 長崎


#455
2007.12.26

長崎電軌 運転士の視点でカメラ調査


路面電車業界の今年の新実験の一つに11/30より開始されたアイカメラによる運転士の視点調査がある。調査結果は今後の事故の要因分析、事故防止に活用する。

長崎新聞によると、今年5月、路面電車の脱輪事故が発生したことなどを受け、長崎大学工学部環境計画研究室の後藤恵之輔教授が中心になって計画。調査用の車両で通常運行を想定して実施。浦上車庫前、蛍茶屋間の約六キロの区間で、エキストラの乗客を乗せ、新人、ベテランの二人の運転士の視点を調べた。

アイカメラは視界における目の動きを追う装置で、眼上に装着。前方の視界を撮影する画像器具と併用して運転士の視点をデータ化する。交通量の多い場所や交差点、事故の発生しやすい個所、周囲を走る車に対する反応、乗客の乗降時などをポイントに視点の軌道、範囲をチェック。今後、月数回の調査を継続し、各種データを蓄積、分析していく。

後藤教授は「熟練運転手は視野が広く、交差点でも先を見て運転しているのに対し、新人は運転台の手元を見る傾向にある」と説明。長崎電気軌道は「調査はサービス向上も含め、幅広く活用できる。研修会などで役立て、事故防止につなげたい。夜間、雨天時などいろんな想定で調べ、いかに危険を察知、回避するかを考えていきたい」と意見を表明している。
ヘッドセットアイカメラによる運転士視点調査
              (Photo:長崎新聞)


#454
2007.12.17

高知市 路面電車混空情報提供社会実験のその後


今年の気になる活動として、本年5月に高知工科大学総合研究所地域ITS研究センター、日本大学理工学部、国土交通省および土佐電鉄が共同し、路面電車の混雑度自動表示情報を提供して、路面電車混雑時の乗客数の平準化を図るというユニークな社会実験があった。その「混雑情報はどの程度掴めるものか? 評価は? 今後の活動は?」について実験者:高知工科大学松本修一氏から情報を得たのでお伝えしたい。

07年5月の実験の様子
混空度情報板を設置した中心部 県立図書館通電停

              掲載ニュース:高知市 混空情報提供の社会実験 (07/6/11)


その後情報です
社会実験のまとめ
  • 利用者行動に変化を見ることができた。
     先発電車と後発電車の混空率差が20%の場合と 次発が混雑している場合に見送り客が減少した。
  • 混空情報をニーズの高さを把握できた。
     8割の利用者が混空情報を参考にしており、半数の利用者が実際に乗車変更した。

見送り客数の変化

◎次発の方が混んでいる場合       ◎見送り客が減少
◎混空率が20%差の場合

利用者の行動変化
●実験前の行動 ●実験中の行動
  1. 列車を見送った経験がある
  2. 6割の人が見送った経験があり、7割は見送ったことを後悔していた
  1. 情報板を参考にしたか、乗車変更をした頻度
  2. 8割の人が情報板を参考にした
  3. 半数が乗車変更をした
  4. (参考にしない理由)
    通勤時間帯のため、1本でも早く目的地に着きたい人が多い

社会実験の今後 (高知工科大 松本修一氏談)
昨年度の混空情報社会実験では、システムを作るのに費用が非常にかかったため、土佐電気鉄道殿が全ての電車に乗降センサーが着いていることに着目し、そのデータを分解析し、天気予報のようなイメージで統計データを用い「混雑予報」として情報提供を行う予定です。

精度など今後の課題となるものも多いですが、道路の混雑予報などがあるのなら、公共交通でも適応可能ではないかと思い、まずは打ち出しました。これから3年かけて内容や精度を向上して行こうと思っています。

社会実験の詳細と今後の問い合わせ先
   高知工科大学総合研究所 地域ITS社会研究センター


#453
2007.12.8

東大生産技術研究所 千葉市にLRT試験軌道を新設


東京大学生産技術研究所千葉実験所構内にLRT試験用の軌道が完成し、このほど開通式を迎えた。実物大の試験線を大学が設置するのは国内では初めて。試験線はLRTだけではなく、情報通信技術を用いて道路交通と合わせた高度道路交通システム(ITS)の実験にも使用する。試験線は全長約100m。巾は標準軌(1435mm)。半径48mの急カーブがあるのは如何にもLRT指向。

開通式には9月まで京阪電鉄で使用されていた台車部分を使用して試験軌道を走らせた。

実験所長である須田義大研究室では、今後、独自開発した台車や車両による試験をめざす。同時に実験所内に設置された交通信号などと連携し、LRTと既存の自動車交通への影響や渋滞解消技術の実験を行う。
千葉実験所はJR西千葉駅に近く、千葉大学に隣接。
東大技研千葉実験場に敷設されたLRT試験軌道 (産経ビジネス)

関連サイト:東京大学生産技術研究所千葉実験所ホームページ


館主感想:
日本の交通工学開発の最先端は長い間、新幹線とか磁気浮上など如何にもそれらしいものでした。ここに来て東大の研究所までも近代化路面電車と名付けられたLRTの開発に力を入れるとは、時代の変化を感じます。ガソリンが150円超・・200円超もありうる21世紀においては、LRTは市民の重要な足となるでしょう。関連する都市の交通トラフィックの総合的管理も走行機材の劣らぬ重要な開発課題です。