2007.5.12

館主よりお詫び:
2006年10月20日〜22日に長崎市に路面電車サミットは無事行われました。館主も出席し速報は致しましたが、全体についての総括報告掲載を失念していました。
遅れてしまいましたが改めて、行事内容・会場の様子・大会宣言等の総括報告を当館資料および実行委員会資料よりピックアップしてご報告します。

尚、第1回から第7回までのサミット報告も当ページ最下段にあるINDEXからリンクしていますので、参考にしてください。


日 時・場 所 時   間 内    容
1日目
10月20日(金)
 

 ホテルニュー長崎
13:00〜18:00 午後 受付
 1.開会式典
 2.基調講演:「都市交通基盤としての路面電車」
     縄田 正氏
    (国土交通省 道路局 企画課 道路経済調査室長)
 3.パネルディスカッション:
  パネリスト
    「長崎における路面電車の現状と課題」
  ・長崎市都市計画部 部長 椎木 恭二氏
  ・北海道大学大学院経済学研究科 教授 吉見 宏氏
  ・長崎電気軌道株式会社 代表取締役社長 佐藤 龍太郎氏
  ・長崎大学環境科学部環境政策コース 石川 恵理子氏
  コーディネーター
  
・長崎商工会議所交通システム研究会 副委員長 鉄川 進氏
   
 4.路面電車愛好支援団体報告
 5.路面電車愛好支援団体協議会総会
  
   夜:歓迎レセプション (18:30〜20:00)
2日目
10月21日(土)

 市内・浦上車庫

10:00〜11:30
浦上車庫見学会
終了後3000形試乗会(無料・申込み制) 
浦上車庫前→長崎駅前
保存車両電車パレード(168←601←701←1051←151の順に走行)
 
 NCC&スタジオ
13:00〜17:00

午後 
 1.基調講演:「LRTの整備について 〜LRTをどう活かすか〜」
    梅田 春実 氏 ((社)日本旅行業協会理事長・前鉄道局長)
 2.全国路面軌道連絡協議会報告
   ・「富山ライトレールについて」
      笠原 勤 氏 (富山市助役)
   ・「全国路面軌道連絡協議会の現状について」
      中尾 正俊 氏 全国路面軌道連絡協議会専務理事
            (広島電鉄(株)電車カンパニープレジデント)

 3.フォーラム:「公共交通の連携と街づくり」
 パネリスト
  ・長崎県地域振興部 政策監 多門 勝良氏
  ・社団法人日本青年会議所九州地区 
   長崎ブロック協議会会長 藤岡 秀則氏
  ・長崎電気軌道株式会社 代表取締役専務 古場 登喜男氏
  ・さいかい交通株式会社 代表取締役社長 永井 和久氏
  司会
  ・ザ・ながさき 主幹 川良 真理

 4.サミット宣言および閉会式典
3日目 10月22日(日)

  長崎市内
10:00〜16:00  長崎市内 スタンプラリー (一部有料)
特別展 1020()22() 長崎西洋館にて路面電車写真展開催


冒頭のパネルディスカッション
「長崎における路面電車の現状と課題」
各地愛好支援団体報告ではご存じ豊橋の伊奈さんが最近制作の活動支援グッズの実物を紹介

休憩時間は例により電車グッズの即売会
左に並んだ赤色の日本路面電車同好会制作:路面電車ハンドブック'06版はよく売れていた
初日の夜はお楽しみの懇親会
長崎さるく(歩くの訛)に呼応した地元の踊り子チームによる余興からまずオープニングだ

長崎電軌の168号サミット開催号のデモ運転に出くわした。この写真に見られるように次々と電車は連続し走行していて、しかもだいたい満員。これなら100円電車も成立つかと変に得心。
  本線大波止電停にて

浜口町電停に隣接した長崎西洋館階下がトンネルで電車が潜って走る不思議な光景を発見した。
期間中ここで大会に合わせた電車展が開かれ、長崎電軌の歴史、先進国LRT写真等の展示がされていた。ここは芝生軌道になっている。
久しぶりに長崎に来て目に付き驚いたのは長い本線がセンターポール化されていたこと。話によると、南北に長い国道の改造事業に1997年に着手した。その事業に組み込まれたのが浜口町から大波止に至る約3kmの無電柱化とセンターポール化で、昨年完成したとのこと。先進的施設を誇る広島市でもセンターポールはまだ一部である。 長崎電軌と国交省・県・市との長期間の努力の成果であろうが羨ましかった。脱帽。

サミットでの発言をメモの中から: 
(2日間に渡る多数の発表・発言の中から館主の心を捉えたものを紹介します)
  • 道路の利用度を更に上げる観点からは路面電車は道路高次利用のひとつ
  • 外国と日本の都市を比べるとLRTがどんどん採り入れられている点が大差
  • 今後も運輸道路の一体的整備・応援で道路を生かそう
  • 長崎でワンコイン(100円)が続いているのは昔バスと競争した時代に値上げをすると客が逃げたという苦い経験から
  • もうひとつ。ここ長崎市は南北に長い谷間という天与の地形が電車に寄与。
  • 車道に比べLRTは歩道が不用の分だけ道路占有が減る
  • LRTは都市の水平移動の道具と認識すべき
  • LRTの価値を認識しないで敷設にまず反対するのは商店街と商工会議所である
  • 市民の応援があれば市も応援できるし、税金も出せる
  • 長崎は新幹線新設にがんばっている。路面電車は新幹線同様に都市の顔である
  • 長崎電軌では車両ステップの改造や電停ホームの嵩上げ、歩道橋の廃止などバリヤフリー化でがんばっている
  • 長崎市地区では人口の1割が路面電車に乗っている
  • 長崎市の商工会議所会頭は平日はタクシーに乗るが、休日には必ず電車を利用している
  • 地方都市での地下鉄・新交通の建設と維持はムリで、むしろ高機能なLRTを選択する方が得策であることが次第に明らかになってきた
  • 「路面電車を経営する会社は他の営利経営を兼業するから公の補助は要らない」という意見もあるが、これはおかしい。公営路面電車と私営路面電車は平等に考えて応援すべき。
  • 広島電鉄のmaxはブレーキだけが国産化されていない。万葉線脱線もドイツ製ブレーキの修理に時間が掛かった。次はぜひ純国産のブレーキを開発したい
  • JRの技研が中心でバッテリートラムを開発中。バッテリーの収納スペースが課題になるが、幸いLRVはスペースが充分取れそうで可能性は大と信じる
  • 法律の改善も進み路盤も公敷設になる。軌道法も上下分離が適用されLRT敷設が年々やりやすくなっている
  • 新線計画をお金がないからダメ、赤字だから止めるは無責任。総意で街づくりを図ろう。“お金が無いのではない。熱意がないからだ。知恵は出るものだ”


路面電車サミット宣言
われわれ 路面電車に関わる日本各地の愛好支援団体、運営事業体、ならびに行政関係者は 特色ある歴史と文化の街ここ長崎において 第8回全国路面電車サミットを開催し 熱心な討議を重ねた結果 ここに以下の通り宣言を行なう
一、 われわれは、路面電車をはじめとする公共交通のネットワークが、都市における人の流れの動脈であり、必要不可欠な社会基盤であるとの立場をより明確にするための支援活動を行なう。

一、 われわれは、路面電車をはじめとする公共交通のネットワークが、都市における人の流れの動脈であり、必要不可欠な社会基盤であるとの立場をより明確にするための支援活動を行なう
一、 われわれは、全国に共通する、または各地域に固有の路面電車に関わる現状と課題をより深く認識し、互いに協力して知恵を出し合うことによって課題の解決を目指す。
一、 われわれは、新しい公共交通のシステムであるLRTが、将来においてさらに活用されるべき公共交通機関の一つであると認め、先進地の事例を参考にしつつ、その実現を目指す。
一、 われわれは、公共交通のさらなる充実と利便性向上こそが、地域社会の発展に寄与するための重要な手段であるとの認識の上で、相互の連携によってまちづくりに活用されるべく建設的提言を行なう。
一、 われわれは、少子・高齢化や、都市圏の拡大などにともなう、過度の自動車に依存した社会構造から、広く地球環境にも配慮した持続可能性の高い社会へと転換するために、交通問題のスペシャリストとしての立場から、ソフト・ハードの両面に関わる具体的な行動を起こす。

さらに願わくは 鎖国が行なわれていた江戸時代 長崎に集められた世界中の知的財産の結晶が やがて新しい時代を切り拓く原動力となった様に 英知と勇気と情熱をもって ふるさとの理想とする未来を 築き上げたいものである

平成18年10月21日
全国路面電車愛好支援団体協議会
全国路面軌道連絡協議会
第8回全国路面電車サミット長崎大会 実行委員会


次回の路面電車サミット引受都市: 福井市  08/10/17・18・19 (08/1決定)

参考サイト:長崎サミット実行委員会ホームページ


路面電車サミットは第1回の1995年に始めて札幌市で開かれて以来、2007年に福井市で第9回が開かれました。このINDEXはこれまで各地で開催されたサミットの記録集です
なお、第10回は富山市が引き受けることに決まりました。日時は未定。