#498 2008.8.20

東京都 研究会 「満員電車がなくなる日 
           障壁と異論・反論・討論」


館主序:
当今全国で最も活発なLRT研究・発表を行っているのはライトレール社の企画行事交通ビジネス塾でしょう。8月21日に8月例会を企画したのですが、もう9月例会の案内です。(株)ライトレール阿部等氏による『満員電車がなくなる日』では、運行・運賃・制度の3つの鉄道イノベーションにより満員電車を解消する方策を提案しました。工学院大学・朝日カレッジの連続講座第5回までで解説した各論を受け、今回は提案内容に対する障壁・異論・反論に関する会場+3人のパネラーによる自由討論です。今回は会場が若干広いので参加者を多く募集しています。

  

 「満員電車がなくなる日 障壁と異論・反論・討論」


●日 時:2008年9月2日(火) 18:30〜

●場 所:工学院大学新宿キャンパス
       


●講 師:  阿部 等(あべ・ひとし)氏
  (株)ライトレール代表取締役社長
       1961年生まれ、東京大学工学部都市工学科卒業
       JR東日本に17年間勤務して鉄道の実務と研究開発に従事
       交通問題の解決をミッションに(株)ライトレールを起業
       交通や鉄道に関わるコンサルティング・研究開発に従事

  曽根 悟(そね・さとる)氏
       工学院大学エクステンションセンター顧問・客員教授、東京大学名誉教授
       1939年生まれ、東京大学工学部電気工学科卒業
       東京大学 講師、助教授、教授、工学院大学教授、
       エクステンションセンター長を経て現職
       同大学を日本の電気鉄道研究の一中心に育てた
       日本鉄道技術協会副会長、JR西日本社外取締役、北京交通大学客員教授

  高木 亮(たかぎ・りょう)氏
       工学院大学工学部電気システム工学科准教授
       1967年生まれ、東京大学工学部電気工学科卒業
       東京大学 交通システム工学寄付講座助手、東京電力(株) 電力技術研究所
       英国・バーミンガム大学鉄道研究センター リサーチフェローの後に現職
       専門は電気鉄道システム工学

        
●プログラム:
  • 18:30〜18:50 『満員電車がなくなる日』の概略説明
  • 18:50〜20:00 自由討論
●参加対象者:職業として交通に関わっているまたはそれを希望している方、
           今回に限り、満員電車の解消に興味のある方も

●参加費: 社会人3,000円、学生1,000円(工学院大学・朝日カレッジ参加者は除く)

●申込先:info@LRT.co.jp

●共催者:工学院大学・朝日カレッジ

●主催者ホームページ: (株)ライトレール
          (代表者:阿部 等 『満員電車がなくなる日』角川SSC新書 著者)



#497
2008.8.15

函館市電 市電内でユニバーサル映画上映会 


函館市交通局は8/7、「第3回北海道ユニバーサル上映映画祭」(9月北斗市)の協賛企画として、「市電シネマ」の運行を、新鋭の超低床電車「らっくる号」を使って実施した。

ユニバーサル上映方式とは通常の映画に字幕や音声解説などを付加し、障害者でも映画鑑賞ができるようにしたり、子ども連れのお母さんのために会場に託児所も開設するなど、すべての人が障害無く、一緒に映画を楽しめるよう配慮された上映方式とのことを指す。

車椅子の人も含めた18人が乗車し、駒場車庫から谷地頭、どっく前を経て、車庫に戻るまでの約2時間を利用して、宮沢賢治の名作「銀河鉄道の夜」(アニメ版)を鑑賞。映像は普段、運賃表示などに使用されている運転台背後の液晶モニターに映し出された。

                    (Photoも:函館市 中里さん)

各都市路面電車の夏の企画定番はビール電車であるが、函館市のこの企画は公共交通のユニバーサル思想のPRに打ってつけの好企画と思われる。拍手したい。



#496 2008.8.11

東京都 研究会 「新しい都市交通システム開発のあゆみ」
           「快適通勤実現のための一手法」


館主序:
(株)ライトレールの8月交通ビジネス塾です。今回は交通研の松本陽先生(館主もLRT国際WORKSHOP'97で教わった)の講義です。今回の内容とは、先生がこの道に入られた頃はモノレールが実用化された頃であったが、その後リニアモータ駆動小型地下鉄(リニアメトロ)、常電導浮上式都市交通システム(リニモ)、磁気誘導式鉄道(IMTS、無人運転バス)など、各種の交通システムの実用化と技術評価に携わられてきました。新しい都市交通システムであるライトレール=LRTについても、早くからその有用性に注目し国際ワークショップを主催するなど、その導入促進に力を尽くされました。今回は技術の伝承の意義にてこれらの体験談をお話しされるようです。

  

  「新しい都市交通システム開発のあゆみ」
   「
快適通勤実現のための一手法」


●日 時:2008年8月21日(木) 18:40〜

●場 所:豊島区立勤労福祉会館 4階 第3会議室
       
会場案内→http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/

●講 師: 松本 陽(まつもと・あきら)氏 ((独)交通安全環境研究所 名誉研究員)
                            (航空・鉄道事故調査委員会委員)
        
講師紹介:
1949(昭和24)年、東京都生まれ
1972年 横浜国立大学 工学部機械工学科卒業
1972年 運輸省 交通安全公害研究所 入所
1987年 同 鉄道技術・評価研究室長
2001年 独立行政法人 交通安全環境研究所に改組
2007年10月 主幹研究員(交通システム研究領域長)を最後に同所を退職し
         名誉研究員に
  研究所での35.5年間に従事した研究・試験・調査
  ○新しい交通システムの安全性評価及び実用化に関する研究及び試験
   ・新交通システム、リニアメトロ、リニモ、IMTS、LRT、フリーゲージトレインなど
   ・J-Railの創設、LRT国際ワークショップの主催など国際交流・学会活動
  ○鉄道の安全性評価及び向上に関する研究
   ・無人自動運転、運行管理、速度向上、新しい脱線係数測定方法
  ○急曲線通過性能と安全性向上に関する研究(次世代都市鉄道用台車の研究)
   ・曲線通過実験ができる台車試験機、曲直両用新円弧踏面、ボギー角アクティブ
    操舵台車
  ○車輪・レール系に関する研究
   ・波状摩耗の防止対策、摩擦調整
  ○重大鉄道事故の原因調査
  2007年10月 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会委員(常勤)に就任
  日本機械学会フェロー、日本工学アカデミー・電気学会・日本鉄道技術協会等の会員

●プログラム:
  • 講義
  • 参加者の自己紹介
  • 講義のまとめ+フリーディスカッション
  • 懇親会(同会場にて希望者のみ)
●参加対象者:職業として交通に関わっているまたはそれを希望している方、20名 

●参加費:
社会人3,000円、学生1,000円

●申込先:info@LRT.co.jp

●主催者ホームページ: (株)ライトレール
          (代表者:阿部 等 『満員電車がなくなる日』角川SSC新書 著者)



#495 2008.8.2
(8/5)諸元・論文追記

近畿車輛 米よりLRV48編成・310億円を受注


近畿車輛はアメリカ、テキサス州・ダラス交通局から3両編成のLRV 48編成・144両の受注が内定したと発表した。受注総額は約310億円。出荷は2009年後半から2010年中頃にかけて納車する。 車体と台車を東大阪市の本社工場で生産し、米子会社に輸出し、米子会社では電氣品・ブレーキなど主要機器・部品を米国内で調達して車両に組み立てる。 

車両は「未来的」をコンセプトに、アメリカの環境や国民性を折り込んだデザインにした。ダラス中心街と郊外を結ぶ幹線を、最高速度65マイル(105km/h)で走る高性能電車となる。
(8/5追記) 諸元
  定員(座席)  76人
  重  量   49.9t
  電気方式  DC750V
  車体長   27.73m
  車体幅    2.69m
  車体高    3.53m
(8/5追記) ヨーロッパのLRVとアメリカのLRVとの考え方違いについて
       参考になる論文が、該社HPにありましたのでご紹介します

論文のサイト:近畿車輛(株)片岡照夫氏 「アメリカにおける低床LRV」

近畿車輛は既にダラス交通運輸公社・DARTから多量の車体受注を得て納入中ですので、今回の受注はその延長線かと思います。然し注目すべきはアメリカのLRTプランが大規模なことと、当今のガソリン高騰が契機になってLRT案の支持が更に増大しているという社会現象が起きているのではないでしょうか?



#494 2008.7.27

川崎重工 次世代LRV・SWIMOのニューデザイン


全国LRTファン注目の川崎重工製ニッケル水素電池式LRT・SWIMOはこの冬札幌市電を利用しての耐寒走行テストを無事にクリアーしたようであった。その後情報であるが、このほど青と白を基調にして丸みを帯びた新デザインを発表した。今年試験をした札幌市電は1067mmの狭軌で電圧も600V。こんどは世界に多く使われている1435mmの標準軌道にして2台目の実験車両を来年度中に製作し発表する。
2台目SWIMOの
新模型

(神戸新聞より)

 参考ページ:札幌市 新LRTSWIMOの耐寒走行試験  (08/1/11)
        川崎重工 電池駆動LRV・SWIMO 3面図と解説 (08/2/29)
             



#492 2008.7.16

広島市 ガソリンの高騰と公共交通乗車率との相関


5月に当館では米国ではガソリン価格の高騰のため、通勤手段がマイカーから公共交通、路面電車への転換が計られているとの情報を掲載したが、わが国でも広島市での実績が始めて明らかになった。

広島市は三方を山により、南を海に囲まれたデルタに発達した都市で、広島都市圏からの市中への交通は集中化してしまい、渋滞を招きやすい特異性がある。

広島県警によると、広島市有数の渋滞地として、市北部からの流入地点/東区牛田新町の祇園新道、市西部からの流入地点/西区高須の西広島バイパス、市東部からの流入地点/海田町の大正交差点の車の通過台数は、3月以降いずれも減少傾向を示した。最も下落が大きい6月は、大正交差点5.9%減、祇園新道4.6%減、西広島バイパス3.1%減といずれも大幅に減った。
中国新聞
ニュースより
その異変はラッシュ時の乗用車の交通量が減り、バスの流れも以前よりスムーズ。逆に路面電車の乗客は増えた。通勤や買い物のマイカー離れが進んでいる。

広島電鉄が市中心部や宮島線廿日市市方面で運行する電車の乗客は、1〜5月が2422万人と前年同期比3.3%増。ここ数年、新型車両導入などで1%前後増えていたが、それを上回った。

西区の宮島街道を通り中区中心部に向かうバスはJR西広島駅に到着時、最大5分の遅れが常態化していたが、6月ごろから定刻通りに着く便が増えた。

    参考ページ:米国 ガソリンの高騰と路面電車乗客数の相関 (08/5/14)

ガソリン価格高騰と路面電車乗客数増の相関は、まだまだ序の口ではないかと思います。もっと時間が経過すると相関性はより顕著になるのではないでしょうか?



#491 2008.7.9

東京都 研究会 「ソウルの地から
        わが国の軌道系交通を考える」


館主序:
(株)ライトレールでは交通ビジネス塾を開いており、今回は第17回目開催の情報です。この塾は交通関係者、大学教員、従事希望者を対象にした特殊な講座のようです。今回も参加可能者は上記の条件を満たす20人限定の会合ですけど、国内には、こういった真摯な交通研究会もあることをご紹介します。今回もユニークな内容です。

  

  「都市交通の話題とグランドデザイン、私見」
 −
ソウルの地から我が国の軌道系交通を考える−


●日 時:2008年7月17日(木) 18:40〜

●場 所:豊島区立勤労福祉会館 4階 美術室
       
会場案内→http://www.toshima-mirai.jp/center/e_kinrou/

●講 師: 藤田崇義(ふじた・たかよし)氏 (ソウル大学環境大学院 博士課程)
        
講師紹介:韓国大統領の李明博(イミョンパク)氏が前職のソウル市長の時に、都心部の高架道路を撤去し、その下の清渓川(チョンゲチョン)を復元する事業と、BRT(Bus RapidTransit、高機能なバス交通システム)を実現しました。藤田氏は、その実現のブレイン役となったソウル市政開発研究院に研究員として勤務し、その間近に触れた経験をお持ちです。交通ビジネス塾の講師もお務め下さることになりました。

●プログラム:
  • 講義
  • 参加者の自己紹介
  • 講義のまとめ+フリーディスカッション
  • 懇親会(同会場にて希望者のみ)
●参加対象者:職業として交通に関わっているまたはそれを希望している方、20名 

●参加費:
社会人3,000円、学生1,000円

●申込先:info@LRT.co.jp

●主催者ホームページ: (株)ライトレール
          (代表者:阿部 等 『満員電車がなくなる日』角川SSC新書 著者)



#490
2008.7.4

函館市電 「らっくる号」 開港150周年記念事業をPR 


函館市交通局は6/20から、2両連結の超低床電車「らっくる号」の車体に、来年の函館開港150周年記念事業の公式シンボルマークなどを載せ、同事業のPRを始めた。装飾は来年12月ごろまで続け、記念すべき年を広く市民に周知することにした。

車体に掲示しているのは、1メートル四方のシンボルマークのほか、同事業のコンセプト「再・開港 はこだて2009―Re:start HAKODATE未来(あした)へ―」、海を連想させるカモメのイラストなど。   (函館新聞)

                    (Photo:函館市 中里さん)

館主感想:
昨年3月函舘市電は新鋭連接車らっくる号を導入しました。妙な意見ですけど、広電などを観察しても、新車には塗装を覆おう広告・PRのペイントは極力実施しないよう努めます。今回の函館市交通局のアイデアは新鋭電車のお披露目と市の開港150周年行事との両方のPRを兼ねて、車体屋根部のみに幕式PR文を画くとは秀逸でした。


 
参考ページ:函舘市電 新LRVらっくる号 営業運転開始 (07/3)



#489
2008.6.27

東京池袋 豊島区がLRT新ルート案を発表


6月14日東京メトロの副都心線(池袋−新宿−渋谷)8.9Kmが開通した。いままで池袋から西の東武東上線と西武池袋線の乗客は池袋駅にてJRに乗り換えて新宿・渋谷へ行くしかなかった。が、このたびの副都心線開業により、両線の乗客は乗換無しに新宿・渋谷に直行で行ける訳で一層速く、便利になった。

しかしこの便利さはワンストップ乗客に支えられた池袋地区にとって、今後は池袋が単なる通過駅になってしまい、商業的に大きなマイナスの発生が懸念されることになる。

そこで豊島区は6/10池袋副都心・グランドビジョン2008なるまちづくり構想を発表した。その目玉は都内初のLRT建設構想だ。地上の乗り物の利便性で人々を引きつける構想である。

構想のあらましは
  • 2005年2月に発表した池袋副都心再生中間プランのLRT3新線建設案は破棄
  • 池袋東口を中心にサンシャインシティを巡る環状線を建設に変更
  • 造幣局周辺の敷地にLRT車両基地を建設
  • 都電荒川線との相互乗り入れも想定
  • 造幣局周辺に大きな駐車場を作り、池袋駅周辺を歩行者優先ゾーンにする
  • 本構想を5年以内に実現を目標にする

副都心線を池袋駅から西進建設し有楽町線に合体。東武東上線は
和光市駅から副都心線に乗入れする。西武有楽町線は小竹向原駅
にて副都心線に乗り入れて新池袋駅に至る。ここからは副都心線に。

         参考ページ: 05/2年のLRT新設3路線案

館主感想:
鉄軌道の新設は長期に渡り関係する街々の盛衰に密接する。池袋地区の今回の危惧は判らぬでもないが、思い切った構想で街の革新を計ることが今後の盛運を決するであろう。21世紀はLRTの時代。 LRT新線案も一致共同して短期の実現が計られることになろう。