#390
2006.11.19

岡山市 岡山電軌とバス共通ICカード発行 その後情報


東京都の世田谷線が路面電車初のICカードによる回数券せたまるの発行に切り替えたのが2002年7月。その後西日本では伊予鉄のい〜カード、鹿児島市電のRapicaで既に切り替えている。このたび岡山電鉄とバス会社3社がデポジット式のICカードハレカを10月1日に実施した。

路面電車のICカード発行はこれから長崎電鉄は2007年度末から08年度中に切替を検討しており、当館地元では広島電鉄が08年1月の導入を発表したところ。関心の深い岡山ICカードの調査結果をご報告。

ICカードハレカのデザインと右は岡山電軌の発行記念カード

岡山方式の特徴:
  • 名称はハレカ (Hareca) 由来:「晴れの国おかやま」にちなむ
  • プリペイドカード方式ICカード (事前に代金を払ってカードを購入)
    情報量は磁気方式の10倍以上で書き足しできる
  • 価格は2,000円 内500円がデポジット(預かり金)
    残り1,500円+プレミア8%の計1,620円分が運賃支払いに使用できる
    窓口で積み増しできるのは1,000円単位で20,000円まで
    電車内やバス内では1,000円単位のチャージ(積み増し)ができる※
  • 乗換時30分以内は割引制度あり
  • 参加は岡山電軌(電車全線とバスの一部)、両備バス、下電バスの3社 残り2社は来年度中に加盟予定
  • 路線範囲は岡山、倉敷、玉野市の主要55路線で全体の60%を今回実施 全面実施は07年秋の予定
  • 使用開始:2006年10月1日より
  • 中国地方では初の実施
  • 総事業費:4億6000万円 (負担は国、岡山市と事業者)
    国の補助金は17年度1億円、18年度5,000万円、19年度4,000万円、 計1億9,000万円)
  • 全体計画としては「公共交通機関の利用促進を目指す岡山市のオムニバスタウン計画」の一環
  • 推進主体:バス事業協同組合
  • JR西日本のICカードイコカが相互利用できる (但し、イコカは岡山地区では現在読み取り器が未設置なので、今はイコカカードをハレカ読取器で使用できる段階)
  • 発足時の記者会見情報
    ・最大メリットは時間短縮を期待 他に磁気カードのようなカードの使い捨てが発生しないこと サービス拡大能力 便利さからの乗客拡大など
    ・ハレカでの買い物利用は難しいが今後の検討課題
    ・利用率目標は50%
  • 発足してからの様子
    ・実施の初期故障は殆ど無かった
    ・まだ利用率は数%で解析はこれから
    ・割引率がハレカは8%に対し従来の磁気は10%ないとの苦情を聞いた
    ・磁気カードが全部ICカードに変わる時期は読めない

館主追記:
広島都市圏では今の磁気カードは収容情報量、償却終了等からこの方式の切替が唱えられています。当会でも勉強をしています。今回の岡山事例調査もその一部です。他都市でも参考と刺激になれば幸い。

  参考ページ:講演録23 「ICカードの導入による今後の可能性」
    〃    :講演録29 「スルッとKANSAI PiTaPaの情報」

たまたま昨日は広島電鉄が08年1月を目標に路面電車とバスの一部でICカードを採用するとの新聞記事が出ました。これにも詳細を当たって順次掲載しますが、まずは実行速度が肝要でしょう。


#389
2006.11.14

京都市 「今出川通りLRT社会実験」今電会が応援勉強会


京都市では昨年9月に京都市自体が壮大な「京都市LRT路線網の検討報告書」を発表した。このたび京都市はLRTの走行を想定した社会実験を今出川通(北野白梅町〜出町間4.1km)を候補として実施すると発表した。

実験は今出川通を走る今出川線で、1月24日の午前10時から3時間行い、10分間に1本程度の間隔で「仮想LRT」バスを走らせる。専用レーンを道路中央に設け、このうち車道の幅が約16メートルある北野白梅町―千本今出川間(1.1キロメートル)は複線区間とし、車道の幅が狭い残りの3.0キロメートルは単線区間とする。

実験区間には4カ所の停留所を設け、市民から募集するモニター約300人に実際に乗り降りを体験してもらう計画。単線区間となる烏丸今出川の交差点では、すべての信号を赤にして交差点内で往復の車両が行き違う実験も実施する。

2005/9発表に発表された京都市作成LRT検討案

                              (京都新聞より)

今出川通りに路面電車を走らせる会実行委員会 第45回今電会

 「今出川通りにおける社会実験」に参加へ勉強会  


館主よりご紹介:
「第1回社会実験の対象が今出川通りになったのは今電会の熱心な活動も貢献しているかも」と勝手に想像し、同会の活動振りをご紹介したいと思います。こんどの集まりは同会の勉強会ですが第45回の勉強会と聞くだけで熱心さに頭が下がります。 いろいろ困難条件もあるに違いないが、いつか京都市第1号LRTが今出川線で実現するの日を見たいものです。

日時:11月21日(火) 午後7:00〜8:30
 

●場 所:今出川通に路面電車を走らせる実行委員会 事務所 
          上京区千本通り一条上ル西側
         西陣千本商店街振興組合事務所内 TEL464−0005
         市バス千本中立売下車 北へ・市バス千本今出川下車南へ
             
●報告1:第一回「今出川通りの交通まちづくりとLRT協議会」の報告
                 

●報告2:"今出川通りにおけるLRT社会交通社会実験”についての説明と
       『今電会』としての参加の仕方中枢都市の都心活性化とLRT化

                
               参考サイト:今電会ニュース
      
               関連ニュース:京都市 LRT路線網の検討報告書を発表   


#388  06.11.6

浜松市 LRT提案を市民フォーラムにて実現化を推進


浜松市環境フォーラムでは2004年に浜松市都市圏のLRT路線構想を骨子とした「新交通システム導入についての提案」を浜松市に提案し、翌5年5月には「新交通システム導入に関する要望書」を浜松市長および浜松市市会議長に提出してきた。その結果市町村合併に伴う新市建設構想に「LRTなどの新交通システムの導入検討」が盛り込まれた。

直近の活動としては計画路線ごとに会場を設け、沿線住民や企業に対し、下記の構想案を基に説明と討議の活動を拡げ、導入を支援する市民の輪を広げてゆく。具体的には11月4日より12月7日までの期間内に全体計画と7路線別に15ヶ所の会場にてそれぞれ会合を実施し実現に向けての合意形成を推進する。

浜松LRT路線構想改訂版  2003年10月のものに船明ダム線追加ほか追加修正あり

都心部交通体系図 2003年10月案を基礎とし一部改訂されている
 都心の最大の顧客は郊外の住民。都心全体を巨大なショッピングセンターと位置づけ、歩く湖尾tを基本にベンチやポケットパーク、公共トイレ等を整備し、誰もが都心の隅々まで自由に移動できるようにし、都心全体の発展と消費拡大を促進する。

            主催者サイト:浜松市都市環境フォーラム 
                       代表者:内田宏康

浜松市は合併を続け今や人口80万人に達し、来年4月に政令指定都市へ移行は確定とか。この目標下では各地域を結束できるツールとしてLRTネットの実現が好個の手段と見られているのかも知れません。 ともかく今がLRTネット実現推進のベストチャンスであろうと推察されます。


#387  06.11.1

墨田区の新東京タワー(すみだタワー)案とLRT


日本のテレビ放送開始は1953年東京NHKであるが、民放を含めて普及の象徴となったのは1958年に竣工した東京タワーではなかろうか。以来東京タワーは東京のシンボルとして認識され多くの見学者を招き、先日の報道では東京タワーの累積見学者が1億5000万人を突破したと報じられた。

最近のTV業界は地上デジタル放送化への技術革新時期を迎え、更に強力な電波塔を造る機運が出てきたようである。現在新東京タワー建設の名乗りを上げたのは足立区新東京タワー案、さいたまタワー案、すみだタワー案、台東ワールドタワー案、豊島区新東京タワー案などと多士済々である。東京では区単位、他にさいたま市案のように、行政サイズの点では区ぐらいにとって適当な投資対象になり、かつ長く区のシンボルと親しまれて収入も期待されるという利点から多数の立案が出たのであろうか。

このうちすみだタワー案はタワー建設に加えまちづくり、更にLRTの新設までもセットにした案で興味を引いたのでご紹介しよう。但し今回の情報の焦点はタワーの方で、LRT案の方はまだまだ不透明状態である。
LRTの役割は区民の足のほかに、集客・区内移動と販促に便宜の意義があると思うのだが。

すみだタワー建設時の想像図       (Photo:墨田区ホームページより)

すみだタワーの建設予定地は東武伊勢佐木線業平橋駅、都営浅草線・京成押上線押上、半蔵門線押上の3駅に囲まれた敷地を改修して使用する想定。
東京都心は地下鉄ネットが密だが、墨田区に入ると軌道系は疎になる点に注目。

電波塔3塔比較図     (制作:館主)
参考までに、すみだタワーと比較できる電波塔として、東京タワーおよびエッフェル塔(上部は放送アンテナ設置)を比較してみた。確かに高さは倍近くになり、これなら直感的には視聴エリアは4倍になって関東一円はゆうゆう対象区域になり他地方へもOKと想像したが、ある検討資料によるとどうも大して広がるものではないらしい。???である。

             参考サイト:すみだタワー


#386  06.10.24

全国路面電車サミット長崎大会 速報版


10月20・21.22日の3日間に渡り行われた第8回全国路面電車サミット長崎大会の様子の速報です。本日はスナップによる大会の雰囲気と館主が静聴して心に留まったポイントのみをご報告します。後日正確な情報を得次第に詳しい報告を掲載します。
             会議内容のページ長崎大会の行事内容公表

冒頭のパネルディスカッション
「長崎における路面電車の現状と課題」
各地愛好支援団体報告ではご存じ豊橋の伊奈さんが最近制作の活動支援グッズの実物を紹介

休憩時間は例により電車グッズの即売会
左に並んだ赤色の日本路面電車同好会制作:路面電車ハンドブック'06版はよく売れていた
初日の夜はお楽しみの懇親会
長崎さるく(歩くの訛)に呼応した地元の踊り子チームによる余興からまずオープニングだ

長崎電軌の168号サミット開催号のデモ運転に出くわした。この写真に見られるように次々と電車は連続し走行していて、しかもだいたい満員。これなら100円電車も成立つかと変に得心。
  本線大波止電停にて

浜口町電停に隣接した長崎西洋館階下がトンネルで電車が潜って走る不思議な光景を発見した。
期間中ここで大会に合わせた電車展が開かれ、長崎電軌の歴史、先進国LRT写真等の展示がされていた。ここは芝生軌道になっている。
久しぶりに長崎に来て目に付き驚いたのは長い本線がセンターポール化されていたこと。話によると、南北に長い国道の改造事業に1997年に着手した。その事業に組み込まれたのが浜口町から大波止に至る約3kmの無電柱化とセンターポール化で、昨年完成したとのこと。先進的施設を誇る広島市でもセンターポールはまだ一部である。 長崎電軌と国交省・県・市との長期間の努力の成果であろうが羨ましかった。脱帽。

サミットでの発言をメモの中から: 
(2日間に渡る多数の発表・発言の中から館主の心を捉えたものを紹介します)
  • 道路の利用度を更に上げる観点からは路面電車は道路高次利用のひとつ
  • 外国と日本の都市を比べるとLRTがどんどん採り入れられている点が大差
  • 今後も運輸道路の一体的整備・応援で道路を生かそう
  • 長崎でワンコイン(100円)が続いているのは昔バスと競争した時代に値上げをすると客が逃げたという苦い経験から
  • もうひとつ。ここ長崎市は南北に長い谷間という天与の地形が電車に寄与。
  • 車道に比べLRTは歩道が不用の分だけ道路占有が減る
  • LRTは都市の水平移動の道具と認識すべき
  • LRTの価値を認識しないで敷設にまず反対するのは商店街と商工会議所である
  • 市民の応援があれば市も応援できるし、税金も出せる
  • 長崎は新幹線新設にがんばっている。路面電車は新幹線同様に都市の顔である
  • 長崎電軌では車両ステップの改造や電停ホームの嵩上げ、歩道橋の廃止などバリヤフリー化でがんばっている
  • 長崎市地区では人口の1割が路面電車に乗っている
  • 長崎市の商工会議所会頭は平日はタクシーに乗るが、休日には必ず電車を利用している
  • 地方都市での地下鉄・新交通の建設と維持はムリで、むしろ高機能なLRTを選択する方が得策であることが次第に明らかになってきた
  • 「路面電車を経営する会社は他の営利経営を兼業するから公の補助は要らない」という意見もあるが、これはおかしい。公営路面電車と私営路面電車は平等に考えて応援すべき。
  • 広島電鉄のmaxはブレーキだけが国産化されていない。万葉線脱線もドイツ製ブレーキの修理に時間が掛かった。次はぜひ純国産のブレーキを開発したい
  • JRの技研が中心でバッテリートラムを開発中。バッテリーの収納スペースが課題になるが、幸いLRVはスペースが充分取れそうで可能性は大と信じる
  • 法律の改善も進み路盤も公敷設になる。軌道法も上下分離が適用されLRT敷設が年々やりやすくなっている
  • 新線計画をお金がないからダメ、赤字だから止めるは無責任。総意で街づくりを図ろう。“お金が無いのではない。熱意がないからだ。知恵は出るものだ”
次回の路面電車サミット引受都市: 福井市  開催時期は未定



#385   06.10.19
11/2参加費修正

富山市 LRT大フォーラム開催



 「世界で100番目の路面電車が街を変える」 

  −残した・生かした・生まれた「路面電車王国・とやま」の誕生−

[開催の主旨]
富山ライトレールの運行開始により、富山県は富山市内電車、万葉線を含め3つの軌道を持つ全国に類を見ない「路面電車王国」となりました。路面電車は少子高齢化・環境の時代にふさわしい移動手段であるとともに、近未来のまちづくりの極めて有効なツールと言えます。これらの軌道を発展させ、地域住民の利便性、観光客の誘致を図るとともに、公共交通を核としたブランドまちづくりの方向性を考えます。



日時:11月25日(土) 13:15〜20:30


■場 所:富山市 111インテックビル3Fスカイホール  
         富山市牛島新町 JR富山駅より500m
  
●第1部: 「アーティスト、LRTと街を語る」パネルディスカッション
          −LRTと街空間の文化発信−

  パネリスト:滝田洋二郎 映画監督
         本木克英 映画監督
         伊東順二 富山大学芸術文化学部教授
         松原吉隆 未来観光戦略会議会長
  コーディネータ:望月明彦 国土交通省都市総合事業推進室長

●第2部: 3市長サミット(富山市・高岡市・射水市)
     「とやま発!未来のLRTまちづくり」−世界で100番目の路面電車が街を変える−

  パネリスト:森雅志 富山市長
         橘慶一郎 高岡市長
         分家静男 射水市長
  コーディネータ:北日本新聞社政治部長 松井裕

● 第3部 夜塾 徹底討論:旅行好き鉄ちゃん大集合!語ろう熱き思い 「旅とLRT」
         −LRTを観光資源(まちづくり)としてどう活かすか?−
  講演・ナビゲータ  藻谷浩介 日本政策投資銀行地域企画部参事役
  プレゼンテータ・パネリスト
     野田隆  鉄道旅行作家「テツはこう乗る-鉄ちゃん気分の鉄道旅」著者
     吉田秀之   富山県総合交通政策課主幹
     五十島恵子  富山県交通政策研究グループ
  司会:福井幸博 未来観光戦略会議専務理事 (三菱電機東京本社総合営業担当部長)


■11月26日(日)

● “鉄ちゃん王国”越中とやまLRT(路面電車・バス公共交通)健康癒し、
           まち中・歴史ロマン3市(富山・高岡・射水)周遊ツアー

参加費:
25日のフォーラムは無料

主 催:北日本新聞社、未来観光戦略会議
 
■事前申込: 申込先アドレス  

   参考サイト: http://www.portram.net/event/20061125LRT.php

館主より:
明日20日からは路面電車サミットin長崎ですね。
では、長崎市の会場にてお会いしましょう (^_^)