路面電車を考える会例会 講演録29

   スルッとKANSAI ICカード PiTaPa
      の取り組みと今後の展開

  株式会社スルッとKANSAI 代表取締役専務 横江 友則
     (スルッとKANSAI協議会事務局長)
 
05.7.30
講演日時:2005年7月15日 6:30p.m.〜8:20p.m. .
会場:広島市婦人教育会館

館主前言:
広島市では広島都市圏を中心に広島電鉄、広島バス他バス事業者
、更には宮島行きフェリーに至るまで磁気カードが13社にて共通使用されています。たいへん便利ですが課題は二つ。一つはJRが利用できないこと。他の一つは、近年当都市圏にバス会社が次々増えるがカードの記憶容量の制限から、これ以上新事業者の収容も、新規の追加情報記録も満杯で不可能なことです。次のステップではどうしても公共交通共通カードはIC化せざるを得ない時点に来ており、只今検討中です。この点は市民も事業者も関心はたいへん深いので、このたび関西の先輩にお出かけを願い、ICカードの実態の勉強をすることが出来ました。

横江友則氏略歴

京都大学法学部卒業

1980年阪急電鉄(株)入社

阪急電鉄(株)鉄道事業本部

2000年3月 スルットKANSAI 協議会事務局長

2000年7月(株)スルットKANSAI代表取締役専務
      


横江氏講演要旨

   (挿入作図は全部横江氏制作)


はじめに

  • そもそも阪神都市圏で磁気カードが採用されたのは1996年で5社局から出発した。それがだんだん広がっていき、現在加入社が44社にまで増え、更に来年度は5社が加入することになっている。

  • 関西でこれほど加入社が増えるのは、関西の人はせっかちで要求がきつく、「なんでこの社は入れんの?」と声が出てくると各社は参加せざるを得なくなってくるのである。また同時に使い勝手も磨かれてくる。こうなると磁気カードでは対応できないので、必然的にICカード導入になった。が、たいへん要求内容がうるさいので、どんなカードにするかチエを絞ることになった。
  • 気を付けなければならないのは、ICカード化が目的になってはならなず、ICカードというツールを使ってどのような顧客価値を創造し、または社会を作ってゆくかという事である。

スルッとKANSAIの特徴

歴史と現況


 
カード発売金額は初期から見ると2.5倍に増加
・裏に利用日時区間が印字され、使用を確認できる
・この壁は初乗り運賃10円を支払う方法にてクリア
情報提供誌 110部/月 無料
沿線にお客を運ぶために発刊
主目的は地域全体の市民生活・営業活動の支援
その他神戸光のデコレーションイベント」や「歴史街道とのタイアップ」「クアハウスとのタイアップ」などがある
1dayチケットを作りイベント応援 参加者には粗品を
これが真のねらいです


ICカードシステム(PiTaPa)の導入    


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発想:
     ローコストとアメニティの両立
            ↓
         ポストペイサービス



 事業者の希望とユーザーの便利さとの両立を狙ったもの
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現在協議中 近々実現するであろう
ICカードの“PiTaPa”にはKANSAIの文字は付けない。
理由はこのシステムをひとり関西地区利用に止めないで、全国共通使用を意図しているからである。
PiTaPa使用可能の店頭には表示ディスプレイがある


Q and A

Q:ICカードの負担は?
A:会社負担である。ただし券売機が不用になる

Q:施工のスケールメリットはあるか?
A:広島都市圏はサーバーだけあればよい。日本全国まで考えるとたいへん安くなる

Q:個人情報の流出の可能性は?
A:某金融関係社にセンターを委託しているのでセキュリティは万全である。

Q:PiTaPaの一人勝ちになるのか?
A:交通事業者すべてに使って貰えたらと願っている

Q:なぜIC化したPiTaPaはJRと一緒に出発できなかったのか?
A:JRにはすでにICカード・イコカが存在していた。イコカとはソフトサービスの中身は異なるが仕様は共通である。近いうちに共通利用化の予定である。
    
参考ページ:講演録23;ICカードの導入による新しい運賃導入の可能性について


館主感想:
スルッとKANSAIにしてもPiTaPaにしても機能がたいへん多くて、このホームページではその要点紹介しかできませんでした。

利用者側から見て、使い勝手もよく工夫されていると思います。 またこのICカードシステムを全国版として制作し、できるだけ共通化して開発しようというNPO的思想にて普及を図っているとのことにも賛成。 岡山市でもPiTaPaシステムの導入を決めたとか。

今広島都市圏でもICカード導入推進検討が進められているようですが、この共通化思想を活かし、独自開発もだが、PiTaPaシステムの導入検討も併せて進めて欲しい。関西都市圏と広島都市圏との人口差もありそうだが、たぶん開発費と運用費は大幅に違ってくると思います。