#306
2005.8.4

栃木県 LRT導入検討活動ますます拡大化


宇都宮市を中心にしたLRT化の構想は衆知であるが、最近は栃木県全県的にLRT案が発案されている。日光市ではかった存在した路面電車が走っていた実績から観光と環境の両点よりLRTの検討委員会を立ち上げる話とか、知事は宇都宮市のLRT線を延長し真岡鉄道まで延伸したい発言までますます拡大している様子。この栃木LRTブームの元はもちろん福田知事であろう。

この空気は先月宇都宮市にてで行われた全国大会でも表明されているが、流れを追うと
  • 福田知事は「LRTは当面宇都宮市中心だが、将来は真岡鉄道や東武日光線にも接続可能にしたい」と表明。(05/4/5)
  • 宇都宮市はJR宇都宮駅東口整備計画にLRTの線路用地確保を織り込み、拠点施設(ホテル・企業・専門学校・スポーツクラブ・マンション・広域交流プラザなど)を2010年度完成をめざすと発表。(5/13)
  • 日光市真杉市長はLRTの課題検討委員会を設置する考えを表明(5/24)
  • 宇都宮市佐藤市長は「LRT導入を個人目標として2010年の導入を目安にしている」と発表(5/30)
  • 福田知事は記者会見にて「LRTは運営経費自体は賄えるので初期投資の地元負担が少なければ黒字化は可能。しかし営業収支で黒字にならなくても雇用機会や交通事故の減少、地球環境の負荷が少ないなどトータル黒字も考えるべきだ」と発言(5/31)
  • 県と宇都宮市はLRT導入課題を検討する「新交通システム導入検討課題委員会」を設置した。委員会は、バスや鉄道、タクシーなどの交通事業者や学識経験者など24人で構成。導入に向け、採算性の問題や既存事業者との連携、事業主体などの具体的検討をする。 (5/30)
  • 「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会」を開催。全国的視野から大いにLRTを論じた。(6/27)
  • LRTを軸に、公共交通の在り方を議員の立場で検討する「新交通システム研究会」(仮称)の設立準備会が開かれた。会には自民党・民主党の県会議員が多数出席。公明党からも今後は参加見込み。顧問には県関係自民党国会議員全員が。(7/19)
例によって栃木県の鉄道体系を勉強してみた。下図のようになる。

2000年代のLRT新設が実現する可能性は栃木県にて真っ先に顕在化してきたようだ


#305
2005.7.25

富山ライトレール 電停命名権販売とベンチ寄付金募集


富山市長が社長を務める富山ライトレール社はその積極性とアイデアがいつも注目される。
同社はリニューアルされる富山港線13電停のうち新設される下図4ヶ所の新電停について、命名権を販売することを決めた。電停名は通常地名に準拠した命名をするが、今回は企業名をつけた電停になろう。 秋までには基本価格と期間を検討して正式に募集する。

同社は同時に、路線13駅に設置されるベンチ168基についても、下図のようなメッセージ・寄付者名・年月日を刻んだ直径7センチのプレート寄付金を募り、ベンチの背もたれに取り付ける。寄付金は1基あたり5万円。市長社長は「寄付をすることで路線に愛着をもって貰えたら」と表明。こちらは既に募金を開始している。
 
             関連サイト:富山ライトレール株式会社

館主感想:
赤字が予想される新社について責任者であるアイデア市長の着想らしいが、各社ともこれくらいの思い切った市民参加兼増収策を見習ってもよいと思います。


#304
2005.7.19

長崎電軌 超低床車3000形がローレル賞を受賞


長崎電気軌道が04年3月に導入運用開始をし、本年1月には2号車も運用に入っている超低床電車3000形が、昨年10月に good design 賞を受賞したことは既に紹介したが、この度鉄道友の会の2005年度ローレル賞にも輝いた。

受賞のポイントはメンテナンス性の高い駆動装置を開発し、かつ車軸方式にて100%超低床化した路面電車を国産で始めて実現したことによる。

既にローレル賞を受賞した超低床車は1998年の熊本市電9700形、2000年広島電鉄5000形Green Mover 、2001年名鉄岐阜美濃町線モ800形、2003年岡山電軌9200形MOMOと鹿児島市電1000形ユートラムがある。

長崎市西浜町を走行中の3000形   photo:[長崎の路面電車] 崎戸秀樹氏

   参 考 サ イ ト :鉄道友の会ホームページ
     〃       :長崎の路面電車 (駆動装置の写真と解説がある)
   関連 ニュース :長崎3000形 Good Design 賞受賞
   関連情報ページ:日本のLRV 画像・三面図・諸元 (当館データベース)   


#303
2005.7.7

宇都宮市 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会 速報


先週6月25日 宇都宮大学工学部にて標記全国大会が行われ無事終了したようです。大会事務局長の内田敬之氏より速報が送られてきましたのでご報告します。当日の熱気が伝わってきました。

          6/2掲載した宇都宮大会開催の案内ページは


■事務局内田氏からの第1回全国大会ご報告


 ●大会名:第1回「人と環境にやさしい交通をめざす全国大会」
  • 当日の来場者は、当初の予測の倍をこえて400人余りの方が参加されました。

  • 3時半開会の市民フォーラムでは、アカデミアホールは立錐の余地も無くなり、急遽200人収容の別室を設けて、会場風景を中継をいたしました。

  • 発表への応募論文は77編が全国からよせられ、発表大会は12の会場に別れてテーマ別のセッションにより熱心な論議が交わされました。

    1. 自治体からは、富山市、堺市などLRTの新設やLRVの導入に関心の高い7市1県が発表しました。
    2. 広島電鉄や近畿車輛など、電鉄会社、車両メーカーなどからは6件の発表がありました。
    3. また東京電力、東京ガス、JR北海道など、公的企業からは5件が参加しました。
    4. 大学や研究機関の、ハード・ソフトにわたる先端的な、また興味深い研究、調査の報告が28件ありました。
    5. 午後には「LRTの整備の促進に関する法案」を中心にパネルディスカッション を開催しました。

  • 「全国路面電車ネットワーク」では昨年7月から議員立法を目指してプロジェクトを設置し検討をすすめております。
     これまで関係議員、法制局、関係省庁などとの協議を重ねてきま したが、今回初めて皆様に草案を検討戴きました。

    • 懇親会には知事、市長、国会議員、国交省審議官なども挨拶に立ち、LRT導入への熱い想いをこもごもに語られました。
 ●運営者の感想とお願い:
  • 第1回のことでもあり、しかも都心からはなれた宇都宮での大会でありながら、発表への参加数も、来場者数も当事者側の想定をはるかに上回る結果となっています。
    このことは、今後の都市交通への問題意識や関心が、全国的にも階層を越えて大きく広がっていることをまざまざと実感させました。

  • くるまに代わる都市の基幹交通の普及・拡大に、大きな期待と展望を与えてくれるものと思います。 
    寄せられました第2回の全国大会開催への強い期待に応えたく、今後のご支援をお願い致します。
 ●事務局からのおしらせ:

 ◎「LRTの整備の促進に関する法律」草案及び検討経緯は
   下記の主催者ホームページをご覧下さい。【毎月・7日更新】

 ◎「路面電車の未来へむけて」第3集 2005,6,25発刊
   −第1回 人と環境にやさしい交通をめざす全国大会・論文集−

     参加論文 12セッション 77編を収録
    ※12セッション概要は同じく下記主催者ホームページ【毎月・7日更新】参照

   ○頒価1冊 3000円 送料を含む 〔品切れの節はご了承下さい)
     10部以上一括購入の場合 @2500円、5部以上@ 2800円 送料を含む)
    〔特別掲載・論文〕
    1.21世紀の交通に求められる考え方と方向性 曽根 悟 工学院大学教授

    2.アメリカ南部のLRTを視察して    古池弘隆 宇都宮大学教授 

    3.デュアル・モード・ビークル(DMV)の概要 柿沼博彦 
                                 北海道旅客鉄道兜寰ミ長

 主催者ホームページ:
             AREEV・LRT-NET・SEV・AEVS 合同ホームページ

 ●事務局:SEV/AEVS事務局長 内田敬之氏( sev@mb.infoweb.ne.jp )


#302
2005.7.1

富山市 富山港線 新LRVデザインカラー決定


 今、我が国で一番注目されている路面電車会社は富山ライトレール社ではないだろうか。富山駅から富山港までの路線建設は着々と進んでいるようだし、最近のニュースによると、北陸新幹線富山駅立体高架工事に関連し、ライトレール社の富山駅北電停から高架をくぐり既設の市内線と接続する工事予算が国の承認を受けたようである。

 同社車両のデザインはアンケートをベースにして既に決定していたが、カラーについても最近決められ公表された。即ち導入される7両のLRVは白を基調にして、更にアクセントカラーとしては1車両ごとに色を変えた7色のレインボーカラー車両が出現する。

この車両例のアクセントカラーは赤色。他にオレンジ、イエロー、イエローグリーン、グリーン、ブルー、パープルの車両ができる。
 
車両完成予想図(合成スケッチ) 完成内装予想図

  関連ニュース:富山ライトレール 富山港線のLRT工事を着工   
            富山ライトレールデザイン決定
  
関 連 サイト: 富山ライトレール社ホームページ


#301
2005.6.20
6/29情報追記

函館市 新幹線新函館駅へLRT敷設と函館山までエスカレータを


提案情報の詳細追記 (6/29)

函館市在住の中里氏がハコダテ・スローモール・プロジェクト2015資料の取り寄せと北海道新幹線コースの調査をされ、その情報を頂いたので追記します
  • 新函舘への新幹線コースは下の修正図のように大きくカーブして現渡島大野駅に入り併設される形式
  • 新函館駅への新設LRTは下図のように、市電函館駅より延伸し、現在のJR函館本線に併設して新函館駅へ敷設する提案。(現在の軌間は1,372mm)
  • 更に現在の市電終点湯の川から函館空港への延長と、函館ドック前から高龍寺前への延長2案も同時提案。(下図参照)
  • 函館山付近の高い地形へは屋外型エスカレータ3ヶ所を平行して敷設する。構造は、冬場でも雨の日でも活用できるように完全に覆われ、出入口にも自動開閉ドアがついている。ドア部には天候センサーを設置し、雨と雪の日は出入口は自動開閉仕様となり、そうでない日は常時オープン仕様となる。1基約300m程度(下図)
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東芝エレベーター社がハコダテ・スローモール・プロジェクト2015なる構想を纏め発表した。内容は
  1. 北海道新幹線新函館駅は札幌へのコースを考慮し今の函館本線渡島大野駅に隣接して建設される予定であり、函館市内からは遠く離れている。そこでアクセス方法として現函館駅より市電(LRT)にて18km延伸し接続するという第1のプラン。

  2. 函館市を眼下に見渡せる函館山332mは展望抜群で、特に夜景は目が覚めるようで超有名。山頂までは山麓駅から約1000mをロープウエイで繋いでいる。山麓駅付近にはハリスト正教会や、聖ヨハネ教会等もありこの地区は市の大事な観光ポイントである。ただしこの山麓駅が小高く、十字街電停からは急坂を上ることになる。居住者の便と来訪者へのサービスを図るため、同社は市電電停から山麓駅付近まで3つの通りを屋根付き屋外型エスカレータ(全1000mくらい)にて結ぶというのが第2のプラン。

  3. 今後同社はこの計画を道、函館市、建設会社等への提案活動をする

 (注)東芝エレベータHPにも正式な掲載がないのでねらい等は若干推測した
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館主感想:
 愕くべきアイデア・提案である。情報は北海道新聞と同市在住の中里俊之さんから頂いたものだが、コース等は不明なので、函館市事情の勉強を兼ね館主があくまで仮想にてルートを作図してみた次第。郊外は新専用道を新設する案かも知れない。
 函館市にとって観光は重要産業。海外からの観光客が増えている様子。新幹線からのアクセスも、目玉観光スポットの付加価値増も両方大事。一見とてつもないプランが2015年には実現すれば素晴らしい。関係者の相当な飛躍も必要であろう。事業者が本業を兼ねてLRTプラン作成とは新方式として評価。