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#690
2012.2.27

鹿児島市 本港区に市電路線新設を検討


鹿児島市が鹿児島本港区への市電路線新設について、本格的な検討に着手することになった。ウオーターフロント地区向け観光路線との位置づけで、市は2012年度当初予算案に調査検討費用として511万円を計上。関係機関で構成する検討委員会を発足させ、交通問題の処理、費用なども含めて、実現の可能性の高いルートを絞り込む作業に入る。

森博幸市長は同日、新年度予算案を発表した会見の中で「新幹線全線開業効果の維持拡大のため、できるだけ早く実現したい」と強い意欲を語り、「環境負荷の少ない電車でゆっくりと街を巡ってほしい」と期待した。

鹿児島市のウオーターフロント地区。
市電の観光路線新設が検討される。


館主の感想:
 鹿児島市を訪問し市電に乗車すると、あの軌道芝生が明るい陽に映えて美しく、路面電車が単に市の交通機関ではなく、他都市から来た人には観光的な明るい印象を与えてくれます。

 今朝の新聞には「昨年の新幹線開通特需で、桜島や天文館がある鹿児島市の宿泊客が前年より約2割増えた」とありました。鹿児島市長が好機を逃さず観光軌道線新設する鋭さには視点が開けました。(^_^)



#689
2012.2.20

広島市 広島電鉄が全扉乗降試験を実施


広島電鉄ではLRTの2車両を使用し、ICカード(PASPY・ICOCA)を利用できる乗客に限り、全ての扉から乗り降りできる電車を試験的に運行し始めた。

 ・試験の目的は以下2点の検証を主な目的としている。
  (1) 降車可能な扉がこれまでの2か所から4か所に増える→速達性の向上
  (2) ICカードを利用されるお客様の車内移動が少なくなる→利便性の向上

 ・運行期間
    2012年2月15日〜3月31日

 ・実験車両・運行経路 

 ・これまで乗車専用になっていた中扉からもお客は乗車できる。このために中扉に
  降車用のICリーダー機を設置した。

試験に使用される広島電鉄3906号

新規に制作した中扉の降車用ICリーダー

館主の意見:
 欧米ではLRTはどの扉からも自由に乗り降りできる信用乗車が当たり前なのは皆様ご承知の通りです。この制度が日本では実施できない理由は、ひとえに「欧米では不正乗車が発見されたときは目の玉が飛び出るほどの罰金が徴集できる。しかし日本では料金の3倍しか徴集できないので踏み出せない」ということだと私は信じています。

 ずいぶん以前ですけど、広島電鉄のある幹部から「乗客の利便性と速達性を考えて、いつかは信用乗車制に切り替えたいものです」という生の声を聞いたことがあります。 今回の方式は制度の違いを乗り越えて、せめてセミ信用乗車制を実施したい意欲からでたものでしょう。 もし広島電鉄が成果を精査し、思い切ってセミ信用乗車制に切り替えられるなら、わが国鉄道業界の革命。そのときには快哉を叫びたい気持ちです。



#688 2012.2.13

東京都  「LRTのこれからの導入における
       上下分離と運営上の諸課題」  開催


前回、岡山電鉄・和歌山電鉄の責任者 磯野氏のレクチュアでは交通基本法が通らなければ、早晩、各地の多くの軌道経営は廃業に追い込まれると述べられました。
LRT軌道経営を継続できる有力な手段として期待されているのが上下分離方式経営です。広島電鉄の経営に長年たずさわってこられた前広島電鉄(株) 電車カンパニープレシデント 中尾正俊さんに報告をお願いします。多くの方々の参加をお待ちします。


第19回交通基本法・研討会

 LRTのこれからの導入における 上下分離と運営上の諸課題
          −広島電鉄の運営経験から− 



●日 時:2012年2月16日(木) 18:30 〜 

●場 所:中央大学駿河台記念館 5F 560号室
        JR丸の内線 お茶の水 聖橋口より5分

●テーマ:LRTのこれからの導入における 上下分離と運営上の諸課題
           − 広島電鉄の運営経験から −


      報告者  中尾正俊 氏
               鉄道総合技術研究所 レールアドバイザー
               (前)広島電鉄梶@電車カンパニープレシデント

●参加人数:25名

●参加費:3000円

主催者と申込先:
       代表 内田敬之
       AREEV/NPO法人
       エコエネルギーによる地域交通システム推進協会理事長 
       ・全国・路面電車ネットワーク 事務局長    
       ・「人と環境にやさしい交通をめざす協議会」代表幹事            
        E-mail: sev@mb.infoweb.ne.jp
        Blog <http://areev.jimdo.com/>
       ・TEL:045-481-6069 FAX:045-481-8718
        〒221-0865 横浜市神奈川区片倉1-17-24-106




#687
2012.2.9

札幌市 路線をループ化 新型LRV導入も発表


札幌市は市内中心部を走る路面電車をループ(環状)化につて検討を進めてきたが方向性が纏まった。新たにつくる区間は電車が歩道側を走るようにし(サイドリザベーション方式)、繁華街「狸小路」付近に停留場を新設する予定。今後は平成26年度中のループ化実現に向けた検討を進めてゆく。

 現在の路面電車は延長約8・5キロで、地下鉄大通駅近くの「西4丁目」から「すすきの」までの23駅を所要時間40〜45分で走っている。市は2005年から路面電車延伸を検討jし3案あったが、回遊性がもっとも図れ、中心部のにぎわい創出につながるとして、ループ化案を最初に実施することにした。この両駅の区間約400メートルを新たに軌道で結び、環状化する。

 いまの軌道は車道の真ん中にあるが、新設区間は歩道側に設け、バスのように歩道から乗り降りできるようにする。総事業費は約20億円という。

また、13年春から投入予定の新型車両のデザインを決めた。LRV車両で乗り降りしやすく、定員はいまの62人から70人に増える。デザインは下記のように黒と白の2色のシンプルな色調で、「札幌の先進性や透明感のある気候風土をイメージした」としている。

路面電車の乗降客は1日約2万人で、冬季は2万5千人を超える。1964年には総延長25キロあったが、地下鉄の競合区間などが廃止されていった。全面廃止も論議されたが、市民の意向を採り入れ05年に存続が決まった。上田文雄市長は「ループ化で使い勝手をよくし、町の回遊性を高めたい」としている。


札幌駅都心部 ループ化の予定部分

新型LRVのデザイン  (デザイン:札幌市総合交通計画部)

館主の感想:
 現行札幌市電のコースは以前から、誰がどう見ても、あのすすきのがある大通り部分が切れていて不審でした。それが昨年4月3選を果たした上田市長が路面電車延伸を表明されたので「さては実現か」と期待してしまいました。今回は具体的路線建設と同時に新LRVのデザインまで公表されるに至りこんどこそ実現と期待します。札幌の雪の多さからサイドリザベーション方式にするなど特色も十分発揮できてますね。

  
関連ニュース: 市民会議が市電延伸を討議 7割が前向き 
                                (2010/12)
             市長再選を受け路面電車延伸を表明
                                (2011/4)
              



#686
2012.1.30

盛岡市 盛岡にLRTを走らせ隊が公開討論会を実施


LRTの導入を軸としたまちづくりを目指す盛岡にLRTを走らせ隊は1/28に盛岡駅前通のホテルルイズにて、LRTなど都市交通や環境をテーマとした公開討論会を開催した。

 「オメはんどバンゲまで生討論」と題し、県立大との共催。盛岡地域のまちづくりで軌道交通が果たす役割、JR山田線が活用されるための課題などについて討論する。

 同日講演は関西大経済学部の宇都宮浄人教授(経済統計学)をアドバイザーに招き、中村慶久・県立大学長、美濃部雄人・愛知県東海市副市長、脇田健一・龍谷大社会学部教授、鈴木一夫・交通ビジネス研究会理事長がパネリストを務めた。

 LRTは従来の路面電車より低床の車両で、排ガス抑制や交通渋滞の解消も期待できる。県内での導入事例はないが、東日本大震災で被災した山田、大船渡などJR4線の復旧についてJR東日本や地元自治体などでつくる復興調整会議はLRTの導入も検討対象としており、県内導入の可能性も出ている。

 戸舘隊長は「今後の盛岡のまちづくりにはLRTを含む交通戦略が重要。JR山田線の利用促進にもつなげたい」と意気込む。

     同会のHP: 盛岡にLRTを走らせ隊


公開討論会のチラシを手にした戸舘弘幸隊長  (Photo:岩手日報)

館主の感想:
 盛岡市に盛岡にLRTを走らせた隊なる市民団体が2005年に誕生し、既に市内の盛岡文化線、さくら線、松園線なる3つのLRT路線新設案を発表していることは全く知りませんでした。(上記HPをご参照)  この度の大震災では山田・大船渡線のLRT化案もあると知っていましたので、この度の同会の市民討論会は時期を得た企画であったとしてご紹介しました。



#685
2012.1.23

熊本市 路面電車にGPS搭載を検討


熊本市の「公共交通の基軸」とされる市電 熊本市交通局がGPSを使った路面電車の運行管理システムの導入を検討している。今春、政令市に移行する同市は路面電車を輸送力や定時性の高い「公共交通の基軸」と位置付け、バリアフリー対応や電車優先の信号システム導入などを進めており、さらに利便性が増しそうだ。

 同局によると、導入は2013年度以降で、携帯電話などでリアルタイムに電車の正確な位置情報が分かるようになり、利用者の電停での待ち時間短縮につながる。また、各電停に設置するモニターに運行情報や到着予定時刻などを表示し、事故や災害が発生した際も迅速に知らせることができるようになるという。

 システムはすべての電車にGPSの発信機を搭載し、同局が無線で位置を把握する仕組み。現在は架線に一定間隔で取り付けた装置が電車の通過を感知して位置を確認しているが、より正確に分かるため、臨機応変な増発にも対応できる。

市内を走行する熊本市電9700型 (Photo:西日本新聞)

館主の感想:
 1997年に日本全国を先駆けて第1号LRTを導入した熊本市電のこと。絶えず日本最初を心掛ける熊本市電は、現在の電停モニターチェック方式はケイタイ電話時代に至ってものたりず、GPS導入に踏み切るのは当然という気がします。課題は現行システムとの精度と便利さの差がどくらい改善されるか?ということと、切換・運用費用のことでしょう。



#684
2012.1.16

横浜市  「災害と交通 “帰宅困難者問題を考える”」 開催


3月11日の東日本大震災は東北地方に未曾有の被害をもたらし、首都圏の交通は大混乱に陥り大量の「帰宅困難者」が生まれました。その時、何が起き、人々はどう行動したのか。そして切迫する大災害にどう備えるのか。都市の交通はどうあるべきなのか。事前の備えとして誰が何をしておくべきなのか。検証し、報告し、提起します。多くの方々の参加をお待ちします。


2012 公共交通フォーラム

 災害と交通 「帰宅困難者問題を考える」



●日 時:2012年1月29日(日) 13:30 〜16:40 

●場 所:横浜情報文化センター 6F情文ホール
        045−664−3737
    (みなとみらい線日本大通駅りより徒歩0分、JR根岸線、地下鉄関内駅より徒歩7分)

●第1部:
   1.特別基調講演「災害に負けない都市と交通のあり方」
               横浜国立大学 大学院工学研究院教授 中村文彦氏

   2.基調報告 「帰宅困難者問題の検証と課題」
               運輸政策研究機構 調査室調査役 室井寿明氏 

●第2部: 
   1.「帰宅状況調査」の分析結果報告
            小田部明人 めざす会・事務局長

   2.行政、バス事業者、鉄道事業者からの報告
            横浜市消防局 危機管理室 危機対処計画課長 木村文男氏
            横浜市交通局 自動車本部 運輸課長 須藤秀樹氏
            相模鉄道 経営管理部 広報担当係長 和田潤一郎氏

   3.次の大震災への鉄道の備え
            阿部 等氏 (株)ライトレール 代表取締役社長

   4.質疑応答と討論

●参加費:1,000円 資料代 (参加申し込みは不要)

●問い合わせ先: 080−3458−8454

主催者:横浜の公共交通活性化をめざす会
       NPO法人 横浜にLRTを走らせる会
  共催:(株)ライトレール



#683
2012.1.9

堺市 2013年春導入予定LRTのデザインを発表


堺市は、阪堺線のうち堺市内区間(我孫子道〜浜寺駅前)区間に来年2013年春に導入予定の同市初のLRT車両デザインを発表した。

車体の色は、古墳群を連想させる緑を基調に、堺出身の茶人・千利休が追求した「詫び茶」をイメージした茶色がかった白(白茶色)を用いる。

市は昨年11月、新車両のカラーデザインについて、ホームページなどを通じて市民の意見を募集。緑茶を想起させるライム色や、堺の海をイメージした青色など4案を提示した結果、応募総数663票のうち緑と白茶のツートンカラーが305票と最も多かった。

堺市が阪堺線に導入する予定のLRVイメージ図

館主の感想:
 昨年10月、竹山堺市長は、存続の危機に陥った阪堺線に対し、10年間で50億円の支援を行うことで同社と合意しました。今回の新車購入費(2億500万円)の2/3を市が導入する由。今回はLRV導入のデザイン発表まで漕ぎ着けて、その証の第二歩で心強い発表でした。

 ただ気になることがあります。この度び大阪市長に当選した、もと大阪府知事の橋下大阪市長は大阪都構想を掲げて、大阪府全域のあらゆる組織・事業に大鉈ふるいをかけると宣言しています。この関係で、折角の堺LRT案が影響を受ける可能性があるかもと気がかりです。橋下さんのことですから、市民の交通権に配慮し、堺市原案のLRV走行区間が堺市内に止まっていることを取りやめ、阪堺線の大阪市内終点・天王寺駅前電停まで延伸運転することが効率化であると判断し指図して頂きたいものです。



#682
2012.1.1

札幌市 今年も札幌市電はササラ電車が活動


^
昨年暮れ 12/29午後急に降雪となり、急遽ササラ電車雪1号の出動となった
  札幌市電札南小学校前電停付近にて     (Photo:札幌市 宮崎さん)

館主より 本年よりの決意をご報告します:

皆様よりご愛読頂いています「路面電車を考える館」は1997年に発足しましてから本年3月にて満15年になります。本人にとって見れば、それなりに長い道のりでした。アクセスカウントも200万を既に越えています。館主自身は1931年広島市の生まれですが、とうとう昨年末にて満80才の大台を越えました。

昨年の元旦号制作に当たり、館主はホームページの来し方とホームページの今後を、つらつら考えさせて頂きました。結果は、2012年より当館の継続・改廃について下記の文章を掲載し、読者のご意見を参照することにしました。即ち・・・

「さて本年12月に誕生日を迎え、館主は80歳の大台に乗ります。最近は「馬力が落ちたな」とはっきり自覚します。・・・・そこで考えることは?
@路面電車・LRTへの知識・感性が時代に対しずれてくるのではないか?
A資料集めと選択・編集・校正等の気力・体力は大丈夫か?
B病弱の妻の介護負担が増えそう
そんなことを考えながら本年末までに、次の中から選択することを迫られそうです

@「路面電車を考える館」は山根政則の個人サイト これをキリに潔く来年
  正月に停止する
A来年からは定時発行等の頑張りは捨て、自分ペースにて、健康等事情等が
  許す限り「ともかく長く」とUPを続ける。 毀誉褒貶は甘受する。
Bこの館を他の適当な有志に手渡しして、ホームページの制作とUPを継続して
  いただく。 
後者の2法は多くの読者が存在するという公器性?を誇りとし永続させるもの。」

その結果頂いたご意見は、1通はBの「後を引受け継続しましょう」で、残り数通はAの「できるペースでよいからできる限り継続を」でした。@の停止は0通でした

そういう経過で、多くの読者の声に従い、今年からは「自分ペースにて、健康等事情が許す限り、できるだけ長くを目標にUPを続けます。考えてみますと、これが自分の心身の健康法にも通じているようにも思います。

そういう次第で本年も以降もよろしくご愛顧のほど、お願い致します。m(_)m