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#568 2009.11.17

堺市 「シンポ・地球温暖化と公共交通」を聴いてみて


11月14日大阪市に根拠を置く道路環境市民塾が主催し、KOALA他が支援して「地球温暖化と公共交通」なるシンポジウムが、あの堺市にて開催された。 シンポ内容は公共交通と表現されているが、内容はLRT中心で、時節柄、高速無料化とかガソリン税率撤廃等が実施されてもCO2排出減には悪影響があるだけ、など意見が出された。堺市のLRT挫折に関連し「市の計画を市民にうまく伝えられなかった」などの反省も出た。 そういうことで論議も討議も都市交通論議とはLRT新設の可能性についてが主であったのが特徴。

1.基調講演「新政権に期待する交通政策」 上岡直見氏 (環境自治体会議 環境政策研究所)
2.パネルディスカッション
   コーディネーター  塚本直幸氏 (大阪産業大学 人間環境学部教授)
   パネラー      上岡直見氏 
               辻本勝久氏 (和歌山大学経済学部准教授、わかやま小町会長)
               福井隆一郎氏(堺のチンチン電車を愛する会、堺刃物商工業組合)
               村松昭夫氏 (道路環境市民塾塾長、(財)公害地域再生センター)

議論は路面電車・LRTに関連し、話題は多岐に渡ったがく、個人的に興味を持った明るい話し2点を紹介。

@基調講演にて上岡氏作成の都市をレールで埋め尽くせなる標題で提示された地図↓
  • 地図の200市区町村、 110市区町村 カバー人口合計6,200万人
  • CO2削減効果の推計は難しいが、自動車からの転換比率を控えめケース1%〜
    成功ケース3%と想定
  • CO2削減効果にして40〜130万トン/年程度で中規模効果
  • 路面電車の効果はCO2効果よりも、富山市事例を参考にすると、これまで外出を控えていた人の移動を促す、とか自動車からの乗り換えというモビリティ効果が大と思われる。
の都市はもともと路面電車があった都市とも言える
もヨーロッパのように交通権思想が定着すればあちら並に敷設されるだろう             

A↓先日訪問した和歌山電鐵貴志川線の物販のたくましさには驚かされたが、辻本先生の紹介によると、今度は話題のLED電球をたま電球の名前で売り出したそうだ。

消費電力が電球の12%で4万時間の長寿が売りらしいです。まだ価格は4,000円と高く、明るさは相当照明30Wと低い。そういうことで当面は使用場所を限定しながら普及を始めますが、遠からず照度の増大、低価格化をもけっこう進み、普及してくるのではないでしょうか?

※もう20年も前でしょうか? 館主はビジネスショウで始めてシャープ社製液晶ディスプレイを見ました。それは画面サイズが10インチ程度と小さく、暗い画面にどうやら黒い文字が読みとれる程度の品質でした。「CRTとは比べられない読みにくさ。モノになるのだろうか? でも薄い!」との印象を持った記憶があります。それが今日の品質・価格に進化しています。技術進歩を疑ってはならないでしょう。

※館主は会場から発言を求めました。「戦時を生きてきた体験から、戦争による窮乏は、衣食住中、必需品第一のお米の値段が10倍に値上がりしました。他は小。21世紀は中国・ロシヤ・インドの新興国の興隆で、石油需要が爆発的に増えるに違いない。すると現代のお米ガソリンが300円、500円と大暴騰し、クルマにはおちおち乗れない日が来るとの覚悟が要るでしょう。そんな事由も考究してLRT時代到来を研究しておくべきでしょう」と。



#566 2009.10.29

富山市 新環状線のLRT セントラム と命名


富山市中心部を環状に結んで12月末開業を目指して建設中の市電の名称が、セントラムに決まったと森雅志市長が発表した。

愛称は一般公募で、中心部を走るCENTERと、環状を連想させるEN(円)、路面電車を意味するTRAMの三つを組み合わせた造語。

市は「音の響きが都会的」とし、モノトーンで落ち着いた色彩の車両にも似合う。更には、富山駅から北部岩瀬浜へ運行中の富山ライトレールLRTポートラムとも連続性を印象付けるネーミングになっている。
導入されるセントラム3両の車両別パース図 (最終図は若干修正される)
 (Photo:富山市都市整備部 路面電車推進室)

           関連ニュース:環状化線は12月下旬予定通り開業 (10/3)



#565 2009.10.23

和歌山電鐵 貴志駅がびっくりデザインに生まれ変わる


岡山電軌が応援している特別な線区として和歌山電鐵貴志川線を先日紹介しましたが、このほど、終点の貴志駅がびっくりする猫たま駅舎に建て変わることが発表されました。先日の続報として掲載します。

新しいデザインは、檜皮覆(ひはだぶき)の屋根に窓の「目」と飾りの「耳」が付いて全体が猫の顔になっています。 デザインは勿論岡山の水戸岡鋭冶氏です。 完成は来年3月の予定

これなら駅長「たまちゃん」もさぞびっくり・満足でしょう。

                  (Photo:朝日新聞)
ぜひ先日掲載した貴志川線近況をクリックして見てみてください



#564 2009.10.17
(10/22追記)

堺市 LRT東西線案に代えて大阪市より四つ橋線延長案


去る9/28付けにて、木原現市長が選挙に敗れたため、進めてきたLRT東西線案は建設が難しくなろうと速報した。新市長竹山市長は堺東〜南海堺駅は中止し、堺駅〜堺工場間は民意を聞いて検討するとの表明があった。その後新市長からは下記の新線案の発表があった。

それは現地下鉄四つ橋線の終点から新に地下鉄を延伸し南海堺駅に接続する、という案である。(追記)推定見積は1km300億円、開業まで10〜20年の中長期の課題となる。

橋下府知事はかねてより大阪府庁を新開地のWTC(ワールドトレードセンタービル)に移転したいと表明し、議会と大論争している最中であるが、知事の案ではJR桜島線をWTCに延伸する案を検討中であり、このたびの四つ橋線延伸案もその構想を補強する案のようである。LRT東西線案のうちシャープ部分は放棄されていないので、四つ橋線延伸が実現すれば社員の都心への移動は助かることになる。

館主感想:
もと大阪府部長であった新市長の四つ橋線延伸意図がやっと理解できたところである。 府知事にとって、府の中心=大阪市の中心という感触で、交通網をWTCに集中したいということは理解できるが、一方堺市民にとっては、これでは政令指定都市堺市の都心賑わい復活案の重要要素に傷が付くことになる。もしLRT東西線のうち堺駅〜堺東駅間の市内線部分案が無くなれば、堺市民としては大きな痛手ではなかろうか? 四つ橋線延伸案も宜しいけれど、今まで進めてきた東西線案の撤退はもったいないという意見もごもっとも。再検討できないものであろうか。


(館主追記)かって広島市の地下鉄原案に対し「地下鉄建設費は300億円/Km、LRT軌道なら1/10。建設期間も地下鉄は10〜20年。LRTなら3年でできる」と市民主張した結果、地下鉄案は事実上消えたことを思い出しました。



#563 2009.10.10

江ノ島電鉄 京福電鉄 古都どうしで姉妹提携


来る10月14日鉄道記念に、藤沢市の江の島電鉄と京都市の京福電鉄が、姉妹提携をする調印式を、江ノ電鎌倉駅で実行する。

担当者によると「姉妹提携を通して、古都の魅力アップにつなげたい」由である。

京福電鉄は来年がちょうど100周年。沿線に鎌倉がある江ノ電同様に、古都を走り、近くには世界遺産の寺院も多数ある。

互いに路面電車区間をもち車両の色合いその他共通点も多い。14日からは江ノ電車両には京福の愛称嵐電の、京福車両には江ノ電のヘッドマークを掲げ、姉妹提携をPRする。

共通デザインの記念乗車券発行をするほか、将来は夜行バスで双方を結ぶパックツアーも検討する由。

館主感想:
路面電車の事業者といえば全軌協19社をつい思い浮かべるが、江ノ電も京福電鉄もれっきとした軌道を持ち、路面電車会社として親近感のある会社である。 そこで地図を画き比べてみると、確かに電停間は短く、観光を意識した路線と理解できる。そういうことで両社は古都を短い電停距離にて繋いでくれており、観光利用の節はたいへんありがたい存在である。これはファンにとって楽しい話題であった。



#562 2009.10.3

富山市 環状化線は12月下旬予定通り開業


富山地鉄市内線が環状化される大手町新ルート工事は、交通規制をしながらのレール敷設を進める市内工事のため進捗が心配されていた。 が、市はこのほど「12月下旬、予定通り開業する見通し」と発表した。

工事は下図の通り大手町〜西町の940m間に軌道を整備し、地鉄の線路と接続、新に国際会議場前大手モールグランドプラザ前の3電停ができる。

富山ライトレールと同形で白、黒、銀色の新LRT3両は11/中旬に富山地鉄の車両基地に納車し習熟運転を始める。軌道と電停工事は11/末に完成予定。

丸の内〜西町間は片道運行で、両交差点間0.9Km単線に加え富山地鉄の2.7kmを合わせて1周3.6kmを約20分間で運行する。運行は反時計回りの片方向のみを2両で運行するので、概ね10分間隔の運行になる

3新電停の電停名の命名権と、上記3新電停の椅子24脚へ寄贈を募りメッセージを残す事業を決めていた。
 このうち電停の命名権を販売する「ネーミングライツ」については、地名や近隣の公共施設名を基本に電停名称を命名することとなったので行わないことになった。
しかし、電停ベンチについて寄付金を募り、寄付者の氏名とメッセージを電停ベンチ後ろに取り付ける事業については、予定どおり進めている。

開業に向けレール敷設などが続く会議場前付近 (Photo:中日新聞)



#561 2009.9.28

堺市 木原現市長が選挙に敗れ LRT新設に影響必至


昨9/27に堺市長選挙があった。結果は、多党相乗りの支援を受け3選をめざした木原啓介氏は、大阪府企画部長で7月に府を退職し立候補した新顔の竹山修身氏に大差で破れた。人気の橋下大阪府知事が相乗り批判を猛烈に演説する選挙支援が竹山氏当選へと、民意に決定的に影響を与えたようである。

現木原市長はLRTを堺東駅〜南海堺駅、南海堺駅〜シャープコンビナート駅の両案を提案していた。竹山氏は堺東駅〜南海堺駅は中止し、堺駅〜シャープコンビナート案は民意を聞いて判断すると、見直しを表明していた。この選挙結果により堺市のLRT新設計画は、実現をめぐり根本的影響を受けることになった。



#560 2009.9.21

和歌山電鐵 貴志川線近況


秋の5連休真っ盛りですね。(^_^) 先年/2005年5月、和歌山県貴志川線が存亡の危機の時、あの岡山電軌が急遽救援の手を差し伸べて経営を引受け、見事再生させる記事を当館に紹介しました。 岡山電軌 貴志川線の経営引受け (05/5)

それから4年。館主はKOALAの例会にて貴志川線見学乗車に参加しました。この線は和歌山〜貴志駅間14.3kmあり、途中の伊太祈曽(いだぎそ)駅が車両基地です。農村を主とした開放的、気持ちの良くなる路線です。

貴志川線というと岡山電軌のMOMOをデザインした水戸岡鋭治氏によりリニューアルデザインされたいちご電車おもちゃ電車たま電車の3種が知られています。が、乗車して愕いたのは、それぞれの車内には外側のデザインに合わせたて巧みに作られた飾り棚、イラスト、座席等々眼を見張るアイデアがびっしり。このびっくりをぜひ読者にお届けし認識して頂きたい、いや機会を作って実物に乗車して頂きたいなと思いました。

もちろん貴志駅では有名なたま駅長さんにもお会いしてきました。


これだけサービスが有れば心を打ちますね。お陰で全国的人気を呼び、当日も観光客がたくさん乗車していて アイデアは収益になる を実感しました。

そういうことで,本日は路面電車ホームページ番外編をUPしました


いちご電車
外装は真っ白清潔の車体でスッキリ 2006年8月運行開始
貫通路には いちごの暖簾 が いちごをデザインした額も

おもちゃ電車(OMODEN)
おもちゃ電車の運行開始は2007年7月から  車内にはフィギュアの陳列棚がある
がちゃがちゃの車内販売をしている 幼児の保護サークルを完備

たま電車
いよいよ本命 たま電車 は2009年3月運行開始
たま駅長のご加護を祈るが如く 車内には猫に関する本のみ集めた書棚を設置

たま駅長
たま駅長は激務 休日は土曜日全日勤務だが日曜日は保養休み さてこの連休は???

関連サイト:貴志川線の未来を”つくる”会



#559 2009.9.16

広島市 市長提唱 初の「LRT都市サミット広島2009」を開催


ご存じ、広島市は日本でいちばん路面電車が活躍している街でしょう。今や地球環境改善という大きな課題からも全国の都市にLRTが新設・延伸が求められています。

秋葉忠利広島市長はLRT活用都市の実績を基に、全国のLRT・路面電車の存在する都市の首長に呼びかけ、10月30日・31日の2日間、わが国初のLRT都市サミットを広島市にて開催することになりました。

私事ですが、当館主 山根政則も2日目のパネルディスカッションに、パネリストとして出席を慫慂されました。市民の目線から、日頃考えること・提言を、率直に発言させて頂きたいと考えます。

  

 LRTサミット 2009 in 広島市


地球環境にやさしい都市づくりを目指し、公共交通振興のための都市連携強化を目的に、路面電車のLRT化に取り組んでいる各都市の首長が集まる「LRT都市サミット広島2000」を開催します。また、市民の皆さまに路面電車に親しんでもらえる機会を提供するため、様々な関連イベントを実施します。

●開催時期: 2009年10月30(金) および 10月31日(土) 

●開催場所: 広島国際会議場 フェニックスホール (中区中島町1−5)  


●実施体制: 主催:広島市   共催:広島電鉄株式会社
         後援:国土交通省、広島県、路面公共交通研究会、社団法人日本交通計画協会、
             全国路面軌道連絡協議会

●参加予定都市: 
      (札幌市、富山市、豊橋市、京都市、堺市、松山市、高知市、長崎市、熊本市、
       鹿児島市、広島市(11都市)
         
●プログラム(予定): 
   10月30日(金)午後

13:00〜 首長歓迎セレモニー(広島駅南口地下広場)
13:30〜 グリーンムーバーマックス(貸切)で原爆ドーム前電停まで移動
13:55〜 原爆ドーム・原爆の子の像・折り鶴台の見学、慰霊碑参拝・献花
14:30〜 開会、首長会議
16:30〜 俳優 関口知宏氏の記念講演 「旅 〜ふれあい〜」
18:00〜 共同記者会見(サミット宣言)
18:30〜 歓迎レセプション 
俳優 関口知宏氏
    10月31日(土)午前
 9:30〜 国内外のLRT化に関する事例及び制度紹介
              ・国土交通省
10:25〜 パネルディスカッション
            <パネリスト>
              ・富山市長 森 雅志 氏
              ・豊橋市長 佐原 光一 氏
              ・鹿児島市長 森 博幸 氏
              ・広島電鉄株式会社 代表取締役社長 大田 哲哉 氏
              ・映画美術監督 部谷 京子 氏
              ・路面電車を考える会 山根 政則 氏
              ・広島市長 秋葉 忠利 氏
            <コーディネーター>
              ・広島大学大学院教授 藤原 章正 氏
12:20〜 閉会

●参加申込 10/9(金)必着 抽籤1,300人    
参加をご希望される方はホームページか往復はがきでお申込みください。後日お申込みの結果をお送りいたします。なお、首長歓迎セレモニー及び関連イベントは自由にご参加いただけます。
●ホームページで申し込みされる方:下記の広島市宛ホームページより送信してください
●往復葉書で申し込みされる方:
往復はがきに 住所、氏名(ふりがな)、電話番号、参加希望日(10/30(金)、10/31日(土)の両日又はいずれかの日)をご記入の上、広島市都市交通部(〒730−8586 住所不要)へ。はがき1枚につき1名の申込みとします。
    関連サイト:広島市「LRT都市サミット広島2009開催について


 
LRT都市サミット関連イベント
  • 第14回 路面電車まつり 11月1日(日) 広島電鉄千田車庫およびその周辺
     例年広島市の路面電車まつりは6月10日前後ですが、今年はサミットに合わせました

  • 国内外のLRT化に関するパネル・写真展 10月19日(月)から10月27日(火)
             広島市役所市民ロビー 広島駅南口地下広場 紙屋町地下街シャレオ中央広場

  • 広電電車に乗って市内を巡るスタンプラリー 10月31日(土) 主要電停周辺

  • 未来の路面電車子ども絵画展   10月30日(金)〜11月1日(日)  広島駅地下広場 

  • 電車特別乗車券の販売 「LRT都市サミット広島2009 電車記念乗車券」を販売。先着1,000枚

  • レトロ電車の運行  10月31日(土)

  • 路面電車が走る都市の物産大集合 10月31日(土) アリスガーデン
              関連イベントサイト:LRT都市サミット広島2009 関連イベント