1999.6.1 制作

 広島電鉄 電車運行管理・保安システム

広電本社電車部内に全市の電車運転状況の管理をする運行状況表示盤がある。全停留所の架線ににトロリーコンタクター(下記)が取り付けられており,電車がその区間内に入ると、右図のように系統線番号--この例では5--が点灯する。 2台入れば5が2個並び、混み方が一目で判るシカケ。 右の5番の表示器は、電車に定時運転との食い違いを教える早接離の表示器で、主要停留所にある「運転状態表示板」に同一表示をさせる。 赤が点けば早着、橙が点けば前方車に接近、青が点けば後続車との距離が離れすぎていることを教える。


本社工場にある旧変電所を利用して電車安全運転シミュレータが設置されている。 ふつう鉄道のシミュレータは運転手が発車,力行,停車を練習するものときまっているが,ここのはちょっと違う。 
つまり路面電車は市内の路面を走るので,すぐ近くへ車がランダムにすり寄ってくる。中には軌道の中にも入り込むこともある。危険を避けてブレーキをかけるタイミングを勉強する特殊なシュミレータなのだ。 
実写から51場面を内蔵しており,教官は随時危険場面を選んでは画面で動かしテストする。 コンピュータで記録を取りあとで練習者に示す。3年,5年,10年のベテランでも必ずさせられるのは旅客機と同じ考え方であろう。

               接近表示

  
  Photo:高山望 

全停留所には左図のように2駅前に電車が着くと,行き先別に色分けされた電車接近表示器が点灯する。 もち上記本社のコンピュータと連動しているからできること。 独自開発だそうだが私も気に入っているッス(^_^)。 
右図の方は主な停留所前方に取り付けられた運転状態表示器とダンゴ運転表示器である。どちらも電車部の運行状態盤と連動し、状態表示器は運転手に早接離状況を示す。  ダンゴ表示器の方はコンピュータにて閉塞区間内の車両数を計算し、規定値以上になれば点灯。小ダンゴは橙、大ダンゴは赤が点灯して混み具合を教え、ダンゴ運転をできるだけ避けるよう工夫されている。


  

左が全停留所上の架線に取り付けられたトロリーコンタクタと名付けられたもの。,この箸棒をパンタグラフが押し倒すと信号が継電器に送られる。
十日市電停は紙屋町方面行きと横川行きの分岐点。矢印のように左から1番コンタクタ,真ん中が2番,右が3番のコンタクタである。 己斐方面から紙屋町方面行きの電車が来ると、1番と2番を通過したところで一旦停車。すると継電器はこれを感知してポイントを紙屋町方向に開ける。そこで発車する。  


次いで横川行きが到着すると、1番コンタクタを通過したところで一旦停車。継電器が感知。 この間継電器の方は12秒以内に2番コンタクタに触らなければ横川行きと判断するシカケだから、横川行きにポイントを開ける。 運転手は交差点の軌道信号機が↑になったのを確認して出発する。


  

十日市町交差点北前方にある信号柱。 右が車用の交通信号機。左が電車専用の軌道信号機で信号は×と↑の2種類。
従来の信号所はお陰で無人になってカーテンが引かれてるが,,バックアップとして生きている。



 広島電鉄 本社車庫内 電車整備風景

市民に触れる路面電車はその元気な姿のみです。 でも安全運行の陰には車両の定期整備、混雑回避のための制御方式、保安施設としてポイント操作の工夫など多くの人の努力が続けられております。


左図は台車ベアリングへの潤滑油で湿らせた「ボロ入れ作業」。
右図はすり減ったタイヤを交換するため,車軸を吊り下げ、3人がバーナでタイヤをあぶりながら、膨張した頃を見計らってハンマで軽く叩くと、タイヤはポロリと床上に落ちる。

左図はタイヤの研削盤。タイヤ厚みは約7cmだが,2年半使用すると半分に磨り減ってしまう。乗り心地が悪くなるので,4本のタイヤを同時にはずしてこの機械で円周の形を削り直して円滑化を計る。 右図は研削中の様子で、左下に光るタイヤ見本をなぞって右の車輪をバイトで自動的に削っていく。


定期検査時にはモータの点検もする。 右図は吊掛け式電動機整流子の絶縁マイカ取り作業。


  

デバイスから