#536 2009.4.28

香港市 路面電車の運営権の50%を仏企業に売却


香港市では
英国風の二階建て電車が象徴するように路面電車(トラム)が運用されています。市民や旅行客にも馴染み、その分財政も宜しいようです。今日は連休でもあり、海外のトラム空気を一つご提供。ちょっとした考え事です。


香港トラムは1904年から営業を開始。路線は香港の香港島北部のサウゲイワンとケネディタウンを結ぶ複線13.5キロメートルと、ハッピーバレー競馬場に向かう単線の支線2.7キロメートルを持つ。停留所数は123。1日当たりの乗客数は24万人で、乗車賃は2香港ドル(30円)。07年度の乗客収入は1億5000万香港ドル(約20億円)。広告料収入は5000万香港ドル(約7億円)となった。

2009年4月、香港の大手コングロマリット、九龍倉集団有限公司(ワーフ)は香港の路面電車「香港トラム」を運営する香港電車有限公司の権益50%を仏インフラ会社Veolia Transportに売却すると発表した。売却価格は公表されていないが日本円換算で数十億円程度とみられる。

合意によると、当面は折半出資による合弁経営を行うが、Veolia Transportは残り50%の権益も優先的に購入できる権利を持つ。また車両の概観やデザインは変更せず、乗車運賃の2香港ドルは据え置く。


現在の中国vs日本では物価差があり、実感も乏しい面もあります。冷静に見て世界視野からはトラム事業も立派な投資対象であることを証明された訳です。公共的事業も売買するのですね。日本でもかかるケースが起きるかも知れないでしょう。



#535 2009.4.18

浜松市 「浜松型次世代交通システム 研究発表会」


浜松市では10年も前から都市交通の改革としてLRTを中心とした施策研究の市民運動が続いています。その成果としてこのたび、大学と市民有志による「都市交通デザイン研究会」が中間発表会を開催することになりました。

本研究を実行する都市交通デザイン研究会では来年春にはすべてを終え、「浜松型次世代交通システム」として提言書にまとめ、4月か5月には浜松市および市議会に提案する計画です。

  

 浜松型次世代交通システム 研究発表会


国が交通政策を転換 推進議連が発足!
国は「交通弱者への対応」、「ユニバーサル社会の実現」、「地球温暖化問題への対応」、「観光振興・中心市街の再生」等を図るため2007年10月、地域公共交通活性化推進法を施行しました。それを受けて同年9月、浜松市議会議員41名を中心に、推進母体とばる「地域公共交通活性化推進議員連盟」が設立されました。

●日 時:2009年5月16日(土) 13:30〜18:00 
●場 所:静岡文化芸術大学 講堂  (入場無料)  



●基調講演: (60分)
     テーマ:「えちぜん鉄道再生に学ぶ」
 
          〜京福鉄道列車事故による廃線から再生までの足跡〜
           新会社設立から5年で見事に鉄道を再生させた極意は何か!
           えちぜん鉄道の救世主から天竜浜名湖鉄道の活性化と再生のヒントを学ぶ
      講師:見奈美 徹氏(えちぜん鉄道株式会社代表取締役社長)
         
●研究発表:四つの部会が研究していることを発表 (100分)
  • 第1部会 新交通システム導入による環境改善効果
  • 第2部会 運輸連合による地域公共交通の活性化および再生 
  • 第3部会 歩行者と自転車のまちづくり
  • 第4部会 LRT車両・電停デザイン、トータルデザイン
  第4部会提案

  鍛治町通りを
  走るLRT

質疑応答・意見交換: (20分)

国の支援策について: (45分)
       テーマ:「浜松型次世代交通システムを実現するには」
       講 師:国土交通省

決意表明:蜷 樹一郎氏(地域公共交通活性化推進議員連盟会長) (15分)

●申込方法:FAXにて主催者に @氏名 A住所 B電話 C所属
            053−448−7164

●主催者: 都市交通デザイン研究会/地域公共交通活性化推進議員連盟
         事務局:浜松市南区東若林町1220-5 (浜松都市環境フォーラム内)
                代表:内田宏康
                 TEL:053-448-7119 FAX:053-448-7164
                 E-mail:wbs02606@mail.wbs.ne.jp
                 ホームページ:浜松都市環境フォーラム
  
         関連ニュース:LRT提案を市民フォーラムにて実現化を推進 (06/11)



#534 2009.4.13

高知市 JR高知駅 駅前再開発を進める


JR高知駅前は2001年当時に広場の大拡張を実施した。この時は、土佐電電停を広場に直進させJR改札口前に直結させる等の結節改善を実行した。

その後再開発整備計画は進み、本年は家電量販店やドラッグストアなどの大型施設の建設が決まってきた。折りしも来年2010年のNHK大河ドラマは龍馬伝と決まったので、多くの観光客が訪れると見込まれる。県はこれに合わせドラマや出演者を紹介するパビリオンテーマ館を南側に、県内全域の観光案内拠点高知情報発信館を北側に建設を決め、2010年1月には開館する予定。駅東北には地上10階の国の合同庁舎も建設。

土佐電電停がある南口広場はタクシー乗り場や一般車両が乗り入れ可能なターミナルが5月に完成する。遅れがちな駅前再開発が加速しそうな年になってきた。

現在の高知駅前広場。 赤枠内が土佐電の駅前電停。

参考ページ:土佐電鉄が高知駅でJRと直結した



#533 2009.4.6

高松市 「琴電軌道にLRT」を提案 新交通協発足


昨年年初に高松市では高松琴平電鉄の高架化を計り委員会が会合を重ねた。そのとき市長より、「高架化に代えてLRTへの切替案もある」との意見表明があった。

これを受けて、市の新しい都市交通の在り方を考える高松市総合都市交通戦略検討協議会が昨年夏発足。会は琴電の軌道にLRTを走らせる提案について、採算面や技術面などを含む実現可能性について検討を重ねることになった。

同協議会は琴電やJR四国、市民代表ら20人で構成され、自動車に過度に依存しない都市交通の将来ビジョンを検討することとし、先日は第3回目の会合を開かれた。会では2010年度中に総合都市交通計画を策定することにしている。

今回の討議の中では、「まず高松港から琴平に至る琴平線33kmのうち、高松港から仏生山駅8.0km間を先行LRT化しては」の具体的意見も出た。




#532 2009.3.31

熊本市電 新車0800形を導入 営業運転開始


熊本市電が日本最初のLRV9700形(ドイツボンバルディア製)を導入したのは1997年であった。以来増備を重ね5編成が市内を走行している。このほど久しぶりにLRV新車0800形を新製した。試運転も順調に進み、営業運転は予定通り4/1より入る。

仕様:長さ18.4m×幅2.4m×高さ3.4m (2両1編成)

乗車定員:82人 (9700は76人) 

製作車両:09/3 0801号 0802号

製作会社:新潟トランシス(株)


製造価格:1編成2.5億円 (国と市が各25%を補助)

運転区間:健軍町〜辛島町

車体カラーリング:肥後六花のうちの肥後ツバキをイメージした赤紫の2色
           に紺色のアクセントを付けた。9700形の全ボディー白色
           との対比が目立つ。

            0800形が搬入された      (Photo:読売新聞)




#531
2009.3.24

京都市 新今電会が今出川通りへLRT導入案を市に提出


京都市今出川通へのLRT導入をめざし、地元の住人や経済界、大学などで作る京都・今出川通りにLRTの実現を推進する会新今電会)が先月、京福等持院駅〜銀閣寺道間の運行を提案する研究報告書をまとめ、門川市長に提出した。研究報告書の骨子は・・・
  • 複数ある京都市内のLRT敷設案のうち今出川通りを優先させたのは、西の京福電鉄と東の叡山電鉄の結節ができ、鉄道網が充実することにより、地域の観光や通学等利便性向上がたいへん高い
  • 西端を京福電鉄白梅町〜等持寺間の一駅区間を同電鉄の線路を利用してLRTを走らせる案になっている。これは等持院駅付近には立命館大学や高校・中学、また竜安寺・等持院・妙心寺など有名寺院が点在しており、乗客増が見込めるから。
  • 区間は全線6.3Kmで、全線複線の専用軌道を設ける
  • 電停間距離はバス停間距離を参考に300〜450m毎に電停16箇所設ける
  • 電車は都市景観の主要場所であることを考慮し、架線レスのバッテリーLRTを推挙した。(わが国では既に川崎重工のSWIMOと鉄道総研のHi−tramが実存する)
  • 車両費(@3.5億円×11両)も含めた建設コストは約150億円。1日の利用客2万人を予想している。この場合料金を一律200〜220円を想定すると年間4.6億円の利益が予想でき、約16年で建設費が回収できるなど緻密な試算結果を記載。
  • 提案と同時に、課題としては荷さばき場所の確保、信用乗車制度の検討、信号制御としてPTPSを導入、関連バス路線の改善等を挙げている
提案書表紙
本文115p  発行者:京都・今出川通りにLRTの実現を推進する会

京都市 今出川線の位置は
今出川LRT新線案は都の北側、西は京福電鉄北野線終点白梅町駅から西へ一駅乗り入れした等持院駅から東進し、叡山電鉄・京阪電鉄出町柳を経て銀閣寺通りまで6.3kmの区間を想定。

電停位置案は何を要素として決めたか
電停は全部で16停留所。提案書には[各電停毎の設置理由として「最寄りバス停乗降人数(人/日)と電停位置を決める際に考慮した各理由」](左下表)を記載。  また [他の交通機関との接続] も図示して乗り継ぎ利便性を説明(右下図) 例図は出町柳電停と京阪出町柳駅との乗換行動の利便性を図解して説明。

今出川線導入後の今出川通りの風景
提案書には主要地点5箇所の導入前と後の風景想定例が掲載されている
下記は上京区総合庁舎前風景のケース
上京区総合庁舎前の現況
同所LRT導入後の想定風景
   上京区総合庁舎前に設置される電停および『庭』の様子

今後の検討課題例 荷さばき対策
今出川通りは道幅が広狭混在しており、LRTを通すと荷さばき場所の困難な場所も発生する。検討では@歩道を狭める、A南北の通りを荷さばき場所として活用、B共同荷さばき場所の導入の3案が考えられた。会では全電停の荷さばき場所を個別に検討をしてそれぞれの地点で最善と考えられる場所別提案を作成。上記例は烏丸今出川駅の荷さばき候補地の提案事例。交差する南北の道路に赤色で荷捌き所案が示されている。またこの場初案では、軌道の左(西)部分は片方向ずつ歩道に隣接させる方式を、右(東)部分は軌道を道路中央部分に敷設するよう、現場の事情に合わせて立案している。

   新今電会の市民への説明発表会の開催案内
  

「京都・今出川通りへのLRT導入を目指して」
          説明・発表会


●日 時:2009年4月19日(日) 午後2時〜4時 

議 事: 13:00〜 総会
       14:00〜 提言報告書発表会


●場 所:西陣織会館  入場無料
   京都市上京区堀川通り今出川下ル Tel 075-432-6131

  関連ホームページ:京都・今出川通りにLRTの実現を推進する会 

館主感想:
一昨年秋に新今電会の設立総会と記念講演会に出席しました。会では大学の先生をはじめ宮司、西陣織事業者、商店振興会、一般市民等々といったメンバーの多様性にはびっくりし、また成功の予感がしたものです。かって広島LRT研究会の世話役を務め、LRT導入提案書を市長に提出し入念に説明したことがあります。その経験から、今回ご送付を受けた提案書を拝見し、技術的な内容の広範囲と精緻さに驚き苦心のほどを察した次第です。聞けば昨年秋から検討を始めた由
、短期間でこれだけのコンテンツの組立ができたのは同会の能力と作成応援者が多数が存在しているに違いないと理解した訳です。これなら市当局の具体案検討に即役立つと確信します。市長の採択を祈る次第です。それにしても旧い歴史をもつ日本の都市の交通改善って苦心をしますね。



#530 2009.3.18

東京都 都電が省エネ新車両8800形を導入


東京都交通局により新車両8800形が3月初旬荒川車庫に搬入された。新型車両のテーマは「荒川線の未来を開く先進性と快適性」。従来の車両よりも約2割の省エネになる。また、車椅子スペースや縦の手すりを設置した。定員は61人(うち座席20名)。車内表示は15インチ×2画面によるカラー液晶式の次駅案内装置を設置。

仕様:長さ13m×幅2.2m×高さ3.8m

製作車両:09/3 8801号 8802号

製作会社:アルナ車両


3月は試運転を重ねており、営業開始予定は4月より1両編成で運行。

今回の車両製作にかかわる特異点は、車両のデザイン決定方法。車両メーカーが作った3つのデザインについて、昨年1月に一般投票を電子メイルとはがきで実施し、投票総数1263票のうち642票を獲得した本デザインが決まった。

今回は2両の製作であったが、最終的には10両を導入して、7500形を廃車する.

新車両の外観  (高機能が予測され美しい!) 
都電8802全面のロゴ
(Photo:いずれも掘切邦生氏)

    関 連 サイト: 都電荒川線のニュース



#527
2009.3.1

鹿児島市電 軌道芝生手入れ用 「芝刈り電車」 を製作


鹿児島市電では市電軌道敷きの緑化に注力しているが、昨秋までに併用軌道敷3.4kmを緑化し終えている。今後は未整備区間5.5kmの緑化に取組み2012年度中に完成の予定である。現在の路線でも年間の維持管理費は約2000万円という。

市では今後の緑化軌道敷の維持管理費を合理化する目的で芝刈り専用車を製作運用し、維持管理費を2割程度削減する予定である。

芝刈り電車は、旧い電車を改造し、後ろに芝刈り装置を連結して引っ張る方式。電車には貯水量6トンのタンクを設置し、芝刈りをしないときには走りながら撒水も行う。3月中に開発企画を決め、12月の完成を見込む。製作費は3900万円で、市、交通局、国が1/3づつ負担する。

この芝刈り電車が運用開始すれば、芝刈専用車としては世界初になるはずである。

芝刈り電車のデザイン


 関連ニュース:鹿児島市電 軌道敷緑化3.4km完成 継続計画も (08/12)