ニュース16

#86 00.5.12

香港のLRT情報  特に非接触式オクトパスカードについて .


皆さん連休はいかがでしたか? 館主もOFFに出かけたりして、しばらく休養。(^_^)
FTRAINE(7)まちづくりの交通 1☆LRT・路面電車等 3/22#4150「香港新界のLRT」〜4/8「香港オクトパスカードその2」に至る18日間に9名による27件の熱烈意見交換がなされました。(@@)
この論者のうち池田宏氏は期間中に自ら香港LRT体験を実行して、詳しいレポートをしておられます。このほど氏より香港現地の地図や資料、撮影写真各種を預かりましたが、その中に究極のプリペードカード非接触式カード「オクトパス」の実物がありました。とても関心がありますので、これを中心にご紹介いたしたいと思います。印刷物、写真等は全部池田宏氏によるものです。m(_ _)m


香港路線網

まずは香港の路面電車LRTネットワーク

これはオクトパス(OCTPUS)カード解説図より転写

けっこう四通八達している。

発達といえばOctpusの8は8路線が運営されているので、これに由来するのではなかろうか。 文字通り八達。(^^;

増値機とはカードがICでできており、通帳のようなもので、増値機に現金や銀行カードを入れて残高を増やせる機能があるからによる。
香港LRT路線図


オクトパスカードの現物

オクトパスカード表面 オクトパスカード裏面
オクトパスカードの表面と裏面。実物大。プラスチック製。キャッシュカード厚の2倍くらい。3g。
裏面は香港島と九龍付近から新香港空港(左端)までの路線が描いてある。発行:地鐵今司
6/8追記:このカードは「ツーリスト用」のデザインで「一般用」もあるが機能に違いはない。


香港 LRT、オクトパス関連風景

カード増値機 カード運賃表
オクトパスカードの増値機 Add Value Machine。
この機械にカードを入れ現金、銀行カードで残高を
増やす
兆康電停からのカードを使った場合の運賃表
3電停まで3.8hk$。6電停まで3.8hk$などと色分け
カード入場機 カード出場機
豊年路電停にて。 オレンジ色カバーを被っている
のがカード入場機。 カードをこれに軽く当てる位の
感じで反応すれば「ピッ」と音がする。
他の電停ではこれくらいのスロープを車椅子の女性
が自力で登っていた。
豊年路電停にて。 右側緑色のカバーを被っている
のがカードの出場機。
検札風景 LRT風景
LRTから降りてきた乗客を待ちかまえていた検札員
陰になっているが、手には新書版より少し大きめの
携帯用カード残高確認機を持っていて、カードを出し
た乗客の内容をチェック。 (兆康)
友愛電停にて。本線から一駅だけの支線であるが
単線ループで本線に合流する。
片道乗車券販売機 片道乗車券


片道キップ現物
片道乗車券販売機 (市中心にて)


FTRAINE(7)まちづくりの交通 1☆LRT・路面電車等での香港LRTについての意見交換要約

  • もう何十年も進化を止めたような香港島のトラムしかなかったところに、こうして突然すごいものができたかの感想。
  • 1日乗車券はなく定期券があるのかどうかわかりませんがでしたが、オクトパスと呼ばれる非接触式のプリペイドカードを使用している割合が高いと思った。
  • LRTルートは8系統あり、全線完乗には5〜8時間もあれば可能のようである。
  • 信用乗車システムがとても自然に受け入れられている様子に、イギリスの植民地であったことを割り引いて考えても、日本とかアジアの国民性、文化とかはこの際関係ないのかというのがこんどの旅をで感じた。日本でも実現できるように思えてなりません。
  • チケットキャンセラーシステムをアジアで採用し、少なくとも外見上うまく機能しているように見えたことが驚き。なんせ香港の街中での道路横断状況を見ていると、大阪人でもあそこまではやらないだろうと感じた。が、合理性があればルールを遵守することを前提としたシステムを使いこなしているのを見ると、「日本ではチケットフリーキャンセルシステムを採用する欧米とは条件が違い無理だろう」といった論調は再考の余地が充分ありそう。
  • その他の感想として
    1. 高床でもバリヤフリーに対応しうること
      ホームの広さを十分にとり、アクセススロープの整備をきちんとすれば高床式でもかなり低くできる。車椅子の人が自力でスロープを上がれば床面が同一なのでスムースに乗っているのも見かけた
    2. 自動車と共存を図っている
      車用の車線とは明確に区分されているがトランジットモールはなかった。
      電停からは横断歩道を渡って歩道にアクセスする構造である。
      幹線道路との交差で電車が信号待ちする頻度は高かったが、停車時間はそれほど長いとは感じなかった。
    3. 部分的な高架方式の採用
      地上に路線を引く十分なスペースのない地点と地形の関係にて高架式を観察できた。
    4. 小回りの効く単線ループ支線の採用
  • 香港LRTの検察官はKCR(九廣鐵路)の職員のようだった。香港は警察官に検札をさせねばならぬほど神経を使う必要もないのではないか。
  • 香港の所得水準からするとLRTにせよ、公共交通機関の運賃水準はかなり低く押さえているように感じた。九廣東鐵のパンフに「きちんと運賃を払っているお客さんのためにも車内やホームで検札することがあるので、その時は協力して欲しい」という一文があった。
  • LRTにはフィーダーバスシステムが繋がっていて、乗り換え前に申告すれば45分以内の乗り換えは無料になる制度があるようだ。
  • 広電宮島線沿線には「ボンバス」というフィーダーバスがある。 長崎の赤迫より先の路線バスも実質フィーダバスではないか。
  • ドイツなどの「運輸連合」発足に際して、まずこういったバス路線の再編から手を着けて、その過程の中でトラムを基幹交通に仕立て上げるということが行われた。
  • 香港のオクトパスカードは香港の全鉄道(郊外私鉄のKCR、地下鉄のMTR、エアポートエキスプレス等々)とLRT、それから一部のバス区間で使用可能。また地下鉄駅改札内にある、いわゆる電電系の電話に対しては、国際電話を除いてテレホンカードとしても使用できる。
  • カードは大きく分けると2種類でAnonymous Card(無記名式)とPersonalised Card(記名式)に分かれ、それぞれに大人用、学生用、老人、小人用とがある。後者はカードに名前が記載してある人間しか使えない(希望すれば顔写真も貼り付けられる)。従って他人が使うと不正乗車になるが、反面ある期間内に一定額以上使えばボーナスが与えられる。
  • カードは紛失や盗難の際には手続きをとれば残高分を新たなカードに持ち越すことができる。これはIC製の強み。
  • 現地のパンフでは定期券に当たるものがないが、記名式オクトパスカードが定期券の位置にあると思われる。
  • LRTでの使用法は、電停のオレンジ色の入場機にカードを軽く当てて入場処理。降りるときに緑色の出場機にカードを軽く当てる。 その他青色の残高確認機がある。
  • カード使用状態をいくつかの電停で観察するに、利用者の5割〜7割の人が使っている感じ。
  • センサーの感度を測った。だいたい5〜6cm強くらいまで反応するよう。センサーが反応したかは「ピッ」と音が出る。乗り降りの多い駅では女性がハンドバッグや手提げ鞄をセンサーに押しつけて音を確認して入出場していた。中には大きな鞄を押しつけても反応しないので、定期入れを鞄から出す風景も見られた。だいたいはうまく反応していた。


#85 00.5.2

兵庫県 尼崎市にLRT新設を計画   . 


兵庫県は昨年8月に「ひょうごLRT整備基本構想研究会」が発足して、「県内都市の車社会を取り巻く問題点の整理やLRTを生かしたまちづくりの考察、県内LRT整備のあり方の検討を開始し、00年2月には基本構想を纏める」として活動を表明していた。 神戸新聞の報道によると、研究会は阪神地域を中心とする数カ所の地域を対象として導入調査を続けていたが、事業化の可能性が高い地域として、このほど尼崎をモデルに計画を進めることになった模様。

尼崎市南西部は区画整理と埋め立て事業などで「臨海西部地域」の整備が進んでいる。 県では下図のように阪急塚口駅〜尼崎中心部〜臨海地域まで約10kmを結ぶルートを検討するという。
 
本年度予算として調査検討費1,000万円(県500万円、市500万円づつ)を計上し、昨年度の調査をこの5月中に纏め、ルート設定、事業の採算性、事業化に向けたスケジュールや課題などを検討する。
尼崎LRT案地図


昨年8月に基本構想会が発足したのは「路面電車ニュース10」にて報じた通りですが、兵庫県と言っても広い。いったいどこが対象になるのかと気にかかっていたのですが、しっかり検討をして居られたのですね。尼崎市が候補になったとはなるほどです。 阪神間って東西間交通は日本一発達しているが南北間はいまいち。阪急伊丹線も塚口駅でぽっきりお終い。臨海西部地域という新開地を作って、さてその交通となると、投資VS効果がLRTが最適な選択となったのでしょう。 「つかしん」のある塚口の街も活性化するのでは? 兵庫県と尼崎市がうまく手を結んでぜひ実現してもらい、LRTの可能性を日本中に実証して欲しいものです。



#84 2000.4.17

広電 西広島駅・己斐電停 統合し改造へ 本年7月完成 .   


 
いままで広島電鉄己斐駅は市内線の終点、隣接する西広島駅は鉄道宮島線終点という歴史的経過と思われるが直通乗り入れの現在でも宮島より広島駅行きの電車は西広島で降車扱いをし、己斐電停まで推進して市内線乗車扱いをしていた。 このため両者の間には改札が現存するという不可解な方式を採っていた。 市内から宮島線に入る場合も同様である。 このため電車の2度停車のため時間と乗降客の苦痛を強いるものであった。
 このたび広電はこの方式を改め、西広島駅1本にするリニューアル事業に踏み切った。快挙というか、やっとと言うべきか。(=^_^;=)

広電西広島現在
現在の広電西広島駅・己斐電停は分離しており、電車は別々に停車する 広島駅方面出発車両は並列できない
広電西広島改良後
新 広電西広島駅に統合され、乗り換えの不便が解消 出発車両も並列できる 信号所も移設 7月にはこうなる

  • 工事内容 乗降ホームの増設および位置変更ホーム上屋の改良
  • 工期 00年4月上旬〜7月下旬
  • 総事業費 4億7千万円 (総額広島電鉄負担)
  • 内容
    1. 輸送力増強および円滑な運行
      ホームの増設により、直通電車が2本停車することにが可能になる。これにより上り電車のラッシュ時における駅手前での信号待ちが無くなる。 また、市内方面に2本の直通電車が同時に発車することができ、輸送力増強と円滑な運行が可能となる
    2. 停車時分の短縮
      従来、直通電車は己斐、広電西広島と2回停車していたのが、乗降ホームの統一により、駅での停車時分が短縮される
    3. 方面別ホーム
      ホームを行き先別にすることにより、乗り継ぎが便利になり利用しやすくなる
    4. JRやバスとの結節
      駅への入り口を4カ所に増やし、周囲からのアクセスが便利になる。 JRやバスとの連絡が便利になりターミナルとしての結節機能を高める
    5. 上屋の大型化
      ホーム全体を大きな上屋で覆うことにより、雨の日も濡れずに乗降でき、快適で明るい空間を創出する
      西広島新上屋図
    6. 駅名の統一
      駅名が広電西広島(宮島線)、己斐(市内線)に分かれていたのを、工事の完成に合わせ「広電西広島(己斐)」に統一する

明るい話題ですね。そこで我が家のエピソードを一つ。
数年前当家は横浜市から宮島線沿線某町に引っ越してきました。引っ越し後、カミさんが始めて宮島線某駅から乗車し都心に向かったときです。 上り電車が広電西広島駅に到着したとき車内アナウンスにて「・・・にお出での方は降車されて、改札口前のキップ販売機にて乗り換えキップをお求めの上改札を通ってお乗り換えください」
彼女は慌てて降車し、キップを買い、改札を通り、待ち合わせ行列に並んで来た電車に乗り込んだ。 どうもおかしい??? 乗客の顔ぶれから、「これはさっき降りた電車に違いない?!」と気が付いた時は遅かった。 当日夜は、自分の軽率を棚に上げて怒り、且つぼやいていましたね。(^^;)   もうこういったアクシデントは消滅するでしょう。