#60 99.8.13

東急世田谷線に久々の新車300系を投入 


 東急世田谷線というと一般的概念からは路面電車というものかどうか疑わしい面もある。 ただ同線は軌道線であり運行距離とか駅間距離、いや使われ方がまさに路面電車なのである。
 今回路面電車ニュースに採り上げたのは、このたび久しぶりに入った世田谷線の新車(正しくは更新車)が各地路面電車にて採り入れられつつある低床式を採用している点に注目したからである。 
 

  東急ホームページによると

  1. 車内環境の快適性の向上
    • 貫通路を設置
    • 車体幅を現在の2.3mから2.5mに拡張
    • 冷房装置と温風式暖房装置を装備
  2. 高齢者や車椅子利用者への配慮
    • 乗降口は両開式のプラグドアにしてワイド化を計る
    • 低床化により乗降ステップを従来の2段から1段にし、スムーズな乗降が可能
    • 車椅子のお客様用に昇降リフトを1両につき1台装備
    • リフト近くに折り畳み式の座席を2脚設置
  3. 騒音、振動の低減
    • 軽量ステンレス製車両、従来の2両4台車編成を2両3台車編成にした
    • 従来の車両に比べ約4トンの車両重量の軽量化
  4. 省エネルギー・省力化
    • 制御装置にVVVFインバーター方式を採用
    • ブレーキには回生機能付きの ブレーキ装置を採用
  5. その他
    • 車体の前面には漫画「サザエさん」を使ったマナー広告を掲出している。
      実は東急沿線の桜新町1丁目には長谷川(町子)美術館があり地区的に縁が深い
    • 運行開始は1999年7月11日より

 館主注:FTRAINE(7)まちづくりの交通 1☆LRT・路面電車 ではこの300系の出現をめぐって低床車としての画期性があるのないのか議論があるが、館主としては高田圭氏の「日本の路面電車メーカーのバリヤフリー対応車が一通り出そろった」との発言に同感します。
 氏の分類

  • ADトランツ系100%超低床車--新潟鉄工
  • コンビーノ系100%超低床車--アルナ工機
  • オリジナルワンステップ車--東急車輌
  • オリジナル70%低床車(輸出用)--近畿車輛  ←とよはしサミットの見学会で講義を受けた
東急世田谷線関連マップ 段差〜先頭にはサザエさんマークが 
下高井戸駅にて〜プラグドアが    1ステップ付乗車口の窪み構造   


#59 99.8.7

兵庫県 「ひょうごLRT整備基本構想研究会」発足 


兵庫県がこの1月に阪神地区を対象にLRTの整備構想を策定するとはこの路面電車ニュース9にて報じたがその後の消息。

いよいよ具体的検討組織として「ひょうごLRT整備基本構想研究会」が発足しこの8月2日に初会合を開いた。

研究会メンバーは学識経験者、建設省、運輸省、県警の職員、交通事業者代表による8人で構成し、担当は兵庫県土木部交通政策課。第1回の会合ではLRTの基本的事項の検討8/7:‘基本構想の検討’と表現したのを訂正)をした。第2回会合は10月にあり、県内都市の車社会を取り巻く問題点の整理やLRTを生かしたまちづくりの考察、県内LRT整備のあり方の検討をおこなう。第3回12月では導入可能箇所の概略を検討し、同時にケーススタディーを実施。来年2月の第4回で基本構想を纏める予定。 

8/2日の研究会では「全国に先駆けた取り組みとして注目する」の評価もあったが、採算性の問題を含め多角的に調査する方針を確認した。   (産経、神戸、建設工業新聞等を参照した)

ともかく兵庫県もLRTの実施を前提に公式に研究会が発足したことを悦ぶと同時に、全国のLRTを策定都市のモデルケースとして今後もウヲッチを続けたい。


関西ではここのところLRTの検討が活発になってきたように思われます。上記以外にも、関西産業活性化センターによる京都、大阪、神戸への導入可能性についての報告書。 京都商工会議所による関西文化学術研究都市におけるLT導入可能性の検討などなど。



#58 99.7.19

「広島市内軌道交通改良提案書」が中国新聞に速報版


去る7月16日の「路面電車を考える会」の7月例会にて「広島LRT研究会」の手によりこのほど纏まった報告書「21世紀における広島市内軌道交通の改良について提案」の報告を行いました(研究会の代表は山根政則氏)。(=^_^;=)
会合には会員や一般市民、マスコミ関係者など50人が参集しました。 この発表骨子が地元代表紙中国新聞により7/17の朝刊に掲載されたので、速報版として同紙要点に補足をして報告します。 なお本報告書の詳細は準備をすませたら後日UPする予定です。


婦人教育会館 例会風景
例会会場の広島市婦人教育会館 当日の会場風景。OHPを使用して解説。

99/7/17中国新聞より:

高速路面電車柱に段階整備 広島の都市交通で市民案 


広島市軌道交通案

  1. 広島都市圏の公共交通のあり方を研究している広島LRT研究会がLRTの導入を中心に、段階的に軌道交通網を整備してゆく市民案を発表した
  2. 30日に秋葉広島市長に市民案の内容を説明する会合をもつ
  3. 案作成の前提として広島市2050年の姿を描いて策定した。
  4. 案の内容は、第1期には平和駅前通り線として西広島−白神社−広島駅前間をLRTにて建設する。同時に広域公園前−西広島は既設のアストラムラインを延長する。 
  5. 市内路線は電車優先信号と大交差点でのアンダクロスを併用する。その効果例は広島駅前から西広島まで、現行の半分以下の13分で到達できるようになる。
  6. 第2期ではLRTとアストラムラインが同一ホームで乗り換えできる地下1階の新袋町駅新設。
  7. 同じく第2期に白島長束線(白島−牛田−JR安芸長束駅)を建設。途中白島駅を作りJRとLRTとの結節と官庁街との便宜。
  8. 第3期には天満相生通り線(西広島−上天満町−十日市町)を建設し、車→公共交通へとモーダルシフト時代に備えてLRTにて東西軌道線をダブルで整備する。
  9. 同じく第3期には東雲線(広島駅前−段原−本浦町)をLRTで建設
  10. 将来はゾーン運賃制を導入
  11. 軌道交通の恩恵を受けにくい地区にはフィーダーバスとしてミニバス網を整備


館主注:先日「市民による広島市内軌道交通の改良提案」ができましたので、ぜひ秋葉新広島市長に「案をご説明し対話したい」旨をE-mailしましたところ、折り返し「早速話を聴きたい」とのお返事。)
 早速今月早々にも実現する運びになったのですが、折悪しく広島大雨大災害が発生して延び延びになり、やっと7月30日午後3時からとなりました。 それにしてもご自分でキーボードを叩いて即時の返事を頂戴したのには恐れ入りましたし嬉しかったです。 広島市長って情報化時代の市長ですね。



#57 99.6.19

広島市 「第4回路面電車まつり」に空前の12,000人が集まった


 1995年に開催された [第2回路面電車サミット'95 in 広島」にて採決され制定されたのが「路面電車の日」です。翌年6月10日を期して第1回「路面電車の日」が開催されたのですが、早いもので今年で4回目を迎えました。
 広島では路面電車を考える会と広島電鉄株式会社との共催にて毎年広電千田町車庫のオープンハウスという形式で開いています。 本年は6月9日(日)に開きました。出し物の白眉はもちろん5000形GREEN MOVERと3950を並置しての設備・乗り心地比較でした。皆さん座席が気になると見えて座って確かめていましたね。子供達があの高価な?運転座席に立ち上がって飛び跳ねていましたが大丈夫でしたか?
 その他広島電鉄側は歴史電車展示、ミニ電車乗車、車庫内工場・変電所等見学コース、電車部品、関連グッズコーナー、売店など例年と同様に賑やかに並びました。 また今年は日本路面電車同好会が協賛して模型電車運転コーナーが初参加。
当会の出し物は本年はまた一本増やして下記の5本にしました。

  • 路面電車1000人アンケート」  内容は例年の定点観測項目+新車5000形グリーンムーバー知名度調査
  • 「模型。袋町新駅にアストラムと広電同一ホーム化提案」 これは広島LRT研究会発案の一つですが、模型化して披露しました
  • 「ビデオ。都市の動く景観としての路面電車」 会員黒原忠悳氏がヨーロッパにて撮影された美しい路面電車特集。新版。
  • 「動画。グリーンムーバー運転席からの実景」 会員中田裕一氏の力作CD-ROM。宮島線力行中を運転席より撮影した動画ほか。
  • 「ホームページ:路面電車を考える館」放映

当日は好天に恵まれこれまで最高の12,000人の入場者数を記録しました。ちなみに初回96年は6,000人、第2回97年は8,000人、第3回98年は10,000人、と毎年増加しています。(広電調べ)  これは「路面電車まつり」が広島市の年中行事として市民に定着しつつあるというしるしでしょうか。(^_^)

館主報告:ホームページへの掲載が遅延したのは、目下「広島LRT研究会」の報告書を集中的纏め作業に入っているためでした。近々こちらでもその内容をご報告する予定です。

以下まつり当日のスナップを掲載します。


10時開門を待つ人達。お目当ては右テントの電車部品
放出グッズ売場へ。方向幕や運賃箱も売れていました。
電車クンも登場
GREEN MOVERのお披露目挨拶後は続々体験登場へ 左5001A 右は3950 車椅子の人も体験を
 塗色ほかの比較のためクリックで拡大OK 29KB
車椅子用板は車掌前扉に設置 そのつど手で開く 車椅子は椅子跳ね上げ式位置に定置
路面電車を考える会ハウス。パソコン,VIDEO,模型他 路面電車を考える会1000人アンケートテント
今年で4回目の定点観測 9月発表予定
考える会会員新宮久仁子さん指導幼児画「宇宙」開幕
昨年までの児童画「赤い電車」に取って代わり2代目
工場内台車整備場。 見学者は自らブレーキハンドル
を操作をして、ブレーキの動作を目で確かめられる。
GREEN MOVER車側のメーカー銘版 「路面電車の日の記念パセオカード」発売