#71 99.11.17

広電 市道改善対応で鷹野橋電停はS字カーブに  


いま広島市では市内交通の要点である鷹野橋から宇品港地区へ向け、市道「鷹野橋・宇品道路」の拡幅・新設工事が急ピッチで進んでいる。この付け根にあたる鷹野橋付近は5叉路であるうえ複雑な交差をしている。従来広島電鉄宇品線は大通りである鯉城通りを道路の真ん中を使用し、鷹野橋では宇品方向に向かって滑らかにカーブを経て運行していた。紙屋町地区から宇品地区へ向けての直進道路である鷹野橋・宇品道路がこのたび開通すると、ここを直進する車にとっては、電車線路が道路に対して緩い角度にて交差することになり具合が悪い。そこで広島電鉄は、新道路での車の直進を助けるため、道路に対してできるだけ角度をとるかたちにするため、線路の形を大幅に変更する工事を行っている。結果的には路面電車の方はS字状のカーブに変形した。

移設が終わって路面電車の走行が移ったので試乗してみたが、S字カーブに入る直前に15km/h減速のために相当に急ブレーキがかかる。 ただしこの位置は電停鷹野橋の直前、直後であるために実質的な時間損失はあまり無いように見受けられた。

また道路との交差部分は車の平滑な横断を助けるため、従来の花崗岩敷石を撤去し、新たにコンクリートの敷石を敷き詰める工事をおこなっていた。 

電停は、従来は5叉路の北側の部分にあったが、道路変更に応じ下記のように南に移設された。 まもなくこの部分に歩行者のためにエレベータ付の横断歩道ができると伝えられている。


道路略図 鷹野橋交差点図

交差状況 工事写真
11/7 向こう宇品行(下り)と手前上りとは
すでに分離して運行している   #714
同日 旧線の上りは撤去すみ。新線の
コンクリート敷石を懸命に貼り込み中。
新旧路線 移線完了
同日 旧線と新線のすれ違い。 緩いカーブ
はS字カーブに変わった。 手前769 向こう707
11/13 新線を上り下りとも使い始めた。
旧線跡が黒く残っている。800形と向こう3000形
宇品道路は手前道路が真右へと直進する。


#70 99.11.11資料追加
99.11.5正式版
99.11.3速報

広島市 東西線は地下方式3ステップ30年案へ変更 


(11月11日 補足資料追加)
今回の市案の発表では実は交通施策の改善について、東西線案、広電延伸案以外にも数多くの改善施策案が盛り込まれている。 従って着手時、完成時の年次的な整合性も判りにくいので、全体の理解のしやすさのために、市資料に含まれた一覧表を本ニュースの市発表文に続くピンク大見出し欄に追加掲載した。 これにより諸施策の着工順位が相対的に分かり易くなり、計画のチェックや実行ウオッチングの助けにもなろうかと考えてのことである。

(11月5日、大改訂追記分)
11月5日午前9時より市長による東西線案についての正式発表がもたれた。
その結果については、実はTV社が意見を求めに来宅されたので、逆に発表内容を理解する便宜を得ました。(=^_^;=)
答えは路線案については3日の報道と同じであったが、その他、市の提案についての発見はいろいろあったので、できるだけ簡潔に当館に掲載し、最後に館主の所見を申し上げます。


(11月3日、記載分)
 11月3日付け中国新聞などの情報によると広島市は懸案の東西線案については、従来はアストラム延長にて広域公園〜西広島と西広島〜広島駅までとの2ステップに分けて工事を行い、20年にて完成の地下案で、予算3000億円としていた。この案を、このたび財政面の関係で3ステップ30年に引き延ばしすことにした。即ち第1期では広域公園から西広島間。第2期は西広島〜本通間。第3期として広島駅〜白神社〜広大跡地間として発表する模様。工費は変わらず3000億円。
 更に新ニュースとしては、かねて広電より提案されていた西広島〜白神社に至る路線付け替え案(平和大通り線)は、原案のうち西部分の西広島〜舟入町間のみを提案に盛り込むとしている。 
こんどの決定案は広島市基本都市計画に盛り込まれ、近々議会に提出され、議会にて承認されれば、来春の中国地方交通審議会に提出の運びになろう。
 この報道は中国新聞系のRCC放送にても行われた由。 元々秋葉広島市長が11月初めにも決定と予告されていたから、スクープというものであろうか? 新聞トップページの最上段だった。 

あと数日後には市から正式発表がありそうで本日はまず速報とし、正式発表を待って館主の意見を表明したい。(11/3記)


  説明する秋葉市長

先日まで公表さ
れていた広島市
アストラム
東西線案

軌道交通旧報道案

本日発表された
秋葉市長決定案

(11/5発表された
ものでは、呼び名を
西部丘陵都市線
より市民に判り易い
西風新都線に変更
された。
東西・南北線系統は
取材記事の通りで
あった。拍手!)

従来新聞社の
スクープの精度は
如何なものかと
思っていたが、
この結果にて
「さすが・・」と
納得をした。


軌道交通公式案

整備プログラム

(以下全項目とも11/5新製のもの)

3つの理念

  1. 交通利便性向上と都心部や拠点地区の活性化促進
  2. 既存ストックの活用と新たなネットワークを組み合わせた効率整備を計る
  3. 「都市の装置」としての公共性の大きさに見合う公共負担

新交通ネットワークの段階的整備

  • 1期工事:西部丘陵都市線(地上式) 18.4km 15年後年完成目標
  • 2期工事東西線(西広島〜白神社)と南北線本通〜白神社間(殆ど地下) 3.1km (アストラム線の環状化) 20年後完成目標
  • 3期工事:東西線(白神社〜広島駅)と南北線(白神社〜広大跡地) (殆ど地下)4.3km 30年後年完成目標
  ●第1期の整備は親道路準備など財政や沿線開発動向を見ながら事業の調整を行う。
2期以降の展開は第1期の進捗や財政状況を見ながら、事業展開の調整を行う。
  ●計画が総額3000億円もかかり、期間も30年と長いので、次の段階で見直しを行う
  • 財政健全化計画最終年度である平成15年(4年後)の時点
  • 第1期事業化区間完成の時点(平成26年)
  • 第2期事業化区間完成の時点(平成36年)
  ●西風新都線工事の時期に合わせて、親道路計画と西広島結節改良、西広島駅北口面整備、
   南口広場の拡充計画を検討

既存交通の改良・機能強化

  ●交通拠点の結節改良
  • 広島駅…JRとバスとの乗り継ぎ改善が中心
  • 横川駅…路面電車の駅前広場への直接乗り入れ。JRとバスとの利便性も確保。
  • 西広島駅…路面電車の都心方向への輸送力強化のために駅部の改造。バス発着の円滑化の工夫。
  ●路面電車の都心アクセス改善
  • 広電宮島線を平和大通りを直進し、江波線へ接続する「江波線接続案」を緑大橋の掛け替え計画と併せて具体化する。
  • 広島駅から駅前大橋を直進し稲荷町交差点と接続する「駅前大橋ルート案」について引き続き検討を深める。

バスサービスの改善

  • わかりやすく利便性の高いバスサービスネットワークを整備
  • バス停留所の改善、バス専用レーン・優先レーンの導入などなどの改善を引き続き実施

既存交通のバリヤフリー化

  • 引き続き低床車両の導入を促進する
  • 低床車両導入に対応した電停、バス停の改善。交通結節点におけるエスカレータやエレベータ、身体障害者用施設設置の促進

ソフト施策

  • パーク&ライド、時差出勤、自転車利用促進策などソフト施策を推進。社会実験の実施による新規の交通需要マネジメントの導入可能性検討

新たな調査 

 広域的な軌道交通網の発展
  • 広域的な軌道交通網の発展のあり方や実現の可能性の調査・検討
 路面電車網の拡充
  • デルタ内の交通利便性の向上を図るため、路面電車網の拡充について有効性や実現可能性について調査、研究の実施

その他:冒頭部の交通体系のあり方にて環境問題からみた交通のあり方が論じられているのが目を引いた


99.11.11追加分:広島市11/5発表資料より  .

交通施策体系図

館主の感想

  1. 秋葉市長の今回の決定はよく考えられた苦心の決定である
  2. 中身は3方一両損いや、それぞれ納得型になっている。市当局には、路線案は通ったものの、財政や市民納得の関連から、東西線地下案の実行は繰り下げられた。それでも西風新都線案は実行となったから当局は当分こちらに注力できる。
    広電は白神社までの平和大通り線を願望していたものの、その手前の江波線接続までは認めてもらえた。
    市民のなかで、例えば当会提案書は、
    西風新都線は賛成、デルタ内は地下鉄よりLRTでやるべしの提案
    をしていた。が西風新都線はGOでも、市内線のLRT化は見送られた。 LRT案決定でない点落胆はしたものの、ともかく東西線(西部)の同時着工をたいへん心配したので、これが回避になってほっとした。
  3. 当会の今後の活動
     本日現在だれとも相談していないので私見の範囲をでないが…
    今回着工が決められた西風新都線は、新開発地の定着が遅れている西風新都のためよりも、現に己斐地区の通勤交通の超過密、渋滞解決の懸案が、新交通建設となれば
    路下の道路新設と呼応してできることと、西広島駅が新線とJR、広電、バスとの新結節点が生まれる。この西広島駅を当会提案のように総合駅として建設して己斐地区の再開発がはじめてできよう。 こうなれば西風新都線は都市の装置として機能しよう。それでも気になるのは建設費800億円と採算である。東西線と同時着工に比べればまだよほどましだが。

    第2期の東西線(西側)の着工決定は事実上4年延期になった。上記資料にも明記してあり、4年後の平成15年に見直しをするとTVでも市長自ら明言している。 ‘私が市長の苦心の決定’と感じたのはこの点である。今回の決定は来年の運輸審議会に間に合わすタイミングでということがあったが、ますます先細りになる財政実態に加え、市のアストラム高架・地下案に偏った世論調査にも拘わらず、路面電車・アストラム伯仲という冷厳な市民の結果があった。これでは市民は必ずしも市案を支持していないという考慮があったはず。 そこで市長は、市民に「市民が考える4年間の時間をプレゼント」したと解釈した。

    この貴重な4年間を利用し、ろいろの新しい市民団体が勉強を始めるべきである。また広島市は全市民に対し地下鉄案の運賃、駅の設置場所、採算計算の詳しい内容と信頼性について市民に情報公開すべきである。同様にLRT化についても調査を行い、情報公開して貰いたい。市民は今後どしどし投入されるGreen Mover などとの素直な比較を行うべきである。また最終年には第3者機関による地下案以外の選択肢を備えた世論調査を実施すべきである。 更にその時点では財政の画期的な好転も前提になろうが。

    ともかくこの2期計画は4年後は見直しを予定している弾力的なローリングプラン
    であることが注目される。

最後に中国新聞の本日の社説「広島市の新交通計画−巨額投資をどう考える−」より一言引用して結びとしたい
「市が描く未来に、市民も参画し、生き生きした都市づくりを目指さない限り、生き生きした新しい交通体系は生まれないだろう」

余談 本日はTV局3社から取材されたので、ホームページ用に逆取材もさせて頂いた(=^_^;=)  夕方ニュースにて放映あり


TV広島局 敏腕女性記者Mさん RCCTV局 折しもHP作成中だった tssTV局 バックは荒手車庫GM