#663 |
2011.9.5 | ||
宇都宮市 LRT導入機運再燃 市長が意欲 |
宇都宮市がLRTなど新公共交通の導入に向けた動きを再始動させている。2年前に実施を見送っていた住民説明会も先月から始まった。
佐藤市長はこのほど、市内で開かれた講演会で、新公共交通について「宇都宮のこれからの盛衰をかけ、公共交通全体の事業を進めることが必要」と指摘。さらに「音もせず、環境にも優しく、狭いところも走行が可能なので、必要な部分にはLRTを導入したらどうか」と、LRT導入の必要性を訴えた。 市は高齢社会と人口減少の進行、環境への影響などを考慮し、町の機能や人口が集まる拠点を公共交通で結んだ「ネットワーク型コンパクトシティ」の実現を目指している。特に、市東部の清原工業地帯と市中心部を結ぶ道路は慢性的な渋滞が問題となっており、新公共交通の整備が不可欠とされる。 その代表としてLRTの導入が検討され、市は平成21年度に住民説明会を予定していたが、「政権交代で公共事業の見直しが進められており、方向性が不透明だ」として見送っていた。 |
本庁舎1階に設置された市民との対話用オープンハウス (背後のポスターは「まちづくりと公共交通ネットワーク」と表示) (Photo:産経ニュース) |
館主感想: 宇都宮市のLRT建設の嚆矢は古く、意欲は長く継続しています。 当館最初の宇都宮LRT案の紹介は2001年の下記の記事でした 関連ニュース: 宇都宮市東地区への新交通案が絞られてきた(2001/6) その後も活発な活動ぶりをご紹介しましたが、遂には実現して欲しいですね |
#662 |
2011.8.29 | ||
静岡市 LRT導入検討委員会 が9月に発足 |
静岡市は、整備を検討している新交通システムのLRTについて、導入に向けた「LRT導入研究会」が9月に設立されることになり、2011年内にも方向性を示す方針。
これは、静岡商工会議所の後藤康雄会頭の呼びかけで田辺静岡市長、酒井静岡鉄道社長の3者の協議により決めたもの。研究会の委員は久保田埼玉大学大学院教授、後藤会頭、三浦静岡鉄道専務、清水副市長の4人で構成予定である。 研究会では、路線をはじめ運営方法の検討、課題の整理などについて議論・研究していく計画で、9月から12月までに4回程度開催する。そして11年内に研究会から市長に研究結果を報告する予定。一方、市民に対してはシンポジウムを開いたり、パブリックコメントなどを実施して周知を図っていく考え。 市では、LRTの整備を検討するため、下図のようにうに想定ルートの具体化検討や事業費など多角的に調査を実施してきており、11年度は需要予測の調査を進めている。LRTは都心の公共交通を中心としたまちづくりを進めるうえで検討するもので、鉄道とシームレスな接続を想定し中心市街地と拠点間を連絡し、都心内を回遊する公共交通軸として位置づけている。 新たな交通システム導入には、市は3つの課題として@採算性の向上(適正なルートとシステムの選定、輸送需要の確保など)A導入空間の確保(車線の減少、道路の拡幅など)B財源の確保(事業手法の選定、事業資金の確保など)を挙げている。 これらの課題解決に向け、広く情報を提供し、意識調査や意見交換を行い、幅広い意見・提案を受け住民との合意形成を図っていくとしている。 現在想定しているルートは、下図のように静岡地区で2つ、清水地区で1つの合計3ルート。静岡地区の新静岡駅から中心市街地へ向かうルートと、新静岡駅から駿河区役所方面へ向かうルート。清水地区のルートは新清水駅、JR清水駅、日の出地区を連絡するルートである。 |
導入可能性検討調査における想定ルート |
館主感想: 静岡市には以前から旧清水市を中心としたLRT建設への市民団体が活動していることは当館でも紹介しました。更に静岡市中心の団体もある由。しかしお役所の静岡市当局も研究しているとは存じませんでした。 このたび市の都市局都市計画部が策定の核になり、公的なLRT建設検討が始まるとのニュースはたいへんびっくりし、心強いものがありました。 とにかく良い結論と提案が出て、その結果、静岡市が第2の富山市になることを祈るのみです。来年を待ちましょう。(^_^) |
#661 |
2011.8.22 | ||
堺市 阪堺線 LRT車両1編成を導入 |
堺市竹山市長は8/18、大阪市南部と堺市を結ぶ路面電車「阪堺線」で2013年度から1編成で運行する予定のLRT車両の導入経費として9700万円を負担すると発表した。市は阪堺線存続のため今後10年間で総額50億円規模の支援策を示しており、その一環。
従来の車両の出入り口は地面からの高さが約70センチあり、高齢者らの乗降が難しいとの声が市民から寄せられていた。新たな車両は出入り口の高さが約30センチで、ホームとの段差はほぼなくなるという。 市は8月定例市議会に、車両設計経費1900万円と、軌道を強化するための改修費7800万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提案する。鉄道軌道整備基金を阪堺線支援費用にも使えるよう同基金条例の改正案も提案する。 新車両の導入には軌道整備費などを含め約6億2千万円が必要となる。費用調達のため、市が中心になって市民や企業から3千万円以上を目標に寄付を募るほか、今後、市は車両購入費などの負担も検討する。 |
堺市市民まつりと阪堺電車 |
館主感想: 新市長になってからの堺市路面電車計画の進行を観るに、東西線LRT計画の方は難航しているようですが、南海電鉄との盟約による阪堺線支援の方は着実に進行しているようですね。(^_^) |
#660 |
2011.8.15 | ||
広島電鉄 ダイヤ作成ソフト SmartDia を採用 |
日立情報システムズは8月3日、クラウド型の鉄道ダイヤ作成サービス「SmartDia」の提供を開始した。パソコンの Web ブラウザからインターネット経由でクラウド環境にアクセスして利用する月額料金制 SaaS 型サービスであるため、専用システムの導入や運用、保守に関するコストを削減できるとしている。料金は、初期費用が100万円から、月額費用が25万円から。 |
SmartDiaの機能 |
広島電鉄1号線 SmartDiaによるダイアグラム適用例 |
#659 |
2011.8.8 | ||
広島市 子どもら 被爆電車に乗って体験を聴く |
原爆の被害に遭いながら修復され、今も現役で走り続ける路面電車の車両に乗って被爆者の体験を聞く会が8月4日、広島市で小中学生や保護者70人を対象に開かれた。 2班に分かれ原爆ドーム前電停を出発。1942年製造で南区宇品付近(5km)を走行中に被爆した652号車には、江田島市沖美町の下原隆資さん(81)が同乗して証言した。 当時、広島二中(現観音高)3年だった下原さんは校舎(2km)内で被爆した。顔に残る傷痕を示しながら、被爆直後の町の惨状を語り、「みなさんに核兵器廃絶の訴えを引き継いでほしい」と訴えた。 佐伯区の彩が丘小3年田丸萌々子さん(9)は「家族や友達を一瞬にして奪う原爆は許せない」と話していた。 |
被爆電車内の様子 拡げている広島市地図のうち、 赤い部分が原爆による焼失地域で、半径は約2km (Photo:中国新聞) |
館主私事: 私事ですが、広島市生まれの私は8月6日当日は中学2年生でした。朝8時15分は広島駅付近の畑(2km)に居り、原子爆弾を投弾して逃げる憎きB29爆撃機を手をかざして眺めていて被爆しました。「ア・チチチ・・・」 顔・手・肩を大やけどして這々の体で自宅(2.8km)に逃げ込みました。 それからの話は長くなるから省略します。 語り部下原さんは私と同じ学校で一つ上級の3年生だったのですね。 館主も4年前に広島市から今の宝塚市に引っ越す前は語り部を務めていました。(^^;) |
#658 |
2011.8.1 | ||
函館市 日本初 市電6台にAED設置 |
函館市電は27日、市電の営業車両6台にAED(自動体外式除細動器)を設置した。地元企業からの協賛広告費を設置費用に充てる試みで、同局によると、路面電車にAEDを設置するのは全国で初めて。今後もスポンサーを募り、本年度内に全30両への搭載を目指す。 市電が安心・安全な乗り物であることをアピールし、不測の事態に備える狙い。全乗務員が2004年から市消防本部の普通救命講習を受講し、AEDの使用法などを訓練してきた。近年は運行中に救急車を手配するケースが年間10件ほど発生しているという。 AEDは警備会社から5年契約でレンタルし、乗客にも分かりやすい車内の乗車口横か運転席の後部に各1台設置。設置車両の乗車扉の内外には「AED搭載車」であることと一緒に協賛企業名の広告を表示する。現在、市内の医療機関や食品販売業などを中心に8社がスポンサーとして名を連ねている。 設置費用は年間で約9万円。スポンサーの協賛費としては月額1万円弱になるという。同局では「沿線での交通事故や沿線住民に何かあった場合にも対応できる。多くの人に安心してもらい、市電の存在価値を高めていきたい」との考え。 |
AED搭載の函館市電。現在は6台だが、年内に全30両搭載をめざす |
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搭載したAEDの状態 扉の横で取扱がしやすい | ↑ 扉にはスポンサー名も明瞭に | |
(Photo:いづれも函館市中里さん) |
函館市電はいいアイデアを実現しましたね。(^_^) これこそ全国の路面電車事業体にても採り上げ、ならってほしいものです。 |
#657 |
2011.7.25 | ||
名古屋市 リニア開業を見据えて LRTが核の将来像 |
名古屋市の外郭団体、名古屋都市センターは、2027年のリニア新幹線開業後を見据えた名古屋市中心部の将来像名古屋都心ビジョン2030をまとめた。名古屋駅地区の一極集中を避けるため、栄、名古屋城など8エリアで特色あるまちづくりを進めた上、LRTなどで結び付け、リニアが生み出す活力を都心部全体に波及させることを狙っている。 名古屋駅はビジネス中心の「スーパーターミナルシティー」、栄は「おしゃれ社交タウン」、名古屋城は「名古屋シンボルゾーン」と性格付けた。残る5エリアは、産業技術記念館などがある則武、徳川園、鶴舞、大須、笹島で、それぞれを環状のLRTや循環バスでつなぐ。魅力あるまちを回遊できるインフラを整え、都心への来訪と滞在を増やす狙いがある。 センターの担当者は「リニア効果で人の流れが名古屋駅に吸い寄せられると、街の厚みがなくなり魅力が失われるおそれがある。ビジョンを議論のたたき台にしてほしい」と期待している。
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#656 |
2011.7.8 | ||
長崎市 LRT車を対象 携帯電話で乗車予約を可能に |
足が不自由な障害者や高齢者の路面電車利用を促進しようと、長崎市などでつくる市LRTナビゲーション推進協議会(仮称)は、車いすでも乗りやすい低床車の位置情報を携帯電話で提供し乗車予約できる事業の本格運用へ向け、今秋から実験を始める。 全国4地区(補助額計4100万円以内)で選定された国土交通省の「ユニバーサル社会に対応した歩行者移動支援に関する現地事業」の一つ。同協議会は市や長崎電気軌道、県立大教授らで構成する。 LRT車は現在4編成。運行時刻は1編成分は決まっているが、残りの3編成はいつ来るか分からず、利用客がタイミング良く乗るのは難しかった。 実験では、衛星利用測位システム(GPS)機能があるスマートフォンを低床車に配備し、位置情報をサーバーへ随時送信。車いすなどの利用者は携帯電話で移動中の低床車の現在位置を確認し、事前に乗車を予約する仕組み。運転士は予約通知を受け、車いす利用者が乗ってくることを車内へ知らせることもできる。本格運用は来年4月の予定。 市が今年3月まで運行していたコミュニティーバス「らんらん」で位置情報を提供していたため、そのノウハウを生かす。同協議会はサービス利用者数を年間1万5千人(うち車いす180人)以上と見込んでいる。 |
システムのイメージ (情報:長崎新聞) |
#655 |
2011.7.11 | ||
富山市 富山駅付近の連続立体交差工事開始 |
2014年度末に開通する北陸新幹線建設に伴い、JR富山駅に接続する北陸線・地鉄線など在来線を高架化する工事が5月から始まっている。 区間は富山駅をはさみ東西1.8kmで、北陸線と高山線、富山地方鉄道を高架化。総事業費は345億円で県を主体に進めている。 この事業の効果はJR富山駅周辺の道路の渋滞解消や、待望の富山ライトレール線と南の富山地鉄市内線との接続が約束され、駅をはさんで南北を一帯化させたまちづくりが実現される。 |
JR富山駅周辺連続立体工事の起工式にてくいを打ち込む石井知事(右から3人目)ら(5/22) |
#654 |
2011.7.4 | ||
東京 函館市電ササラ電車 76年ぶりに東京へ里帰り |
函館市電にて積もった雪をかき飛ばすササラ電車として活躍する旧東京市電の車両を、江戸東京博物館/東京の交通100年博に展示するための移送作業が6/27始まった。博物館は7/4に到着する。 車両は1903年〜04年に東京都電氣局が新製した四輪単車。函館市では1934年に市の1/3を焼失する函館大火があり、市電の2/3を失った。復旧に当たり1934年に東京都より上記電車を25両導入。のち1937年に4両をササラ電車に改装、うち2両が現役。都電としては路面電車で活動する最古の車両とされる。 江戸東京博物館の東京の交通100年博(7/14〜9/10)に展示するため、ほぼ76年ぶりの里帰りとなる。 関連HP:東京の交通100年博 |
東京に移送されるためにトレーラーに積み込まれるササラ電車 (Photo:共同) |