2007.3.24

経緯の説明:
 2007年4月8日、広島市では市長、市会議員、県会議員の同時選挙があります。広島市では既に1999年に既設アストラムを延伸して市内に至る部分はトンネルと地上形式にて、市中部分は十字形に地下鉄形式にて建設する、その一部である観音町〜河原町間には路面電車の延伸もする、という公式案を発表し今日に至っています。しかし本日に至るまで市での具体的動きは殆どありません。路面電車を考える会では、この公共交通の展開、特にLRTの延伸については重大な関心をもっており、この際各候補者に対し、店ざらしの地下鉄案とLRT延伸についてどう考えているのか、他の公共交通はどう考えているかを公約として聞くことにしました。
 このたび世話人代表二文字勝美が各候補者に個別に接触し、下記のように回答を纏めることができました。各候補の了承を得ましたので、回答を3月23日に記者クラブに於いて新聞社・TV局への公開を果たし、同時に当ホームページでも公開するものです。

質問 T 
 広島市における公共交通は充足しているでしょうか?
    1.充分に足りている  2.ちょうど良い   3.不十分

質問 U 
 質問Tとは少し視点を変えまして、
平成11年(1999)11月に広島市が発表したアストラムラインの延伸・地下化計画は 現在も生きています。しかし、既存の路面電車のLRT化と付け替え・延伸等の方が建設期間も短く、安くできるのでこちらを採用すべきと言う提案が官民からもでています。 そこでお聞きします。
  1.アストラムラインの延伸・地下化は非現実的と思うので廃案を正式に決め、路面電車の
    LRT化をはかり、付け替え、延伸等の整備を早期に実現する。
  2.アストラムラインの延伸・地下化を時間と資金がかかっても推進する。
  3.車中心の道路建設だけを実行する。
  4.考えを持ち合わせていない。

質問 V
 都心活性化について
 A.都心活性化のために進める各種方策のうち優先するものは以下の中では何ですか?
  1.公共交通、特に路面電車・LRTのさらなる応援(延伸・導入補助等)
  2.公共交通、特にバス利用中心の応援
  3.車の利便向上のために無料・有料駐車場建設の応援
  4.都心でのイベントの更なる増加と応援
  5.通過交通をスムーズにする施策
     (市内を通過する車を周辺に迂回させ中心部に流入させない等)

 B.広島市の建築規則の改正とLRTの利用。広島市は後背地が山で宅地開発の余地が少なく、高齢化社会を考えた場合、デルタ部の高層階建築制限を緩和し、特別高層階が作りやすい様に改訂を計る。その場合、都心居住者へ地上移動の道具として水平エレベーターとして路面電車が考えられる。
  1.提案を採用したい
  2.反 対
  3.考えられない
  
  *************************************************************************

 各立候補予定者からの回答は以下の通りです。記載の順序は訪問順としています。
ただし、前島修さんは質問状を届ける時点では住所を公開されていませんでした。どの様に扱うか考えましたが、公開していないことを尊重し今回は含まれておりません。
 また、荒木みのるさんは、設問には直接ふれずコメントを出しておられますので、関係有ると思われるところを概略紹介。同じく秋葉忠利さんは設問に沿った形でコメントを寄こされましたので、これも概略を紹介します。

(回答結果)

           
  質問  T 質問  U 質問 V−A 質問 V−B
大原 邦夫さん
荒木 みのるさん
秋葉 忠利さん
柏村 武昭さん


各予定者からの、回答に付加されたコメントと、概略の紹介

大原邦夫さんの付加コメント
質問2 回答 1
 ただし、己斐地区の道路拡張は、安全と車両のスムーズな通行のために実現が急がれます。
また、アストラムライン・広城公園駅とJR山陽線との間を、定時性に優れた「軌道系」で結び、外環状化することも検討すべき課題だと考えます。

質問3 A 回答 1
 同時に、マイカーの都心乗り入れ規制、バス網の整備、自転車置き場の設置など、総合的な交通体系の検討と整備が必要です。

質問3 B 回答 1
 ただし、高層階建築制限の緩和が必要かどうかについては、デルタ部の「土地利用マスタープラン」の中で検討したいと思います。
 以上がご質問に対する回答ですが、大原も、ご指摘の点については基本的に賛成で、マニフェストにも路面電車の活用策を含めて、環境にやさしい交通を提案しています。マニフェストに目を通していただければ幸いです。


荒木みのるさんの概略コメント 
 私は路面電車の事に関しては、格別の思いも、情報も持っていません。私は、与えられたテーマを「都市開発」と受け止めました。私は中心部の再開発によって、中心部の人口密度を高めるべきと考えています。現時点、日本全国でシャッター通りなどに象徴される衰退エリアがあり、このエりアは中心部にあります。このエリアに多くのマンション住宅を含む再開発が進められるべきです。この再開発は、民間の力ですすめられる事業でしょう。必ずや、利を上げることが出来るでしょう。行政は、再開発に必要な法整備など、サポート役に徹する立場です。再開発に税金を使ってはいけません。路面電車は、その中で、皆様で考えて下さい。

秋葉忠利さんの概略コメント
問 1
 車社会の進展い対し、公共交通は自動車への過度の依存により利用者が減少し、サービスが低下という悪循環に陥っており、この流れを放置すれば、環境問題や高齢化社会への対応などの課題は深刻化を増すと考えられる。
平成16年に「新たな交通ビジョン」を策定。人間を中心に据えた環境負荷が小さい持続可能な都市形成を目指し、道路と公共交通の分担とバランスを考慮しつつ、交通体系の軸足を公共交通へシフトすることを今後の施策の方向性としている。

問 2  
 平成11年度に整備計画は策定しましたが、その後の財政状況、社会経済状況が急速に変化したため、計画通りの時期に完成することはきわめて困難であると考えている。このため、将来の交通需要や財政負担、費用対効果などの観点から再検証を進めている。この過程において、路面電車等の既存の交通ストック等を活用する代替策の可能性についても検討し、望ましい方向性を見いだしてゆきたいと考えている。路面電車は地下構造が中心の新交通と比較すると建設期間建設費用の面では優位性がある。一方で、平和大通りに路面電車を導入する為には輸送力、需要予測、費用対効果などの交通計画を立案する上での基本事項の検討はもとより、平和大通りの空間利用のあり方についての検討、さらには市民や関係機関との意見交換を行い十分な合意形成を図っていく必要がある考えている。

問 3A
 「新たな交通ビジョン」の施策コンセプトの一つに「都市の活性化や都市生活の快適化に貢献する交通へ」を掲げており、公共交通網の機能強化やサービスの一層のレベルアップ等、力点を置くべき施策の方策の方向性を示しており、都市の拠点性を高める交通サービスの提供を目指ている。「交通ビジョン推進プログラム」では路面電車のLRT化の検討、急行バスや深夜バス運行拡大等の改善、白島新駅の設置等に取り込む。

問 3B
 広島市の路面電車は、広域的な交通結節点と都心を連絡する広島市都市部における重要な交機関である。路面電車は移動経路や乗降場所が分かりやすく、平面的な移動手段であるため「人に優しい交通機関」であり、ますます重要性が高まるものと考えている。
このため広島市では、路面電車がこれまで以上に定時性、快適性及び利便性に優れた交通機関になるよう積極的に支援している。


柏村武昭さんの付加コメント
質問 3 B
本質問については返答ができない。確かに広島市のコンパクトシティー化を導入する時に検討しなければならないが、まずはLRTの都市部の手軽な交通機関としての確立が第一であると考えます。また広島市高層階の建築制限についても原爆ドーム周辺の都市景観を再検討する必要があります。


関連情報ページ1:21世紀における広島市軌道交通改良について提案  (99/8)
   〃      2:広島市 東西線は地下方式3ステップ30年案へ変更 (99/11)