#29 1998.3.13

広電 比治山線に3両連接車5編成投入


広電では広島駅〜宮島口間に新鋭車3950(3両連接車)型を導入している。現在3951〜3954までが受領され運用中であるが、引き続き2編成がされ計6編成が投入運用されるはずである。 これによる余剰車の活用が注目されたが、現行宮島線では比較的加減速の遅い3000型(旧西鉄福岡市内線、3両連接車)が転出する。
 新運用は比治山線(広島駅〜宇品港)で、かねてラッシュ時に広島駅での混雑を指摘されていたが、ここに7:25〜8:41発にかけて朝方のみ5編成が専用運行される。予備車1編成。
実施期日は3月16日より順次。
これで市民アンケートでも声の多かった課題がひとつ解消するはず。


 広電3000型       平町隆典


#28 1998.2.18

豊橋路面電車、2月19日より豊橋駅に乗り入れ


「とよはし市電を愛する会」事務局長大辻太一郎氏より下記に情報をいただきました。

  • 豊橋市が進めていた豊橋駅前整備もようやく終盤を迎えた。
  • 従来の豊橋鉄道市内線を150m延長し、駅前広場のバス・路面電車への直接乗降できるように新設の電停に接続した。新電停は駅2階から広がるペデストリアンデッキに直接連結しているが、いよいよ2月19日よりこの新電停が使用開始される。これでJR駅の乗客はデッキから直接路面電車やバスに乗降できるようになり、格段と安全になり、移動距離・時間とも短縮されることになる。
  • 延伸事業費は3.5億円で、建設省が本年度に始めた路面電車改築補助の全国初めての適用である
  • 2月19日午前11時より新駅前停留所で「市内電車豊橋駅乗り入れ式」を開く
  • 「とよはし市電を愛する会」代表も出席
  • 豊橋駅総合整備事業としての完工は4月11日である。
  • 付記:第4回路面電車サミットは豊橋にて開催。このたび準備委員会が発足し、開催は1999年(平成11年)6月4日(金)、5日(土)と決め、準備を進めている。


#27 98.2.4

広島市東西線案3月中結論はむり。2・3ヶ月延期か。交通委員会を傍聴してみて 


12月25日に行われた市交通委員会の討議は時間不足で残りの討議を1月27日に行われた。
主な討議は下記に譲るが、本日の結論は、前回質問多発の広電からの詳細資料提出は2月はむりで、まだ2.3ヶ月はかかる気配で、広電案の検討をまってから交通委員会の結論を出さざるを得ない。すると当初スケジュールの「2月広電案討議、3月結論は到底ムリで2・3ヶ月以上延期になることは決定的になった。

  • Q:今朝の中国新聞を見ると「国の補助厳しい 市の結論先送りも」と出ているが、これは市と運輸局との調整がうまくいっていないのではないか。 これではここで審議しても仕方がないのではないか?
    A:結論が出ているわけではない。お互いに紳士的にやっており、厳しく反論されているわけではない。10万から12万人の輸送予想は過大ではが焦点で、理解を求める努力はする。(なんとなく暗い空気が漂ったように感じられた)
  • 広電詳細案はいつ出てくるのか?
    A:いつ出てくるか回答を貰っていない。
  • 今回の資料では、丘陵線、東西線、南北線の3案が同時開業を目指して結論が出てから11年後完成。市は財政難で建て直し、国も財政難といっているときに3本同時はムリではないか。
  • 紙屋町一点集中は将来ともこれでよいのか。南のターミナルとか海田市等はどうか?
    A:外周ターミナルは考えていない。
  • ヨーロッパの運輸連合式を視野に入れているか?
    A:勉強し始めている
  • 西広島ターミナル案として広電やバスも含んだものを考えるべきと思うが
    A:全て盛り込んだもので、画を描いている最中である。
  • 既存交通からの乗換前提の計算は無理があるのでは?例えば11.5万人の根拠。
    A:自信がない。運輸局や交通事業者と話し合って精度を上げたい。
  • 道路予算年700億円のところに年200億円の軌道予算が割り込んでくることになる。下水道さえ7割カットのところに200億割り込むのは影響が大。どう考えるか?
    A:そこまでは考えない。年度は固定していない。引き延ばしてもよいと考える。
  • 広電案の資料つくりを任せて責任持てる案が出来るのか?何故助けないのか?もっと速くできるのに。
    A:提案者に一貫してやって貰いたい。 埋設や堰堤高潮対策等については、道路管理、交通政策の立場で資料を提供している。  
    Q:人材的な応援をして貰いたい。
  • LRTは補助が出なくて基幹交通ではないのか?
    A:LRTは補助が出る。路面電車もやり方によっては基幹交通の可能性がある。今議論している。
  • 八十島案は古い。車体技術も財政事情も当時とは変化している。解き放たれるべきである。
    熊本市のLRTは全国の自治体が来ているが、広島市は来ていないと。ぜひ行って研究して貰いたい。
  • 広電案待ちといいながら、既存広電の線と徒歩5分の距離に建設する案だ。広電はどうなるのか?
    自助努力を。だめなら市民の足の点からバックアップを考える。
  • 市民からはLRTの方が遙かに便利の声。
    A:どういう線か? 市は基幹軸がいると考えている
  • 西部丘陵線3案のうち、アルパーク案、五日市案は検討されなかった。これは道路を大きくいじるのか?
    A:アルパークは新道路で、五日市は拡幅で、己斐は新設で考えている。
  • 旧案固守で傍証ばかりだ。全市に拡大した案で再検討することを委員長にお願いしたい。
    いろんな議論をしたいのに、開くと市の絞られた議論のみになってしまう。
  • (委員長)次回開催は協議の上で決定する。


#26 98.1.25

広島市東西線と広電平和大通り線、市民シンポジウム


 広島市は東西線案を市議会の交通委員会に提案審議中であり、一方では広電は同じ平和大通りを利用する平和大通り構想を広島都市圏交通連絡会議と広島市に提案した。両案とも市民生活に関連が深く非常な関心を呼んでいる。考える会としては、雲の上で審議されている両案について、市民にも説明して貰える機会を持ちたいと両当事者に提案し応諾を得て、いわば市民シンポジウムといったものが開催された。
 市民がかかるシンポを催すのは珍しいとかで、在広島のTV5社と各新聞社とが取材に参加したのも当会としては異例であった。   会議の進行は下記のとうりであるが、内容は会員のメモを集めて編集したもので能う限り全般を纏めたものである。
 翌日からは会議の模様がTV新聞を通じて報道され、市民の認識に寄与したことも有益であったと信じる。

広島テレビでは「広島市の交通体系にもの申す 電車シンポで議論百出」なる見出しが付けられた
TVでは市の高架案も参考表示 議論は白熱。最後は時間不足で発言不能者も出た。右画はNHK


以下は当日の討議記録

  • 日 時: 1998(平成10)年1月16日(金) 18時30分 〜 20時30分
  • 場 所: 広島市婦人教育会館4階大会議室
  • 参会者: 総数 120名超
              ・内訳 会 員: 32名 会員外(記名者): 73名 (非記名者):α名 
  • 記録者:増本 純二 路面電車を考える会 世話人             
         長船 友則    〃       〃             
         藤井 正史    〃      会員                      


【シンポジウムの構成および進め方】
     講師: 広島市道路交通局 都市交通部計画課 課長補佐 立岩 薫氏 〃
        〃       主任技師 国信 直之氏
      広島電鉄株式会社 電車部運輸課 課長 池田 巧氏
        〃 保線課 課長 井手原誠氏
     司会進行 : 路面電車を考える会事務局長 山根 政則

 質疑意見発表の時間を確保するため、通例となっている基調講演等をすべて省略して広島電鉄、広島市からそれぞれの新線案の概要説明(各10分間) を受けた後直ちに質疑応答意見表明に移った。
 なお新線案の概要説明では広電の準備された資料の中に欧米のLRTの紹介が含まれていて参会者にLRTのイメージを持って貰うのに好都合と考えられたので発表順序を広電→市の順とした。

【議題の提起】


司会者

 本日のシンポジウムで出席者の意志をまとめるとかの思惑はない。広島市および広島電鉄の案を公平に聞いて市民として判断をして貰いたい。又市広電は参加者の意見を施策に生かして貰いたいと会の趣旨を説明した。

広島電鉄

(OHP併用資料A3判両面印刷1葉)
 持ち時間の半分以上がヨーロッパおよびアメリカでのLRT実例の、主として写真による紹介に費やされた新線構想の説明は広島市デルタ部の地図と平和公園前の鳥瞰イメージ図上で簡単に済まされた(時間が足りなかった?)。平和大通新線の他に松川町〜稲荷町〜広島駅前付け替え構想にも触れた。両線で1)近代化 2)利便性(速達性)向上 3)特色ある街造りに貢献したいと強調した。

広島市

(OHP併用資料A3判2葉アストラムラインカタログ(H7.1)のコピー)
 西部丘陵都市線南北線東西線を含めた新規軌道系検討の全般について八十島委員会の諮問から現在までの審議経過今後の検討手順各構想路線の概要(事業費等に重点)が説明された。西部丘陵都市線は西広島延長にこれと一体のものと考えている東西線は新交通システムの高架又は地下案のいずれかに更に南北線は広大跡地までの区間整備地下案にそれぞれ事実上絞られていることを明らかにした。


【質疑応答意見表明の要約】

(発言順)
 司会者から討議の効率を高めるため次の順に質問を受け付けるとの方針が示された。
  1. 景観と環境
  2. 移動時間の短縮と乗降の便利さ
  3. 建設費と運賃
  4. 着工時期と工事期間
  5. その他
  • 討議の過程で路面電車を考える会事務局作成の「市東西線案広電平和大通線案計画比較表を配布した(内容は本報告末尾に掲載)
  • NK氏 西区福島町町内会長
     市のアストラムライン延伸計画では(高架案は勿論だが)地下案でも福島町内だけは高架構造になると聞く。景観上好ましくない路面電車案に賛成する。

  • X氏
     広電案にせよアストラムライン延伸案にせよ、実質的に平和大通南側の緑地帯がなくなってしまうではないか

     〈A;市〉 緑地帯との関係についてはまだ細部検討以前の段階である。

     〈A:電〉緑地を削るというより駐車場のスペースの転用を期待しており電停部以外では殆ど緑地にはかからないと考えている。

     ≪記録者所見≫ 市は事実上無回答 広電はOHPを併用して説明したが使用した絵がセンターポールのイメージ図であり道路断面図による説明でなく緑地が削られるのか否か明確に示されなかった。質問者も納得した様子ではなさそうであった。駐車場の幅だけで足りるのかとの再質問にも、広電は明確に答えなかった質問者は最後に平和大通の南北緩速車道をすべて一方通行とし片線づつ線路を敷設すれば緑地帯を削らずに済むとの意見を述べた。

  • A氏
    平面を走らせれば済むものを何故市は高架や地下にこだわるのか。特に高架にした場合のイメージを具体的な絵で示して欲しい。

    〈A:市〉高架(地下)を想定する理由は該当区間に信号交差点が20所あり東西平面軌道交通を優先させた場合の南北交通の阻害を懸念しているためである。地平線とした場合の影響等は広電に調査を委ねている。イメージについては現在慰霊碑等の調査を行っている段階でまだ結論は出ていない。

  • OS氏
    (市民の立場からと前置きされて発言) 自分は数年前まで欧米各地に滞在した。シカゴ、ミラノ、ブレーメン等々。彼地では路面電車は自然に溶け込み自然と共生している。木立の間、芝生の中高木の下を線路が走っている。線路上方の高木を伐採する必要はない。平和大通の緑地を多少削ることになっても心配する必要はない。シカゴでの経験では高架軌道は騒音が大きく好ましくないパリでは、革命広場横の橋上(川の上)に停留所が設けられている。広島でも平和大橋や西平和大橋上を停留所にすれば両岸の人が利用でき平和公園正面の緑地帯を保全出来る。
  • IS氏

    路面電車は交通手段であるだけでなく、観光資源でもあるのだ。隠すのではなく、ドンドン表に出せ平和公園と宮島とを直結する電車とはすばらしいではないか。

  • 0T氏
    広島の路面電車は民営だから残ったのだ。市はよけいなくちばしを入れず、手を引け。

  • S氏
    新設される路線の利用者は既存の電車バスからの転移者が大部分を占めるであろう。ということは既存の交通事業者である広電、広バスが大きな打撃を被ることが必至である。仮に広島バスを例に取れば、経営を維持するために都心部の路線を廃止するであろうし、ドル箱路線の喪失は同社の郊外部の路線にも影響は及ばさずにはおかないであろう。広バスしか選択肢のない吉島線小河原線の利用者等東西線の恩恵に直接浴さない周辺地域の住民に犠牲がしわ寄せされる。市の試算にはこれらのコストも織り込んでいるのか?

    〈A:市〉既存交通から新交通への転移者数は、電車から4万人・バスから2万人:合計6万人と見込んでいる。これは新路線の両側500m圏内の住民数にパーソントリップ調査の結果を当てはめて推計したものである。ただし今のところその対策をどういう方向で処理するかというところまは作業が進んでいない

  • NK氏
    広電案に賛成。 この財政難の時期に何故高架や地下のアストラムラインの延長に固執するのか理解できぬ。今は心ある行政が求められている(続いて昨年9月の中国新聞の切り抜きを示して)アストラムラインの巨額の赤字とその補填が将来長く市の財政を圧迫することを取り上げ計画時の黒字予測がズサンであったこと、それなのに誰も責任をとらない行政姿勢を糾弾してアストラムラインの延長案に反対した。

  • OH氏
    1. 観音高架橋がいつまでも暫定開通状態のまま放置されている現状をどう捉えているか
    2. 補助金、助成金を頼りに計画が進められているが財政改革により補助金助成金は整理削減される方向にあり結局は市財源の持ち出しになると考えるがどうか?
    3. 交通量そのものをコントロールする視点が欠けている。

    〈A:市〉 1)観音高架橋については論評する立場にない。
    2)助成についてはさらに拡充を要望したい。
    3)TDM(Traffic Demand Management)については時差出勤、パークアンライド等の推進に取り組んでいる。

    ≪記録者所見≫2)については質問者の趣旨と回答とがすれ違ったままで終わった。

  • OS氏 市民にとってより便利になることが重要である。便利さと金銭の話は切り離せ。路線は放射状の方がよい線路の形態を1種類に限定するのでなく地上、地下、高架と多面的な手段を駆使することが必要だアストラムライン(広電か?)は三川町まででなく比治山の東までのばせ。

    〈A:市〉将来広島駅から東広島駅(貨物駅)跡地方面へ延長の含みを持たせている。

  • T氏
    広電は40億円でできるというが本当か?根拠は?運賃は上げるのか?助成をあてにしているのか?

    〈A:電〉 40億円の積算はは直接費だけで、道路の嵩上げ、地中障害物対策費等は含んでいない総工事費は市の指導を得ながら確定するが市関連官庁の理解を得て補助が受けられることを期待している。

    ≪編集者所見≫資金の調達については(将来の運賃値上げを含め)回答なし

  • Y氏
    沼田に住んでいる身としてはアストラムラインの開業で飛躍的に便利になった。その立場からは広島駅に行くのに乗り換えとその都度の運賃支払が必要になるような案では便利さに欠ける。広電は比治山から東へ延ばせ。

  • TT氏
    市も広電も利用者の立場に立つという視点を忘れている。 市は20年先の人口を推計して立案したというが20年では足らぬ50年先を見透せ日本全体の人口が1.2 → 1億人に減少し 高齢者比率が 16.2%→32.3% に増加すると予想されている50年先の広島の姿がどうなっているのか。高齢者には移動経路に階段があっては困るのだ

  • YM氏
    広電では本当に早くなるのか?果たして本当に将来の足になり得るのか?

    〈A:電〉海外の例を見ても都市の進化に伴って電車も進歩して立派に都市の機軸交通機関として活躍している。広電も関係先のご協力を得て交通信号の連動、市内運行速度・列車編成長等規制の緩和を要望し高性能車両の投入等の施策によって役割を果たして行きたい。

  • K氏
    計画書の杜撰さを指摘しただけでつき返し広電だけに計画の手直しをさせている市の態度に憤りを覚える将来の広島の交通基盤を定めようとする時に、何故広電と市が共同で作業できないのか
    運輸局の態度も問題だ。審議途中に口出しするより規制の緩和等実質的バックアップをすべきだ。
    八十島答申をタタキ台とするのは非現実的だ。計画書で市の高速路面電車と広電のLRTとを何故ドッキング出来ぬのか?

    〈A:市〉事務方担当者ベースでは市も協力して作業している。市の持っているデーターも提供している。市原案の高速路面電車案はもともと広電を事業主体と想定したものであり広電案との違いは南北通りとの交差が立体か平面かの差と考える。

    〈A:電〉広電も広島市と協力して作業に当たっている規制の緩和については広島市との問題というより、軌道事業体共通の問題と捉えている面もある。

  • XY氏
    ストラスブール市等最初に紹介されたLRTの実例はすべて人口60万〜20万人規模の都市と理解しているが百万都市の広島での輸送能力に自信はあるのか

    〈A:広電〉ヨーロッパでLRTは2千人〜15千人/Hの輸送実績を示している。
    現在の広電の輸送量は8千人〜10千人程度で輸送能力以内と考えている。将来の増加も車両の編成長の規制緩和大型化と高性能化で対処可能な範囲内である。

  • U氏
    1. 市幹部が広電の提案に耳を貸す余地はないと発言されたと聞くが事実か
    2. 住民投票をして貰いたい
    3. マツダ・フォードと共同でLRTを開発できぬか
    4. 地球温暖化対策もあり平和大通りの自動車通行を禁止したらどうか

     〈A:市〉1)市幹部にそのような発言があったとは聞いていない市民の代表である市会の特別委員会で審議中であるマツダ・フォードの話は初耳である研究テーマではあるがすぐに取り組める問題ではない

    〈補足:司会〉スイスには8億円を越える投資的支出には住民投票を義務付けている都市もある。
  • M氏 車椅子利用者
     現在広島市域で、車椅子で利用できる交通機関はアストラムラインしかない。
    低床バスの登場が喧伝されたが、やはり10cm程度の段差が残るそうだ。低床路面電車でも同じではないか

    <A:広電>(OHPを利用してステップ段差を説明)市内線で8cm、宮島線で3cmの段差は残るものの、車椅子利用ははるかに容易になると考える。

    <補足:司会者>ヨーロッパでは車両乗降口から路面に向けて渡り板を出して車椅子の乗降を助けている例がある。設備面で対処可能だと思う。

     それでは実際に車椅子で乗れるようにするのかの追加質問に対し、広島駅前等を除き電停の巾が不足することが指摘された。

    <A:広電>電停幅員の拡張は自動車車線を狭めることになるため、関係機関との合意が必要である。

    M氏は椅子で乗れる交通機関を整備せよと重ねて要望した

  • IT氏
    本日の議論を聞いていて失望した。コストや景観の話ばかりで国際平和都市の理念がどこにあるのか。何故平和大通があるのかその意義を忘れないで貰いたい。平和大通の樹木は全国からの献木で成り立っている。企業や市の都合でこの大通りの理念を損なうことのないように。コスト景観だけに拘らぬことを要望する

【記録作成者の所見】


 予想以上に参加者があり立ち見の人が相当数におよびその殆どが終会まで立ったままで参加された。発言希望者も多く時間切れ閉会時にもまだ挙手者が見られた。出席者はやや高年齢層に片寄っており若い人は少なかった。特に女性の参加者は(マスコミ取材陣を除くと)僅かであった。
 質疑意見発表は路面電車に好意的なものが多かったが記録を整理してみると路面電車に厳しい意見も散見される。自分は発言できなかったが、路面電車案には反対だと受付に意志表示して退場した人が1名あった由である
 マスコミ取材も多く在広TV局は全社が揃った。今後これらがどのような論調で報道するかが問題と思う。
 この記録には録音を併用せず、メモだけで作成した。正式議事録として扱うには疑問があるため表題は単に記録とした。


                                 以 上


(参考資料)
     広島市東西線案、広島電鉄平和大通り線案 計画比較表
                             路面電車を考える会事務局

この比較表は「広島市都市交通問題調査特別委員会」資料と傍聴記および広島電鉄「路面電車の活性化とバスとの結節点改善計画概要書」等を参考にして纏めました


. 広島市東西線新交通高架案 広島電鉄平和大通り線LRT案
1.建設費 1600億円
(広域公園〜西広島700億+
東西線900億円)
48億円+α
(別途に地下埋設物、高潮対策
護岸工事等土建工事追加)
2.予想運賃 己斐〜白神社 220円? 己斐〜白神社 (市内均一?)
3.工事期間 5〜10年?
(札仙福地下鉄平均11.5年)
1年間
4.建設開始見通し 平成14年 認可後1〜2年?
5.輸送能力(100m路) 最大利用見込数 11万人/日
/平成32年
最大12,000人/時
ラッシュ時は
7320人/→8340人/時
最大10,000人/時 37%アップ
6.長期輸送能力 広島都市圏の人口増加率は
6%の見込み。対応力充分
第2次案として平和通りから
駅前大橋経由駅行き案策定
7.乗客の確保 路面電車から4万人+α
バスから2万人+α、
徒歩2輪等から1.3万人
 計 7.3万人 転換移乗
現広島駅行き乗客の平行移動+高速化によるプラスα
8.交通事業者への補償 まず事業者に工夫努力を求める 
補償はその結果で考慮
9.環境保護
 景観への影響
 騒音程度は
平和通りに日照日陰問題発生
橋脚があるから緑地を一部
削る可能性
100mの南側を通す
緑地を巾1mくらい削る
センタポール芝生貼り
静か アストラムよりは大
10.安全性快適性 安全性高し 新式の低床式車両採用
11.利便性
 移動所要時間短縮
(現行表定速度11.5km/h) 
  乗降のし易さ
西広島〜紙屋町18分→15分
           (要乗換)
西広島〜袋町22分→8分
西広島〜紙屋町18分→13分
(優先信号にすれば10分)
西広島〜白神社 22分→9分
(優先信号にすれば7分)
エスカレータエレベータ、階段 水平移動ゆえ簡単。短い区間
の市内移動はこちらが便利
12.都市活性化と商店街への影響 中央通りには繁栄に貢献? あまり影響がない
13.自動車交通への影響 高架なので影響なし 交差点部での左右折等円滑な流れの確保に影響
14.西風新都住民にとっては? 直通で市内へ行ける 建設中の高規格道路をバスで中心部への運行となる
15.宮島線住民にとっては? 袋町、富士見町方面へは便利に
なる
都心への運行時間が速くなる
16.一般市民にとっては? 差し当たり、電車バスの便数低下路線網縮小が心配
17.課題 財政難
(97/9/11報道:99年度に財政
破綻が予想される・・)
市案が実行されると電車・バ
ス会社とも存続に影響
(参考) 札・仙・広・福・実績比較  

             平成7年度      累積損失
  札幌市営     △ 303億円     △2,587億円   「市資料」
  仙台市営     △ 111億円      △ 522億円     〃
  広島高速交通   △ 18億円     △  58億円     〃
  広島電鉄         6億円           −     「鉄道統計年報」
  福岡市営     △137億円     △1,033億円   「市資料」


#25 97.12.28

12/25の広島市交通委員会を傍聴してみて  


12/25日に行われた広島市の「都市交通問題調査特別委員会」の第3回の討議を傍聴できた。
この委員会は要するに今後の広島市の軌道系交通体系を決める市議会の特別委員会である。
以下はその要点と感想である。


携帯のデジカメで早速審議風景を撮影しようとして、
1枚撮ったところで、職員に「撮影はあらかじめ委員長
の許可が要ります」と断られました。
そういうことでこれは貴重な?一枚です。 
委員長さん次回ではよろしく御許可願います。

  • 前回第2回の質問の殆どは、新聞に掲載された「広電東西線」に関しての市の対応についての質問であった。きょうの会議は当然この質問に対する市の解答とか意見が主体になるものと思って出席したが、実は市の新たな別線計画の提案説明が主で、広電案についてはまだ広電からの資料が不十分なので、広電案の討議は来年2月の委員会で行うということで広電案に対する直接的な討議は無かった。 がっかり。 
    頂戴した資料は本文20ページ、参考資料108ページという相当なボリュームのあるものであった。
  • 市より3つの提案があった
    1. すでに郊外に釣り針状に延びている新交通アストラムラインの末端から、再び市内に戻る延長とJR接続路線案(西新線)で、広域公園駅からJR西広島駅へ、JR新井口駅へ、JR五日市駅への3案があるが、西広島接続案が事業費が最低の800億円で利用者数が2万人/日と多いのでこの案を採用したい。
    2. アストラムラインから南進する南北線案は市内末端の本通駅から吉島地区経由で宇品港までと、宇品地区経由で宇品港までの2案があるが、両案とも投資額が1400億円かかる割に乗車人員は3.5万人/日と小さく効率が悪い。よって延伸は途中の広大跡地までに止めたい。これなら投資額600億円で利用者2万人/日が見込める。
    3. 東西線については10/24提案の5案並列の形で採録され、比較評価がなされた。広島電鉄提案については「路面電車のメリットを活かせる平面を基本とした路面電車案を比較検討に加えるよう、要望(提案)があったことから、高架、地下、平面を組み合わせた高速路面電車案については、現段階では評価を保留することが適切であると考えられます。」ということで市提案の「高速路面電車(LRT)案」自体の評価は取り下げられた。
  • 広島電鉄(株)からの提案について」として、提案の概要が本文1ページ、解説図1ページが掲載された。 中身は
    1. 計画路線として平和大通り線
    2. 構想路線として 1案=松川町へ延ばし、駅前大橋を渡って広島駅へ  2案=中央通りから八丁堀へ抜ける  3案=平和通りを直進し現比治山線に直結する  の3案の紹介 
      これらはいずれもバスターミナル構想と関連がある。
    3. その他の計画路線として 1.稲荷町〜広島駅「駅前大橋線  2.比治山町〜稲荷町への「比治山下稲荷町線」 3.JR横川駅前電停移設の「横川駅前乗り入れ線」
      と紹介されたが、これらはいずれも構想として新聞等ですでに発表されていたものの採録である。(注:「路面電車ニュース3;97.11.27 「広電平和大通り線案提出」参照」)
  • 討議が始まった。 
    (市)駅前大橋の路面電車軌道の敷設は、今後の荒神橋の掛け替えに関連し代替橋として活用を考えている
  • (議員)アストラムでは車からの乗り換えゼロで市の当初予想乗車人員が大幅に下回っている。3年後には総括すると言っていたが、3年経過しても総括はされていない。今日の西新線の乗車人員も信用できぬのでは
  • (議員)広電案のバスターミナル構想に絡んでの構想は悪のりではないか
  • (議員)東西線の高架案は街づくりとしての環境が悪くなる。
    (市)財政以外に景観も考えて評価するつもり
  • (議員)市の‘LRT’の用語も広電提案の‘路面電車’も、どちらも要は‘LRT’であると考えるべきである。
  • (議員)マスコミによると、「市の東西線案に運輸局が建設費・需要予測・採算性難色を示し、広島市が反発」と出ているが摺り合わせがまずいのではないか。
    (市)その疑問に対し年明けには回答をお持ちすると伝えてある
  • (議員)運輸局長がコメントしたことに対して委員会として意志表示すべきでは?
    (A議員)この委員会は珍しく開かれた会である。 運輸局長が市民からの問い合わせに前向きに答えておられ良かったと思う。もっと論争をしてもらいたい。市民の前で議論してもらいたい。
    (B議員)交通政策として表明したもの。東西線は市民に関心があることで、これで市民にも判った。
    ……いろいろ論議があったが、申し入れは別途検討となった
  • (議員)市の基礎データ「パーソン・トリップ」は10年前の調査で古い。車前提でなく今は「環境に優しい。人に優しい」がキーポイント。 LRT前提に検討すべし。
  • (議員)市の東西線LRT案は「LRT」の定義でいうと、全長6kmのうち平面はたった1.6km=3割しか走らぬ案である。これではLRTの特性は生きない。
  • (議員)交通部の中でLRTを見に行った人は?
    (市)まだいません。
    (議員)見に行って下さい。私もチャンスを見て。こういうところにお金を生かしましょう。
    ……筆者も同感です。先般当会の提案書を出した際に「どうぞ交通部のスタッフと議員さんとで同道し、LRTがヨーロッパの街で走っている現場を見、搭乗体験し、LRTの長短と広島市への適用についてその現場で議論して欲しい」と要望を出しました。
  • (議員)市の東西線案にある広電から4万人、バス会社から2万人客を奪う案では経営は成り立たぬだろう。この補償の金額はいつ算出されるのか。
    (市)4万人とって成り立たぬという結論はでないのではないか。工夫努力もあるのでは。
  • (議員)平和大通り案は運行時のパース図を示すべきだ。
  • (議員)社会事情や市の事情も変わった。1987年の八十島案からも脱却すべきではないか
  • (議員)財政との絡みがあるこの事業の着手時期は?
    (市)物理的な面と財政のスケジュールについて次回に提出する。
  • (議員)広島電鉄の提案額は安い。地下埋設物高潮対策での堤防工事等の費用が追加される。
    広電で算出されるか?
    (市)コンサルト会社に委託するはず
    (議員)市で検討すべきではないか。「安いのがよい」が一人歩きする。
  • (臨時討議日提案)
    「今回は市の議案書が膨大で今日提出されてすぐ質問に移るのは困難。 本日の資料を十分検討して、来月臨時に会を開き本日の審議の継続を計りたい」との提案に対し賛成多数。
    →1月中に臨時会議を開くことになった。


(総括的感想)
前回10月のそれは初めて傍聴した経験であったが10時に始まり12時に終わった。機械的なものなのだなと感じた。 ところが今回は12時には終わらず、昼食休憩を挟んで2時半まで延長審議し、更に1月に臨時会議をするという。 討議内容も前回に比べ核心的というか真剣だった。 議員さんも頑張ってるなあと感じました。  傍聴者も前回は私1人?と淋しかったけど、今回は20人くらいは居たかしら。賑やかで、市民の方も盛り上がってきたと思います。
 それと個人的に一番迫真を感じたのは、運輸局コメントへの反応の様子で、「市民のためには大きく開かれた検討をすべき。提案や情報は公開されるべき」との考え方が表明されたときでした。 情報公開の時代にどこまでオープンな議論がされるべきかの個性差を感じたが興味深かった。