路面電車アンケート 2001 2001年10月8日掲載
    2001年6月10日路面電車まつりにて実施

 去る9/12の例会では去る6/10「路面電車まつり」の日に行われた「「路面電車1000人アンケート」が報告されました。
アンケート結果の取りまとめは世話人の高山望氏が多大の労力をかけて完成発表されたものです。
 路面電車まつりのアンケートは本年で6回目になりますが、発足時に定められた二つの方針が守られています。 一つは「世論とは年経過の流れが大切だから毎年同種の内容を入れて実施し比較する、“定点観測”を実行する」。他の一つは「アンケートの場合は“その他項目”の中に“金の卵意見”が存在する。従って例え1件の分類データでも全部収録する」、この二つの方針は貫かれています。

 本年の発表で印象に残ったのですが、全般には電車車両は充実してきて要望は少なくなったが、より便利さへの追求は相変わらずで、むしろ普遍的ともいえることです。 もうひとつ、今年の広島電鉄の特記事項は「都心区間の運賃が150円から120円への引き下げる半年間実験」です。これは都心小区間移動者に利益があり、利用者増につながるのですが、男女とも認知は相当していても、まだ実施して2ヶ月間の故か利用は半数以下と少なかったのは意外でした。広電側から効果発表は正式にはありませんけど、最近この社会実験を来年4月まで更に半年延長と発表されましたから、利用者は増えているのでしょう。 

 ともかく、アンケートの細部まで読みとるといろいろ改善・解決すべき要望やヒントが散在しています。 広島電鉄の真摯な努力が今後も忍耐強く強力に継続されることを希望する次第です。





第6回路面電車まつりアンケート結果報告

           2001年(平成13年)9月12日
          路面電車を考える会・高山望

第6回目となる「路面電車まつり」が2001年6月10日(日)に広島電鉄千田車庫において開催された。「路面電車を考える会」では今年も会場内でアンケートを行い,例年同様に1000件あまりの回答を得たので,集計と分析結果を報告する


1.アンケート実施方法


千田車庫東側のテントで来場者に用紙を配布し,その場で記入してもらった。アンケート提出者には三角くじを引いてもらい,空くじなしで記念品を贈呈した。会場内には昨年のアンケート結果を掲示した。
なお広島電鉄株式会社からは今年も多大な協力をいただいた。厚くお礼申し上げる。

2.来場者数とアンケート回答数


当日は晴天に恵まれ,12000人の来場者があった。これはグリーンムーバー登場直後の一昨年に並ぶ数字である。会場内のにぎわいを見ると,過去最高の人出かと思われた。家族で楽しめる6月のイベントとして,すっかり定着したようである。

回答者は1048件。積極的に回答する人が多く、テントからあふれるほどであった。昼過ぎには予定数を終了した。


3.回答者の性別と年齢別割合

性別を記入してないものが104件もあった。これは回答数の10パーセントにもなる。昨年は17件であったので,激増と言えよう。性別を記入することに抵抗感を持たれたのであろうか。集計者の立場からすると,アンケート結果の信頼性にいささか不安をおぼえる。性別を記入した回答の男女比は6対4で,昨年と同じである。

では,男性では30歳代と20歳未満がおよそ3割ずつで,20歳代が16パーセントで続く。女性では30歳代が半分以上を占め,20歳未満,20歳代と続く。昨年と比べると,男女とも30歳代が増え20歳未満がやや減っている。40歳以上の割合は昨年と同様である。
30代の男性鉄道ファンや,電車好きな子どもと30代の母親が多く来場していることが読みとれる。いっぽうで年齢別,このアンケート回答者層は実際の電車利用者層と比べ,40代以上の年齢層や独身女性層が少ないと考えられる。その層の意見を受け止めることが一つの課題であろう。たとえば,通勤で利用している女性を対象にモニター制度を設けるなどはどうだろうか。


4.電車まつりでよかったもの

問1 本日の催しの中で興味を持たれたものを3つあげてください
  • 1.電車の展示
  • 2.大正形電車(100形)の試乗
  • 3.ミニ電車の乗車
  • 4.模型電車の展示
  • 5.模型電車の運転
  • 6.千田車庫内施設(工場,変電所など)の見学
  • 7.実物運転台と大型シミュレーターによる運転体験
  • 8.インターネット体験,パソコンによる運転体験
  • 9.電車部品,グッズ販売
  • 10.絵画電車の出発式
  • 11.クイズ電車
  • 12.写生大会


これは第1回から継続している設問である。3つまでという指定も例年通りで,4つ以上に○を付けた回答は集計から除いた。
「1.電車の展示」は例年同様に1位だった。合計票数が昨年よりやや減っている中で昨年を若干上回った。2位は「6.千田車庫内施設(工場,変電所など)の見学」,3位は僅差で「2.大正形電車(100形)の試乗」と続いた。ただし票数はともに昨年より80票減。以下,「3.ミニ電車の乗車」「9.電車部品・グッズ即売」「7.実物運転台と大型シミュレーター」の順にほぼ同数で続く。模型関係の2つは合計すると昨年並み。「8.インターネット体験」「12.写生大会」は昨年の約半分だった。「11.クイズ電車」は初めての企画。参加者数の割には,そして午後の便の前にアンケートが終了していた割には評価が高い。自分は参加しないが企画として評価する人が多かったのか。
 男女別に見ると,男性には「1.電車の展示」「6.千田車庫内の施設」「9.部品・グッズ販売」という鉄道ファン向け催しの人気が高いのに対し,女性に人気が高いのは「3.ミニ電車」「11.クイズ電車」「12.写生大会」と,子ども向け,あるいは子どもとともに楽しめる催しであった。
 なお,「昨年のアンケート結果に注目している」との欄外記入が1件あった。



5.広島の電車の良い点

問2 広島の路面電車では,出入り口に段差のない超低床車両の導入や,電停の改良などがすすめられています。あなたは広島の路面電車をどのように感じていらっしゃいますか。

(1)広島の路面電車で,あなたが「よい」と考えられることを2つあげてください。
  1. 路線や電停がわかりやすく,地上から乗り降りできて利用しやすい。
  2. ゆったりしていて乗り心地がよい,さらに人にやさしい超低床車両も増えている。
  3. JRやバスにくらべて運賃が安い。
  4. 運転回数が多く,待たずに乗れる。
  5. 被爆電車のほか,他の都市から来た個性のある電車が走っている。
  6. その他電車のよい点


2つまで回答である。3つ以上回答したものは,集計から除いた。「3.JRやバスにくらべて運賃が安い」が最も多く,運賃の安さが高く評価されている。次いで男女とも「1.路線や電停がわかりやすく,地上から乗り降りできて利用しやすい」「4.運転回数が多く,待たずに乗れる」と続くが,その後は男性では「5.被爆電車のほか,他の都市から来た個性のある電車が走っている」であるのに対し女性では「2.ゆったりしていて乗り心地がよい,さらに人にやさしい超低床車両も増えている」が続いている。「2」への評価が女性で高いのは,男性が鉄道ファン的な視点で評価しているのに対し,女性は子ども連れで利用しやすい快適な都市交通という視点での評価が主であることをうかがわせる。
2つの組み合わせでは,「3と4」が172で最も多く,「1と3」が117,「3と5」が92と続く。安心して乗れる身近な交通機関という評価が高いことが読みとれる。



6.広島の電車の不満な点

問2(2)広島の路面電車で,あなたが「不満」と感じられることを2つあげてください。
  1. 目的地までの所要時間がかかり過ぎる。
  2. 待ってもなかなか来ないことがよくある。
  3. 車内が混んで乗れないことがよくある。
  4. 乗り降りのために車内を移動する必要があり,乗り降りに時間がかかる。
  5. 目の前の電停に電車がいるのに赤信号でわたれず,間に合わないことがよくある。
  6. その他


これも2つまで回答。3つ以上回答したものは,集計から除いた。昨年のアンケート結果から,「1.目的地までの所要時間がかかり過ぎる」が多いと予想したが,それ以上に「5.電停にわたれない」という不満が高かったことに注目したい。これは,「歩行者信号が青になるまで待っていてくれればいいのに」という不満とも関係しよう。「2.待ってもなかなか来ない」「3.混んで乗れない」「4.乗り降りに時間がかかる」は,男女で順位差はあるが数は接近している。「2つの組み合わせで見ると,「1と5」が147で最も多く,次に「2と5」の84,「1と4」の72,「3と5」の66と続く。
ところで,1と5は相反する要素を含んでいる。歩行者信号が青になるのを待つことは,それ以降の運行遅延につながるからである。ところが,一人の人間の内部では「一本遅い電車に乗ったために目的地に着くのが遅くなった」というふうに意識されている可能性もあるし,「自分が乗る前は待っていてほしいが,自分が乗った後はさっさと発車してほしい」というホンネもあるかも知れない。事業者にとっては悩ましいところであろう。軌道が道路の端を通っていたりトランジットモールならばすぐに電停に行けるわけだが,今のところ広島にそういう道路はない。
では,こんな解決策はどうだろうか。宇品線で電停部分を歩道から張り出させて,歩道と電停を一体化する。その代わり,電停部分だけは車が軌道敷を通れるようにする。宇品線の電停が狭くて危険という指摘に対する改善策にもなると思うが,いかが? 猿猴橋町でも可能かも知れない。突飛な発想と思われるかも知れないが,投資が都市に集中するこれからの時代,前例にとらわれず思い切った考えが必要であろう。



7.運賃引き下げへの評価

問3 今年4月10日から10月9日までの予定で,広島駅間〜原爆ドーム前・本通間の運賃が暫定的に120円に引き下げられています。

   (1)このことをご存じでしたか
       1 知っている 2 知らなかった

   (2)120円区間で電車を利用されたことがありますか

       1 ある      2 ない

「知っていた」が全体の85パーセントにのぼり,運賃引き下げの認知度はかなり高い。男性では88パーセント,女性では80パーセントで,若干の差がある。

全体の36パーセントが「運賃引き下げを知っており,運賃引き下げ区間で利用したことがある」と回答している。ただし,「運賃引き下げを知らなかったが,運賃引き下げ区間で利用したことがある」という回答が3パーセントあった。これは,「運賃引き下げ前に,この区間を利用したことがある」という回答である可能性もあり,設問がやや不正確であったかと反省させられた。
「運賃引き下げを知っていた」人のうち,「引き下げ区間を利用したことがある」と答えた人の割合は,男性と女性で大きく異なる結果となった。男性では全体の45パーセントで,「利用したことがない」の43パーセントを上回ったのに対し,女性では23パーセントで,「知っていたが利用したことがない」という57パーセントを大きく下回っている。
このことから,男性は広電沿線に限らず広島都市圏JR沿線に幅広く居住している(したがって広島駅前−市内中心部間の利用経験が多い)のに対し,女性は広電沿線居住者が多いのではないかと推測できるし,男性が通勤等で日常的に電車を利用しているのに対し,女性は通勤利用が少なく子ども連れでの利用が多いのではないか,とも考えられる。これらは,運賃引き下げへの感想にも反映していると思われる。

(3)この運賃引き下げについて,あなたの感想をお聞かせください。

自由記入であったが,回答を以下のとおり分類した。

1. とてもよい,大変よい,ありがたい,利用しやすくなった。
2. よいことだ。
3. 期間延長を望む,ずっと継続を望む。
4. さらなる値下げを望む。ワンコイン(100円)に。
5. 区間拡大を望む。他の短距離区間も値下げを望む。
6. 市内均一に安く。均一運賃がわかりやすい。
7. 不公平感がある。自分にメリットがない。
8. 値下げの必要なし,評価せず。
その他

1,2が積極的評価,3,4は一定の評価,5,6,7はやや不満ありと,「一応は」考えられよう。ただし,1,2は「値下げ=よいこと」という紋切り型の回答とも言えようし,4は「この程度の値下げでは魅力が薄い」という感想にもとれる。また,5,6,7,とくに7は,自分にメリットのないことへの不満が率直に現れた回答といえるが,逆に言えば30円の引き下げに魅力を感じているとも読める。
男女別では,「3」と「6」で女性が少ない反面,「7」では際だって女性が多い。さらに細かく見ると,「知っていた」人のうち,男性では「利用あり」「利用なし」ともに「期間延長」のほうが「区間拡大」よりも多い。ところが女性は,「利用あり」では「期間延長」が過半数なのに対し,「利用なし」では「区間拡大」が圧倒的に多い。このことから,女性は自分にメリットがあるかどうかにとくに敏感であることがわかる。
「運賃引き下げを知っていた」人の回答が1〜8に分散しているのに対し,「知らなかった」人は1,2に集中していることも見逃せない。つまり,「引き下げの内容を知っていた」人のほうで相対的に満足度が低いということになるのではないか。さらに,記入なし(つまり「よい」とも何とも答えてない回答)が利用のあり・なしを問わず男女とも3分の一と,相当多いことにも注意が必要であろう。
広島駅前−原爆ドーム前・本通間という今回の運賃引き下げ区間に住んで日常的に市内電車を利用している人はかなり少数派のはずである。沿線人口自体が多いとは思われないし,都心に近いことから徒歩や自転車を利用しているはずだからである。つまり,今回の運賃引き下げは,同区間でのバスの値下げが先に発表されたとはいえ,結果としてはJRを利用して広島駅まで来てそこから市内中心部に向かう人に大きな恩恵となっている。そのため,宮島線方面あるいは宇品方面・江波方面在住者は,「自分たちは広電沿線に住み日常的に電車を利用しているのに,値下げの恩恵がなく面白くない」という気持ちを相当持っているのではないか。

また,引き下げ区間外の利用者にとっては,以前から区間制運賃のバスにくらべ,「疑似値上げ効果」を生じているかもしれない。これらから考えると,今回の運賃引き下げは,一応は歓迎されてはいるものの電車利用者増につながるのかどうか,いささか疑問がある。
 「その他」に分類した回答を列挙してみる。( )内は件数である。

1. 利用者が増えるとよいと思う。(6)
2. 利用者が増えるかどうかに興味がある。(1)
3. バスとの競争を評価する。(5)
4. とくに利用が多い区間なので評価する。(3)
5. 中心部に行きやすくなったことを評価する。(3)
6. 採算が心配。続けられるか心配。(5)
7. 効果に疑問がある。(2)
8. 均一運賃の魅力が失われた。(2)
9. 煩雑になっているだけだ。(3)
10. もっとPRすべきだ。(1)
11. もっと早くしてほしかった。(1)
12. 地下街ができたから値下げしたのか。(1)
13. 整理券などが複雑で,利用しにくい。(4)
14. 150円でじゅうぶん安く,不満なし。(3)
15. 下げるなら全線均一10円の引き下げを。(1)
16. 街の活性化にプラスになると思う。(4)
17. 観光客にとってはよいのでは。(1)
18. スピードアップが先決だ。(1)
19. 今後も思い切った企画を期待する。(1)


私の考えでは市内線運賃は150円でもじゅうぶん安いと思うが,バスと同額では電車を選んではもらえないのだろうか。気になるのは,今回の引き下げに際して損益分岐点が引き下げられているのかどうかである。ハンバーガーや牛丼の値下げは,来客増やサイドオーダーの増加に支えられているはずだが,広電の場合はどうなのか。
また,均一運賃のわかりやすさも捨てがたい。「その他」の中に1件あるような均一140円は考えられないだろうか。この場合,現在120円の区間は20円の値上げとなり利用者減が予想されるが,現在150円の区間では10円の値下げ効果が期待できるはすだ。そのトータルの影響を考えてはどうだろう。また,仮に市内全線140円とするような場合には,たとえば「一部区間の引き下げは利用者の皆様から大きな支持をいただきました。このたび,より多くのお客様によろこんでいただくため,市内全線で10円の引き下げを行います」というような,「お客様本意」の姿勢を,強く打ち出すべきだと思う。ともあれ,社会実験と銘打ったこのたびの運賃引き下げの意欲は高く評価し,今後もさまざまな社会実験を期待したい。




8.自由記入意見の分類と分析

第1回から継続している設問で,少数意見も全部報告する方針を続けている。なお今年は,以下の部分で項目分類を若干見直した。
(1)「乗務員の態度」に,乗客のマナーを加えた。
(2)「サービス全般」の項目を新たに設け,電車のあり方などへの意見を集約した。

合計件数は589件。昨年は567件だったので5パーセントの増である。

自由意見の変化

【広電へのエールなど】 年々増加している。「今のままで十分よい」「利用者の要望を取り入れてどんどんよくなっている」という声が年齢・性別を問わず多くある。これまでの努力が評価されているものと思う。

【料金】 運賃引き下げへの意見とは別に記入のものだけを載せたが,件数は昨年よりやや増えている。

【スピードアップと運行管理】 年々増え続け,今年は「車両関係」を抜いて1位となった。急行運転の要望が大幅増なのは,JRやアストラムラインの快速・急行運転が好イメージでとらえられているためか。また,単に走行スピードが遅いというより,追い越しができないために先行車の遅れがすべて後続電車に影響する点も改善が望まれている。

【輸送力アップ】 増えている。十日市交差点の軌道が復活した現在,横川−紙屋町・宇品線の早期開業を望む声がいよいよ強い。なお,「己斐」とあったものは「西広島」に統一した。

【ハードの改善I(車両)】 昨年より半減。グリーンムーバーの新車効果が薄れ,「走っていて当たり前」の存在になってきたためであろう。乗降口の段差やドア幅などから子ども連れで利用しにくいという要望は多く,超低床車の増備がさらに期待されている。グリーンムーバーは座席に関する改善要望が多い。

【ハードの改善II(駅・停留所・軌道)】 安全な電停を求める声が高い。歩道から直接乗れる電停や市内線の専用軌道も,何とか実現してほしいところ。

【ソフトの改善I(運行情報・案内)】 前年にくらべ3倍以上に増えた。詳しい時刻表の掲示を求める声が強いのは,乗客が「安心感」を求めている現れであろう。宇品線から宮島線への乗り継ぎに不安を訴える乗客の声には早急に応えてほしいものだ。

【ソフトの改善II(営業時間帯・他との接続)】 JRやアストラムラインの終電が始発駅を0時過ぎに出るのとくらべ,終電が早すぎるという印象を強く持たれているようだ。

【ソフトの改善III(乗車券・カード)】 カード利用が定着したことをうかがわせる。一日乗車券の活用・車内販売も期待したい。

【乗務員の態度・乗客のマナー】 「子ども・障害者・乗り慣れない乗客・県外客に親切に」という意見が女性に強い。いっぽう「乗務員の態度が悪い」という意見はいずれも男性だった。乗客のマナー改善にも努力してほしいとの声が急増している。

【サービス全般】 期待される電車像や新企画の提案を集約した。安全・安心を願う声に応えてほしい。

【新規路線】 相変わらず多い。平和大通り線(観音−舟入区間含む)への期待も高い。

【他の交通機関との結節・新しい交通システム】 将来は荷物列車もありうるのでは,という意見に注目したい。軌道が道路の端を通ることが必要だろうが。

【交通行政への要望】 信号に関する要望は例年通り多い。御幸橋の両側での信号待ちは何とかならないものだろうか。また,右折車とのトラブルを避けるためにゴムポールを立てることはできないか。

【電車まつり関連】 昨年より少なかった。子どもに喜ばれる新企画はこれからも期待したい。

【その他(鉄道ファン的意見など)】 件数は昨年よりやや減少。グリーンムーバーの増備で減りつつある旧型車両を懐かしむ声も多い。
9.集計を終えて
慣れている人には何でもないことが,慣れない人には大きなバリアとなる。これは乗降口の段差に限らない。たとえば宇品線から宮島線への乗り継ぎや,120円区間での整理券もそうだ。実際は,以前から「宮島線から来た車両なら市内線で整理券が必要」だったのだが,特に電車ファンでもない人がそれをすんなりと理解できていたのかどうか。また,整理券がなかなか徹底しない様子や,事業者も利用者も「知らなかった人から金は取れない」と考えているように思えるところから,チケットキャンセラー方式の採用は無理という気がしてくる。
電車は環境に優しいというのが定説だが,環境の中身をより具体的に考え,行動に移すことで電車の存在価値はさらに高くなるだろう。たとえば,「音」に関して改善できる点が数多くあるように思う。乗務員は,定時運行のために必死であろう。そのときに軌道内に自動車が入ろうとすれば,警笛を鳴らしたくなる気持ちはわかる。ただ,警笛を鳴らすことで乗客が不快になる面もあるわけだ。ここで警笛をぐっとこらえて自動車をやり過ごし,発車した後「ただいま軌道内に自動車が入りましたため,お急ぎのところをお待たせして申し訳ありません」とおだやかにアナウンスするのはどうだろう。ずっとスマートな気がするが。また,第一線で働く乗務員の苦労を,管理職や事務方の職員が理解する努力も必要ではなかろうか。
もう一つ,電車ファン・鉄道ファンにとどまらず,一般市民への上手なPRを期待したい。「○○線の混雑解消のためにこんな努力をしています」とか,「グリーンムーバーの座席はこのように改良しています」などは,小さなことでも積極的に知らせる価値があると思う。また,一般のメディアに広電がより多く登場するよう望みたい。たとえば,絵本出版社とタイアップするのはどうだろうか。鉄道を扱った絵本はたくさんあるが,子どもだけでなく何度も読まされた親が広電ファン,さらには広島ファンになってくれれば,すばらしいことと思う。




10.終わりに


路面電車は交通機関だから「もっと速く」と期待するのは当然だが,「安全に」「快適に」というのがその大前提であるのは言うまでもない。乗客の,あるいは市民のトータルな「満足度」がさらに高くなるよう,単に「乗客を運ぶ」だけでなく「もてなしの心」を大切にしてほしいものだ。そして「広電は広島を代表するサービス企業である」というプライドを持ち,さらに発展し続けてほしい。アンケートにご協力いただいた皆様と広島電鉄にあらためて感謝し報告を終わる。


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