|
2002年2月8日 |
広島市デルタ地区の西端である己斐地区にはJR西広島、広電西広島駅(己斐)、市内バス乗り場が集積しており、まさに広島市西玄関をなしている。この拠点に新交通アストラムラインの郊外終端駅である広域公園前駅より西広島駅まで6.2km延伸することが決まった。(事業費約700億円) 担当する広島市は計画に従い昨年11月と本年1月には駅付近住民に勉強会を開いて説明を開始している。 但しアストラム延伸計画の概要と己斐中央駅の概ねの位置を説明した程度で、利用者が関心もつ駅舎構造や関連道路等の詳細は提示はされていない。まだその成案は未作成とも思われる。
日本中至る所で新線開発が行われているが、計画に当たって最初から利用者や住民と相談しながら計画を進めるケースは希であろう。 ある日役所や電鉄会社から「出来上がった計画」が市民に示され、後はその計画を既成としてどしどし工事が進められるのが普通ではないだろうか? その結果は事業者には管理の立場からはベストかも知れないが、利用者には多くの迂回や徒歩を強いられ不満が出てももう遅い、といったことも経験することである。
「広島LRT研究会」では昨年来よりアストラム延伸について「利用者の立場から使いやすい新西広島駅はいかなる構造のものが良いのか」の研究を開始した。 即ち、素案に基ずきメンバーが己斐地区を観察して論議を繰り返したが、このほど成案を作成した。 成案とする前に己斐地区勉強会に出席して住民の方の感想を聞き、直前には電鉄会社の人にも意見をただした。
02年2月8日、成案をイラストに纏め、更に説明の補助として立体模型も作成して、広島市長および都市計画局長、道路交通局長等の関係幹部にも同席願って説明をすることを得た。
当会の真意は、「長期間乗車利用する市民利便の重要性と、建設に当たっては20m道路と高架線と新設するため多くの己斐地区住民が立ち退きをするので重大な関係者となる」ので透明な立案をして欲しい。そこで市民にはできるだけ早い時点でイメージが湧くような叩き台的モデルを当会より提供する。このモデルを関係者でブラッシュアップをすることにより後日悔いのない100年間使用できる「自分達の手で創った延伸線」を建設して貰いたいためである。
市長および幹部への説明に際しては多数のTV局、新聞社の取材と報道があったが、このテーマは市民に広く関心を持たれていることが推察される。 本計画の完成予定は2015年頃を目標としている。
|
|
|
市長に模型を使用して説明する
左より杉井、山根。右秋葉忠利市長
(2/9 NHK) |
|
地元紙中国新聞にもしっかり報道された (2/9) |
(秋葉市長からの質問事項と回答のやりとりは本文最後にあります)
西広島駅前(己斐地区)アストラム・バス・LRT共存による改善案
- この発案は「利用者便利を第一に」の発想から生まれたものである
- アストラムは西広島駅を終点とし、新交通高架複線式、但し終端は単線引き込み形式とする。
- 当会ではかねてより新交通は西広島を終点にして、市内には路面電車・LRT網を充実させる方式が望ましいと広島市に提案している
- アストラムの予想輸送人員は2万人/日(2015年)。 類似形式の東京モノレールは12万人/日。 この人数差を考えると乗降スペースのバックヤードを広く取れば単線終端でもこなせるのではと考えた。
- それでもラッシュ時の混雑が本当にこなせないならホーム反対側に(図面右部)使用時間が朝ラッシュのみの降車専用ホームを設けることも考える
- この2階橋上駅の寸法は長さ110m、幅50mになった
- 駅前南口広場の面積を現在の2倍以上にする
- JR・広電の間に待合室付きのバスベイを設け、市内・郊外バスの発着を便利にする
- アストラムからJR、バス、広電それぞれのホームに昇降できる専用階段と上り下りエスカレータおよびエレベータを設ける (2階橋上駅)
- 2階橋上駅西側に己斐地区近辺専用フィーダバスであるボンバス専用発着ホームを設け、ラッシュ時の乗換えを確保する
- 南北両方の広場の適当な場所に立体駐車場を設ける。 イラストは南口広場設置例。
- 南北の広場に充分な広さの駐輪場を設置する。
- 橋上駅から南側商店街といずみ方面には道路をまたぐペデストレリアンデッキを設ける
- JR1階部分とバスベイ、広電1階スペースを繋ぐ幅広の橋上駅下横断歩道を設ける。広電と北口広場側および広電と南側商店街との横断歩道は現行通り。
- 北口広場には町のシンボルとして盆栽公園を作り、南口広場には噴水公園を作り、駅前に潤いをもたらす。己斐の町は昔から植木、盆栽を生産する町として親しまれている。そこで盆栽公園は公園周囲垣を盆栽鉢に見立ててカーブをもたせた硬式に作り、中には大きな石と高い松の木を植える。これなら駅接続道路からでも、JRやアストラムからも乗客に西広島駅への接近を直感させるだろう。
1.全体のイメージ図
2.全体平面図
3.西広島駅橋上駅部分詳細案
●己斐A案
- 己斐A案は2階橋上駅のワンフロアーにアストラムとボンバスをJR、広電、バスベイとは直交させて引き入れる。 地上とは階段、エスカレータ、エレベータで結ぶバリヤフリー設計。
- アストラムは橋上駅進入直前に単線となる。 この乗降をできるだけスムースにするためホーム面積は広く取り(図面例では10m)、改札口も2カ所にし乗降者の通路をJR駅側と広島電鉄側に作り歩きやすくする。 広電には改札口は不用であり、既に存在しない。
- 動線のうち実線−は主たる乗換者線。点線---は主として徒歩にて集まる乗客や自由通路歩行者、付近の商店街への降車者の動線。
- JRとアストラムには改札口はそれぞれ2カ所あり、それぞれの入り口に券売機を設ける。 改札口のうち有人改札口は1カ所のみ。無人改札口の方は定期券、カード、券売機にて自動チェック入場をする。
- 西側にはボンバス専用乗り場を作るが、消防車等大型車も通れる幅と回転半径を保証する構造として道路幅を15mとする。
- ボンバス停車場にはホームドアを設ける。 バス停車帯上部は吹き抜け構造がよいか未定。
- 西側の余裕空間には有人案内ボックスと広島市西区の無人
I Tコーナーを設け、証明書類自動発行機を置く。選挙時には電子投票機を置き通勤者の投票率UPを計る。
- 2階上屋天井には吹き抜け式で優美なデザインのピラミッド型天窓、明かり窓を設けて駅床面の太陽採光を計ったパティオにする。これは気持ちいいです。
●己斐B案
- B案とは常識的な地下鉄構造、つまり「地上からすぐ下のB1階に券売機と有人改札を一箇所だけ設け、更にその下B2階にホームを設ける」といった、日本の通常発想駅例によったもの。
- 建設費はA案よりもどうしても高額になるはず。
- A案と対比し考えるためにアストラム本通駅を参考にして描いてみた。緑色枠が駅3階部分。
- 3階形式の発想根元は「如何に管理者が安心して小人数で運営できること」にあり、乗客の動線の短縮化、省力化、バリヤフリー化、ユニバーサルデザインの工夫とかいったユーザー利便性はどうしても二次的になってくるように思われる。
4.西広島駅付近(己斐地区)アストラム結節改善と関連道路改良案
●アストラム延伸区間に車線を2車線新設しても己斐北口広場終点では車が駅前で滞留する
●公共のバスとマイカー通勤との分離と整合を計る
●このための対応として
@駅北部アストラム下の平面道路と県道との間に接続道路を新設する(2車線、市案通り)
A県道八幡川道路分岐点よりイトーピア方面結合点までは4車線に広げる
Bイトーピア方面結合点から己斐駅市道までは6車線に広げる
C己斐橋は4車線にする
D八幡川沿い道路の路形改良の研究
秋葉市長さんからのご質問
- Q1:提案はアストラムの突き当たりが広電ビルで行き止まりになっている。ご承知のように市は今後はアストラムを市内にも延長する計画を建てている。この案ではそれが出来ないことになるが。
A)私どもは先年市長さんに「21世紀における広島市内軌道交通改善提案」をお出ししました。その骨子は今後アストラム延伸を西広島まで実行し交通改善を計りましょう。しかし市内部分はLRTの活用を計ることによってアストラム延伸は無しにしてくださいというものでした。今回のご提案はその思想の発展型ですから当然己斐地区行き止まり案にしています。
但し、どうしても更に延伸が避けられないということになれば、A案でもB案でも橋上駅の位置を北に(図面上では右に)10メートルほど平行移動すると市道上ですから案はそのまま使えます。 技術的にはノープロブレムです。
- Q2:この案は乗降客の動線を少なくすることに全力で、なにかアメニティが少ないように思う。例えばレストランとか喫茶、劇場等が在ったらよいと思う。その辺はどう考えているのですか?
A)橋上駅の南端は現在広電ビルのある私有場所。そこで案をデザインするときに余り立ち入った設備案を描きませんでした。 例えばいずみ方面出口のコーナーには喫茶店を描くとかはしなかった。でも広島電鉄なら実施時にはぬかりなくこのスペースは大型化と立体化がされて、喫茶、レストラン、物販、催し場等数々の施設を工夫実行がされるのは必至でしょう。
- この案によると南口広場には公園を設けることになっていますね。ここは現在私有地で商店が建っているので立ち退きの課題が発生しそうですが・・・。
A)この対策は私の慮外です。(内心は、あの部分は2階建ての旧い商店ですからこの移転くらいは何とかなると思うが私からは言うことではないでしょう)
(録音をしていませんがまあこんな会話でした)
館主から読者へお願い
- この西広島結節点具体案はなにも固まったものはないと思います。 「広島LRT研究会」の代表でもある館主は先日のJR横川駅結節点改善提案に引き続き、西広島駅結節点改善提案に取り組んできました。本案作成にあたり、当会案はA案B案以外にもアストラム駅舎を地上に作り2階を複線式ホームにしたらというC案も考えたりしました。 ともかく利用者の立場から新駅デザインに協力するということが実現したら素晴らしいことでしょう。どうぞ皆さんからの建設的な改良提案をつのります。 どんな細部でも、1件でもよいから提案をe-mailにてお送りください。 全国交通関心者デザイン協力新駅ができたら最高でしょうね。(^_^) 館主への送信は
- 先日地元世話人と市の懇談会に出席して少しの時間ですが案の説明をしました。 反応はよくて数人の出席者から「次回にもまた来てゆっくり説明をしてください」の声を頂きました。 今後とも住民の会にも参加しては意見を採り入れて更なる改良提案に仕上げたいものです。 今後はこういった活動を通じ、市民,住民に使いよくて広島市当局も円滑に建設が促進できるようにお手伝いするつもりです。