LRTはまちを変える

LRT都市サミット 富山2011 
2011.11.14

人と環境にやさしい都市の実現が求められる中、路面電車が走っている都市の首長が富山市で一堂に会し議論を深め、一層の都市間連携や地域公共交通のあり方について考えるとともに、人と人の絆を育むLRTの良さを全国に発信するために開催された


開催期間:2011年11月4日(金)および11月5(土)  


●プログラム:
   11月4日(金)午後
      
3:00〜14:00 プレイベント (グランドプラザ)
      14:00〜14:30 歓迎セレモニー (グランドプラザ・環状線・セントラム)
      15:00〜15:20 開会式  (富山国際会議場)
      15:20〜16:10 LRT事例・制度紹介
      16:10〜18:00 首長会議・サミット宣言 (富山国際会議場)
             ・参加者 富山市長をはじめとし県内の高岡市、射水市に加え、
                   札幌市、豊橋市、京都市、岡山市、広島市、松山市、
                   高知市、熊本市、鹿児島市の計12市からの市長ほか
             ・コーディネータ 中川 大氏 (京都大学教授)

 11月5日(土)午前
      09:00〜10:35 基調講演・記念講演 (富山国際会議場)
               基調講演/森本章倫氏 (宇都宮大学准教授)
                  LRTを活用した、これからのまちづくりについて
               記念講演/星野知子氏(女優)
                 環境にやさしい新たなライフスタイルと交通について
 
     10:45〜12:15 パネルディスカッション (富山国際会議場)
               今後のあるべき都市像とLRTの役割について
               ・コーディネータ 藤井 聰氏(京都大学教授)
               ・パネリスト    宇都宮浄人氏(関西大学教授)
                          星野知子氏  (女優)
                          川岸 宏氏  (富山地方鉄道(株)社長)
                          幸山政史氏  (熊本市長)
                          佐原光一氏  (豊橋市長)
                          森 雅志氏  (富山市長)

     12:15〜12:30 閉会式
     13:30〜15:30 LRTまちづくり講座
        
主 催:富山市
共 催:富山地方鉄道(株) 富山ライトレール(株)
後 援:国土交通省、富山県、路面電車交通研究会、全国路面軌道連絡協議会
      (社)日本交通計画協会

         参考記録: LRTサミット 2009 in 広島 (2009/10)



開会に合わせて、環状線 セントラム に乗車したサミット参加都市の首長ら

参加市長や副市長らが事例発表をした首長会議 路面電車や都市交通について意見を交わした
パネルディスカッション

  • 一昨年の広島市に続いて2回目の開催となったLRT都市サミットには今回、北は札幌市から南は鹿児島市まで路面電車がある全国12の都市が参加。
  • 参加市長らは、富山市中心部のグランドプラザ前〜国際会議場前間で路面電車「セントラム」に乗車。富山市の森雅志市長から説明を受けながら街並みを見た後、会場入りした。
  • 首長会議では、各市長らが今後の路面電車推進の考え方や取り組み事例を発表。森市長は「将来人口が減る中で、公共交通の質を高く維持していくことは欠かせない」。
  • 豊橋市の佐原光一市長は「愛知はトヨタがある自動車王国で、公共交通にとって難しい。ただ、路面電車は広告塔としても考えている」と述べた
  • 高知市の安藤保彦副市長は、車内でビールが飲める「ビアガー電」というユニークな取り組みで、PRしていることを紹介。
  • 鹿児島市の古木岳美副市長は、線路に芝生を植える「軌道緑化」を進めたことで、騒音が低減し、景観が向上したとの成果を発表し、芝生を管理する「芝刈り・散水電車」を紹介した。
  • 札幌市は2014年までに都心部で環状線化する計画を発表
  • 首長会議後、参加市長らは、◎LRT化で都市機能を集積し交流の場を創出する ◎LRTなど公共交通の利用促進で低炭素社会を実現する◎次回は来年に熊本市で開催する、などのサミット宣言を採択した。
  •  「LRT都市サミット富山2011」は最終日の5日、富山市の富山国際会議場で基調講演やパネルディスカッションが行われた。
  • 基調講演では、宇都宮大大学院の森本章倫准教授が公共交通を生かしたまちづくりについて、「長期的にビジョンがぶれないことが求められる」と指摘した。
  • 星野さんは「トコトコと、ゆとり豊かな『まち』づくり」と題して講演。海外のロケ先で路面電車を利用した際、「知らない街ではどこに向かっているか分からないことが一番怖いが、路面電車はちゃんと線路でつながっているので安心した」など、路面電車の効用などを利用者の立場から話した。
  • パネルディスカッションでは、富山など3市の市長や学識経験者らが、市民の意識変化や暮らしの豊かさをもたらす路面電車と都市交通の将来像を語り、人口減少時代に対応するための方策を探った。
  • 富山市の森雅志市長はLRTの導入で、富山市民の移動手段が「車一辺倒からLRTも使うようになってきた」と指摘。まちなかに、さらに市民を誘導するため、市内電車の環状線周辺に公共施設を集約していく考えを示した。
  • 更に、富山市の路面電車が、65歳以上は申請すれば100円で乗れることを紹介、「お年寄りが外出すれば健康維持につながり、介護保険や医療費の減少につながる」と、長期的な取り組みの効果を指摘した。
  • 関西大の宇都宮浄人教授はLRTの運行後に住民の意識が変わり、バスの利用者が増加した海外の事例を紹介。公共交通の質を上げ、沿線居住を推進するには「ダイヤ通りに運行する交通機関の信頼性向上とまちの魅力が不可欠となる」と強調した。
  • 熊本市の幸山政史市長は「路面電車を使った暮らしを市民が考え、支えるのが大事」と述べ、現在、交通基本条例の策定作業を進めていることを説明した。
  • 富山地方鉄道の川岸宏社長は運行事業者の立場から、65歳以上の高齢者運賃割引制度「おでかけ定期券」について、「バスなどの利用者が増え、乗務員のモチベーション向上にもつながっている」とした。
  • 愛知県豊橋市の佐原光一市長は、新たな取り組みとして路面電車と一緒に走るマラソン大会が人気を集めたことを紹介した。

次回の路面電車都市サミット: 2012年 熊本市