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    日本の 路面電車

2014.2.3

遠森 慶 著


さすが鉄道プロが紹介する全国20路線電車の明解な写真と解説


著者遠森慶氏は1964年、東京都生まれ。大阪在住。鉄道雑誌社勤務を経て旅行や健康分野系のライターとなる。著書は本書で10冊目の出版とか。 1980年代に鉄研を設立、Comic Marketへの鉄道系で初となる出展をした。

本書を通読して感じるのは各社代表的電車の大きなカラー写真に加え車内の特徴ある設備と走る街並みの空気が伝わる小型の写真が適宜レイアウトされている。その解説が長からず短からず明解。読みやすく理解しやすい。これこそ、著者がプロとして苦心し、実力が表明されたものと思えるもの。


●著者:遠森 慶
●サイズとページ数:新書版 191p オールカラー
●発行所:(株)宝島社 東京都千代田区1丁目1番25番地
●定価:952円+税

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    世 界 の 路面電車
     ビジュアル図鑑

2013.12.2

杉田 紀雄 著


世界50カ国 415都市の路面電車を収録した驚異の本


評判によると著者の杉田さんはちょっと変わったお人柄のようで、下記のご紹介文のように独特の考え方をお持ちらしい。そのお考えからか、ご当人はメイルアドレスも非公開だし、電話も繋がらないとか。変わった哲学をお持ちのようです。外国のLRTの文献としては三浦幹男さん、服部重敬さん、宇都宮淨人さん共著の「世界のLRT」(当館「参考文献22)がありますが、本著はその対局でしょうかページをめくる毎に新境地に誘われてしまいます。(^^;)

北広島市在住の無職杉田紀雄さん(72)が、世界50カ国を歩いて撮りためた路面電車の写真約2700枚を紹介した「世界の路面電車 ビジュアル図鑑」を北海道新聞社から出版した。市民の手軽な交通機関として街中を走る路面電車の魅力のとりこになった杉田さん。時には危険な目に遭いながらもその姿を追い続けた集大成に、「各国の電車のデザインを楽しみつつ、省エネにもつながる路面電車の価値を見直すきっかけになれば」と話している。

杉田さんは札幌市近郊の三笠市出身。34年間勤めた札幌の電機メーカーを1994年に退職後、健康維持の一助にと写真を始めた。転機となったのは99年、ツアー旅行で訪れたイタリア・ナポリ。偶然街中で撮った路面電車の写真を帰国後に見た時、「背景の『静』と、電車の『動』が一緒になった風景」が格好の被写体になるとひらめきを感じたという。

「料金も安く誰もが手軽に乗れるし、バスやスクーターと同じ道を仲良く走る姿が気に入った」といい、以来、インターネットなどで世界中の路面電車の情報を集め、撮影の計画を立案。退職金などで資金を工面し、年5回程度の撮影旅行を敢行してきた。訪れた街は内外415都市。撮影コマ数は6万枚を超える。

「お金持ちでもなく語学が堪能なわけでもないので、ぎりぎりの滞在時間と資金での撮影となる」と杉田さん。旅は長い時で2カ月間に及び、スウェーデンでは宿代を節約するために段ボールを敷いて野宿したことも。

インドではタクシーの運転手に法外な金を要求され、ロシアでは建物を物色するスパイに間違われ警察に連行されたこともあった。それでも、「いい写真が撮れた時は感無量で疲れが取れるし、どんなことも我慢できる」と笑顔を見せる。


目次

    アルゼンチン  アルメニア  オーストラリア オーストリア  
  • アゼルバイジャン  ベラルーシ  ベルギー  ボスニア・ヘルツゴビナ  
  • ブラジル  ブルガリア  カナダ  中華人民共和国  クロアチア
  • チェコ  エジプト  エストニア  フィンランド  フランス  グルジア
  • ドイツ  ギリシア  ハンガリー  インド  アイルランド  イタリア
  • 日本  カザフスタン  大韓民国  ラトビア  マレーシア  メキシコ
  • オランダ  ニュージランド  ノルウエー  フィリピン  ポーランド
  • ポルトガル  ルーマニア  ロシア  セルビア  スロバキア  スペイン
  • スエーデン  スイス  チュニジア  トルコ  ウクライナ  イギリス
  • アメリカ合衆国  ウズベキスタン
●著者:杉田 紀雄
●サイズとページ数:A5版 448p オールカラー
●発行所:北海道新聞社 札幌市中央区大通西3丁目6
●定価:2835円 


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ライトレールトランジット

          −次世代路面電車とまちづくり−
2011.2.14

宇都宮 浄人 ・ 服部 重敬 共著


都市交通へ積極的にLRTを新設している欧米先例を紹介し、日本の課題を示唆

3年前の2008年に宇都宮・服部両氏に加え三浦幹男氏との3人共著にて、欧州を中心とした多数の都市で運行しているLRTについて、カラー写真と特徴と解説を加えた「世界のLRT」なる著作が発表された。この著書はどちらかというと「LRT乗車や利用の楽しさ」を共感して貰える本と言えよう。

今回発行された本書「LRT ライトレールトランジット」は前書とは視点をすっかり異にしていて、都市交通の必要装置としてLRTを環境・経済・市民の立場から真っ正面に向かい合って説明し、わが国の現況を比較するという著書である。

そういう経緯から前著はLRTの紹介、今回はまちづくりの観点からLRTを考える、という姉妹作と言えよう。 わが国では例のない高い視点からの著書となろう。

館主としてはさらに高きを求めます。次作は「なぜ日本ではLRTが富山市以外には新設されないのか? こういう努力をすればわが国でもLRTが現実的に新設・建設できるはず」という労作を発刊して3部作として頂くことをお願いする次第です


目次
●前扉ページ:LRTが走る街 カラー4p

本文

第1章 路面電車からLRTへ

第2章 LRTの特徴

第3章 持続可能なまちづくりとLRT
       例示:

第4章 LRTの経済学
        例示:   

第5章 LRTと市民

第6章 LRTの新たな展開1 −多様化・個性化による役割の拡大−

第7章 LRTの新たな展開2 −技術進歩による新境地−
  補論 LRTとBRT

第8章 日本の課題

 付: 参考文献

   著者による姉妹書紹介:
          世界のLRT 都市環境に復権した次世代交通

●著者:宇都宮浄人 服部重敬 
●サイズとページ数:B6版 182mm×128mm 223p 
●発行所:東京都新宿区南元町4-51
        成山堂書店 (交通ブックス119)
●定価:本体1800円