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第2分科会(コミュニティ部会)  97.8.7討議内容記載 

分科会テーマ:「高齢化社会と都市コミュニティを考える」

コーディネータ:泉俊弘(岡山理科大学講師、RACDA会員)
コメンテータ:大竹 正孝(武蔵野市建設部交通対策課課長)
         阿部 宏志(岡山大学環境理工学部助教授)
         星   祥子(交通メッセージ21)

  

討議内容:(以下の本文はRACDA事務局、佐野浩氏に依ります)

 第二分科会では、上記4氏を迎え討議が交わされた。 この分科会では、路地裏的コミュニティの再生と交通福祉の実現をめざしたムーバスの運行によって有名になった東京都武蔵野市の取り組みを検証しつつ、人にやさしい都市とは何か、その実現に市民は何をしなければならないのか、何ができるのかといったことを参加者全員で考えることを目標にしたいとのコーディネイターの発言を受け、まずわが国で初めて都市型コミュニティバスという新しい公共交通のジャンルを開拓した東京都武蔵野市の実践の状況が、武蔵野氏の大竹交通対策課長からあった。 
 次に、主に障害者などの立場から、誰にでも利用しやすい公共交通機関の実現をめざして、行政や事業者に積極的な改善要望を出している東京の市民運動団体、交通メッセージ21から、北欧やドイツなどで取り組まれているサービスルートバスや、超低床バスなどの取り組みについての報告があり、これらは、身体にハンディキャップを負った人だけでなく、お年寄りの外出保証にとっても有効なものとして取り組まれているとの報告があった。 
 さらに、パネラー共通の問題提起として、日本のこれまでの街づくりが、交通問題を充分に配慮していなかったこと。あるいは市民を指導・保護してやるという姿勢が強く、これが画一的で個性のない街並をつくり出してしまったことなどが指摘され、この点については、今後大いに反省すべきであるという意見が出された。 
 また、岡山大学の阿部助教授からは、路地の主人公が、街に住む主婦やお年寄り、子供達から、裏道を通り抜ける車になって久しいが、安らぎと弱者への思いやりにあふれた地域コミュニティを取り戻し、都心に賑わいを呼びもどす為には、自家用車の抑制と電車やバスの活用、これを街づくりとセットにして取り組むような発想の転換と、あわせてそれを可能にする地方分、地方自治の強化が必要だという議論も出された。 
 
 以上のパネラーの報告・議論を受けて、第二分科会では次のことを確認した。
 第一点は、都市計画と交通計画の一体的かつ総合的な取り組の必要性。街づくりと、その街の交通をデザインすることは切り放せない関係にあり、これが今までバラバラに取り組まれてきたばかりか、ややもすると街を壊すようなマイナスの影響を強く及ぼしてきた。これを一体的かつ総合的なものに変えていかなければならないが、そこでの主役は、地方自治体とその街に暮らす住民一人一人であるということ。
 第二点は、都心部における自家用交通のこれ以上の集中を抑制する何らかの手だてを考えなければならないということ。私たちはドア・ツー・ドアの自家用車の利便性を享受しているが、それが都心に集中する事によってもたらされる種々の問題に対して、これまで目をつむってきたのではないか。しかしそのことが、自家用車を使えない人を都心や郊外に閉じこめ、同時に豊かなふれあいのあるコミュニティ喪失の直接の原因ではなかったか。このことを大いに反省する必要のあるということ。 
 第三点目として、都心に人を誘導し、賑わいをもたらす新しい交通システムとして、コミュニティバスや路面電車など公共交通機関の活用をもっと真剣に考えていこうということ。なによりもこれからの交通サービスは、低コストで整備されるものでなければならない。武蔵野市のムーバスの成功は、乗ってみたいという欲求にかられる楽しい交通機関が市民の声と努力によって低コストでつくられたというところにある。行政と市民は決して対立するものでなく、いま、都市における良きパートナーとして、身近な生活課題を解決する知恵を絞り合うことが求められている。街と公共交通の明るい未来を創造するために、市民、行政、アカデミズムそれぞれが知恵を寄せ集めなければならない。その鍵を握るのは、充分な財源と権限の裏付けのある地方分権と住民参加の推進であるとの確認がなされた。

第3分科会(都心活性化部会)

分科会テーマ:都心活性化に果たすトランジットの役割

コーディネータ:丹羽 英喜 (建築家、RACDA会員)
コメンテーター:松沢 俊雄 (大阪市立大学教授)
          中村 良平 (岡山大学経済学部教授)
          福武総一郎 (岡山商工会議所副会頭)
        

  

討議内容(以下本文はRACDA事務局、佐野浩氏に依ります)

 さらに第三分科会では、上記4氏を迎え熱心な討議が交わされた。 まず、岡山商工会議所の福武総一郎副会頭から、都心活性化に果たす公共交通の役割について、岡山商工会議所が提唱する「人と緑の都心の1km構想」をもとに、求心力ある岡山の都心構造を作り出すことが岡山活性化のポイントであり、そのために路面電車の環状化が有効であるとの説明があった。 さらにできるだけ多くの人が「都心は人が集まり、住むところ」といったコンセプトを共有することが必要であり、そのコンセプトにもとづいて、1kmスクエアの中を交通弱者にとってもやさしい歩行者中心の歩いて楽しい街並整備や、緑あふれる広場の整備、さらに都心居住を取り戻すための職住近接型の住宅整備を進めることの必要性と、そうした街づくりの推進にあたっては、なによりも住んで楽しい心地良い街づくりとはいったいどんなものなのかといった、誰にも理解できる明確な都市像の形成が必要であること。また、ポストバブルの今こそ、地方固有の歴史や文化を生かした地方の時代にふさわしい岡山独自の都市像を市民主導 で形成すべきだとの意見が出された。
  岡山大学の中村教授からも、都市の将来像の形成に対する同様の指摘があり、それに基づいた総合的な交通都市体系の構想がないと、これからの都市は活性化しないこと。また、21世紀の高度情報化社会になると、メガロポリスよりも岡山のようなコンパクトな都市の見直しが行われる。新しい時代は、地方都市が担うべきであり、そのためにもコンパクトで利便性の高い都市を実現するための総合的な交通体系の構想が必要だという指摘があった。さらに、路面電車も環状化だけでなく、将来的には岡山大学や空港までの延伸が必要だとの指摘もなされた。 
 また、大阪市立大学の松澤教授からは、都市の活性化についての一つの規定として、より多くの人々が居住・生活し、諸々の事業活動が活発に行われていること、との提示がなされ、動きやすい都市ほど鉄道の利用律が高く、かつ駅間距離が短い都市ほど輸送密度が高いとの指摘がなされた。さらに注目すべき事例として、路面電車網が発達しているドイツの都市の都心部では高密度の居住が維持され、空洞化の度合も小さいのに対して、バスや自動車のウエイトの高いイギリスの都市では、都心部の人口減少が著しく進んでいること。また、アメリカの鉄軌道をもつ都市ともたない都市を比較すると、鉄軌道をもつ都市の方がオフィスの空室率が低く、都市鉄道の存在が事業活動にも好影響を与えている可能性が大きいこと。以上のことから、岡山のような地方都市の発展と市街地形成に果たす、路面電車をはじめとする軌道系トランジットの役割が大きな意味をもつとの見解が示された。 

 さらに各コメンテーターからは、ヨーロッパやアメリカの模倣に終始してきたこれまでの日本の街づくりを改め、日本の国情や地域事情に合った街づくりや交通体系の整備が必要であり、それを市民参加のもとに考えていかなければならないといった、第二分科会と同様の指摘がなされた。

路面電車サミット宣言書

路面電車サミット'97 in OKAYAMA

私たち全国の路面電車愛好支援団体と電車事業体は、市民に親しまれている路面電車が走り、築城400年を迎えた岡山の地に集い、人と環境にやさしい公共交通システムと街づくりについて討論を重ねた。その結果次の通り宣言する。

一.路面電車は、人にも環境にもやさしい乗り物である。我が国においても今秋、熊本市に低床式電車が走り、路面電車の新しい時代を迎えようとしている。この記念すべき年を契機として、私たちは、これからの時代にふさわしい路面電車システムの創造と、その発展に向け積極的な活動を展開する。

一.欧米の先進都市では、新しい路面電車が市民の足として活躍している。わが国でも路線の延伸や鉄道の駅への乗り入れなど、路面電車に主要な都市交通機関としての期待が高まっている。私たちは、この流れを確実のものとしていく。

一.新しい路面電車には新しい名前がふさわしい。新しい路面電車のシンボリックな愛称を広く全国から集める。

一.新しい路面電車の普及に欠かせない運賃収受システムなどの研究について市民ワーキンググループを設ける。

一.私たちは、路面電車やコミュニティバスなど、公共交通機関を中心とした豊かで潤いのある都市−トランジットモデル都市−づくりを進めるための調査・研究活動に積極的に取り組む。

一.サミット'97で得た成果をもとに、「全国路面電車愛好支援団体協議会」と電車事業体は、市民、利用者に役立つ情報の発信に努める。都市交通の一翼を担う路面電車に対して国・自治体よりのいっそうの支援を要望する。

       平成9年5月31日

                  全国路面電車愛好支援団体協議会
                  全国路面軌道連絡会
                  路面電車サミット '97 in OKAYAMA
     

                 全国路面電車愛好・支援団体連絡協議会

                  札幌市電の会
                  函館都電倶楽部
                  函館チンチン電車を走らせよう会
                  日本路面電車同好会
                  とよはし市電を愛する会
                  万葉線を愛する会
                  路面電車と都市の未来を考える会(岡山)
                  路面電車を考える会(広島)
                  土佐電鉄の電車を愛する会
                  長崎路面電車の会

                全国路面軌道連絡協議会

                  札幌市交通局
                  函館市交通局
                  東京都交通局
                  富山地方鉄道株式会社
                  加越能鉄道株式会社
                  福井鉄道株式会社
                  名古屋鉄道株式会社
                  豊橋鉄道株式会社
                  京阪電気鉄道株式会社
                  京福電気鉄道株式会社
                  阪堺電気軌道株式会社
                  岡山電気軌道株式会社
                  広島電鉄株式会社
                  伊予鉄道株式会社
                  土佐電気鉄道株式会社
                  西日本鉄道株式会社
                  長崎電気軌道株式会社
                  熊本市交通局
                  鹿児島市交通局

路面電車サミット'97 in OKAYAMA スナップあれこれ

 
いよいよ開会。愛好支援協と全軌協の代表者





壇上に揚げられた看板

出席者は330人とか。それにTVもNHK他数社

熊本市交通局によるLRT新車の説明と、あと
試運転のヴィデオ放映と解説があった。

運輸省山下氏によるLRTの実態解説

第1分科会はLRT時代。活発な質疑で盛り
上がる

この会議の機関車はRACDA会長の岡さん

RACDAのお嬢さん方。この3日間毎夜10時
とか。多くの裏方のがんばりが盛況を支えた。

歓迎レセプションは和やかに

6月10日路面電車の日のシンボルマーク


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