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日本の最新LRV 画像・諸元

 岡山電気軌道 9200形 MOMO 

02.7.24
独特のデザインで評判になった独日混製狭軌超低床車

 お待たせしました。 昨年から続いた超低床車導入旋風のしんがりは独特のデザインとPRで評判になった岡山電気軌道のMOMOの紹介です。 デザイナーはJR九州特急群のデザインで有名な水戸岡氏が郷土岡山市のために電車デザインを特別制作とか、市民募金にて製作したいというRACDAの企画も評判を呼びました。 このたび氏のデザイン事務所(株)ドーンデザイン研究所から了承を得ましてLRV三元図シリーズに追加することが出来ました。お礼を申し上げます。 尚同研究所の資料では車両仕様をかってないほど詳細に公開されました。これを味読するとまことに興味深いのでぜひ読んでみてください。 蛇足ですが、新LRV発表時にドーンデザイン研究所では「MOMO BOOK」を出版されたので、岡山電軌では同社独自の新車パンフレットは敢えて制作をしない由です。


●形式と名称:岡山電気軌道(株)9200型 愛称MOMO (もちろん岡山特産“桃”にちなんで)
●導入支援:RACDA
●設計・デザイン:水戸岡鋭治+ドーンデザイン研究所
●台車・窓等ガラス部分:BOMBARDIER TRANSPORTATION社より
●本体製造:新潟鉄工(株)
●運行開始:2002年7月5日
営業運転開始したMOMO    photo:建部 拓


岡山電気軌道(株) 9200型 MOMO


内部断面詳細図

客室内部は木製品使用を中心に、細部までいろいろの工夫が施されている


木製座席などまるでヨーロッパの路面電車を彷彿する日本では新しい試み


岡山電軌 9200型 MOMO 諸元

軌 間 1,067mm
電気方式 DC600V
構 成 2車体2台車100%低床連接車
寸 法 長さ18,000mm 幅2,400mm 高さ3,407mm
台車回転中心間隔 8,600mm
床面高さ ステップ300mm 通路360mm
最小通路幅 約700mm
重 量 空車 約20t 満車(200%)約28.4t
定 員 74人 内立席54人座席20人
(他にハイベンチあり)立席は0.3m2/人
乗降扉 前、中、後 3カ所/片側 1,250mm両開式
通常は前中2扉を使用
車椅子スペース 後扉付近に2カ所 最後部扉から乗降
扉機構 電動スライド式プラグドア 戸挟検知付
照 明 客室蛍光灯ダウンライト24灯、壁灯12灯
ワンマン設備 後方客室監視および左右バックミラー代行CCTV
台 車 ボルスタレス4輪ボギー×2台
車 輪 直径650mm/570mm弾性車輪
ボルト組立式 タイヤ幅115mm
機械ブレーキ ディスクブレーキ2組/モーター装着
トラックブレーキ4組
主電動機 強制空冷交流電動機100KW×2台 車体装架
駆動装置 推進軸による2輪駆動/台車、差動機能付
歯車比 1:6.789
主制御装置 IGBTインバータ1組/1モータ×2組 発電チョッパ付
補助電源装置 IGBTインバータ 42kVA
常用ブレーキ 発電/回生、ステップレス油圧(バネ作用)
保安ブレーキ 電磁式トラックブレーキ(バッテリ電源)
最高速度 40km/h  設計性能 70km/h


搭乗記:

 MOMO運行開始に関連し地元岡山市の藤井氏が走行試験時のレポートを、niftyFTRAINEに発表されました。 市民から見たMOMOへの生き生きした観察が伝わってきて打たれましたので転載させて頂きます。m(_)m

岡山市藤井正史氏の6/3niftyFTRAINE「まつづくり交通」にて公開された試運転レポートより
 先月末に納入された「MOMO」こと岡電9201号A・B車ですが、5月31日深夜から6月1日未明にかけて、東山線・清輝橋線全線で公式の走行試験を行いました。

 今回、導入されたMOMOは、熊本市電9700形と同じGTシリーズの足回りです。電気機器は基本的に熊本市電9700形3次車と同じ様な国産化(三菱電機)が行われており、足回りの実績では信頼性が十分あると思います。

 ただ、GTシリーズを2連接で走らせると、カーブの前後の直線区間で、左右に挙動してしまうのです。そのため、一番難関だとされたのは、車両同士や架線柱、電停などと接触しないことを確認することでした。

 なにかに挑むかのごとく、従来車両が車体幅2200mmなのに、MOMOでは2400mmという広幅の車体幅を採用したのです。これにより通路幅を確保することやクロスシートでも居住性向上を目指しています。しかも、軌道位置の変更は行わずに、採用したのです。

 今回の試運転では慎重を期するためか、中納言のSカーブや西大寺町では、従来車両と並べて走らせて、車両同士の接触しないことを確認しました。

 電停とカーブが関係ある、岡山駅前、柳川、城下、西大寺町、清輝橋では、電停の縁石を一部取り、電車と電停が接触しないように改造が行われておりましたので、無事、通過することが出来ました。

 補足ですが、MOMOでは日本国内の超低床電車に設置されている車椅子用の渡り板やリフトは設置しておりません。その代わり、電停をきちんと改造し、電車と電停の隙間はわずか数cmと極力短くする配慮がおこなわれております。その証拠に、MOMOの裾にはゴム製のバンパーがあります。

 岡山電気軌道では、昭和初期以来、70年以上ぶりの完全新車でしたが、初の高性能車ということで、岡電とは思えない速さで試運転が行われ、最終電車後の22時半から始まったのですが、1時過ぎには終了しました。


岡山電気軌道ホームページ




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 函館市 交通局 8100形 .

02.6.25
アルナ工機による日本初の車体更新低床電車
 車体リニューアルによるバリヤフリーの事例では、1999年から2000年にかけて東急電鉄が実施した世田谷線用3001号〜304号の4編成の実施が有名である。 参照:東急電鉄世田谷線用300系

函館市交通局8100形は、台車、駆動装置、制御器に旧機器を使用した、低床路面電車としては初の車体更新車。

 低床を実現するため屋上設定型の主抵抗器を新製して上にあげボギー間3m、地上高35cmの部分低床化を計った。 低床部分には電動スロープを設置したのも特長。


●函館市交通局 8100形 (車体更新歴史:800形→8000形→8100形)
●今回製作担当会社:アルナ工機株式会社
●運行開始:平成14年4月22日


函館市交通局 8100形


室内および低床面電動式渡り板部分詳細

室内は中央部分が低床になっている。 渡り板は電動式という凝ったもの。


函館市交通局 8100形 諸元

車 種 2軸ボギー電動客車
定 員 60人(内座席26人)
全 長 12.39m  
全 幅 2.34m
全 高 3.70m
台車形式 住友FS-77A軸バネ式
電動形式 日車NE-50B
製 造 所 住友金属
自 重 16.5t
最大運転速度 40km/h
購入年月日 昭和38年6月30日
改造年月日 平成14年3月28日


函館市交通局ホームページ

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