04.11.20

館主前言:(2004/11/20)
 路面電車サミットは1993年(平成5年)7月30日札幌市の呼びかけで全国の路面電車愛好団体と路面電車事業者の団体が札幌市で一堂に会したのが最初です。翌々年の第2回は広島市でと・・2年ごとに開催されるビエンナーレ形式を採用され第7回の高知市主催に至る本日まで続いています。
 1995年に開催した広島サミットについての情報は当館では、サミット当日発表した路面電車白書のみを掲載して本日に至りました。当館は路面電車情報のアーカイブ性を考慮し、11年前の札幌サミットの開催内容と9年前の広島サミットの開催内容とを一挙に掲載し、路面電車サミット全資料としての一貫性を保つことにしました。昔はサミットでどんなことが話されたかな?を知ることも興味があることでしょう。

広島サミット開催を市民に呼びかけるポスター


スケジュール
●名称と開催日:路面電車サミット'95 in 広島
      
1995年10月11日(水)・12日(木)・13日(金)

■10/12(木) サミット協議会 中国電力ホール 13:30〜17:00
 1.開幕宣言

 2.出席団体・事業者紹介
     (出席団体・事業者名は路面電車サミット宣言書の方に掲載す)
 
 3.各都市の路面電車事情紹介
     (討議詳細は下の議事欄に掲載)

 4.議題1:
    超低床車導入を含め人に優しい路面電車への今後の取り組みはどうあるべきか

  • 熊本市交通局においては近く、わが国で始めての本格的な超低床車が導入される。このような超低床車は日本では輸入に頼らざるを得ない上、高価なため、他の事業体で導入できるようにするためには助成(技術開発を含めて)も必要と考えられる。努力の現状と今後の取り組みを如何にすべきかを討議。
         (討議詳細は下の議事欄に掲載)

 5.議題2:路面電車の日制定にむけて
  • 毎年の「路面電車の日」はいつにすべきか。さらに、一般市民に電車の魅力を広く知っていただくために、どのような行事、イベントが考えられるか
  • 候補:         
    1. 東京上野で開催された第3回内国勧業博覧会で日本最初の電車が運転された日・・・・明治23年5月4日
    2. 京都において日本最初の路面電車が営業開始した日・・・・明治28年2月1日
    3. 数字の読み替え  市電の日・・・・4月10日
                   路電の日・・・・6月10日
  • 結論:いろいろの候補日が挙がった末、6月10日は語呂合わせであるが季節も考慮し、全国的な共通イベントを実施するに最適として決まった。
 


 6.議題3:今後の活動方策

  • 都市交通の中での路面電車の位置づけを明確にし、国、地方自治体からの助成電車優先の交通行政の推進、一般市民の理解を得るために、愛好団体および事業体は具体的にどのような運動・活動を展開していくべきか。
  • 特に、全国的に愛好・支援団体の輪を拡げ、連携を図って運動を進め、広く市民運動まで高めていくための方策

 7.議題4:次回のサミット開催予定地
  • 次回は築城400年にあたる岡山市で開催と決定
 8.路面電車サミット宣言

               路面電車サミット宣言書

 われわれ全国の路面電車愛好・支援団体と公営民営の電車事業体は、電車が元気よく頑張る百万都市広島の地につどい、これからの電車について情報の交換と討議を深め、その結果を次のとおり宣言する。

一. 路面電車は人にやさしく環境にやさしい乗り物である。欧米の路面電車はLRT(ライト・レール・トランジットの略)の急速な普及により、21世紀の乗り物といわれている。日本においても超低床式のLRT導入を急ぎ、やさしさを最大限に生かし、輸送力の充実を図り中量輸送機関として復権を果たさねばならない。

一.路面電車は車社会の悩みを解消する都市の公共交通機関として、市民の深い理解を得る必要がある。サミットで生まれた熱い友好関係と全国ネットワークを基に、電車が市民の足としてさらに愛されるためさまざまな運動を展開する。このため愛好・支援団体の全国協議会づくりを進める。

一.欧米のおける路面電車の復権は、大胆な助成と電車優先の都市交通体系によって実現したものである。日本でも路面電車の新設と延長に積極的に取り組むべきである。国や自治体は都市交通を担う路面電車の位置づけを明確にし、地下鉄や新交通システムと同様な助成制度を確立すべきである。
 助成制度やトランジットモールなど電車優先行政の実現を図るため着実な運動を進める。

一.路面電車の日本における営業開始から今日で100年を機に、毎年6月10日を「路面電車の日」として制定する。この日を中心に全国的に各種行事、イベントを企画し、電車の魅力を広く知っていただく機会とする。

                   平成7年(1995年)10月12日

                       札幌市電の会
                       函舘チンチン電車を走らせる会
                       日本路面電車同好会
                       とよはし市電を愛する会
                       路面電車を考える会(広島)
                       路面電車の未来を考える会(岡山)
                       長崎路面電車の会
                       函館市交通局
                       東京都交通局
                       富山地方鉄道株式会社
                       名古屋鉄道株式会社
                       豊橋鉄道株式会社
                       阪堺電気軌道株式会社
                       岡山電気軌道株式会社
                       広島電鉄株式会社
                       伊予鉄道株式会社
                       土佐電気鉄道株式会社
                       長崎電気軌道株式会社
                       熊本市交通局
                       高岡市役所
            

 10月12日(木) 懇 親 会  18:00〜20:00   ホテルニュー広電 

■ 10月13日(金) トークイン 「路面電車の魅力・21世紀の未来像」
                10:00〜12:00 中国電力ホール
                   
■ 10月13日(金) 広島電鉄特別編成による市内線〜広電宮島運行
                13:00〜

■ 10月11日(水)〜13日(金) 路面電車写真パネル展示/VTR放映
                      会 場:中国電力1階ホール



 

議事:超低床車導入を含め人に優しい路面電車への今後の取り組みはどうあるべきか
                                         (要約版)
  • (札幌市)札幌市では9区あるが市電は中央区のみである。中央区ではシンボルとして「市電まつり」を毎年おこない本年で5回目になる。
  • (函館市交通局)赤字経営の路面電車運営を将来的方向をここ一二ヶ月の内に出さなければならない実情。
  • (日本路面電車同好会)昭和45年に路面電車を愛好する方々で発足した。内外の路面電車に利用者の立場で歴史を調べたり、新しい電車に乗りに行ったりで親睦を深めている。会報も出している。
  • (東京都交通局)人に優しいということで、最近電車接近表示灯をLEDに変更した。また、ワンマン化した時ステップを廃止し、停留所の嵩上げ工事を実施している。
  • (富山地方鉄道)平成5年新車5両を導入し17両全部冷房化した。落ち込みに苦しんでいるが、アピールとして毎年7月にはビール電車を運行し10月には花電車の運行をしている。
  • (高岡市役所)万葉線は毎年利用客が減り、鉄道軌道整備法による欠損補助対策路線に指定された。対策として昭和55年に市長が会長になって万葉線対策協議会が生まれ、利用者増対策イベントに取り組んでいる。こうして沿線の交通弱者、中高校生の通学手段の確保を決心している
  • (名古屋鉄道)全国でも3番か4番という車の保有率でマイカーの方に逃げられる。しかも道路が狭いので軌道敷内に車が通行可能という現況で、ダイヤの確保と安全運転に苦戦をしている
  • (とよはし市電を愛する会)当会は民間主導の会で個人112名、法人41名で構成されている。「乗る市電、見る市電、感じる市電」という文化の側面から応援する。4月10日を市電の日としている。「市電文化」という小冊子を年3、4回発行している。カレンダーも毎年発行。
  • (豊橋鉄道)来年は豊橋市政90周年になるので「豊橋駅整備事業」を展開している。これに合わせて市電も駅前まで140m延伸する。
  • (阪堺電軌鉄道)年々乗客が減っているのでいかに歯止めを掛けるか増加させるかが一番の問題
  • (路面電車と都市の未来を考える会)岡山で5日前に発足したところ。RACDAという略称を持っている。レイルシステムは本来楽なんだということで路線の拡張をはじめから目指していこうという団体。
  • (岡山電軌軌道)イベントをいろいろやっている。ギャラリー電車、風鈴電車、クリスマス電車、コンサート電車等々2ヶ月に一度くらい実施している
  • (伊予鉄道)ここ5,6年は横ばいないし微増。が、昨年は異常渇水のため観光客が非常に減った。プリペイドカードシステムを導入した。
  • (土佐電気鉄道)車両数は70両だが、そのうちドイツ、ポルトガル、ノルウエー、オーストリア、イギリス製と外国の電車を運行している。特色を利用してビヤホール電車、カラオケ電車を運行。スタンプラリー全線駅めぐりを最近実施した。
  • (長崎電気軌道)大正4年創業以来ちょうど80周年になる。年間2,100万人運んでおり、毎年1%から2%の乗客増である。ここずっと黒字を続けて1割配当をやることができている。運賃は59年に100円に値上げして以来11年100円均一運賃を維持している。消費税負担も克服している。
  • (広島電鉄)阪神大震災で観光客が減ったが下げ止まり前年比プラスに転じた。電停の美装化を進めている。また本年も3連接車を製作中で宮島線から市内線に直通仕様のものである。5月の花電車、クリスマス電車等も実施中。
  • (熊本市交通局)こんど熊本市電に導入計画中の超低床車について、ドイツAEG社の紹介ビデオにて低床車の特長を説明。
  • (長崎路面電車の会)こんごの高齢化社会を考えると低床式路面電車の導入が急務ではないか。
  • (路面電車を考える会)路面電車の日を討議して決めたい
    →長時間の討議の結果6月10日に決定。(拍手)
  • (とよはし市電を愛する会)全国の愛好支援団体がばらばらで組織化されていない。全国的な会を作って規約や組織を作る必要があると考え提案したい。
  • (路面電車と都市の未来を考える会)いきなりであるが、平成9年は岡山築城400年になるのでイベントを考えている。路面電車を拡げてゆくということを考えているので次回サミットを岡山でさせていただきたい。(拍手)
  • (広島電鉄)事業者の課題としては路線の新設と新車購入が必要だがなかなか難しい。延伸については都市計画の中に包含して貰う必要があるが民営の場合は社会的補助が難しい。また今後の老齢化社会を考えると低床車が望ましいが3連接車で3億円もする。高価な車両を自力で買うとなると高価すぎる。補助金も企業の決算に縛られる。ただし、最近は建設省、運輸省とも路面電車について見直しの機運が出てきており、具体的には建設省が都心交通改善事業ということで補助金の予算化が始まった。運輸省の方も地方交通の活性化ということで、長崎市、金沢市、長岡市をモデルに調査検討を始めている。
  • (路面電車と都市の未来を考える会)利用者から見れば、運用者が市営でも民営でも関係ない。路面電車への補助金も公・民は関係なく出して欲しい。岡山の延伸運動についても各地愛好団体の声援もさることながら、全国的団体を作り大きな声にしたいと考えている。
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トークイン:「路面電車の魅力・21世紀の未来像について」
   コーディネーター 路面電車を考える会世話人        加藤一孝
   パネラー      日本路面電車同好会関西支部代表    能勢 恭司
    〃        写真家                      井出 三千男
    〃        長崎電気軌道(株)取締役社長        中村 利夫
    〃        ウエスト・ユニオン(株)代表取締役     江木 順子
    〃        広島市企画調整局総合交通対策担当専門員 片平 靖
    〃        (財)運輸経済研究センター理事      和久田 康雄
   司会        路面電車を考える会             山根 政則

導入講演:和久田氏「外国路面電車状況について」 スライド20分
  • (能勢)京都の生まれだが広島で京都市電が走っているのを見て懐かしかった。日本で路面電車の新しい時代が蘇るとしたら広島だと確信。
  • (井出)都心部に行く時コースがよく判り安心。街がよく見える。乗客を見ると街の性格が判る。
  • (中村)30年代のモータリゼーションのときに車が軌道敷に入らないので表定速度が守れたのが良かった。観光地で宣伝すればお客が乗ってくれる。用事のない市民は宣伝しても乗らない。長崎は平野がないから対抗のバスがやりにくい。
  • (江木)路面電車で通学した。今の若者には古いものを珍重する空気がある。例は古着。
  • (片平)個人的感想だが、課題は路面電車が遅いこと。市内は11km。車は15.7km。スピーディが必要だが、市街地では格子状で信号が多く困難。ヨーロッパのLRTのように地下化か高架で路面から乗り降りしやすいよう工夫すべき
  • (能勢)LRTもよいが料金制度が障害。チケットキャンセラーや安い回数券制度も取り入れるべき。広島のような短い路線は地下鉄にしても乗り降りに時間が掛かり効果は疑問。
  • (井手)広島の電車は動く触れる博物館。観光面でも良い。車庫も見せてこどもに働く姿を見せたい。低床式ができただけではダメ。車椅子に手を貸す市民が要る。
  • (中村)ワンマン化した時両替機をつけろとの意見があったが私は反対した。信号待ちの等の時に両替サービスをし手渡しし触れあう。温かい交通もサービス。
  • (和久田)日本は鉄道は自立採算が前提できた。地下鉄補助は例外。それで地下鉄のような大げさなものに目が行った。また建設省がモノレイルを道路の構造物として見るというのでそちらに向かうことになった。どちらも経営が苦しいらしい。ヨーロッパのように運用費の補助制度が要るのでは。
  • (加藤)路面電車を造る時にも補助を出すべきが判った。
        「路面電車白書」を作った。路面電車の現況と世界の様子が判る。
        路面電車の輪をどんどん拡げてゆきたい
 
広島サミット記念乗車券
  
      参考文献:路面電車を考える会制作「路面電車白書 '95」はこちら