考える会 広島市に表定速度Simulationを提示 |
97.12.30 |
提案書作成提出の背景 |
さる12/1〜12/5開かれたLRT WORKSHOP '97の第2日第2セッション「LRT導入と都市整備、市民参加」にて、編者は「市民の目線からLRT導入を働きかける」という演題にて、先日広島市に提案した「東西線提案書」「客観的評価指標提案書」等の内容を報告した。これら内容はすでにこのホームページ下記で紹介すみのものである。 実はセッションでもう一つ披露したのがこの「表定速度Simulation」であった。
地球温暖化や都心の排気ガス公害問題、都心の車渋滞の緩和策としてLRTが注視されている。これらの重要性は理念的には市民によく理解されることであるが、車から公共交通への転換といっても、その結果が従来の車より通勤時間が著しく延びるようであれば実行は疑問である。(広島市アストラム事例等)
せっかくLRTを建設するからには、現実に通勤時間が若干でも早くなれば、いや同等ならば「定時性」があるだけ転換が進むと考えた。言葉は悪いが「利で誘う」ことも必要と考える。ではどこまで理想条件を作れば達成されるか、手段を設定してSimulationしてみた。 その結果は現行の11.5km/hが倍速22.6km/hが期待できると発表した。
この達成条件は、高加減速LRT車の性能が車前提の連続信号追従性確保、低床車による乗降時間の削減、電車優先信号採用、大交差点おけるLRT専用アンダクロスの採用の4点である。チケットキャンセラーは未だ研究を要するとして採用しなかった。 その点より本案は「準理想条件」と定義した。
発表したのは22.6km/hであったが、翌日ヨーロッパの事例発表でストラスブルグでは21.3km/h、ウイーンでは25km/hという実績説明があり、あまり無理な数値ではないと確信したのであった。
発表時は基礎数字が若干曖昧であったので、後日広島電鉄運輸課を訪問し基礎数字の突き合わせと、数値の確認を行ってSimulationの改訂版を作成したのが本修正後案である。 結果は24.8km/hと前回推定分より速くなった。
12/25、広島市役所都市交通部の役職者に提案し、全地上式のLRTでもこれだけの表定速度が期待できることを説明し、広電案と当会提出案との評価を求めた。
併せて、市民の立場より、まづは安価で工事期間の短い全地上型広電案を本方式にて実施し、投資額は大きくなくても相当な工事期間を要する第2次案を引き続き実施して欲しいと要請した。
なお今後の行動予定としては、全地上LRTの速度効果と通勤車からのシフトの可能性について、広島県警察と建設局を訪問して説明をし理解と応援とを得ることが必要と考えている。
今朝のNHKTVで、建設省は路面電車建設の半額補助を決めたとあったが、この辺(アンダクロス等)も適用してもらえるのではと期待が出てきました。
以下は提案書の本文 |
1997.12.25 | 提案NO.3 |
広島市 全地上式 LRT東西線 表定速度Simulation |
路面電車を考える会 |
表定速度は駅から駅への実質到着時間を考慮した平均速度。 現行は11.5km/hである。
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. |
現 行
|
| |||||
アンダクロス、優先信号無し |
同 左あり | ||||||
西広島〜紙屋町
|
距 離 |
3.3km |
. |
2.7km | . |
2.7km | . |
停留場数 |
11 |
. |
6 | . |
6 | . | |
表定速度 |
11.5km/h |
18分 |
17.5km/h | 9分 | 24.4km/h | 7分 |
. |
現 行 (紙屋町経由) |
平和大通りB線案(白神社経由) | |||||
アンダクロス、優先信号無し | 同 左あり | ||||||
西広島〜広島駅 | 距 離 | 5.5km | . |
5.1km | . |
5.1km | . |
|
20 | . |
11 | . |
11 | . | |
表定速度 | 11.5km/h | 29分 | 18.0km/h | 16分 | 24.8km/h | 13分 |
●ヨーロッパにおいて効果が実証されている優先信号、アンダクロスで試算してみましたら表定速度は 現行の約2倍まで速くなる計算。 通勤マイカーからの乗換が期待できそうです。 ●優先信号実施には県警察のご理解を、アンダクロスには建設省のご理解をお願いします。 ●着手順位ですが、まず投資が少なく工事期間の短い広電案の西広島〜白神社を着工する。 次いで準備期間を要するが、今後の長期需要を遠望して第2案の白神社〜広島駅間と、別系統線の 西広島〜観音町間の建設に着手されることを要望します。 |
●己斐〜白神社間 表定速度推定計算(朝7:00〜9:00ラッシュ時を想定) | |||||||||||
|
距 離 (m) |
実運転時分 (秒) |
乗降時秒 (秒) |
信号待時秒 (秒) |
所用時秒 (秒) |
表定速度 (km/h) |
優先信 号によ る削減時秒 (秒) |
アンダ クロス による削減時秒 (秒) |
優先信 号アン ダクロ ス式所用時秒 (秒) |
同左換算 (分) |
表定速度 (km/h) |
己斐〜西区役所 | 650 | 78 |
15 | 40 | 133 | 17.6 | 40 | . | 93 | 1.6 | 25.2 |
西区役所〜東観音町 | 600 | 72 |
15 | 20 | 107 | 20.2 | . | 20 | 87 | 1.5 | 24.8 |
東観音町〜河原町 | 600 |
72 |
15 | 20 | 107 | 20.2 | . | 20 | 87 | 1.5 | 24.8 |
河原町〜平和公園前 | 500 |
60 |
15 | 20 | 95 | 18.9 | 20 | . | 75 | 1.3 | 24.0 |
平和公園〜白神社前 | 350 |
42 |
15 | 20 | 77 | 16.4 | 20 | . | 57 | 1.0 | 22.1 |
小 計 | 2,700 | 324 |
75 | 120 | 519 | 18.7 | 80 | 40 | 399 | 6.7 | 24.4 |
●白神社〜広島駅 表定速度推定計算(朝7:00〜9:00ラッシュ時を想定) | |||||||||||
白神社〜三川町 | 600 | 64 | 15 | 20 | 99 | 21.8 | 20 | . | 79 | 1.3 | 27.3 |
三川町〜富士見町 | 300 |
37 | 15 | 20 | 72 | 15.0 | 5 | 15 | 52 | 0.9 | 20.8 |
富士見町〜平塚町 | 440 |
50 | 15 | . | 65 | 24.4 | . | . | 65 | 1.1 | 24.4 |
平塚町〜稲荷町 | 440 |
50 | 15 | 20 | 85 | 18.6 | 20 | . | 65 | 1.1 | 24.4 |
稲荷町〜広島駅 | 620 |
66 | 15 | 40 | 121 | 18.4 | 20 | 20 | 81 | 1.4 | 27.6 |
小 計 | 2,400 |
267 | 75 | 100 | 442 | 19.5 | 65 | 35 | 342 | 5.7 | 25.3 |
●己斐〜広島駅 | 5,100 |
591 | 150 | 220 | 961 | 19.1 | 145 | 75 | 741 | 12.4 | 24.8 |
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「考える会」東西線各種案に「客観的評価指標」導入を提案 |
97.10.20 |
提案書作成提出の背景 |
公共性のある軌道とか道路を建設するに当たっては、複数のルート案や、複数の構造案が発生するのは普通のことである。 結論を導くための比較と評価をしなくてならぬが、技術用語と計数の積み上げで説明されるため、専門家以外には容易に理解できぬものになりがちではあるまいか。 かかる事情も計画案の市民への理解の妨げになっていると考える。 折しも97.9.23.にNHKスペシャル「日本の再建・公共事業を問う」第2回‘見直しの3条件より’の放送にが放映された。この番組の中でフランスでの高速道路新設工事に関連して、ルート案が10本以上もできあがり各々はかなり優位不利が混在しているので、これをカラー短冊でビジュアル化し、一目で比較・理解しやすいものにして住民に説明する方式を採用していることが紹介された。 この方法は「客観的評価指標」と紹介された。 このアイデアを今回の東西線提案にとりいれ「広島市東西線各種案 の評価指標」作成例を作成した。このほど広島市担当局に当市でもこのような理解されやすい評価指標方式をとりいれ、市民に公開と討議納得の方法を採って欲しい旨申し入れた。 なお、同番組中での紹介であるが、‘日本では建設省にて省内の課長にアンケートし、回答者42人中90%以上が、フランス式の「客観的評価指標」を積極的に導入すべきであるとの意見であった。 その結果、このやり方を導入すべく、目下本省にて具体的方式を作成中である’と紹介された。 |
以下は提案書の本文 |
前回提出の「東西線LRT案」に比し広電案を追加挿入しているのが特徴 |
1997.10.9 |
広島市東西線各種案 客観的評価指標 導入提案書 |
路面電車を考える会 |
●広島市原案
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●フランス式「客観的評価指標方式」を適用し試算してみると・・・ |
●広島市当局にお願い:フランス式に倣い当局にて至急調査され、委員会および市民に公開することを |
●上記「フランス式客観的評価指標方式を適用し試算してみると・・」 に対する補足説明「工事期間」はS2新交通地下もS3新交通も地下の距離がたいへん長く、超長期を要する。これに比べ、S1新交通高架は地上部のみであるから、S2S3に比べれば地上構築で相対的に短い。AのLRT全地上案は中央通り富士見町〜天満屋間の路下工事に時間がかかる。BCのLRT別案は旧路線復活で橋の建設があり、この時間が必要。H広電案は天満川本川の橋のみの工事で最も工事期間上の障害は少ない。工事期間問題の重要性は、たんに出来上がりが待たれる忍耐の問題ではなく、この期間の車両運行制限による交通渋滞、工事騒音、歩行者の危険発生、街の景観が破壊される等々枚挙にいとまない。工事期間の長短はこれらの点で市民生活に重大影響を与えると考えるので、ぜひ慎重に考慮して 欲しい。 「環境保護景観」S1新交通では平和大通りを高架で通れば万里の長城になり視野は削がれ景観は台無しで、市民の猛反対が予測される。S2新交通地下案は西部分は高架であり、S3のLRT市案では宮島線の高須あたりから観音町まで高架がかり、S1ほどではないが欠点がある。 「環境保護・騒音」S1新交通高架の騒音はすでにアストラムラインで経験された程度の、まずは許容される騒音になるはず。S2新交通地下,S3LRT原案では西部の高架部分では騒音発生が予期される。 「都市計画への影響」H広電案は基本的にはいままでの宮島〜広島駅線を南へ移動させたもので輸送力は近代化された車両と設備でで大きく増強されようが、市原案の別系統線新設にて輸送力UPというコンセプトからは乖離している。 会のB駅前通り案とC比治山線利用案は周辺利用人口増加数が限られるだろう。 「経済効果」は‘市街中心部商店の繁栄’のみの項目としたが、もっと各種考えられよう。本項目のみで考察すると、中央通り案がおしなべて現中心部の利用者に更なる便を与え、現在地の繁栄を助長することはまちがいない。S1の全高架では上記地下案に比べ買い物客の心理に差が出るのでは。他の案も交通網が付加されるので街の活性化にはプラス。H広電案では輸送力増強にはなるが、現行西観音町〜土橋間が廃線化されるだろうと予測され、活性化についてはプラスマイナスして同じと考えた。 「利便性・所要時間短縮」はどの案も向上するが大差無しと考えた。 地下鉄高架は一見速そうであるが、ある程度駅間距離が必要になり、駅数は地上LRTの半分程度しか設置できぬと思われる。すると乗客は駅にたどり着くにその分歩かされる結果になる。更に地下なら2階下まで降りて乗り到着するとまた2階上まで上がるという無駄な時間がかかるのは本通り駅で経験済みである。この辺を考慮すると広島市の程度の都市では短距離型の高速軌道となり、ドアtoドアの時間短縮効果はどの案も大差ないと考えた。あるいは地上型LRTの方が速く着くという逆転現象が発生するかもかも知れない。シミュレーション願いたし。 「利便性・乗り降りのし易さ」歩道から目の前の電停にてひょっと乗れる路面電車で市民はつとに経験済みであり説明不要。会A案を黄色にしたのは全地上でなく中央通り部分は路下式といえども地下に降りなければならぬ点を差し引いた。 「安全性・快適性」安全性からいえば全地上全地下は問題なし。快適性は軌道系に比べ新交通のゴムタイヤ式で若干落ちるとの市民の声もあるが問題にされるほどのことはないと考える。 「収受」これは建設費負担と運用費との総和と考える。この市原案Sはどれをとっても1000億円以上かかることになっている。建設費見積は工事期間は順調に工事が運ばれるとの前提と考えるが、各都市の前例ではまず立ち退き問題等で当初の予定通りの工期で上がることは稀である。広島市の場合でも高架部分はかなり難航するかもしれぬ。かかる場合には予定外の建設利息が付加されてくる可能性が大きいと危惧する。 全地上LRT案であれば土地取得問題等も最小限ですむのではなかろうか。 会A中央通り案では富士見町〜八丁堀間の路下工事建設費が加算されるので朱とした。会BC案はH広電案に比べれば旧路線復活工事や鶴見橋工事等の追加費用がかかり,薄緑とした。運用費については電停であれば無人で済むものを、地下鉄新交通とも有人になり人件費がかかる。また駅舎代が要り、冷暖房やエスカレータの常時運行さらには照明費 とか電気代もばかにならずで、電停方式と比べれば運用費負担は比較にならない。 |
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「考える会」東西線LRT案(改)を作成し広島市へ提出 |
97.10.17 |
提案書作成提出の背景 |
「路面電車を考える会」は毎月1回、主として広島市周辺を巡る都市交通問題の諸相について、講演会研究会等を開催し、市民ならだれでも飛び入り参加できる公開講座を主催しいる市民団体である。 折しも、広島市では7月に「都市交通問題調査特別委員会」が新編成され、来年3月には新東西線を含む、軌道系の抜本的な在り方を決定する予定と報じられた。 この9月の考える会例会は、先月実施した「路面電車1000人アンケートの結果発表」と本件「広島市新東西線LRT・市民案」を討議した。このうち「市民案」については、そのあとで有志にて当日の討議結果を参酌して案の細部を推敲して提案書を作成し、このほど広島市の担当部署である広島市道路交通部の責任者に提出した。 説明後責任者より、市の「都市交通問題調査特別委員会」に市民の提案として取り次ぐ旨の解答を得た。 提案書の考え方の基本は、「公式予測でも21世紀の早い時期に広島市の人口と、それを支える納税者人口が頭打ちになることがはっきりしている。この条件下では、広島市の軌道系交通機関を新設するに当たっては、できるだけ小さな建設費と運用費ですむよう、市民の長期の負担を少なくするようにしたい」という観点である。 (注1)1000人アンケートも本ホームページの別ページに掲載しているので、関心のある方は閲覧してください (リンクは本文の最終にあります) (注2)9/20UPの提案書は、広島市LRT原案と会作成の提案との区別がしにくいことと、広島市原案にはLRT案以外に、依然として新交通による高架案と地下案が残っているので、これらも記載すべきの意見が出たのでこれらを付け加えた。また会提案の比治山下をトンネルでくぐり抜けるD案は、コスト高く非現実的との意見を受け入れ、D案は削除した。これらの改訂を加えたものを10/8日に上記「客観的評価指標導入提案と一緒に市に提出した。10/17 |
以下は提案書(改)の本文 |
1997.10.4 |
広島市東西線 提案書(改) |
路面電車を考える会 |
●広島市原案
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