#139  01.8.26

広島市 JR横川駅前広場改造案と広電乗入が進展


 広島市の北玄関JR横川駅は重要な結節点であるが、今まで開発が遅れていた。広電の電停を今までよりJR駅に近接させた位置に変更する案が既に提出されており,「広島LRT研究会」でも本年元旦に独自の横川駅結節点改善提案を発表していた。 
 多くの市民が関心を呼ぶこの懸案について、既に市より地元への横川駅前広場改善提案があり、地元市民の反応について、8/24RCC-TVによってその様子が報道された。


JR横川駅利用状況は列車450本、山陽本線、可部線の利用者38,000人/日の規模である。
現在の広電電停は国道45号線の中に敷設されており、「駅から遠い、横断歩道を渡らねばならぬ、車も渋滞する」等の不評がつきまとっている。これに対応し、「広電を横川駅構内に直進させて結節改善をし、同時に駅や電停を整備してバリヤフリー化も計り、国道については車線増による渋滞緩和する」の3点を一挙に計らんとする計画である。

横川駅前の現況。左がJR、右に国道と
その中に広電電停が埋め込まれている。
「排気ガスがあり、うるさく、横断歩道があって
どうにかならないか」と電車利用者からは散々
市の作成したイメージ図。JR駅のすぐ側に
Green Mover が描かれている。
地元商店街ではイメージ写真を広報誌掲載を決めた。
机上には横川発日本最初の路線バスの模型が。
  • 国は工事費を10億円計上。今年度中に着工を決めている。
  • 広島市はこれを機会に駅前整備費9000万円を計上した。
  • 広電は横川〜宇品間直通運転に備え、十日市の直通線路を敷設すみ。残りは電気設備やホームの移設など。
  • この都心への直通運行が復活すれば、紙屋町までの所要時間が現在広島駅からは15分、西広島駅からは20分かかるが、横川駅からは11分ですみ一番早くなる。 
  • 電停移設工事は今年度中に着工し、順調に行けば来年度中に完成する。
  • これが完成すれば現在の地元中心の路面電車利用者から、通勤通学乗換者が増加すると期待される。
  • 横川駅前商店街の人は「人の流れが変わり良くなる」と期待し、「商店街生き残りのビッグチャンス」と受け止めている。


#138 01.8.22

東京都4市長 都に西東京〜稲城市間LRT建設を提案


 西東京、調布、三鷹、武蔵野市の4市長が8月20日に東京都と意見を交換する会合を開き、4市長より、多摩を南北に縦断する道路調布保谷線をLRT化するよう提言した。 
同線は西東京市と稲城市間14.2kmを結び2010年に全線開通予定。
理由としてLRTはマイカー利用を抑え渋滞緩和や排ガス減少の効果が見込めること。

調布保谷線は4車線16mの両脇に植樹、歩道、副道などの居住環境を良くする環境帯10m幅ずつを設ける。
三鷹市長からは、「道路幅が36mあり、LRTを敷設するのに格好」との意見があった。(日経新聞8/21より要約)

 当館では「00.8.22付け東京都 LRT路線新設 6パターンご紹介」、にて、99年に東京都がLRT導に関する調査報告書を発表し、その中で都内の6つの候補案発表があったことを報じました。 そのうちの「パターンC.広域ネットワーク補完(事例研究地区:調布保谷軸)」を、このたび関連市が受けて建設提案があったのだと理解しました。 期待していたのですが、こういう反応になってとても嬉しいです。今回の提案は、南が神奈川県稲城市までとなっているのでLRT原案延長型なのか、いや道路のみ稲城市までかも知れませんが、この6案のうち調布保谷軸案を再掲しますね。


「平成10.11年度LRT導入に関する調査報告書」より

パターンC.広域ネットワーク補完
 (事例研究地区:調布保谷軸)


軌道は基本的に地平に敷設するが、新交通システム並の表定速度の確保を目的としていることから、準専用軌道化を想定するとともに、高速性,定時性向上の効果が最も期待できる方策である軌道の立体化を幹線道との交差部において想定する。また交差点部における自動車交通の円滑化を確保するために道路中央部への設置を想定する。
また、電停の設置は限られた道路空間の中で整備する必要があることから、相対式よりスペースの少なく住む島式を想定する。


 (本情報は横浜市にお住まいの星健一氏より頂戴しました)

 他の5案も含めて全情報をご覧になりたい方は、
ここをクリックして前掲ページをご覧ください



#137 01.8.12

広電鉄 都心部の運賃引き下げ効果アンケート募集


. 広島電鉄は広島駅〜原爆ドーム、本通り電停間の運賃を正価の150円から130円へ引き下げを、本年4月10日から10月9にまでの6ヶ月間に限り実施した。 これは同社の路面電車とバスの両方について実施中である。(関連記事:4/13シャレオ開業と運賃値下げ)

 この値下げには館主も恩恵を受けて利用しているが、この特別区間のみの引き下げが10月で打ちきられるものか続けられるのか大いに関心を寄せているが、同社の今回の発表ではこの値下げを「運賃引き下げ」「社会実験」と表現しており、関連アンケートを募集している。どうも今回の処置は臨時的処置という表現で市民の反応によっては延長・本格値下げの可能性とうけとめられる。


同社のホームページより紹介すると

「このたび社会実験の効果測定・今後の各種施策への参考にさせていただくため、今回の社会実験に対するアンケートを実施しますので、日頃電車・バスをご利用されているお客様のご協力をお願いします。」

として

  1. 主な交通手段
  2. 今回の値下げしている区間において電車・バスの利用回数
  3. 広島市内中心部において電車・バスを利用する目的
  4. 今回の値下げについての受け止め
  5. この値下げによって、日頃の利用方法に変化が起きたか
  6. 日頃電車・バスを利用しない人はどのような点が利用しにくいか
  7. 今後、広島市内中心部において、どのような制度・方策を導入すれば、電車・バスの利用が増えるか
  8. その他意見

同社ホームページやFAXでの回答を求めている。

この質問内容は日本の路面電車状況への資料ともなるもので、その結果に関心が寄せられよう。



#136  01.7.30 

新潟市 商工会議所作成LRTプランを紹介


皆さん毎日暑いですねー。もっとも館主は高山植物を見たくて、先週信州の山々を経巡り、すっかりリフレッシュしました。 みなさんも日焼けしにお出かけしてください。(^_^)

 さて、当館では機会あるごとに各地で提起されたLRT建設プランをできるだけ報告しております。 今回は、先年新潟市商工会議所が作成した「21世紀に向けた新潟の街づくりと都市交通」の提案書を頂きましたので、この中のLRTプランを中心にレポートしてみます。

新潟LRTプラン


 本報告の経緯は新潟商工会議所の政策委員会が1995年制作の「ゲートウエイの機能強化」なる提言を出したが、更にこれの具体的検討を続け、「外からと市民の利便性を高めるとともに市民が誇りと親しみを感じる生活空間を目指して」作成したもので1999年12月に公表されたものである。

内容は多岐に渡っているが、交通関連を眺めると・・・

  • 短期的なものとしては、「既存バスシステムの改善」、「車の乗り入れ制限、ハイブリッドカーの導入」、「河川の船運復活」、「ITS導入などTDM的施策」の実行
  • 中長期的なものとして「新幹線の新潟空港乗り入れ」、「超低床型LRTの導入」、「政令指定都市化を睨んだ鉄道路線の延長その他」

ということで、あらゆる手段が網羅されているように見える。

このうちLRTの役割についの記述は「都市圏内交通が未整備であり、今後の高齢化社会と環境問題への対応から新たな公共交通としてLRT中心に選択した。 費用の面からルートの選定や車両選択について慎重に検討し、既存の貨物路線の有効活用や、行政が基盤整備を行って民間に運営を委託する運営形態も視野に入れる。

LRTルート案

  1. 市街循環線
     新潟駅万代口発着、万代シティ、古町経由 万代島行き/循環型
  2. 南部線
     新潟駅南口発着、弁天橋を平行して鳥屋野潟南部(総合スタディアム)までの折り返し
  3. 南部循環線
     新潟駅南口発着、鳥屋野潟南部を経由し、更に県庁を通り新潟駅に帰る/循環型
     県庁にはパーク&レールライド機能を持たせる。
  4. 郊外線A
     新潟駅万代口発着 万代シティ、万代橋、新潟西港経由 新潟空港、松浜、競馬場、新潟東港行き/折り返し型
  5. 郊外線B
     旧東関屋駅発着 新潟ふるさと村経由 黒埼町中心部行き/折り返し型
まだまだこの案件は動き出しているとは言えないようですが、館主としては各地にて「21世紀はLRT時代だ」として真剣に検討されている情報を参考にされ、日本中の都市で優れた利用計画が続出することを希っています。
今回の情報提供については新潟商工会議所業務調査課井上達也氏と水戸市の打越健太郎氏にお世話になりました。 m(_)m



#135 01.7.22 

東京都 「ひとにやさしいまちづくりと公共交通」シンポ


夏に向かって各地で路面電車関連のシンポジウムがしきりです。 本日は東京都心のシンポ開催のご紹介をします。

  • 講演題目:「ひとにやさしい街づくりと公共交通」
  • 日時:平成13年8月8日(水) 午後1時30分〜4時20分
  • 場所:ルポール麹町 ロイヤルクリスタル  
  • 基調講演:久保田尚(埼玉大学大学院助教授)
  • パネルディスカッション
    コーディネーター:久保田尚
     パネリスト:阿部宏史(岡山大学教授)
            江藤幸治(国土交通省特定都市交通施設整備室長)
            小間井孝吉(石川県都市計画課長)
            白石真澄(ニッセイ基礎研究所主席研究員)
            中尾正俊(広島電鉄電車カンパニープレジデント)
  • 主催:路面公共交通研究会、(社)日本交通計画協会
      後援:国土交通省(予定)
      協賛:全国路面軌道連絡協議会
          中核都市における新・交通システム研究会
  • 参加費:無料
  • 定員:250人
  • 申し込み方法:申し込み用紙で7/27(金)までにFAXでお申し込みください。(下記に問い合わせてください)
  • 問い合わせ先:
    社団法人日本交通計画協会内 シンポジウム事務局 宮脇・幡歩(はたぶ)
      TEL:03−3816−1791 FAX:03−3816−1794


その他にも翌日8月9日に「環境にやさしい都市交通の整備に関する制度的課題について」という円卓会議が議員会館にて開催される予定の情報や、10月10日には川崎市で路面電車のフォーラム開催準備が進んでいるようです。 実は7月20日にも仙台にて同様の企画が実施されたはずですが、こちらは報道しそこねました。すみません。



#134   01.7.11 。

広島県警 車の軌道敷内乗入れ規制に結論


さる6/18付けにて広島市の広島電鉄路面電車軌道敷きのうち、道路幅が狭いということで例外的に宇品線はタクシーのみ、白島線はタクシーと乗用車の軌道敷内通行が認められている。 長年続いたこの処置も周辺道路の整備等事情も変わってきたので広島県警はこの例外処置を解除することについてインターネット等で市民アンケートを求めていた。

  • このほどその結果が「広島県警−交通規制あれこれ−規制課ニュース」にて明らかになり、軌道敷内の車の通行を一切禁止することを決めた。 理由は
    1. 鷹野橋宇品線等の主要道路が整備されて自動車交通の分散化が計られた。
    2. 軌道敷内での交通事故を防止する
    3. 路面電車の定時制を確保する
  • 規制の開始は1ヶ月の広報・周知期間をおき 8月10日から実施
  • 規制廃止後は、広島市内全ての軌道敷内を原則として通行が出来なくなる
  • 意見収集の結果
    1. 寄せられた手段
       電子メール ……54件
       ファクス  …… 27件
       郵送    …… 9件
       来庁    …… 1件
    2. 賛否
       廃止賛成 …… 68件
       廃止反対 …… 17件
    3. 賛成者の声は
       「右折しようとしたときに軌道敷を直進車が走ってくるなど車両走行中に危険を感じる」…46件
       「公共交通機関を優先すべきである」                  …26件
       「軌道敷き内通行車両が高速で運転するなど運転マナーが悪い」 …24件
       「軌道敷上を車が走るという例外処置はやめるべきである」     …19件
       「電停前を高速度で車が通過するなど電停における乗降者が危険である …14件 等
    4. 反対者の声は
       「路面電車と共存すればよい」          …9件
       「規制が解除されることで渋滞が悪化する」  …9件 等
  • 県警では「軌道敷内通行車両や周辺での違法駐車の取り締まりを徹底し、道路管理者、広島電鉄と連携して渋滞防止に努める」としている



#133  。 01.7.6 。

鹿児島市電 超低床車を来年1月から運行


西日本新聞の報じるところに依ると来年1月には鹿児島市にも超低床車が運行を始める由である。

先月21日の鹿児島市議会の経済委員会に鹿児島市交通局より、アルナ工機製の超低床車「リトルダンサーA3型」を3編成購入し、2002年1月15日にお披露目式と運用の開始をする予定との報告があった。 購入費用は1編成あたり1億6800万円。
 この車両は電停との差が5cm未満であり、スロープ板も下ろすことができるバリヤフリー型。

鹿児島市に入る車両想定図
左右窓銘板の推定読み
KAGOSHIMA
MUNICIPAL
TRANSPORTATION
BUREAU

      
交通局前
経由

谷山

TANIYAMA


この超低床車が運用を始めれば日本では熊本市、広島市に続いて3番目の都市になる。また国産超低床車という点では始めて。
鹿児島市交通局は国産車両を選んだ理由として、故障の対応がしやすいなどの点を挙げている。 
また交通局ではすでに市内の電停72カ所のスロープの改修などの受け入れ準備を昨年度中に終えた。

  なおこのナニワ工機製のリトルダンサーA3型の詳細は
関連ホームページ:「講演録13:アルナから見た路面電車」を参照してください。



#132  01.6.25 

熊本市 都市総合計画協会がマスタープランを発表


熊本市の最近のLRTを巡る動きは関係者が一体になって実現に努めていることに心が打たれる。
その空気の一貫であろうか、この度は熊本都市圏総合都市計画協議会(委員長:樗木武九州大学教授)という団体が「熊本市圏の目指す21世紀の都市交通」を纏め公表した。


6/19付け熊本日々の報じるところによると、案の骨子は従来の道路整備中心に代わり、路面電車の延伸やバスの利便性向上など、公共交通重視に大きく転換した提案のようである。

熊本市 結節点改良提案図


計画の策定は、2020年の熊本都市圏人口を97年の1.17倍の115万人と見込み、この移動を車で賄うより既存施設を含む公共交通活用を最優先としている。
都心部では、歩行者を優先、通過車両を排除するゾーンシステムの導入検討などTDMの取り入れを提言している。  (熊本市細井氏よりの情報提供です) 

実は、当「広島LRT研究会」が99年に広島市に提案したTDM提案は、本案同様に2025年の広島市想定人口から出発したものであった。
今、熊本市でここまで官民一体にて21世紀にふさわしいTDM連続提言は、まさに聖域なき変革ぶりで感銘が深い。 これなら本年10月下旬に熊本市で行われる「路面電車サミット2001 in Kumamoto」にて、議論の盛り上がりぶりが大いに期待できよう。 (^_^)
    


 関連ニュース: 熊本市長発表  熊本市交通局案