#104 . 00.10.12

岡山RACDA岡山電軌の未来低床車デザインを発表


岡山市のRACDA(路面電車と都市の未来を考える会)は10/8に設立5周年記念事業として、岡山電軌が来年度1編成導入する予定で世界初の1、067mmゲージの超低床車のデザインを発表した。



100%超低床路面電車主要諸元

(00.10.26諸元データ追記)
館主注:諸元を追記しました。最高速度のとり方等興味深いです
軌間 1067mm
電圧 直流600V
車体寸法 長さ 18m 幅 未定 高さ 約3.15m
床面高さ ステップ 30cm 通路 36cm
重量 空車 約21t
定員 約84人 内座席28人
乗降扉 ノンステップ・プラグドア 幅1.25m
運行設備 ワンマン運転設備
台車 4輪ボギー × 2台 弾性車輪付き
制御装置 VVVFインバータ
モーター 交流100kw × 2台
ブレーキ 発電/回生ブレーキ、ディスクブレーキ
トラックブレーキ(電磁吸着式)
最高速度 40km/h (性能 70km/h)
最高勾配 70‰
最小曲線 半径18m

デザイナーは岡山出身でJR九州の特徴のある特急車両群をデザインしたあの水戸岡鋭治氏とドンデザイン研究所の共作。

外形は写真のように白と青を基調とした流線型デザイン。内装は車椅子も乗れる広いスペースや手摺りを設け、バリヤフリー化に対応。ベンチは木製。 高齢者や車椅子使用者が乗りやすいようにノンステップ昇降口にする。 
足周りは熊本9700型アドトランツと同型の2連接車である。

(資料はRACDA、岡山電軌、山陽新聞、藤井氏レポートによる)

      関連ニュース:熊本9700デザインと情報は
       「路面電車ニュース:熊本市電 LRT増備車2編成到着



#103 00.10.2

浜松都市圏 LRTシステム導入提案


館主前言:
シドニーオリンピックのおかげですっかり日常ペースが狂った今日この頃です。やっと終わりましたのでHP作成にとりかかります。(^^;)

いま日本中各都市にて公や鉄道会社の手にて、更には個人によっても、LRT導入提案がされています。 その一例ですが、浜松市居住の高橋歩さんから「日本中央部の浜松市を中心に、近隣の3市6町をこの際広域合併して人口85万人の政令都市「新浜名市」を誕生させ、その基幹交通にLRTを導入する」という個人提案が出されています。  私もかって浜松市に旅したことはあるので、この提案にはイメージが湧きました。 21世紀の日本ではLRTについてこういった活用法があるとの具体的発想・提案を大事にしたいと思い、ご紹介します。


高橋歩さんによる新浜名市とLRT(路面電車)システム案

  • 魅力のない街・浜松
  • なぜ浜松中心街は空洞化現象に陥ったのか
  • どうすれば浜松中心街は活性化するのか
  • バスよりもっとよい公共交通手段はないのか
  • LRTとは
  • なぜ低床LRTなの?
  • 浜松中心街の道路整備状況
  • 中心街のどこに軌道を布設するのがベストか
  • 軌道布設方法に関して
  • 郊外からのアクセス・ルート
  • パーク・アンド・ライド
  • 郊外地域の低床コミュニティ・バス
  • 郊外の外郭環状道路の整備
  • 中核都市におけるトータルな交通体系にむけて

以上の目次を通覧すれば内容はおおよそ推測されるでしょう。
この中から気になる(私だけかも知れないが)LRT路線案関連図を転載すると

静岡県における浜松市の位置 もし浜松市が近隣市町村を合併すると
現況:浜松市中心街と遠州鉄道(浜鉄は現在高架になっている)
徒歩圏を500mとして構想。まずは駅前通りからL字形に建設。次いで環状化に。
A案:通りの中央に単線軌道を敷設 B案:通りの片側に単線軌道を敷設
軌道敷設方法は、一周4.5kmを20分で運転できるので全線一方通行とし、
歩道に接するB案を推薦する その他複線の案も3例あり利害得失を比較している
郊外からのアクセスも東西南北4方向
から都心環状LRT線に延伸接続。
できあがると、総延長30kmで日本一の
LRT都市となる。
コミュニティバスを郊外の住宅地に
細かく張り巡らし、最寄りのLRT停車場に
接続させる

 「いかがですか? 自分の都市にLRTは建設できぬものか」と日頃お考えの方には、具体的なヒント・示唆があると思います。詳しいことは作者高橋氏のホームページ「政令指定都市・新浜名市」を参考にしてください。



#102

00.9.20

奈良市長 奈良市へLRT導入可能性を検討


奈良市にお住まいの駒沢珠樹氏より、9/13付毎日新聞・奈良新聞による情報として下記のようなLRT導入案に関するニュースを頂きましたのでお知らせします。

毎日新聞によると
奈良市の大川靖則市長は十二日、平城京遷都周年の2010年をめどに、市中心部の観光スポットを巡る路面電車の創設構想を明らかにした。
観光の目玉とする一方、交通渋滞や大気汚染を緩和するのが狙い。
今後、関係機関にも協力を求め、運営主体や建設方法などを検討する。
大川市長は10日の市長選で3選され、12日の職員向けの初訓示でこの構想を明らかにした。
大川市長によると、奈良公園や春日大社、奈良町などの観光スポットを軌道でつなぎ、電車を巡回させるという。
大川市長は「世界遺産のある古都には路面電車が似合う。奈良の町の風情を味わってもらいたい」と話している。

奈良新聞によると
大川市長は「あくまで構想、目標で、市総合計画に盛り込む段階ではない」としながら、「世界遺産もある。環境対策で奈良の自然を請う後世に伝えるのに思いきった施策も必要。
将来的に必要と考え、企画課で一応の検討を始めたい」と語った。
市長が導入の可能性を探るのは、関西電力が開発研究中の環境共生交通システムのLRT(ライト・レール・トランジット)。
道路渋滞を解消、低コストで環境面に優れ、車両はスマートで低床式のため高齢者に優しい乗り物とされ、札幌から鹿児島市まで、全国数カ所で運行されている。
奈良市では平城京遷都1300年の平成22年完成を目指し、JR奈良駅付近連続立体交差事業が進行中。
JR関西線と、JR桜井線で総延長3.5km区間が高架化されるに伴い大宮、大森、奈良の3つの陸橋が落橋、平面化されるのを待って構想を具体化させる。
JR奈良駅や県庁を経由するバス路線3.5〜5.5km区間を対象とする考え。
関電によると、事業費として、約50億円、年間維持費約11億円程度見込まれ、財源措置以外に運営主体と期待される
奈良交通の今後の対応に注目が集まりそうだ。



#101 00.9.19

広電 次期Green Mover の搬入は来年2月にずれ込む


Green Mover 5005号の搬入は当初は本年12月5006号は2001年1月、5007号は同2月であった。 最近の同社より情報ではこのスケジュールが若干変更されて、搬入は2001年2月から3月に延びることが決定的である。 なお営業開始は予定通り2001年3月末には開始したいと計画中。
同社は今後の新車購入はGreen Mover のみにし単車の購入はしない模様。 なお1号線(広島駅〜紙屋町〜宇品)へのGreen Moverの投入については将来は可能性があるだろう。


 


#100 00.9.14

緊急案内 「乗るより話そう早稲田の話、都電の話」討論会


               9/19:討論会の結果報告

早稲田都電の話討論会は予定通り実行されました。 その討論の様子が早速9/16「niftyFTRAINE7LRT・路面電車等」にて山田達也さんの手により報告されました。 けっこう論議の空気が活写されていますので、同氏の同意を得て要点を転載します。


**************************************************************
04872 山田 達也    【東京】早稲田のシンポジウム

 「乗るより話そう早稲田の話、都電の話」討論会へ行って来ました。  まさか岡さんご本人がいらっしゃるとは、思いもしませんでした。(^^)
 先月より工事が開始され11月に開業する「荒川一中前」のために18,000人分の署名 を集めた地元の石坂さん、都電研究家と紹介された吉川さんは、自らを「鉄道ファン」 と称してわかりやすく過去のお話をされていたり、東武博物館の花上さんは車両の話し ばかりで「どうやってレ−ルを引くか」と言う部分の話しがなかなか出てこない、都電 の頃の大手町の乗り換えは簡単だったが現在の地下鉄は延々と歩いている、などなるほ どなぁ〜、と思うト−クが続きます。

 交通局の佐々木係長からは、都電博物館の話し(出来たらいいなぁ)や路面電車サ ミットをぜひ東京で、などとなんとも心強い御発言!
 都市計画局の松本主任は元交通局出身だそうで、現在の東京の渋滞による経済損失 は4兆9千億円、都内を走行する車の半分以上が貨物車であり道路が荷捌きに使われ ている現状改善のために地域ごとに荷捌所があると良い、ロ−ドプライシングをエリ アや課金方法などについて現在検討中、などのお話がありました。

 また柴田教授と後半から壇上へ飛び入り参加された岡さんのト−クは最高でした。
 国内に路面電車に関する民間団体が既に40もあること、いかに市民に親しんでもら う努力をするか(車内でコンサ−ト、ビ−ル列車)、CO2排出量では路面電車を1と するとバスは3、自動車は9で、都市交通で路面電車は無視出来ないものであること、 などなど...。

 特に都市計画局と交通局から参加されたおふたりは、何だかタジタジだった様にも見 えました。(^^;
 岡さんのお話をいろいろとメモも取られておりましたので、今後徐々に流れが変 わって東京で都電延伸の話しが本格的に出てくるかも知れません。

***********************************************************************

9/14:討論会のご案内

明日15日表題の討論会が東京は早稲田大学の講堂で実行されます。 どうぞ出席可能の方はお出かけになり、耳を傾けてみてください。 とにかくLRTの真剣な討議があちらこちらでなされるのは大賛成です

地 球 感 謝 祭 2 0 0 0
「乗るより話そう早稲田の話、都電の話」討論会
主催:地球感謝祭2000実行委員会・まっちワークグループ早稲田
                                          後援:東京都交通局

近年、自動車公害などからくる環境意識の高まりや交通渋滞の慢性化から交通利便性の改革、バリアフリーの視点から路面電車が見なおされてきている。全国的にも「路面電車サミット」の開催や自治体などから路面電車の延長・導入について検討されている。そうした中、都電の起終点である「早稲田」から発信できることは何か?早稲田の町が都内で唯一残る都電荒川線とどのように関わってきたのかを再確認し、都電と早稲田のまちづくりを再構築する事を目指す。
具体的には、全国的な路面電車復活の高まりを早稲田から都内・広くは首都圏に呼びかけるきっかけとできないか?個別に動いている都電沿線商店会や地域を今回の企画を通して有機的に結びつけ、ネットワークとして機能させることができないか?「近年見直される路面電車の利点・欠点を調査、検討し、首都圏における路面電車の新たな交通手段としての提案・利用拡大の検討ができないか?といった具体的な内容についてそれぞれの立場から取れるアクションを想定し、討論会を進めていきます。ご期待ください。

日時:9月15日(金・祝) 13時30分〜16時00分 (13時00分開場)
会場:早稲田大学大隈小講堂
交通:都電荒川線早稲田駅または営団地下鉄東西線早稲田駅より徒歩5分。


JR高田馬場駅より学02系統都営バス早稲田大学正門行き終点下車すぐ
* 当日は10時30分より16時00分までの間、会場にて都電荒川線に関するパネルの展示も常設してございますので、こちらも併せてご覧下さい。なお、当日はお車でのご来場はご遠慮下さい。

<コーディネーター>
● 柴田いづみ  (滋賀県立大学環境科学部教授)
<パネリスト>
● 松本裕一   (東京都都市計画局施設計画部交通企画課企画係 主任)
● 佐々木雅多加 (東京都交通局経営企画室技術計画係長)
● 吉川文夫   (都電研究家)
● 石坂渉    (荒川区在住・熊野前商店会総務部)
● 花上嘉成   (新宿区在住・東武博物館事務局長)

ご意見・ご質問等がありましたらお手数ですが以下までご連絡をお願いいたします
「まっちワークグループ早稲田」 URL:http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/4196/★都電プロジェクト担当 根岸敬一★ TEL:070-5137-1622 E―mail:j810269@cuc.ac.jp
地球感謝祭2000実行委員会  http://renet.vcom.or.jp



#99

00.9.2

尼崎市 LRT導入案優位性を市議会特別委員会に報告


兵庫県では「ひょうごLRT整備基本構想研究会」が県内のLRT敷設対象として尼崎市を第一候補にあげたことは00/5/2付け当ニュース欄てUPしました。 その行方を見守っていたところですが、このほど尼崎市都市拠点開発室が8/28に市議会特別委員会にてミニ地下鉄、新交通、LRT案等を比較をした結果、LRT案の有利性を報告したとのことです。(神戸新聞、朝日新聞のHP報道による。 9/4:読者より情報を受け、文章と地図ルート案の一部を修正しました。


3案の比較報告

■前提条件

  • 臨海西部地区の性格:55ヘクタールの低利用地を中心に住宅やレジャー、学術研究などの施設を整備配置
  • 当地の夜間人口30,000人、就業人口50,000人
  • 公共交通利用者:約30,000人/日、ピーク時利用者:2,500〜2,700人/時 
  • 敷設区間はJR尼崎駅〜阪神尼崎駅〜尼崎臨海西部地域
  • 5ルートとも約9km

■建設費と採算比較

  • ミニ地下鉄建設費 1800億円
  • 新交通システム    900億円
  • LRT      220〜380億円
       (注)1km当たり建設費:地下鉄300億円、ミニ地下鉄200億円、新交通100億円、
          ガイドウエイバス50億円、LRT30億円と報告 ←館主注:これは参考になりますね
  • 採算は、LRTが100〜200円の運賃にて30年目に黒字転換。 ミニ地下鉄と新交通は採算確保は困難。

■課題と解決策

  • 課題は車社会時代において市民の合意形成
  • 今後、技術的課題や市民合意問題の解決などを兵庫県と協議して行く



#98

00.8.31

運輸省 国産超低床車開発へ研究開発予算を提出


読売新聞8/16によると超低床車両を2年を掛けて開発する計画で12年度予算を提出した。

現在日本で超低床車を導入運用しているのは熊本電鉄と広島電鉄の2社であるが、両市で導入できた理由の一つに両社とも広軌(1,435mm)であり、この点が容易に現行のヨーロッパ製低床車を導入できた事情もある。
他の路面電車事業者を調べてみると、1435mmで残るのは、阪堺、長崎、鹿児島の3社しかない。あと1,372mmが函館、東京都荒川線、東急世田谷線の4社。残り札幌市他8社はいずれも1,067mmの狭軌という現状である。

運輸省ではかかる日本の国情を考慮して、来年度予算概要に、国内メーカと協力してコンパクトなモーターやブレーキ,狭軌用のLRT台車の研究開発費を盛り込み、早ければ2002年度をめどに、安価な国産超低床車を走らせたいとしている。

広島電鉄中尾正俊 電車カンパニープレジデントに見解を質したら、
「外国製の超低床車は価格が高いので、もし国産で安くて性能の高いものができるのは結構なことです。 ただ技術的なことを考えると、いまの標準軌でも台車のタイヤハウスが大きくて車内の通路幅の確保(特に車椅子の幅の確保)には苦心をしている。狭軌になればますます通路幅の確保が困難を増すので、いっそ日本でLRT採用時には線路に第3軌条を増設することによって広軌の国産標準LRVを使用しやすくする発想はいかがであろうか」というものであった。


とにかく国(国土交通省)が本気でLRT普及に本腰を入れてきた気配をひしひし感じるニュースである。 本来我が国でのLRV使用の動機はバリヤフリーの側面も強かったので、現実的にLRVを開発するにはこの点から多くの技術的困難が予想される。 中尾氏発言のようにいっそ広軌に改道して開発することも視野に入れながら検討することにより時間と費用の節減に繋がると感じる。 niftyのFTRAINEの議論では「国産するなら輸出できるものを」との提言もありましたが、この点からも広軌は頷けます。 とにかく難題への勇気ある挑戦ですね。


      参考用に追記(9/2): Green Mover の台車構造 
電動台車は、左右2台の三相誘導主電動機により、駆動および制動される。
主電動機は、電動台車の同一側面前後の車輪の間に取り付けられ、
駆動装置とともに台車に固定されている。
回転力はモータギヤボックスカップリングを介して中空シャフトで構成される
フレキシブルカップリングにより車輪を駆動する。



#97 00.8.22

東京都 LRT路線新設 6パターン ご紹介


これは別に新しいニュースというものではありません。 昨年東京都が「LRT導入に関する調査報告書」を発行したと聞いては居ました。 このたびこの報告書を入手閲読しましたがたいへん興味深いものでした。 同時に、この報告書は今国内各地で“わが街にもLRTが引けないか”と研究中の諸子にはたいへん参考になる資料であると考え、広くご紹介したいと思いました。

いくらLRTを新設や改良をすると言っても東京都となると広大無辺、いろいろの場所と環境・条件が存在します。 その想定される場所を6つのパターンに絞り、そのパターン毎に(1)そのパターンでのLRT導入目的と発揮する機能、(2)課題の抽出と対応策として、・自動車交通への影響、・既存交通の確保策、・その場所特有の課題と解決策、といった内容で具体的提案を詳述してあります。

本書はA4版、101pよりなる報告書であり、到底細部は紹介できかねますが、以下6つの東京都の事例的パターンを紹介しますので読者がいろいろ想像して想定してみてください。けっこう考えさせられます。

研究者でもっと突っ込んで研究したい方には入手精読をお勧めしますが、入手方法その他は確認をしていません。

 奥付のそのまま転載すると:
   「平成10.11年度LRT導入に関する調査報告書」
    発行:東京都都市計画局施設計画部交通企画課
        東京都新宿区西新宿二丁目8番1号
        電話 03(5388)3284(ダイヤルイン)

東京都のホームページには【「LRT調査」の結果について】という概略が公表されています

もと東京市民としての感想ですが、これら諸案がすぐに実行できるかということは何とも言えません。 が、全国どの都市において例え今すぐでなくとも21世紀のLRT時代に備えて、今から可能性のある地点を詳細に調べ、時期至らばできるものから実行に移す用意が必要です。そのための知識・技術は一日も早く収得し、関心者全体の共有情報としておくことは有意義なことと考えます。 当ホームページは今後ともこういった情報提供に力を入れるつもりです。


パターンA.中心市街地における短距離交通
        (事例研究地区:銀座・日本橋・丸の内地域)


どこからでも乗降可能なアクセス性を確保する必要があることから、軌道は全線地平構造。 歩道からの水平移動によるアクセス性の確保、電停部と歩道部の共有化により限られた道路空間においてより少ないスペースでの導入が可能で、かつ、違法駐車の一掃や道路空間の有効活用に寄与するという観点から、歩道両側へのふりわけによる敷設形態を基本とする。 また、高速性よりも短距離移動に対するサービス提供に主眼を置いているので、この事例では併用軌道を想定する。


パターンB.交通不便地域改善
       (事例研究地区:江東東部地域)

このパターンは、放射方向鉄道の路線網密度が低い地域や鉄道密度の低い地域等等において、公共交通サービスの強化を図ることを目的として、鉄道のフィーダー交通としてLRTの機能を発揮させるものである。
【LRTが発揮する機能】
  ・バスに比べて高い輸送力、定時制の確保
  ・地下鉄、新交通に対する建設費の低廉性

想定ルートの沿線は高密度な市街地が進行しており、また都市計画道路は計画幅員で既に整備された区間が多く、新たな道路拡幅は困難と考えられることから、既存道路内への導入を前提とする。

建設費の低廉化を図るため全線に渡り地平構造とする。 交差点部のおける自動車交通の円滑性を確保するため、全線とも準専用軌道による道路中央部への設置を想定する。


パターンC.広域ネットワーク補完
       (事例研究地区:調布保谷軸)

軌道は基本的に地平に敷設するが、新交通システム並の表定速度の確保を目的としていることから、準専用軌道化を想定するとともに、高速性,定時性向上の効果が最も期待できる方策である軌道の立体化を幹線道との交差部において想定する。また交差点部における自動車交通の円滑化を確保するために道路中央部への設置を想定する。
また、電停の設置は限られた道路空間の中で整備する必要があることから、相対式よりスペースの少なく住む島式を想定する。


パターンD.自立と市内のおける基幹交通
       (事例研究地区:八王子市)

中心部内の道路は比較的広幅員が確保されており、また沿道には堅牢な建築物が多く、道路拡幅が困難な状況から、既存道路内への導入を想定する。また郊外部への道路は、計画幅員が狭く、LRT導入の必要幅員が絶対的に不足するため、新たな道路拡幅を行う。


パターンE.開発地域内の域内交通
       (事例研究地区:秋留台地域)

開発エリア内については、計画策定段階からLRT導入を前提として道路ネットワーク計画の策定、道路幅員の確保、円滑な自動車交通と公共交通の機能分担に向けた対策等を検討することにより,あらかじめ軌道空間を確保することが可能である。 

軌道は全線に渡り地平構造の準専用軌道とする。また、道路計画策定段階での軌道敷設となるため、軌道は道路中央に敷設し、一般部についても電停部の幅員をあらかじめ確保するなの余裕のある形態とする。

パターンF.既設路線の延伸・改良
       (事例研究:都電荒川地区)

該当地区は沿線の状況から新たな道路拡幅は困難であり、LRT導入に際しては現在未整備区間を含め、都市計画道路の計画幅員内における導入を前提とする。

既設区間との整合を図るため全線地平とし、また明治通りは区部内の幹線道路として相当の自動車交通量が見込まれ、その中での都電の走行性を確保するため、準専用軌道とする。既設区間では都市計画道路整備に伴い道路中央部への軌道移設を想定しており、延伸区間でもこれと整合を図るため、道路中央部への軌道敷設を想定する。


 蛇足:東京地区には40年近く住んでいてこれら私鉄、地下鉄、JRなどを乗り回していましたが、こうして数年離れてから東京の路線図をみるとすごいネットワークですね。ごくろうさまです。 (^^;)