都市計画学会 シンポジウム講演録

    「 LRTの新たな発展をめざして 」 

  日本都市計画学会中国四国支部 
平成18年度第4回都市計画研究会シンポジウム 


07.2.24
講演日時:2007年2月3日 13:30.~16:30.
会場:広島市市民交流プラザ

広島市で18年度に行われた 「LRTと街づくり4回シリーズ」の最終回です。 今まで3回の報告会を踏まえて、総括的なシンポジウムを開催しました。       (館主も市民の立場からのパネリストとして参加しました)

シンポジウムの様子
講師は基調講演担当 松中亮治氏

プログラム

●基調講演:トラムを中心とした都市交通戦略の最前線
                 松中亮治氏 (岡山大学大学院助教授)

●パネルディスカッション:LRTと街づくり~中国四国地方の新たな発展をめざして
       コーディネータ:杉恵頼寧氏 (広島大学大学院教授・土木学会中国四国支部支部長)
       パ ネ リ ス ト: 阿部宏史氏 (岡山大学大学院教授)  
                 高井広行氏 (近畿大学工学部教授)
                 佐藤俊雄氏 (中国地方総合研究センター地域計画研究部長)
                 山根政則氏 (広島LRT研究会代表)     
       コメンテーター:松中亮治氏 (岡山大学大学院助教授) 

●基調講演要旨 講演者:松中亮治氏
館主前言:
松中先生のご講演はフランスにてLRT化成功事例4都市の報告です。あと日本の代表事例は富山ライトレール。講演はPowerPointにて実に218枚に及ぶ多数の現地写真とそれを総括する少数の要約TXTが次々と投影されました。これは静止画の動画化で、聴く・見る人にとっては渦中の人に変じ、成果を目・耳で理解してしまう新体験講演でした。

都市のLRT化は単なる路面電車の延伸ではなく、敷設を契機とした都市の関連諸機能の改善改革にあります。館主としては4件の発表事例のうち、やはり代表例としてはストラスブール市を選び掲載しました。但し、いままであまり目にしたことのない映像を読者にご紹介することによって関連諸機能の改革の成果を理解して頂きたいと念じコンテンツの選択をしました。

●フランスでトラム整備が進んだ理由は?
基本的事項はどこも原理が存在する

●成功事例

●国内外の先行事例
フランスの代表的4都市として上記が紹介された 日本は富山

●ストラスブールの地図と交通機関・都心

CUS,ADEUS:Bilan LOTI des lignes A,octobre 2000.
CHEMISE 3 : Effets du tramway sur les déplacements individuels, le stationnement et les pratiques intermodales, p.4.
周辺はけっこう高速道路や道路が発達。LRTの立場も理解できる

●以下ストラスブール市の関連施設の状況
例のLRV電車が居ないトランジットモールはこんな風景

都心の状況 人とLRVとの共存

ホームとLRV出入口 なんとなくデザインがすっきり

車内  これもデザインが明解

自転車道はこういう風に整備されている

LRVとバス停の共床化 日本でもできはじめたが・・・

LRTとパークアンドライド実例

●どのように変化したか

●事例のうちから:自動車交通量の推移

CUS,ADEUS:Bilan LOTI des lignes A,octobre 2000.
CHEMISE 3 : Effets du tramway sur les déplacements individuels, le stationnement et les pratiques intermodales, p.5.
都心への流入量低減の様子 これはLRTの成果だけではなく、車の流入制限等他の諸施策を加えた総合成績である。



●特別掲載 東広島市に△型のLRT建設プラン紹介
      (高井広行 近畿大学工学部教授のパネリスト発言より)
館主前言:
特別講演に続きシンポジウムがありましたが、そのうち近畿大高井先生より東広島市にLRTを建設する可能性と効果について、多数の図表を用いての具体的提案がなされました。東広島市でのLRT可能性の話題は聞いてはいましたが、具体的な提案は初めての経験でたいへん関心持ちました。提案ポイントだけをご紹介したいと思います。
●ルートの基本骨子
LRTをJR西条駅~広島大学地区~新幹線東広島駅~JR西条駅と△形に結ぶ。
JR西条駅を中心として山陽本線沿いで東西の地区は市の生活軸をなす。
西条駅と広島大学周辺地区は学園都市軸を形成している。広島大学から西のIT工業地帯と東の新幹線東広島地区の間はテクノ軸をなす。
この大事な3軸をLRTで結ぶことが肝要。
周辺の西地区、志和・八本松・寺家地域および東地区の高屋・白市地域はこのJR西条駅にて△型のLRT軸線に接続され、基幹ネットは形成される。

●まちづくりにおけるLRTへの期待
投資額と採算のみにての論議だけでは不十分ではないか。市の将来と派生するたくさんの効果が期待できることを充分考慮して検討をして欲しい。


質疑より:

Q:都市の公共交通利用促進のためには市民合意のための宣伝をもっとやる
  べきではないか。ちょうど広島市では市長選挙もあるし絶好の機会と思うが。

A1:市民活動を盛り上げるためには行動の3人衆の形成が力が出るようだ。

A2:市民合意形成のタイミングと方法が大事である

A3:障害者も含めた合意形成がのぞましい