路面電車を考える会例会 講演録26

 「広島市都心活性化と都市交通 
   〜ビジターズ倍増に向けて〜」
 

  広島市企画総務局 都心活性化推進室室長 糸山 隆
04.4.16
講演日時:2004年2月18日 6:30p.m.〜8:20p.m.
会場:広島市市民交流プラザ


館主前言:
広島市は政令都市であり100万都市であり、中国地方の中枢都市でしょう。広島市の都市の特長は単に行政的機能に止まらず、プラス工業都市(車、機械)に有ると思われます。近年の広島市の推移を見るに、郊外への発展につれそのぶん都市中心部がどうも活気が減退しているではないかとの市民的感触があります。市としてもかくてはならじと、都心部活性化をめざし、そのキーワードとして「観光客プラスビジネス等の外部より訪問者の増加を計る活動・・・ネーミングとしてビジターズ倍増計画なるものを推進するため市の中枢組織中に専門セクションを設けました。市中心部へのビジタース倍増となれば都市交通は不離の装置です。計画責任者からその意図、手段を聴くことにしました。


糸山隆氏略歴
1957年(昭和32年)広島市生まれ
1980年 広島大学政経学部卒業
1980年 広島市入所
1988年 財政局財政課
1998年 平和推進担当
1999年 市街地再開発課
2003年 都心活性化推進室


糸山氏講演要旨

  (挿入作図は糸山氏提供)


はじめに

  • 地元中国新聞の『都心のあした』なる記事に「活性化のカギは足元にある」とあった。そのとうりである。
  • 都心部の人口増加率は1.4%/5年、都心紙屋町の地価は平成3年の1/6に落ちた。
  • 市小売業の販売額は6年間で13%ダウンした。しかし都心中区はなんと24%ダウンである。
  • 来広する観光客はかなりあるが3割しか宿泊しない。これは夜スポットの充実がないから。
  • ビジターズインダストリーとして考えると、ハンズ、パルコ等の大店には県外からの来店者が1割もある。この来店者は観光客ではない。これらにも着目し広い視野から来広者を増やす工夫をすべきである。

目標値

  • 観光収入は外国ではGDPの1割、日本は2.3%で低い、といわれている。
  • 広島市の観光客は年920万人程度。(ピークはNHK毛利元就年の1300万人。
  • 更に広い意味での来訪者は年3700万人。これを2010年に倍の7000万人にしたい。

いままでの実績と構想

  • 広島市の強み部分の客観的データ。 活かす、強化することを工夫したい

  • 広島市で都心として定義すれば、JR広島駅を出発点にして東西3km南北2kmの範囲になる。その中に直径1kmの都心核が存在する。

  • 広島市の特長はなんといっても水の都。すなわち太田川河口デルタ部分に人口の4割が住んでいる。
  • この川をうまく使いたい。河川は国・県の管理になる。規制緩和でやりやすくなった。
  • いろいろの企画、例えばライブ、音楽会等はNPOにまかせてやりたい。
  • いま水上交通として、広島都心の河岸から宮島までの定期船が就航している。



  • 都心を東西に貫く平和大通りはこれまで道路交通、都市防災、都市景観、憩いの広場としての役割が中心であったが、ひろしまフラワーフェスティバルの開催を契機に、市民の広場として、積極的に利用されるようになった。

  • 緑地帯を利用した朝市も開催されるようになった。


  • 平成10年からは、平和大通りの緑地帯を利用し、夏の期間だけオープンカフェテラスがお目見えした。この取り組みは、平成13年度まで行われ、採算面など様々な課題が残ったものの今後の有効活用に向けた手がかりとなるものとなった。
  • (2003ひろしまドリミネーション)
     11月中旬から1月中旬まで、昨年より大幅にスケールアップしたライトアップ事業「2003ひろしまドリミネーション」を開催した。創作物語「青年とドラゴンのおはなし」に登場する人物・動物をモチーフにしたモニュメントや樹木などを、約60万個の電球により彩り、多くの皆さんに楽しんでいただいた。

今後実施、発展させたい企画もいろいろある


  • 広島が全国に誇れる交通施設を広島交通博物館と称して売り出したい。
  • これは路面電車を考える会としても大賛成。来広者にはなるほど広島として受け入れられるであろう。

  • 最近のツアーの傾向は見物ではなく体験型に変わってきている。牡蛎を食べても取り出し方は想像しにくい。

  • JR広島駅前には金沢市の近江町市場に相当するような大きな市場があるが時代に取り残されてしまった。しかし取り上げ方、企画力、公の応援の仕方によっては活性化の可能性を秘めているはず。

  • 今は全国各地で旧い街々の修復と見て歩きは隠れた大ブーム。実は館主も自分の住む町のボランティアガイドを勤めている次第。 これもビジターズ倍増計画には組み込めそう。

2004年度計画

  • 八区覧会 広島市には区が8区あり、それにひっかけて「ひろしま八区覧会・八区物館」を開く
    内容は◎自慢できる資源の発掘 ◎まちづくり活動の紹介 ◎個人、企業の収蔵品の発掘 これらの集約をネタに、区ごとに趣向を凝らし地域の魅力をアピールする。
    そのため被爆60周年、政令市移行25周年となる2005年に実行するため04年を準備の年とする。
  • ビジターズ倍増計画を作り、行動計画推進委員会を発足させ、来広者の増加に力を入れたい。