|
路面電車を考える会例会 講演録14
「広島市中心部商店街と路面電車」
広島市本通商店街振興組合連合会理事長 望月利昭 |
01.4.29 |
. |
講演日時:2001年4月11日 6:30pm〜8:30pm |
. |
場所:広島市鷹野橋 広島市女性教育センター |
館主前言:
「路面電車を考える会」の行事は講演会が主体で行っており、前月は「アルナから見た路面電車」のテーマで実施しました。今月はまたまた異色です。路面電車が走っている都心商店街にとっては、来客の足として路面電車の影響は大と思うのでどのように観察をしておられるのか、一度意見を伺ってみたいとの発意でありました。そこで広島市一番の繁華街本通、つまり東京で言えば銀座通りの商店街理事長さんにお願いしたら快諾があって実現しました。 わざわざ奥様と一日改めて広電の各線の乗り廻しをされたとか? ご協力ありがとうございます。
。
望月利昭氏略歴:
1942年 広島市生まれ
1964年 慶応大学商学部卒業
〃 神戸市 森中商店(宝飾卸商)入社
1965年 東京銀座 審美堂(宝飾店)入社
1967年 広島市 株式会社てんぐ(宝飾店)入社
1984年 同社代表取締役
1998年 広島市本通振興組合連合会理事長
現在に至る |
|
|
望月利昭氏講演要旨
私の略歴
- 私は広島市本通にて親の後を継いで宝飾商をしています。
- 路面電車については私は見る立場です。実は電車の細かい区別もつかないのですが、先日のある日家内と一緒に一日乗りました。
- それでも中学時代は路面電車にはよく乗った方で、昭和22年には電車の入り口にぶら下がって駅前の闇市に行った記憶があります。
本通商店街の現況
- 本通商店街は150軒ある。通行人数は平日5万人、土日祭が10万人、フラワフェスティバルのようなイベント時は30万人になります。
- 商店街とは…「人が集まりやすい所+α」です。このαとは歴史です。
- 当商店街の歴史は古く、1589年毛利輝元の築城時に西国街道、後の山陽道ができたが、その街道筋が今の商店街の道筋です。
- この10年間の景気ですが、自分は「心理不況」と名付けている。つまり不安感からものが売れない。そのボディブローは相当効いてきています。
- 本日新しい地下街シャレオが近くに開業した。これは本通商店街と同じ間口なので明らかにオーバーストアです。
- 本通商店街ではシステム的に駐車場事業をしております。現在80施設が加盟しており、合計7,000台分あり、年収も1.8億円をあげています。
- その他の事業として原爆記念日の灯籠流しとか、アリスガーデンの保存とかを実施中。
- 新しい事業としてはデビッドカード「広島シティーカード」の利用を昨年9月に始めました。
- 「都心交通対策委員会」を作って環境対策、特に暴走族への声掛けやピンクビラ剥がしなどは地道な仕事です。
中央商店街と路面電車との関わり
- 昨年10月に商店街の実態調査をしましたが、そのうち関連事項をピックアップしますと、来店者の交通手段は1位自家用車35%、2位はバス22%、3位自転車18%です。4位に路面電車が14%、5位は徒歩で7%、6位に新交通アストラムラインが3%という実態です。
- 頭が痛いのは自転車族です。市立の駐輪場は4500台分あるけど料金100円がネックなのかなかなか利用しない。商店街舗道に放置するばかり。それでも来て頂く方が嬉しいのも事実ながら、なんとかこの自転車族が路面電車族に転化してくれることを望むばかりです。
私の広島市の地政学的認識
- 地政学的には中四国の中心都市。100万都市、政令指定都市でもある。これは札幌、仙台、福岡と並ぶ都市とも言える。
- 商圏としては東は県東の三原市から西は山口県の柳井市まで。北は島根県の浜田市と言えます。南の松山市の方は瀬戸内海があるためか来店はありません。
- 実はこの商圏は難しい位置にあります。つまり東部の関西商圏と西の九州商圏に挟まれて力が出ません。特に90年以来重症化してきたと感じます。
- 広島市は都市としての特長は川と海の存在にあると言えるでしょう。
川は6本も流れ、やっかいもの視する向きもありましたが、今は川岸緑地化、更には親水公園化へと変革中。海は今では魚介類を採るよりも海の景観を観光化して、「エーゲ海の玄関口」を目指す時代です。
- JR広島駅を路面電車に乗り発車すると、次々と6つの川を渡っていきます。親水自然美と都市美の中を走ることになり、私は路面電車・LRTこそ観光資源になると考えています。
- 広島市のリトル東京化はまっぴらという心境にあります。
中央商店街の展望と路面電車
- 広島市の路面電車は中央商店街発展のキーを握ると考えます。
そこで、例えば横川・江波地区等の周辺から都心に来る便を良くして貰いたい。
- 先日広島駅前大橋を建て替えられた。現在猿猴橋町を迂回して走る路面電車をこの大橋の上を通し、都心へ短絡する計画があるが、これは大急ぎでやってもらいたい。
- もう一つ。調査によると20年後の広島市の人口は都心の旧市街人口は今の53万人がそのまま53万だ。他方、郊外地人口は今の53万にが63万人になると予測されている。なんとか更にLRT化を計り、都心へのアクセスをよくしてもらいたい。
- 広島市の将来を多都心型都市づくりと言っているが、100万都市で多都心とはおこがましい。1都心+衛星都心型であるべきと考える。
集中化とは魅力度が重積するということです。
沿線景観への感想
- 最近路面電車で沿線を改めて廻ってみたけど田舎くさいですね。宮島線は民家が迫りすぎているし、比治山〜宇品間は街の再開発が必要でしょう。比治山側の家を移設して川岸を森林公園化したらよい。
- 看板も多すぎる。必要最低限以外は撤去するべきです。
- 街づくりとは「街並みづくり」です。 きれいなLRTできれいな街を創りましょう。
広島電鉄への提言
- トランジットモールを採用を。 対象は土橋電停〜小網町電停間。これならすぐできる。道路に花木と花壇。それに舗道を設置する。
- 白島線を牛田線へと延長する。更には戸坂まで延長したい。
- 電車の車体の看板。あの広告電車は街の景観に似合わない。
質疑
Q:高年齢化をどう考えるか?
A:
・人口は増えないし年齢構成が変わる。本通商店街の場合は買っているのは中高年の人。たくさん歩いているのは若い人。 その結果、代替わりして作った若者向けの店が閉めている。
・少子化は商店街から見れば辛い部分があるけれども、市民から見れば店のスペースが広くなる結果を生んでいる
Q:本通商店街は駐車券は提供しているが、電車・バス乗車券は提供しないのか?
A:本年秋にポイントカードでバスカードを提供するようにする。
Q:私は自転車に乗るが駐輪場100円は痛い
A:検討中。サービスに駐輪券を出すとか100円バス券提供もしたい。市はすぐに受益者負担を唱えるのでやりにくい。
Q:自転車放置に苦情があったが、本道は自転車禁止のサインが小さい。
A:サイン作り替えについては予算を付けている。今年中にやる。
Q:自転車利用者に言わせると本通は東西に自転車が通りやすいので利用している。
A:今度出来たシャレオ地下街には車の地下駐車場は作ったが、自転車駐輪場は作っていない。本通に自転車を放置してから、シャレオ地下街に行ってくるのではと疑う。
シャレオ開業の際横断歩道を廃止したので、ますます自転車にて本通の通り抜けが増えるように思う。
Q:本通商店街に定住者はいるのか?
A:本通商店街では10%以上は住民が住んでいる。隣の金座街は1軒のみである。
・自分の考えでは「商店街に人が住まなければ商店街ではない」。
・小売商とは人です。特に店長がだいじ。即ち「店長産業」と言えます。
・私は神戸三宮の商店街を密かに師匠格にしています。