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例会講演録8
英マンチェスター市LRT整備とPFI(Private Finance Initiative)について
日本政策投資銀行 中国支店 企画調査課長 中村
直幸氏
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2000.3.23 |
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講演日時:2000.3.15 6:30〜8:30p.m |
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場所:広島市鷹野橋 広島市婦人教育会館 |
館主前言:
先月に続いて外国のLRTに関する講演です。しかし今回のものは、LRT建設でPFI(Private
Finance Initiative)という民間資金活用体制の効用という視点が加わっています。 このへんは専門銀行からの講演者の特色が現れています。 堅い表題なので、参加者の數を気にしたのですが(^^;)、結果はいつものとうりの参加数でほっとしました。 残念なのはいつも驚速タイプでお世話になっている岡山市藤井さんが参加できないので筆記記録のためえらい簡単なものにになってしまいました。
講演者略歴:
1957年 東京生まれ
1981年 早稲田大学卒業
1981年 日本開発銀行入行
1998年 広島支店 企画調査課長
1999年10月
行名を日本政策投資銀行と改称 |
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講演要旨
使用レジメ: LRTの整備とPFI −英国マンチェスターの事例−
平成12年3月15日 日本政策投資銀行 中村直幸
まえおき
広島市には2年前に転勤で参りました。 毎日路面電車で通勤をしています。
来る前に思っていた以上に道路が混みますね。
広島市にて発刊資料から
当地でTDMについて研究し1本にまとめ発行したのがこれです。
「地方中枢都市におけるTDM(交通需要マネジメント)施策について
−公共交通機関利用促進の観点から−
平成11年5月 日本開発銀行 広島支店 」
- 世に100万都市と言われる札幌、仙台、広島、北九州、福岡市を選んで渋滞状況の変化をチェックした。内容は「平均旅行速度」と言われるものであるが、仙台を除き各都市遅くなっている。ということは渋滞度が増しているということである。
- 広島市に来て感じることは、通勤ですが東京大阪に比べマイカー通勤が多いということ。しかも年々増えている。
- どうするかということを考えた。 対策としてはTDM(Transportaton Demand
Manegement)ということになる
マンチェスターのLRTと交通政策
- 1999年秋、PFI調査でイギリスに行った。
- 刑務所、病院、市役所などの公共物がPFIという民間資金を借りて安く建設運営されている
- マンチェスター市のLRTをPFIで作ったのが成功事例として紹介されている
- マンチェスター市は中心都市以外に、近郊の9都市を合わせ10市が Greater
Manchester として活動している
- もともと綿業の町であるが、いまは商業、文化(劇場)、スポーツ、金融の都市として栄えている
- 中心部は1920年には80万人住んでいたが、今は43万人に減り、近郊は合わせて広島市の2倍の面積に257万人が住んでいる。広島市と似た都市圏ということで調べた。
- この図はマンチェスター市のLRT(メトロリンクと呼んでいる)図であるが、1号線は8年前に開業。2号線は今年4月開業予定。あと6号線まで計画されているがずっと先までの計画である
- これ以外に従来の鉄道がいろいろ走っている。
- マンチェスター市の公共交通は下記のような政策で運営されている
広島市とマンチェスター市を比べてみて
- 鉄道は広島市の方が数倍の密度で運んでいる
ただし、パターンは 広島市=都心へ集中 マンチェスター市=職住接近で散在
- バスは両市とも低減
- 鉄道はマンチェスター市は落ちた。 広島市はJRが増えた。理由は郊外都市人口の増加
- 路面電車は広島市では10年間で1割増えた
- Green Mover とヨーロッパのそれとは一緒にならぬ。それは交通政策の違いがあるから。
マンチェスターのLRTの特徴
- 運輸連合はドイツの組織である。GMPTAは運輸連合にちょっと似ている。それは広域的交通政策を一元的に行っている点である。
- 交通政策を決めるのはドイツは州、英は都市圏レベルのGMPTAである。
- サービスの水準が揃う
- 独は交通施設は州がもつ。運輸連合は運賃調整などのソフト対策のみ。 英はGMPTAが施設を持ち、ソフト対策も行う。
- TDMの役割推進もこの組織がやっている。例えばパークアンドライドとか案内パンフの作成とか
- 高齢者交通補助も法令で決めている
- 運転間隔は金土曜日は深夜1時まで12分間隔になり、日曜祭日は22:30まで15分間隔。平日は早く閉まる。
これは民営のおかげで、劇場や飲食の終了に合わせている。 昔の鉄道ではこうはいかなかった。
町の駐車料が高いから公営交通。広電も広島カープの試合の日に臨時電車を走らせているが同義である。
- 運営会社であるが、5年ごとに入札して運営会社が変更になった。上下分離方式のため。
- オランダでも上下分離して民間に任せたら客が増えた。 バス会社が鉄道の運営もしたので、鉄道からバスに無線連絡してバスの発車を待たせて接続をよくするなどの実績がある。
PFIとはなにか
- 対象は公共事業である
- コンペにかけると良いアイデアが出る
- 変化革新を通じて市民の生活が向上する
PFIの分野と類型
PFIを導入する効果
コストは減るのか
結論
- PFIや上下分離で競争原理と民間活力を導入し、収益最大化とコスト最小化を図ったこと
- 公共優先の交通政策
- 都市計画と交通計画の一体化
以上の三つがマンチェスターLRT成功の背景にある
質疑
Q:5年ごとの入札で発注先が変わると雇用問題はどうなるか?
A:雇用は5年確保の原則がある。そこで新会社は前の人を引き取る。但し仕事の見直しはある。
Q:PFIと日本の3セクとの違いは?
A:リスク分担の差ということ
Q:日本の公社・公団とどう違うか?
A:実はPFI導入時に日本の道路公団を参考にしたという話である。例えば独立採算型。これをイギリス流に、独立採算型、公共へのサービス提供型、ジョイントベンチャー型へと多様化していった。