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例会講演録5
瀬戸内海クルーズは魅力がいっぱい
瀬戸内海汽船株式会社 代表取締役社長 仁 田 一
郎氏 . |
99.10.22 |
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講演日時:99.10.20 6:30〜8:30p.m. |
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場所:広島市鷹野橋 広島市婦人教育会館 |
館主前言:
これは広島市民のケースですが、当市の交通環境を考えるときは、とかく地上交通系のみを考えがちのように思います。 しかし広島市とは海に面した都市ですし、当市には港もコミュータ飛行場もある多彩な都市です。 ことし5月の「瀬戸内しまなみ海道」開通を迎え、航路としての海運は大影響を余儀なくされました。だがしかし、これを機会に瀬戸内は従来の地域間交通機能に加え、世界に誇る美観「しまなみ」を対象として、新たにクルーズ中心の観光開発という大チャンスを迎えたのであり、既に活動を開始しております。 今回は激変期である瀬戸内海海運の現在と未来について、当地海運界の若きリーダーである仁田(にった)氏を迎え講演を聴くことができました。 感想ですが、私どもはやっぱり鉄系に属していて、「海系について、あまりにも知らぬことが多かった、勉強になった」ということに尽きます。 夢いっぱいも良かったですね。(=^_^;=)
講演者略歴:
1961年呉市生まれ
1986年愛媛大学文学部法文学科卒業
1986年(株)西武百貨店入社
1991年瀬戸内海汽船(株)取締役
1992年同社社長室長
1993年瀬戸内海クルーズ(株)取締役
1996年瀬戸内海汽船(株)社長 |
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講演要旨
自己紹介
- 今年38歳と若いので、元気のでる話をしたい
- 大学では法文学部というより、ヨット部卒という感じで海には馴染んでいる。スナイプでは全国大会候補までがんばった。
- 西武百貨店入社時は有楽町百貨店の第1期生である
- 1996年(平成8年)には父の創業した瀬戸内海汽船株式会社の社長を引き継ぎ、今日に至っている
瀬戸内海汽船と海運業界
- 昭和20年(1945)6月に瀬戸内海地区の海運会社7社が統合されてできた。
- 従って仁田家はオーナーという存在ではない
- 当初は定期航路船収入が100%であった。
- 時代と共にフェリー、鉄道、道路ができたため定期船の売上は1/2以下に落ちている。
- 全国の旅客船会社は700社ある。うち広島県には74社が存在する。
しまなみ海道開通と共に20航路が縮小や廃止になって、300人近くが転職した。
- 労働省の定義では「特定不況業種」に指定されているくらいで、不況業種といえる。
- 海も規制緩和が進行し、2000/10/1からは原則として需給調整がなくなる。 →免許制から許可制に移行
港の成立歴史
- 陸上では人が1日でたどり着ける場所に宿場ができた。同様に、海では船が上げ潮に乗っていちどにたどり着けるところに港ができたのである。
- その歴史的成立の港は陸上の交通機関変革、たとえば鉄道や橋ができると衰退せざるをえなかった。尾道、今治市など。
当社の歴史は橋のと戦い ……架橋対策の5つの行動
- ホテル・レストラン経営
「松山道後館」「大三島水軍館」 (水軍館はしまなみの橋ができるのを当て込んで20年前に造ったが早すぎた)
- 「星ビル」経営 (注:広島市で有名なコーヒー一杯1,500円の店) これは当社方針が高付加価値の追求であるから・つまり大量生産販売の路線を採らないで高額商品を売りたいの考えた。 そこで室内には世界一のコレクションのアンチックドールが飾ってあり、美術館で鑑賞するつもりで来店を願っている。 アンチックドールは趣味と錯覚されているようだが違う。来年になれば価値が上がるものなのだ。売れ残る商品では価値が下がる。
- クルーズ
クルーズシップ1号:銀河
〃 2号:南十字星
お座敷船 :屋形船
- カルチャー
カルチャー教室 や フィットネス、ベビーシッター教室を経営
- 転業事業
転業従業員のために、パーキングエリア、料金徴収業務、バス会社などを始めた
今後 当社の2大方針
- 地域連携 これからは港から港への運行のみの時代ではない
- 観光
地域連携には
- 国土庁の全国開発計画のなかで浜田−広島−松山−高知プランがある。これをトンネルと橋で繋ぐ案であるが、投資額が2.3兆円かかる
- これだけの金の金利を1%に仮定して海上交通に置き換えたら、50ノットのカーフェリーを使用し、広島・松山間を走ると45〜50分で行ける。これを15分間隔にして24時間運行してもお釣りがくる。 運賃タダが成り立つ。 費用対経済効果を考えるべきである。
- 私は単に両都市間を早く結ぶ交通を提供するというハード面のみを考える時代は終わったと考える。 これからはソフト面、つまり両都市の地域交流を促進する手伝いを考えている
- 一昨年、この趣旨で「地域連携割引切符」を創製した。これは日本では初めて。
中身は、文化・スポーツ団体が新しい都市間交流を始めるなら特別割引を計る。 …実例的には広島の団体が松山の俳句の会に出席する。 松山市の人が広島交響楽団定期演奏を聴きに広島に来る、オランジェーリ美術展を観覧に来るなど。
広島市の人は松山市で全国野球拳大会があるなど知らないので参加しない。知れば参加するであろう。
- 今後は美術館行きは船賃を半額にしたいと考えている。
- 広島空港と松山空港とを使い回しはできないか? 例えば松山の人が、松山空港→広島空港→関空→海外とか、今治市の人が広島本郷の飛行場を利用するなど、県域思想を離れた使いかたはできないか。
観光=光を見ること
- 当地も製造業から観光業へとウエイトが変わりつつある。 運輸省も「観光おまけ」時代から「基幹産業」へと認識変化
- お客様のニーズが変わった。
小グループ
家族体験
専門的趣味
物見遊山式の業者のプランがずれているのではないかと感じる。
- しまなみ海道開通直前の3デーマーチには、参加者が2.5万人集まった。 これは超1級のウヲーキングコースということだ。
広島の「路面電車を考える会」も松山市へ行き、路面電車の車庫見学と乗り回しなど企画を考えたら? 注
(=^_^;=)考えましょう)
島の暮らし体験旅行とか、進水式参加旅行とか、海上の歴史研究ツアーとかいろいろ考えられる。
- 先日終了した「しまなみイベント」は1千万人参加だった。今後は年間3千万人の可能性があると考えている。ディズニランドは1.6千万人。
…観光資源の掘り起こしがこれからの私の仕事。
「瀬戸内海の存在自体がテーマパークである」
香港の人は海に慣れている。→瀬戸内海を楽しむプランの可能性。 世界の公園と考えよう。
クルーズ
- 施設・港の整備が必要
- (イ)安全、快適 …屋根のない桟橋ではダメだ。ドウフィー式桟橋に変えるべき。
- (ロ)陸の交通機関ともスムースに移行 …路面電車で広島駅まで30分かかる現状を変える。
- (ハ)港地区には人の賑わいの場が必要 …港地区にメッセコンベンションを造るなら軌道系交通が必要ではないか
- 広島市内交通には川は利用できないか
- 広島市を川と橋で日本一の都市にしよう。 50年で今の橋は全部掛け替えになる。 あらゆるデザインの橋にして、上をLRTが下を連絡船が走るのは嬉しいではないか。
- マツダが水陸両用車を広島の川で動かしたら、世界中から見に来ると思う。
- ソフト …思い切った案が必要
- (イ) カジノ …船の上でやれることに限定
- (ロ) 免税品 …宮島はかっては歓楽街で、芝居小屋、置屋などがあり人が集まったのが殷賑の源泉である
- (ハ) 安い労働力 …海外の船には客一人にスタッフ二人
- 広島県にも県民の船を。大阪市にもあり、滋賀県では小学5年生には琵琶湖二泊で生活体験をさせている。
どんな船がよいか
- A.瀬戸内海では4,000トンクラスの船で
- これ以上大型船は入れる港が限られる
- 小回りの利く温泉旅館シップにて2泊3日回遊など
- 海外式の数万トン船クルーズのイメージは合わない。 一泊5万円の原価になる。不向き。
- B.デイクルーズタイプ
- 従来広島←→宮島間を就航している観光船「銀河」を「しまなみ海道」開通後、週2便そちらに就航している。
乗船率は90%で大成功。来年は「銀河2000年クルーズ」と銘打ち毎日就航も考えている。 2ヶ月ごとに港を変更して飽きられないプランだ。
- C.チャーターボート・ヨット
- 10人くらいで海の散歩のできるものを
- 25年前に始めたが、これは時期尚早だった。
質疑
Q.50ノットのフェリーとは
A.南太平洋やヨーロッパでは40〜50ノットで運行されている。 日本ではまだ法の問題があるが。
Q.JR、旅客機の欠航ニュースがTVで出されるが、船のも早く出して欲しい
A.まったく同感
Q.松山観光港は淋しい。改良は?
A.99/11にターミナルビルの建て替え式がある。期待される。
Q.広島、別府航路が廃止になったが。
A.広別汽船の就航船「由布」が中途半端だったと思う。 工夫して復活させたいと思っている。
Q.船でもプリペイドカードをやったら。
A.必要性があると思う。運輸省でもヨーロパ式のWELCOMEカーDを作ったらの動きがある。
船には振動と塩の問題があるが、船上より陸上でやることを考えている。例えば新広島港待合ビル。